思い付いたことは、とりあえず試してみる

そこで、山行時に常備しているナイトアイズ社の「エスビナープラスチック #2」をセット。スイッチのショルダーベルトを外して、Wフェイスポーチに移植してみました。それが、上画像です。
肩掛けしてみると、これがなかなかのフィット感!
ただ……肩への食い込みをソフトにする幅2センチのナイロンテープは、スイッチのような厚手のナイロン生地との相性はよいのですが、Wフェイスポーチに使われている薄手のナイロン生地に合わせると、ちょっと大袈裟でミスマッチ感があるように思えます。なんとなく、野暮ったいんです。ULサコッシュには、同様の組み合わせが多くありますが、Wフェイスポーチ2はメッシュ地の黒部分が多いからモサいのか……。
う~ん、いい感じにするには、どうしたらよいだろう?
使わなくなった道具、使えなくなった道具は、パーツとして使えます!

そこで思い出したのが、5年程愛用していたワンダーラストイクイップメントの「カンパラパック ミニ」というサコッシュです。上画像は、使い始めたばかりの頃に撮影したもの。山でも街でもヘビーユースし続けたため、止水ジッパー部分が本体から破れてしまったんです。修理に出そうと思いつつ、そのまま道具入れの中で眠らせていたのを、取り出してきました。
カンパラパック ミニのショルダーベルトは、細引きと薄いナイロン素材の肩当てでできています。その肩当ての両サイドにスライダーが装備されていて、左右のどちらの肩に掛けても、長さ調節が可能なのが便利なんです。
バッグ本体側の金具と細引きとの連結は、ふた結びのようなロープワークで結ばれていて、解きやすく、しかし解けにくい強度のあるものでした。解きながら結び方を覚えて移植時に流用しましたが、もやい結び等を使っても問題ないと思います。

Wフェイスポーチとカンパラパック ミニのショルダーベルトをエスビナーで連結させて完成したサコッシュが、上画像です。スイッチのショルダーベルトを流用した時よりも、素材感がマッチ。
いかにも軽そうな雰囲気になりました。いや、これシンデレラフィットと表現したくなる、相性のよさです。

使わなくなった道具、壊れてしまって使えなくなってしまった道具って、長くアウトドアアクティビティや登山をしていると案外増えています。それらを誰かに譲ったり、すぐに捨ててしまう前に、装備されているパーツが、なにかに流用できないか?ということを想像することの楽しさを、この時に改めて知りました。
実は他にも使っていないショルダーバッグがあって、そのショルダーベルトもWフェイスポーチに合わせたり、ULサコッシュのように細引きをショルダーベルトにしたりと試行錯誤しました。その後、カンパラパック ミニを思い出したというのが、完成までの正直な経緯です。
よいパーツを思い出せてよかった!
カスタムした“Wフェイスポーチ改サコッシュ”を肩に掛けてみる

さて、Wフェイスポーチ改サコッシュを肩掛けしてみると、カンパラパック ミニの長さ調節可能なショルダーベルトが機能。長めにしてアクセス性を重視したり、短くして歩行時の揺れを抑えたりと、カンパラパック ミニに備わっていた使い勝手のよさをそのまま流用できました。
カンパラパック ミニって、やっぱりよいサコッシュです。修理してまた使います!ショルダーベルトは、簡単に着脱できるようになりましたし。

その簡単着脱化のパーツであるエスビナーは、使用した#2サイズよりも小さな#0を使った方が目立たなくてよいかもとも思いました。でも、着脱のしやすさ、アウトドア仕様の雰囲気を出すなら、長さ5センチの大きさで存在感を主張する#2の方がいいんですよね。
ポーチ単体で使うことがないなら、細引きをWフェイスポーチのループに直接結ぶのもアリでしょう。カラビナ分の重量増も抑えられますし。またWフェイスポーチは2ではなく、さらに大きな3をサコッシュ化するなら、最初にセットした2cm幅のナイロンテープも似合いそうです。
というようなことをあれこれ思案するのが、カスタムの面白さです。どうですか?自分ならどうするか?って、早速考えてしまっていませんか!?
Wフェイスポーチの小分け収納性はサコッシュにぴったり

実際にサコッシュとして使ってみて感じたのは、Wフェイスポーチの2ルーム構造の使い勝手のよさです。
貴重品は外から見えないナイロン側、頻繁に出し入れするものはメッシュ側にと、用途に応じて分別収納できるのは、やはりありがたい。
ファーストエイド&エマージェンシーキットとしてWフェイスポーチを使っていた時と同様に、「あれ、どこいった!?」も、まったくありません。Wフェイスポーチが持つユーザビリティは、サコッシュとして使うと最大化するように感じられます。

ところで私は、山ではミラーレス一眼での撮影が主なので、その際にはサコッシュをバックパック内に収納しています。でも時々はスマホ撮影もすることがあり、街で使っていたサコッシュにスマホを収納して、山でもそのまま使っています。上画像の伊豆大島・三原山登山では、小雨に降られたためミラーレス一眼での撮影をやめて、防水スマホで撮影しました。
こういう時、スマホをポケットに入れていると、バックパックのウエストベルトと干渉して取り出しにくかったり、落としてしまったことがありました。けれども、Wフェイスポーチのメッシュ側にスマホを収納しておけば、すぐに取り出せるだけでなく、ジッパーを開けなくても収納されていることを見て確認できます。
メッシュ×ナイロンの2ルーム構造のサコッシュは、なくしものや落とし物の多い人の予防策にぴったりです。
カスタムは、アウトドアアクティビティの基本でもあります!

Wフェイスポーチの小さなループは、なんのために付いているのか?という私の質問に対する、知人の間違いのない回答からはじまったカスタム。アイデアをカタチにするMYOGを得意とする人の道具を見る眼を、私は本当に尊敬します。
ところで、カスタムの出発点でもある、ある目的用に使っている道具を、別の目的でも使えないかを考えることは、アウトドアアクティビティの基本です。MYOGをしなくても、そうした眼や想像力を養っておくと、山でいろいろと役立ちます。

薄いナイロン製のスタッフバッグをヘッドライトに被せてランタン化、ボトルに湯を入れて湯たんぽに、ミニテーブルを立ててバーナーのウインドスクリーンに、カードケースを登山用の財布に使う等々が、それです。
豊かな想像力から生まれた誰かのアイデアを流用しつつ、自分なりの使い方を探求することは、山を登ること以外の、山の楽しみともいえます。
だから是非、今回紹介したWフェイスポーチのサコッシュ化から、カスタムに挑戦してみてください。ショルダーベルトについては、まだ他にもよい仕様が、きっとあるはずですし!
私は容量2LのWフェイスポーチ2を使いましたが、ラインナップにあるWフェイスポーチ1や3でも、また異なる使い勝手のサコッシュができるはずです。
それでは皆さん、よい山旅を!
パーゴワークス Wフェイスポーチ2
パーゴワークス Wフェイスポーチ1
パーゴワークス Wフェイスポーチ3