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登山ヘルメット着用で落石や滑落から身を守ろう!

登山中の遭難で、もっとも多いのが「道迷い」ですが、次いで多いのが「転・滑落」です。特に、日本を代表する山岳エリアの長野県では、滑落事故が後を絶たず、多くの遭難事故は頭部負傷が多いのも実態です。

出典:
長野県警察(滑落してもヘルメット着用で助かることも)
しかし、そんな滑落事故でも、登山ヘルメットを着用していたために、死を免れたというケースもあります。このようなことから、長野県では一般登山道でも、岩稜を有する山では登山ヘルメットの着用を推奨しています。
登山ヘルメットを推奨している山紹介
長野県では、南・中央・北アルプスの以下の山岳エリアで、登山ヘルメットの着用を推奨しています。
北アルプス南部(槍・穂高連峰)
①北穂高岳から涸沢岳・屏風岩、前穂高岳(吊尾根)一帯

槍・穂高連峰一帯は岩峰群で、一般登山道といえども、気の抜けないエリアです。2017年の夏山シーズンでもすでに、前穂高岳の重太郎新道で滑落事故が発生しているように、毎年事故が頻発しているエリアです。もし滑落しても、頭部負傷を防ぐためにヘルメット着用が望ましいです。
②西穂高岳から奥穂高岳 
最難関の登山道でもある西穂~奥穂間。登山上級者向けのルートで、安易に立ち入ってはいけない危険なルートです。ジャンダルムという馬の背のような岩峰を通過していきます。浮石も多く、滑落だけではなく落石にも注意が必要です。
③北穂高岳から南岳(大キレット)

北穂~南岳間の大キレットも最難関ルートのひとつです。切れ落ちた岩の登山道をアップダウンをしながら進まなければならず、毎年、滑落事故や落石が発生しています。
④東鎌尾根の区域

北アルプスの人気の縦走路、表銀座コース上にある東鎌尾根。大キレットほどの難易度はありませんが、天候が悪い時に足を滑らせて切れ落ちた尾根から滑落する事故などが発生しています。

北アルプス北部
①不帰嶮(かえらずのけん)周辺

白馬岳から唐松岳まで縦走する場合に通過しなければならないのが、不帰キレット。落石や滑落の可能性がある危険なエリアなのでヘルメット着用が望ましいです。
②八峰キレット周辺

五竜岳から鹿島槍ヶ岳への登山道にあるのが、八峰キレット。鞍部にはキレット小屋があり、一息つくことができます。
南アルプス
①甲斐駒ケ岳

南アルプスの人気の山でもある甲斐駒ケ岳。駒津峰を過ぎると、巻道と直登コースがありますが、直登コースは岩登りの要素が出てくるのでヘルメット着用が良いでしょう。
②鋸岳 
甲斐駒ヶ岳までの登山者は多いですが、鋸岳まで足を伸ばす登山者は少ないです。そのため、登山道が不明瞭だったり、落石の可能性があるガレ場や鎖場のルートを通過しなければならないので難ルートです。

中央アルプス
①宝剣岳 
中央アルプスのシンボル的存在の宝剣岳は、千畳敷カールからそびえ立つ険しい岩山です。岩場のトラバースや鎖場でのスリップ、落石に注意が必要です。

戸隠連峰
①戸隠山・西岳 
標高は2000m弱ですが、ギザギザの険しい山容が特徴の戸隠山。「蟻の戸渡り」という尾根道は、両側が切れ落ちたナイフリッジです。

長野県で登山ヘルメット着用を推奨している山一覧

ヘルメット推奨以外の山でも、ヘルメット着用を!

今回は、長野県が推奨している登山ヘルメット着用の山を紹介しましたが、落石や滑落の危険性がある山はほかにもたくさんあります。例えば、富山県にある北アルプス北部の剱岳でも、険しい岩峰の登山道が続き、カニのたてばいやよこばい、早月尾根などでは滑落事故が発生しています。同じく登山者で人気の八ヶ岳の赤岳山頂付近でも滑落事故が発生しており、ヘルメット着用が推奨されています。主要山岳エリアが設定した山のグレーディング表の技術的難易度がC~Eのルートでは、ハシゴ、岩場、クサリ場があるので、そのような場所ではヘルメット着用するのがよいでしょう。
安全な登山を心がけよう!

登山地図やガイドブック、県警のHPなどを確認して、事前に岩場やガレ場、過去に滑落事故が発生したエリアでは、意識的に登山ヘルメットを着用しましょう。