ゆらぐ炎と過ごす、贅沢な山時間
突然ですが、山で過ごす時間の中で、どんな時間が好きですか?
私は静かな山の中で、山の音を聞きながらのんびり時間を過ごすこと。そこにゆったり眺められる炎があったらそれ以上求めるものはありません。
そんな贅沢すぎる願いを叶えてくれるのがこの「アルコールバーナー」。音を立てずゆったりと燃えてくれるため、山の音を楽しみたい私にはピッタリ。
炎をぼーっと眺めていたら、いつの間にかにお湯が沸いていた・・・なんてこともあったりします。
そして無骨感あるこのデザイン。真鍮でできていることから経年変化も楽しめるアイテムで、使い込むほどに愛着もどんどん増していきます。
正直、効率性を考えるとガスバーナーには敵いません。それでもガスとは違った魅力があるからこそ今でも支持され続けているんです。私も予想以上の良さにアルコールバーナーの虜になっています。
そんな魅力あふれるトランギアのアルコールバーナーについて、詳しくご紹介します。
50年以上変わらないトランギアのアルコールバーナーとは
アルコールバーナーはいくつかのメーカーから製造されていますが、トランギアのアルコールバーナーはその中でも最も老舗。50年以上の歴史を持ち、多くの登山者やキャンパーに愛されてきました。
本体は真鍮製。ずっしりとした重みがあり、持っただけでかなりの耐久性がありそうなことが伝わってきます。
構造はいたってシンプル
火を消すときは、消火用蓋のスライドを締めた状態でタンクにかぶせるだけ。簡単に消すことができます。
燃料は「燃料用アルコール」
私は500mlのものを近所のマツモトキヨシで350円ほどで購入しています。
100円ショップなどで販売されている調味料用ボトル(125ml)もおすすめ。(基本的には漏れることはありませんが、念のため燃料入れたあとに漏れないか確認して使ってくださいね。心配な方はトランギアのボトルがおすすめです!)
アルコールバーナーの使い方
機能面でも優れた点がたくさん
洗練されたそのフォルムがすでに魅力の一つですが、機能面ではどうなのか?
50年以上支持され続けてきた秘密でもある、その性能面での優れた点を5つに分けてご紹介します。
①とにかく静か
意外と音が大きいガスバーナーの燃焼音。早朝や夜のキャンプ地で使うのを躊躇したことはないでしょうか?
その点、アルコールバーナーはほぼ無音なため、時間を気にせず使うことが可能。
そしてなにより自然の音をかき消さないので、静かな時間を過ごしたい人にはピッタリです。
②シンプルな構造で故障知らず
アルコールバーナーの部品は上の3つだけで、構造もシンプル。多少雑に使ってもびくともしない頑丈さがあります。
ガスバーナーの予備や非常用として持ち歩くのにもぴったりで、故障を気にせず一生モノとして使い続けることができます。
③コンパクトなサイズ感
メスティンの中にすっと収まるサイズ感で、場所を取らないのも魅力の一つ。一緒に燃料や五徳を収めてしまえば整理も簡単です。
④ガス缶のゴミがたまらない
ガス缶であるあるなのが、中途半端にあまった缶が溜まってしまうこと。私の家にも捨てるに捨てられないガス缶がどんどん溜まってしまっていました。
アルコールバーナーであれば、必要な分だけ燃料を持っていけばOK。あまったとしても次回それに継ぎ足せばよいため、無駄が一切発生しません。ゴミを多く出さないのも今の御時世的にうれしいポイントですね。
⑤寒さに強い
ガスバーナーの場合、寒冷地に行く際は寒冷地でも大丈夫なガスを持っていく必要がありますが、その点アルコールは着火がしやすいため安心です。
ただ直接雪の上などに置くとアルコールが気化しづらくなるため、本体内のアルコールを温めてくれる「TR-B用プリヒーター」を使うことをおすすめします。
逆にこんなデメリットも
よいポイントばかりをまとめてきましたが、もちろんデメリットもあります。
①火力はガスバーナーが圧勝
まず気になってくるのは、ガスバーナーとどれくらいの火力の差があるのかという点。
そこで実際にアルコールバーナーとガスバーナーで、沸騰するまでにどのくらいの時間がかかるのかを比べてみました。
その結果がこちら。
ガスバーナーが2分20秒で沸いたのに対して、アルコールバーナーは9分30秒かかる結果に。
加えて、ガスバーナーは勢いよくグラグラと沸騰したのに対して、アルコールバーナーは優しく沸き立つ感じ。5分ほどさらに待ってみましたが、ガスバーナーほど沸きあがる様子は一向になかったため、そこで観察終了。
やはり効率の面ではガスバーナーには敵いませんでした。
この日はやや風もあったため、防風対策をさらにしっかりするなど、燃焼効率を高める工夫をすればもう少し早くなった可能性はありますが、先を急ぐような場合ではガスバーナーがよいと言えます。あくまでも、ある程度の時間が取れるときに使うものと割り切るのが良さそうです。
②防風・ゴトクが必要
アルコールバーナーは風に弱く、少しの風で炎が流れてしまいます。そのためしっかり防風を用意する必要があります。
ダイソー(300円以上)でも手に入れられるためそれでもOK。ただダイソーのものはややペラペラしていて耐久性に不安があったため、値段こそはりますがEPIの方が個人的には好みです。
また、アルコールバーナーの上に直接鍋やコッヘルを乗せることはできないため、五徳が必要です。こちらも100円ショップで買えるものから、トランギア純正のものもあるため、予算や目的に合わせて検討してみてください。
どんな風防・五徳がいいかは下の記事でもまとめられているため、是非こちらも御覧ください!
③昼間は炎が見えない
下の写真、実は火が付いているんです。私の腕では写真に写すことができませんでした。肉眼でも時折赤くゆらいだ炎が見える程度。
「あれ、火ついてるのかな?」と思って手をかざしたらやけどしたなんてことにもなりかねません。着火時に「ボッ」と音がなるため、それが着火した合図として覚えておきましょう、
④劇的な軽量化をするためには、しっかりとした計算を
コンパクトなことから、軽量化もできるんじゃないか?と私自身思っていましたが、結論大きな軽量化とまではなりませんでした。
というのも、本体と燃料だけでなく五徳も必須なためで、どの五徳を使うのかで重さがかなり左右されます。さらに風防も持っていくとなるとガスバーナーよりもむしろやや重くなってしまう場合もありました。
五徳を軽量タイプ・燃料も使う分だけ、など、必要な分だけしっかりと重さを計算することが、軽量化にはつながりそうです。
しかし、長期の縦走などでは逆に燃料の面で軽量化することができるため、山行シーンによって使い分けるのがおすすめです。
放置するだけでご飯が炊ける
しばらくデメリットが続いてしまいましたが、アルコールバーナーの魅力はまだあります。それはご飯を「自動炊飯」で炊けること。アルコールの量を調整できるため、放って置くだけでご飯が炊けてしまうんです。
実際にアルコールバーナーを使って炊飯してみました!
①30分以上浸水させた米1合を用意
お米を30分以上浸水させることが失敗しない大事なポイントです。
②お米をメスティンに移して蓋。アルコールは50ml入れて着火!あとは放置するだけ
アルコールを50ml入れると大体17分くらい燃焼してくれます。
あとは火が勝手に消えるのを待って、そのあと10分間放置して蒸らすだけ。
本来であれば沸騰したタイミングで一度お米を混ぜたり、蒸らすタイミングで逆さまにするなどをすることもありますが、今回はあくまでも完全自動を目指すためその手順はスキップしています。
③完成!見事に美味しく炊きあがりました
27分後、五徳からおろしてお米を底からかき混ぜます。
結果としては大成功!ご飯はふっくら炊きあがり、色もつやつや。芯まで火が通っていて、ベストな炊きあがりになりました。
ただ底にうっすらコゲはついたため、コゲをつけたくない人は蒸らす段階で逆さまにすると良さそうです。
トランギアのアルコールバーナーで濃密な山時間を!
以上、トランギアのアルコールバナーをご紹介してきました。いくつかのデメリットがあるものの、そのデメリットさえも「らしさ」と捉えられるほどの良さがあるのがこのアイテム。「多少非効率になっても、ゆっくり山の時間を過ごしたい」と思われる方にはぴったりです!
使いこなすにはやや経験が必要になってきますが、価格も比較的リーズナブルに手に入れられるため、まずは触ってみてその良さを実感してみてください!