アイキャッチ画像撮影:鷲尾 太輔
東京都内でありながら自然を満喫できる青梅線沿線

東京都西部・多摩地域の中心都市として栄える立川駅と東京都最西端にある奥多摩駅を結ぶのが、JR青梅線です。
特に青梅駅から奥多摩駅は東京アドベンチャーラインと称されており、都心から1〜2時間ほどで東京の奥座敷とも呼ばれる豊かな自然に触れることができるスポットが数多く点在しています。
今回は次の4つのテーマに応じた全10箇所のスポットをピックアップしました。今度の休日、体力や好みにあわせて出かけられるコースがきっと見つかりますよ!
※各コースをクリックすると、コース詳細へジャンプします
◾️駅から駅へ。変化に富んだ縦走コース
◾️多摩川の清流を満喫!渓谷ウォーキング
◾️森の恵みを満喫!森林セラピーロード
◾️一度は登りたい!奥多摩の名峰
駅から駅へ。変化に富んだ縦走コース

奥多摩の山間部を走る青梅線。駅から登山口が近い山も多く、そこから複数の山とつなぐ「駅 to 駅」の縦走コースを、数多く設定可能です。
①青梅丘陵・雷電山(軍畑駅〜青梅駅)

コース概要
軍畑駅(35分)→榎峠登山口(45分)→雷電山(20分)→辛垣山分岐(10分)→辛垣山(10分)→名郷峠(10分)→物見山(10分)→マスガタ山(10分)→ノスザワ峠(15分)→三方山(25分)→40番鉄塔(30分)→日向和田分岐(5分)→矢倉台(15分)→第4休憩所(15分)→第3休憩所(10分)→第2休憩所(10分)→梅岩寺(5分)→青梅駅

青梅市の北側に連なるのが青梅丘陵です。地図に山名が記載されているのは最高峰・雷電山(494m)だけですが、ここから東へ辛垣山(からかきやま・451m)・物見山(418m)・マスガタ山(440m)・三方山(454m)・矢倉台(383m)などの山々が連なっています。
軍畑駅から榎峠までは都道193号(鎌倉街道)の舗装路歩きですが、その先は気持ちのよいハイキングコースが続きます。木製階段を登って、約45分で雷電山山頂へ。ここからは小刻みなアップダウンを経て青梅駅をめざします。途中には宮ノ平駅や石神前駅へ下りるエスケープルートも整備されています。

雷電山の東に連なる辛垣山は、戦国時代にこの地域を治めていた豪族・三田氏の山城跡。小田原を拠点とする北条氏に攻められて落城してしまいましたが、軍畑駅には三田氏の家紋「三つ巴」が掲げられており、辛垣山城の物見櫓があった矢倉台は今も休憩所となっています。
また下山場所にある龍光山 梅岩寺は、開創1000年を超えると言われる青梅市の古刹。境内にある枝垂桜は樹齢150年という古木で青梅市の天然記念物に指定されており、見頃を迎える例年4月上旬〜中旬には多くの参拝客で賑わいます。
②要害山・赤ぼっこ(宮ノ平駅〜青梅駅)

コース概要
宮ノ平駅(25分)→梅ヶ谷峠入口(50分)→愛宕山分岐(10分)→要害山(10分)→和田町三角点(25分)→天狗岩(20分)→赤ぼっこ(20分)→馬引沢峠(15分)→旧二ッ塚峠(30分)→青梅市墓地公園(15分)→天祖神社(20分)→住江町(5分)→青梅駅

赤ぼっこ……かなり変わった山名ですが、1923年に発生した関東大震災により斜面の土砂が崩落して、赤い土が露出したことが山名の由来となっています。これによって奥多摩でも比較的低い標高(409m)ながら展望が開けており、遠く関東平野や筑波山までを見渡すことができます。
山頂付近には、アニメ映画『となりのトトロ』に登場する「まっくろくろすけ」を模した、目玉が描かれた小さな石がたくさん。これは赤ぼっこを訪れる登山者たちがいつのまにか置いたもので、奥多摩の山を愛する人々の遊び心を感じ取ることができます。

赤ぼっこ手前で北側へ延びた稜線上にある天狗岩も展望ポイントです。赤ぼっこ同様に北側の眺望が開けており、奥多摩の山々や眼下の青梅市街を見渡すことができます。
旧二ッ塚峠から天祖神社へと下る斜面は長渕丘陵と呼ばれる山野草の宝庫です。例年3月下旬からは見事なカタクリの群落が広がり、次いでニリンソウやスミレも見頃を迎える花の楽園です。
③高水三山(軍畑駅〜沢井駅)

コース概要
軍畑駅(40分)→高源寺(15分)→車道終点(75分)→常福院分岐(15分)→高水山(35分)→岩茸石山(30分)→馬仏山(30分)→惣岳山(50分)→沢井分岐(15分)→青渭神社(5分)→青渭橋(10分)→沢井駅

奥多摩の「駅 to 駅」縦走コースの中でも多くの登山者から高い人気を集めているのが、高水山(たかみずさん・759m)・岩茸石山(いわたけいしやま・793m/関東百名山の一座)・惣岳山(そうがくさん・746m)からなる高水三山です。
高水山の山頂直下には真言宗豊山派の寺院・常福院 龍学寺が鎮座しており、春はミツバツツジが境内を彩ります。もちろん新緑や紅葉と山門や本堂との調和も風情いっぱいで、登山と同時に山寺への参拝を楽しむことができます。

最高峰の岩茸石山は眺望が抜群で、川苔山・雲取山など奥多摩の名峰から関東平野や東京スカイツリーまでを望むことができます。広い山頂にはベンチなども設置されており、多くの登山者が休憩場所とするポイントです。
惣岳山は樹木に囲まれており展望はあまりよくありませんが、山頂には青渭(あおい)神社の壮麗な社殿が鎮座しています。このように雰囲気が異なる三座をめぐることができるのも、高水三山が愛される理由といえるでしょう。
多摩川の清流を満喫!渓谷ウォーキング

青梅線に沿って流れているのが、多摩川上流部にあたる清流。この豊かな水の恵みが創り出した渓谷ウォーキングも、青梅線沿線ならではの楽しみ方です。
④御岳渓谷(軍畑駅〜御嶽駅)

コース概要
軍畑駅(15分)→御岳渓谷遊歩道入口(20分)→小澤酒造(5分)→楓橋(5分)→寒山寺(20分)→玉堂美術館(25分)→御嶽駅

JR青梅線・御嶽駅を中心に、多摩川の両岸約4kmにわたって整備されている御岳渓谷遊歩道。今回はそのうち見どころが多い下流部を紹介します。
まず最初の立ち寄りスポットは奥多摩を代表する銘酒・澤乃井を製造する株式会社小澤酒造です。とうふ料理を供する食事処・ドリンクやスイーツを味わえるカフェ・さらに多摩川を見下ろしながら軽食を満喫できる清流ガーデンなど様々な施設があり、お酒を飲まなくても楽しいスポットです。
ここから楓橋を渡って南岸に移動すると、中国の蘇州にある同名の寺院が由来の寒山寺へ。参拝客がつく鐘の音が渓谷に響き渡ります。

展望休憩所やボルダリングが盛んな忍者返しの岩を経由しながら進むと、日本画家・川合玉堂の作品を展示する玉堂美術館(有料)です。太平洋戦争の激化にともない当地へ疎開した彼が奥多摩の風景を描いた作品や遺品、アトリエを再現した部屋などが展示されています。
屋内だけでなく敷地全体が見どころの玉堂美術館。その庭園はアメリカの日本庭園専門誌「SUKIYA LIVING MAGAZINE」の日本庭園ランキング上位の常連で、2024年は7位に選出されました。また美術館前のイチョウの巨木は秋には黄色く色づき、御岳渓谷のシンボルともいえる光景です。
⑤鳩ノ巣渓谷(鳩ノ巣駅〜奥多摩駅)

コース概要
鳩ノ巣駅(15分)→鳩ノ巣小橋(30分)→白丸ダム(25分)→数馬峡橋(45分)→海沢(35分)→奥多摩駅

古里駅から奥多摩駅までの多摩川沿いに整備された遊歩道が、大多摩ウォーキングトレイル。今回はその中でも自然豊かな上流部を紹介します。鳩ノ巣駅からスタートし、鳩ノ巣小橋という吊橋を渡って南岸へ向かいます。ほぼ舗装された遊歩道が続いており、階段・橋・柵などもしっかり設置されています。
遊歩道から離れて水辺に下りることができる場所もあり、より多摩川の清流を間近に感じられます。ただし不安定な巨岩が点在する河原で、転倒などの危険もあります。増水時や雨上がりは、遊歩道からの鑑賞にとどめましょう。

やがてレトロなコンクリート造りの白丸ダム(正式名称は白丸調整池ダム)へ到着します。アユ・サクラマス・ヤマメなどの遡上を妨げないための魚道が有名で、ダム内部から見学することもできます。ちなみに併設された白丸発電所は、東京都交通局の管轄。都電荒川線(東京さくらトラム)も、ここで生まれた電力で運行されています。
ダム上流の白丸湖は、神秘的なエメラルドグリーンの水面が四季折々に色づく木々に映える絶景ポイントです。白丸湖にかかる数馬峡橋から見下ろす渓谷美には、思わず息を呑むことでしょう。
海沢から奥多摩駅は舗装路歩きとなるので、スケジュール次第では数馬峡橋から白丸駅へ戻るショートコースもおすすめです。
