アメリカ3大トレイルって知ってる?

3つ全てのトレイルが3,500〜5,000kmというビッグスケール。ハイカーたちは草原や砂漠、山岳地帯など、変化に富んだ地形を、春から夏のワンシーズンに踏破するのです。
アメリカの雄大で多様性あふれる自然や生き物、歴史、文化と出会い、気まぐれで時には厳しい気候の中に身を置きながら、ハイカーたちは時間をかけて一歩一歩踏みしめていきます。
スルーハイクって何?

アメリカ3大トレイルってどんな場所?

アパラチアントレイル(AT)

総距離 | 最高地点 | 最低地点 | 所要時間 | 踏破率 |
3,498km | テネシー州クリングマンズ・ドーム(2,025m) | ニューヨーク州ハドソン川 | 5〜7ヶ月 | 約20% |
アパラチア山脈のアップダウンの多い稜線や森がトレイルルートとなっているため、霧や雷雨、ストームに遭うことも。他のトレイルに比べ比較的標高が低いので、人里と交差する箇所が多いのが特徴です。
ゴール地点マウントカタディンのある自然公園は例年10/15に積雪のためクローズするため、早めのスタートが必要です。踏破時には、アパラチアントレイル協議会から証明書とワッペンをもらえます。
アパラチアントレイル協議会(Appalachian Trail Conservancy)
パシフィッククレストトレイル(PCT)
総距離 | 最高地点 | 最低地点 | 所要時間 | 踏破率 |
4,260km | シエラネバダ州フォレスター峠(4,009m) | オレゴン州カスケード・ロックス(43m) | 4〜6ヶ月 | 約60% |
シエラネバダ山脈やカスケード山脈などの高山地帯や、砂漠、草原、氷河など、さまざま地形を縦走します。このトレイルの一部が、アメリカで一番人気のトレイルルート、ジョン・ミューア・トレイル(JMT)です。
パシフィッククレストトレイル協会(Pacific Crest Trail Association)
コンチネンタルディバイドトレイル(CDT)

総距離 | 最高地点 | 最低地点 | 所要時間 | 踏破率 |
約4,300〜5,100km | コロラド州グレースピーク(4,352m) | ニューメキシコ州コロンブス(1,200m) | 6ヶ月 | 不明 |
整備されていない箇所が多く、ルートの3割が消失しているため実際の総距離不明。踏破には地図読みの技術も必要です。既にATやPCTを制覇したベテランハイカーの挑戦が多く、アメリカ3大トレイルの中でも一番の難易度と言われています。
慣れたハイカーにとっては、まだ形になっていないトレイルを歩くのも楽しみでしょう。
コンチネンタルディバイドトレイル(Continental Divide Trail Coalition)
チャレンジするには、どんな準備が必要?
6ヶ月にも及ぶスルーハイク。長期の行動・食糧計画を立てておくことはもちろんですが、トレイルの準備以前に、ビザ取得や海外旅行保険の加入など、海外長期滞在としての準備も必要です。どのような準備をしておく必要があるか、確認してみましょう。
①「アメリカビザ」は最初で最大の難関?

B-2ビザ 申請資格
- ▶︎渡米目的は、ビジネス、娯楽、治療など一時的な訪問であること
- ▶︎一定の、限られた期間のみ米国に滞在する計画であること
- ▶︎米国での滞在費をまかなう資金の証拠:預金通帳など
- ▶︎米国外に居住地があることに加えて、米国外に社会的・経済的な強いつながりがあり、訪問の終了時には確実に帰国すること
B-2ビザの取得には、アメリカ大使館、領事館のサイトより英語にてオンライン申請(DS-160ビザ申請書)し、ビザ申請代金支払いの上、アメリカ大使館または領事館(東京、大阪、福岡、沖縄、札幌のいずれか)での英語面接が必要です。
面接は事前予約必須ですが、予約がとりにくい傾向にあります。オンライン申請にも時間がかかるので、早い段階で準備しておくことをおすすめします。
面接時に必要な補助資料(全て英文)
▶︎現在の収入、納税、財産、事業所有権、資産の証拠書類。
▶︎予定している旅行に関する旅程表やその他の説明。
▶︎職位、給与、勤続年数、休暇許可、米国への旅行に際して仕事上の目的がある場合はその目的、を詳述した雇用主の書簡。
▶︎刑期を満了済、もしくは恩赦された場合であっても、逮捕もしくは有罪判決などの犯罪歴/裁判歴。
※ビザ申請条件等は予告なく変更される場合があるため、必ずご自身にてご確認ください。
補助資料をチェックするのは、アメリカ3大トレイルについてほとんど知識のない領事館のスタッフです。「自分が挑戦したいトレイルとは何か」からはじまり、なぜ挑戦したいのか、どうして90日以上の日数が必要なのか、計画表や帰国後のプランまで全て英文にてレターを作る必要があります。計画の実現性をアピールするため、トレイルの許可証や海外旅行保険の保険証、可能であれば往復の航空券(Eチケット)などを事前準備しておき、補助資料として提出するのもいいでしょう。
永住を疑われるとビザ申請却下、今後のESTA(90日以下のビザ免除プログラム)申請さえも拒否されてしまう可能性があります。「トレイル終了後は必ず帰国する」旨のアピールは必須です。休職してスルーハイクに挑戦する場合は、職場に在籍証明書や休職証明書などを英文で発行してもらいましょう。
またカナダやメキシコから歩きはじめる場合、それぞれの入国条件も確認する必要があります。
②地図をゲットして「計画表」をつくってみよう


③「パーミッション(許可証)」は必要?どうやってとればいい?

1日あたりの発行数に制限があるパーミッションは、事前予約が必要です。希望日のパーミッションが取れない場合、ルート変更を余儀なくされることも。早めに確認しておく必要があります。許可証の取得方法はそれぞれ異なるため、管轄している管理機関のウェブサイト等でチェックしましょう。
PCTの場合は指定エリア毎のパーミッションとは別に、PCTに挑戦するためのパーミッション「PCT長距離許可証」が必要となります。
④スルーハイクで一番重要な「リサプライ(再補給)」

トレイルルート上には、ハイカーに無料で食事や宿を提供してくれるトレイルエンジェルというボランティアの存在も。もし出会えたなら、そのご厚意をありがたく受けましょう。
⑤無駄なものは持ちたくない!気になる「装備」

飛行機で運べるもの、運べないものは?

▶︎機内持込み可・受託手荷物(預け入れ手荷物)不可
モバイルバッテリー、ライター・マッチなどの火器類(一人1つまで)、電子タバコなど
▶︎受託手荷物(預け入れ手荷物)可・機内持込み不可
ナイフ・ハサミなどの刃物類、トレッキングポール、アイゼン、水銀医療用体温計など
▶︎機内持込み・受託手荷物(預け入れ手荷物)ともに不可
ガス・スプレー缶(調理用ガスカートリッジ、酸素スプレーなど)、固形燃料、瞬間冷却材、自動加熱食品など
※詳細は利用航空会社のウェブサイトにて確認できます。

Leave No Trace(自然に足跡を残すな)のマインド

歩くことが中心となる半年の生活は、本来の自分のリズムを見つけるきっかけをくれるはず。大自然と向き合い、共存しながら、自分自身とも向き合う旅になるかもしれません。