『値札を見ないで買える低価格』で、登山業界を変えるかもしれないワークマンの”これから”

2018/11/27 更新

ここ最近のワークマンの勢いは、みなさんも広く知るところではないでしょうか? 2018年9月にスポーツやアウトドアのブランドを内包した店舗『ワークマンプラス』をオープンさせると、その人気はたちまち広がり今では女性が着用しているのを見かけるほど。その衝撃的な価格のアイテムを引っさげ、アウトドア用ウェアを世に放つワークマンにYAMA HACK編集部が突撃取材。登山者にも愛好者がいるワークマンは、登山業界で今後どのようになっていくのか? アウトドア用ウェアのブランド「Field Core」担当者に話を伺ってきました。


ワークマンの手袋

提供:ヤマレコ/FEEL(ワークマンの手袋を愛用する登山者)
以前から、登山者の間で密かに人気のあるワークマン。実際にYAMA HACKのSNSでも多くのリアクションやコメントが付いたり、山行記録を共有するサイトでも使用している人は多数見受けられます。

そんな中、ワークマンは最近一般消費者向けの店舗「ワークマンプラス」をOPENさせました。アウトドア・スポーツ・レインウェアのブランドを展開しており、その人気は急上昇中! 先日キャンプに行った編集部員が「ワークマンいいよ!」とその日テント近くで出会った女性に勧められたほど。

ワークマンプラスの市場ターゲット図 市場勢力(※店舗数は全国でワークマン826店舗、ユニクロ831店舗とほぼ互角)や店舗を出店するに至った経緯については、既に多くの媒体で記事化されています。

そこで今回YAMA HACKは、『登山業界におけるワークマンの今後』について担当者に直撃インタビュー。登山業界ではないところから入ってきた黒船・ワークマンの本社にお邪魔してきました。

中野さん
撮影:YAMA HACK編集部(取材に答えてくださった「Field Core」ブランドマネジャー:中野さん)
▼聞き手

草替 萌波
元登山メーカー勤務。ワークマンのアウトドア業界進出に、新しい風が吹きそうな予感を感じてワクワクしている。

「ワークマンで、逆にいいの?」

インスタ画面
出典:Instagram

草替
先日は川崎中野島店OPENおめでとうございます。(取材したのは2018年11月)最近よく街で見ますよ! 特に雨の日なんかに女性が着ているのを。

中野さん
ありがとうございます。たくさんの方に使って頂き感謝です。


草替
実は先日、YAMA HACKのInstagramで『ワークマンのイメージ』について質問をしてみたら、1,000人ぐらいに答えてもらえて。
「仕事着」「作業服」「ガテン系」というイメージが多数なんですが、一方「安くて案外使える」「山で使える」「軽登山なら代用できる」という意見もあるんですよ。

インスタストーリーズ
撮影:YAMA HACK編集部(たくさんの回答ありがとうございました!)

草替
なので今回は、登山業界でワークマンがどんな風になっていくのかな…というのが気になってお話聞きに来たんですけども。

中野さん
はぁ…いやあの、登山者の間でそんなにうちの商品を利用して頂いているなんて、実は全然知らなかったんですよね…。


草替
な、何だって~! それじゃあ取材が終わってしまう…!

説明する編集部員Kと中野さん
撮影:YAMA HACK編集部(この写真の後に中野さんから「知らなかった」の言葉が。今思えばいささか懐疑的な表情?)
中野さん
「そうなんだ!」というのが正直なところ。よくバイクや釣りでは利用者の話を聞いたり見たりしていましたが、山の世界では逆に「ワークマンでいいの?」って思っちゃう。


草替
それは価格的に?機能的に?

中野さん
どっちもですね。ステータス的なところなのかな。登山は装備にこだわりがあって、「このブランドで!」というイメージ。もちろんそこに機能もついてくる…ということなんでしょうけど。

“買い替えが前提”というスタンス

商品の説明をする中野さん
撮影:YAMA HACK編集部(「普通の人が使うなら、袖にペン挿しなんていらないんですけどね」と”作業着”たる所以を語る中野さん)

草替
その点で言うと、既存の登山ブランドともっとも異なっていると思うのがワークマンは買い替え前提という点だと思うんです。

中野さん
そうですね。基本的に作業服なので、どんどん買い替えるというサイクルがあるからこの会社は成長してきました。またそれが、EDLP(エブリデイロープライス)にも繋がる戦略でもあります。


草替
登山業界はどちらかというと「良いものを長く使う」が比較的当たり前とされているのですが、まったく真逆のスタンスがすごく新鮮だなと思って。

中野さん
作業服とアウトドアウェアで唯一共通しているのが「野外で着る」という点。僕は以前レインウェアを担当していたんですが、一番機能がいいものは?と追及していくと、GORE-TEX®プロダクトを始めとしたアウトドアウェアにたどり着いた。
他にも「ムレない」とか「動きやすい」とかも、全部アウトドアのウェアに繋がるんですよね。

求められているものは同じ

中綿ジャケット
撮影:YAMA HACK編集部(ワークマンのブルゾン。ストレッチの効いた中綿入りで、ペットボトル1本分の軽さ)
中野さん
アウトドア用のウェアは機能として完成されている。1日8時間、外の作業で使えるものを作るなら、それに見合ったものを作らなければ…という事で、買い替え前提は維持しながら、アウトドアにあるような機能を前面に出していくところに落ち着きました。
それを実際にアウトドアをやる人が評価してくれてるなら、すごく嬉しいですね。

じゃあどこまで使えるの?


草替
なるほど。求められる機能は同じ、「長く良いもの」と「買い替え前提」はスタイルの違いということですね。

ここではどちらが良いという話はしませんが、そうなるとワークマンの『機能』について、気になるのが耐久性なんです。インスタの回答にも『登山には頼りないイメージ』という意見もありまして。一番気になるのは「どこまで使えるの?」ということかなと思うんです。

中野さん
作業服に求められる最低限の基準はクリアしていますが…正直、山に関してはどういった環境まで対応できるかはまだわかりません。
でもまぁまぁなとこいくとは思います、野外でガンガン働く人達を見てると、結構ハードなので…火を使ったりもしますし。


草替
先日、会社の同僚が「登山してみたい」と言うので、秩父の方へ日帰り登山を企画したんです。その時登場した同僚が全身ワークマンで。「昨日行って揃えてきました!」って言って。特に何もなく、普通に登って下山しました。


秩父登山
撮影:YAMA HACK編集部(写真むかって右側が全身ワークマンの同僚)
中野さん
へえ~! それはすごい。


草替
例えば「雪山はNG、でも夏の富士登山なら行ける!」とか明確にわかればいいんですけどね(笑)

中野さん
なるほど、その切り口は面白いですね。どこまで試せるのか、というのはものすごい興味があります。

ユーザーの声をどんどん吸収

中野さん
撮影:YAMA HACK編集部(商品を作る担当者としての思いを語る中野さん)
中野さん
このレベルはここまで行けますよ、ってことか。おもしろいですね。そういう発想で考えたことはなかったので。


草替
先ほど「買い替え前提が他とは違う」と申し上げたんですが、ユーザーの声をどんどん吸収して商品をアップデートしていくカメレオンさも、ワークマンの特徴の1つですよね。

中野さん
釣り人やバイク乗りの方から出た声は、現に商品にかなり活かされています。モノが良くなるということはお客さんが使いやすくなるということなので。
あとは全国の店舗で、現場の方々からご意見頂くんですよ。それはやっぱりものすごい貴重な情報。実際に試してくれる人がいるというのは、すごくいいですよね。辛辣なこと言われても納得できますし(笑)


草替
じゃあ、この「Field Core」のアイテム達も、「登山の時にこうだったらもっと便利!」みたいな声は…

中野さん
とても貴重な情報なのでむしろ要望は欲しい! 自分達もそれをモノづくりに活かしたいし。

以前クライミングパンツという商品を出したんですけど、プロの人が使って「いいよ」って言ってくださっているのを見た事があります。イケる!とわかれば自信にもなりますよね。

「ちょっとハイキングに行くとか、誘われて山に行く時に」

 
View this post on Instagram
 

ワークマンプラス立川立飛店さん(@workmanplus)がシェアした投稿



草替
冒頭でおっしゃっていたように、ブランドにこだわりがある方もいると思います。でも、これから始める人、始めたばっかりの人にとって…やっぱり気になるのはお値段かなと。

中野さん
確かに僕も色々なアウトドアのお店に見に行きますが、レインウェア買って上下買って、リュックと靴と手袋と…と考えると、一体いくらかかるんだ!って思っちゃいます(笑)


草替
登山を始める人が増えないと、登山業界はやっぱり盛り上がらない。ワークマンのアイテムは「ちょっとやってみようかな」の人も手が届くお値段ですよね。

興味はあるけど手を出せていない人はたくさんいて、踏み出せていない要因の1つが道具とかウェアなのかなって。『初心者こそ良いもの買え』というのも正しいと思う一方、これがハードルになっているような気もしています。

中野さん
厳しい登山になっていくところは未知ですが、でもまず「ビギナーの人には使ってもらいたいな」という気持ちはあります。ちょっとハイキング行くとか、日帰りで低山に行くとか、誘われていくときに、高い物買うよりはどう?とは思いますね。あと、例えばパンツだけでも…とか、部分使いでもいいと思います。


草替
本気のやつを買う前に手に取ってみて、山にハマれば自分に合った良いものを選ぶ。

中野さん
それが一番いいですね。ぜひそのお手伝いができればと思います。むしろこの商品でどこまでいけるのかの方が余計気になってきた…

「初めてならまず手に取ってみてほしい」ということと、「現場の声をどんどん吸収したい」という思いを語ってくれた中野さん。取材を通して、ワークマンがこれから登山を始めたい人の”1つの選択肢”として浸透していくのも、そう遠くないかもしれないなと感じました。

おまけ:話の流れでまさかのコラボ決定!?

ワークマン佐須様・中野様
撮影:YAMA HACK編集部(最後の最後にまさかの提案が!)
山に注力・特化した商品がもしあれば、もっとアイテムの幅が広がる余地があるかも…そんなことを話していたら、同席して頂いていたネット通販部の佐須さん(写真右)が「じゃあコラボとかしますか?」とポロッと発言! YAMA HACK限定の何らかのアイテムの話が急浮上しました。そのうちみなさんにご報告できるかも…。乞うご期待!


    関連する記事

    関連する山行記録 byヤマレコ

    ワークマンのウェア
    この記事が気に入ったら
    「いいね!」をしよう
    YAMA HACK編集部
    YAMA HACK編集部

    YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。

    登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」

    OFFICIAL SNS

     

    LINEでYAMA HACKをもっと手軽に。

    登山用品から登山・トレッキングまで山に関する情報を毎日配信!
    LINE友達限定の毎月当たるプレゼントキャンペーンも開催中!