アイキャッチ画像:ポンチョ
MYOG未満、既製品以上になるカスタムという楽しみ

シンデレラフィットという表現を知っているでしょうか?
軽量コンパクトなソロ用クッカー内に、煮炊きをするバーナーと燃料、食事に使う箸やスプーン等のカトラリーを、フタが浮くことなく、ピッタリと収納できた状態を“シンデレラフィット”と呼びます。ただフィットさせただけでなく、自分好みのアイデアをセットにする楽しみがあります。
こうした市販品を組み合わせて自分好みに仕立てることは、もっとも手軽なカスタムです。
自作=MYOGよりも手間がかからず簡単。市販品をそのまま使うよりも満足度が高くなるでしょう。オンリーワンを手にできる方法でもあり、登山においては道具を知り、学び、探求するきっかけをつくってくれます。
パーゴワークスの「Wフェイスポーチ2」がまさに、私にとってのそれでした。
2ルーム構造の小分け収納性に長けたポーチ

個性的なデザイン、実用性を究めたアイデアを盛り込んだ道具で人気のパーゴワークスのスタッフバッグ「Wフェイスポーチ2」。このポーチは、収納物の視認性がよいメッシュと軽量なナイロンのコンパートメントに分かれた、2ルーム構造が特長です。
汚れや濡れを防ぐナイロン側に着替え、ニオイのこもらないメッシュ側に脱いだウエアを、または食べる前のフリーズドライフードを中身が見えるメッシュ側、封を切った包装等をナイロン側へ収納。つまり使用前使用後のアイテムをひとつの袋で分けて収納できる、ありそうでない、パーゴワークスらしさが詰まった便利アイテムです。
以前にあったビフォア&アフターというスタッフバッグの進化形として2019年に登場。ジッパーを備えたWフェイスポーチ以外にも、巾着タイプのWフェイススタッフバッグがラインナップされています。

このWフェイスポーチは、その名の通りのポーチ的形状とジッパー開閉の使い勝手から、小物収納のオーガナイザーとして使うのが正解だろうと思った私は、手に入れてからしばらくファーストエイド&エマージェンシーキットに活用していました。
大きめのアイテムと小さめのアイテム、またはよく使うものと、たまにしか使わないものとで分けて収納すると、これが想像以上に使い勝手がよいんです。収納したモノの「あれ、どこいった!?」が、ほぼ解消されました。
このループはなんのためにあるんだろう?

それから数年後。自らスタッフバッグやハイキングスカート等の山小物を自作するMYOG好きの知人と登山を一緒にした時、ずっと疑問に思っていたことを尋ねてみました。
「Wフェイスポーチに付いている、このループってなんのために付いていると思う?」
すると知人は即座に「ポーチをサコッシュ的に使うためですよ!」と教えてくれました。
「!!!!!」となった私。径の小さなループだからと、ショルダーベルトを通す考えをまるで除外していました。細引きなら当たり前に通せるよね!とわかり、さらに当日装備していた同じくパーゴワークスのサコッシュである「スイッチM」を観察して考えました。

スイッチは、本体のバッグ部分とショルダーベルトを、オリジナルのアクセサリーカラビナで連結しています。このカラビナからショルダーベルトを外せば、本体バッグを、チェストバッグやバックパックのアウターポケットとして使えるようになっています。
「そうか!スイッチと同じようにカラビナで本体とショルダーベルトを連結させれば、着脱が簡単。Wフェイスポーチを、そのままポーチとして、ショルダーベルトをセットしてサコッシュして、状況に応じて使い分けられるようになるぞ!!」という、アイデアを思い付きました。