迫力ある描写が魅力の山岳小説
常に死と隣り合わせの環境下にあるヒマラヤや雪山の登山。そこに立ち向かう登山家の山に対する想いや迫力のある描写が山岳小説の魅力です。今回は登山家本人による手記や、”世界の屋根”ともいわれるヒマラヤを舞台にした山岳小説を7冊ご紹介します。
息遣いさえ感じる登山家自身の手記3選
「風雪のビヴァーク」
作者:松濤明
槍ヶ岳から北にのびる「北鎌尾根」。1949年1月、熟達者でも困難とされるこの場所で、登山家・松濤明がパートナーとともに遭難。彼の登山記録とともに、死の直前まで手帳につづられたメモは鬼気迫るものがあります。
グランドジョラス北壁
作者:小西 政継
アルプス三大北壁の一つに数えられるグランドジョラス北壁に、日本人として初めて挑戦した厳冬期の登攀の記録。食糧が尽き、凍傷に冒された男たちの11日間をつづっています。
ミニヤコンカ奇跡の生還
作者:松田宏也
目まぐるしく変化する天候のため、これまでに登頂に成功したのはわずか20名にも満たないといわれる難峰・ミニヤコンカ。山頂を目前に控えるも悪天候に阻まれた著者が飢えや凍傷、そして仲間の死とともに生死をさまよった壮絶な記録。
極限の世界を描く、ヒマラヤを舞台にした山岳小説4選
エヴェレスト 神々の山嶺
作者:夢枕獏
「そこに山(エベレスト)があるから」という言葉であまりにも有名なジョージ・マロリーが、世界で初めてエベレストに登頂したのかどうか、ということは登山界最大の謎として現在も議論されているところ。フィクションでありながら事実を織り交ぜ、この議論に一つの答えを出した世界的大ベストセラー。
遠き雪嶺
作者:谷甲州
今から80年以上前、日本人として初めてヒマラヤの山に登頂した立教大学山岳部の物語。登頂したナンダ・コットは、当時は未踏峰であり、物資の輸送などはすべて手探り。日本山岳史の金字塔ともいえる初のヒマラヤ登山成功の記録を知ることができる一冊。
凍
作者:沢木耕太郎
数多くの高峰を無酸素登頂した記録を持つ世界的なクライマー・山野井泰史が、妻とともに挑んだヒマラヤの難峰・ギャチュンカン北壁。その下山中で雪崩に遭遇。絶望的な状況下で究極の選択をし、生還を目指す壮絶な記録。
処女峰アンナプルナ
作者:モーリス エルゾーグ
人類が初めて登頂した8000m峰、アンナプルナ。今なお登頂率は30%ほどといわれるこの非情な山を最初に極めた登山隊の物語です。生死の境をさまよいながらも生還を目指す不朽の名著。
登山を通して描かれる人々の物語にも注目
生死を賭けた壮絶な登頂の記録は、手に汗握る臨場感のあるものがありますが、その一方で、仲間との絆や山に登る意味についても考えさせるものばかり。この夏は、読み応えたっぷりの山岳小説にトライしてみませんか?
A mountain novel has plenty of mountain charm !
山岳小説には山の魅力がたっぷり!