ソックスのスペシャリストが集結して創業
今回紹介するSockwell(以下、ソックウェル)は、2008年にアメリカ合衆国のテネシー州南東部の繊維産業の町、チャタヌーガで設立。設立メンバーには、靴下製造のスペシャリスト、スポーツアパレルのベテラン、そしてアウトドア用ソックスで知られる『smartwool』で活躍したソックスデザイナー等が集結。
彼らは「Feel better in style」をそのソックスづくりに掲げ、「人々のスタイルをより良くするための最高品質の製品を作ること」を約束しているソックスブランドです。
その約束を果たすために、
ソックウェルのソックスを着用することで、人々がより健康になり、幸せになることを願っているといいます。
地球にやさしいMade in USA
Made in USA。
この言葉は、アメリカ製品に憧れのあった60年代、70年代の日本で「カッコいい」と同義で使われていました。
時代は流れ、現在、ソックウェルは、Made in USAを「サスティナブルなモノづくり」を表す言葉として使っています。
ソックウェルで使用しているメリノウールは、アメリカ・ロッキーマウンテンの麓で自由放牧された羊から取られたもの。
続く、紡績、染色、編み上げも環境に配慮した工程を経て、すべてアメリカ国内で行なっています。
アウトドア好き、山好きが選ぶべきソックスブランド
コストを抑えるために他国で生産するのではなく、原料調達から製造において移動距離を少なくするためアメリカ国内生産を選択。輸送による二酸化炭素の排出量をできるだけ少なくすることを、目指しています。
「地球にとって一番良いことは何か」を具現化した結果が、Made in USA。
地球をフィールドとするアウトドア好き、山好きが選ぶべき、ソックスブランドに思えてきます。
スポーツソックスにもアウトドアソックスにもなかったデザイン性
登山用ソックスは、グレーやベージュ、ネイビーの無地が定番。ソックウェルにも無地のソックスがありますが、ソックウェルらしさを感じられるソックスは山や空をモチーフにしたり、自然を感じるデザインのソックス。
日本の男性ハイカーは、定番の無地を選ぶ傾向が強いですが、アウトドアらしいデザインのソックスがロングパンツの裾からチラりと見え隠れするお洒落を楽しんでほしいです。ソックスが変わるだけで、山を歩く気分が、いつもと少し変わってきますから。
着圧ソックスもラインナップ
ソックウェルには、メリノウールをベースとした通常のソックスだけでなく、デイリー用とスポーツ用の着圧ソックスが用意されています。
着圧ソックスとは、ソックスがふくらはぎや足首を適度に加圧する効果によって、筋肉のブレを抑制。運動時のパフォーマンスと疲労回復をサポートするとされているもの。
登山シーンでは、同様の着圧効果を装備したサポートタイツ・コンプレッションタイツを愛用しているハイカーも多くいます。そのソックス版といえるのがソックウェルの着圧ソックス。
ランニングやトレイルランニングでは、すでに多くの着圧ソックス愛用者をみかけます。着圧効果をなにかしら実感していることが、その理由でしょう。
しかしそれらの着圧ソックスは、サポートタイツ同様のテロっとした素材感、スポーティなデザインのものがほとんど。
一方ソックウェルの着圧ソックスは、登山用ソックス同様のメリノウールの素材感、そしてアウトド的なデザインが施されたもの。登山ウエアとのコーディネートにも、馴染むナチュラルな色合いなのが特徴です。
登山向けのソックスとしては”デザイン性”に注目が集まっているソックウェル。
そこで今回、この着圧ソックスの「機能性」についてレビューしていきたいと思います。
1ヶ月履いてみてわかったこと
今回着用テストで主に使用したソックスは、「MODERN MOUNTAIN OTC Mens」。これは、アウトドア&ハイク着圧シリーズのハイソックスです。
このソックスを含め、アウトドアシリーズに採用される素材は、メリノウール、ナイロン、アルパカ、スパンデックスを混紡した、ソックウェルのオリジナル素材。
今回私は、上の写真のように、ハイクの際に「ハーフパンツ+タイツ+ソックウェルの着圧ハイソックス」を合わせてみました。
ロングパンツ+タイツよりも動きやすく、ハーフパンツ+タイツよりも足が温かく、寒さを感じる春・秋はもちろん、天気のよい冬の低山ハイクで調子がよさそうです。
ちなみに、アルパカは「自然な調温、調湿性能を持つメリノウールの機能性をよりパワーアップさせる」素材とのこと。確かに、メリノウールよりもソフトで、カシミヤのような肌触り。
また、メリノウール以上にニオイも出にくくなり、足のドライさも保たれるといいます。
なんだか既存の登山ソックス以上に、登山に向いていそうなこのソックス。
1ヶ月間、デイリーユース、ランニング、低山ハイクで着用してみて、感じたこと・わかったことは以下の3つです。
①中厚のクッションで疲労軽減!
今回は、比較のためにライフスタイル着圧シリーズも着用。写真上のソックスがライフスタイル着圧ソックス、下がアウトドアシリーズです。
足裏のクッションはライフスタイル向けがウルトラライトクッション、アウトドア向けがミディアムクッションとなり、触った感じは、ミディアムクッションの方が厚みがあってフワフワとしています。
写真は裏返してみたところですが、クッション部分のループ編みの密度がアウトドアシリーズの方が高く、嵩も高いのがわかります。
さらに寄ってみると、こんな感じ。いかにもクッション性の高そうなループ編みになっています。
1ヶ月の間に、10km~20kmのランニングを5回、低山ハイク3回に着用しましたが、1日中履いていてもヘタりは感じませんでした。
ライフスタイルシリーズのソックスも、薄手ソックスが好みのハイカーには問題ない厚さです。しかし10km以上のランニングをしたところ、個人的にはもう少しクッションが欲しいかな・・・・・・と感じました。
そして低山ハイク時には、特に足に衝撃のかかる下山時に、アウトドアシリーズのミディアムクッションの方が疲労が軽く感じられました。
今回クッション性の高いトレイルランニングシューズを履いた時の感想なので、アウトソールが固めのトレッキングシューズを履いた場合には、よりアウトドアシリーズのミディアムクッションのよさを感じられるでしょう。
②足先は違和感なく包み込まれ、通気性もいい!
足先は、登山用ソックスの多くが採用しているつま先を包み込むシームレス設計。足指の窮屈さを感じません。
写真左はアウトドアシリーズ、右はライフスタイルシリーズ。どちらもつま先は補強されていますが、アウトドアシリーズの方は足裏のミッドクッションの厚みがそのまま続いていました。
またアウトドアシリーズには足指の股付近に、通気をよくするメッシュパネルを採用し、トレッキングブーツ内での足のムレを効果的に排出。
ムレによるマメ等の故障は少ないと感じられるドライさが保たれていました。
通気のためのメッシュパネルは甲側、足首が曲がるところにも配置されています。これは歩行によって足首が動くことを利用して、効率的にムレを排出するように考えられているものと推測。
ですが・・・・
新品の状態で履くと、このメッシュパネル付近がヨレてシワができ、少し不快。人によって、またトレッキングブーツによっては靴擦れができてしまう可能性もあります。
しかし、3回ほど洗濯すると、生地がよりソフトになりヨレができなくなりました。
山に行く前に普段履きで何度か履いて洗濯し、生地を柔らかくして足馴染みがよくなってから登山に投入した方がよさそうです。
③気になる着圧の効果は、疲労とむくみの軽減を確認
ソックスがふくらはぎや足首を適度に加圧する効果によって、筋肉のブレを抑制。運動時のパフォーマンスと疲労回復をサポートするとされる着圧ソックス。
正直な感想をお知らせします。
パフォーマンスはアップしませんでした。でも、疲労や足のむくみは軽減されました。
私は過去に、スキンズ、CW-X、C3fit等のサポートタイツを愛用していました。それらと比べると、アウトドアシリーズの着圧・サポート力は、同等。見た目以上にしっかりと圧があります。
このソックスを初めて着用した際に、いきなり20kmのランニングを試してみました。
普段からそれくらいの距離を走っているのですが、13km地点で息苦しくなり、15kmで立ち止まり屈伸・・・・・・。
こんな状態になったのは初めてだったので、ソックスの着圧が強いことが原因ではないかと思い、足首までソックスを下ろしてランニングを継続。すると、いつも通りに走ることができました。
この着圧ソックス、慣れが必要のようです。
というのも、その後のランニングで、苦しいなと感じたら足首まで下ろして継続。ということを繰り返しているうちに、着圧の強さはあまり意識されなくなり、ハイソックス、そしてメリノウールの保温力、調湿力が心地よいと感じるようになりました。
また低山ハイクでは心拍数がランニング程は上がらないので、息苦しさは一度も感じませんでした。
低山ハイクの際、そして普段履きで1日中履いて気付いたのが、足の疲労、むくみがいつもより軽減されていること。
私が1ヶ月履いた経験からは、「パフォーマンスアップ=ラクに登れる、または速く走れること」はありませんでした。
しかし「足のダメージをサポートしてくれている」という体感は得られました。
これって他の登山用ソックスでは感じられなかったこと。着圧は確かに機能しているんだと思います。
今回は山小屋泊&テント泊での使用はできませんでしたが、長期山行で足の疲労回復に一定の効果があるのではないか?と期待してしまいます。2日目以降のパフォーマンスダウンを軽減してくれるかもしれません。
ちなみに、メリノウール×アルパカ混紡素材のニオわなさを試すため、洗濯せずに3日ほどランニングで着用。冬で気温が低いということもありますが、悪臭の発生はなく、濡れた感じもなし。山行中に履き続けるのもアリです。
着圧ソックスは、履き方にひと工夫が必要
さてこのソックウェルの着圧ソックス、履き口から足首、さらに土踏まず部分までが着圧仕様になっているので、通常のソックスのようにズルズルと引っ張り上げて履くのが少し難しい。伸縮はするのですが、伸ばすのに力が必要なのです。
いろいろ試していた結果、タイツを履くのと同じように、履き口から足首までをクルクルっとまとめて、まずつま先をしっかりと入れてから丈部分を伸ばしていくと履きやすいです。無理に引っ張ると破れる可能性もあるので、購入した際にはこのやり方を覚えておいてください。
ズリ落ちないのでストレスフリー
この着圧ソックスには、ズリ落ちないよさがありました。
クルータイプの短めの丈のソックスは、他のブランドでもズリ落ちはあまり気になりません。でも、ハイソックスはズリ落ちてくると、不快です。ハーフパンツと合わせていると、格好も悪い。
しかしこの着圧ソックスは、10kmのランニングをした後でも、履いた直後から比較すると5cm程しか落ちませんでした。もちろんヨレもなし。フィット感のよさは、登山用ソックスの比ではありません。ズリ落ちてこないので、このソックスが装備するサポート力も、しっかり1日中享受できます。
今回着用したソックスはこの4つ
MODERN MOUNTAIN OTC Mens ¥4,070
メリノウールにアルパカを混ぜたメリノウール×アルパカのカスタムメイドの糸を使用。しっかりとしたサポート力と素材感で大自然の中でのアクティビティーに最適なソックス。クッション性も高いので、登山メインで履きたいならコレです。
寒い季節にはハイソックスの保温力が効果を発揮してくれます!
MODERN MOUNTAIN OTC Mens
MODERN MOUNTAIN CREW Mens ¥3,575
上のハイソックスのクルー丈タイプ。他ブランドのクルー丈よりも少し長めで、足首からふくらはぎの中程までをサポートしてくれます。
ハイソックス程の足が包まれる着圧はないので、初めてソックウェルを履く人は、このクルー丈から試してみるのがよいかも。
MODERN MOUNTAIN CREW Mens
TWILLFUL Mens ¥3,850
ライフスタイル着圧ソックス。デイリーユースから旅行、ランニング、キャンプ等、1年中24時間履き続けられるタイプ。クッションは薄めだけれども、一定のクッション性を装備。
素材はメリノウール×バンブーレーヨンの混紡。バンブーが入ることで、ソフトさ、通気性、耐久性がメリノウールだけよりもアップしています。
TWILLFUL Mens
ELEVATION Mens ¥3,850
ライフスタイル着圧シリーズの、着圧高めモデル。無地タイプなので、仕事時に着用しても違和感なし。素材はメリノウールとバンブーレーヨンの混紡。
上の3つのソックスの中圧力に慣れてきたら、このソックスを試してみてもいいかもしれません。スッキリ度をより味わいたい方に!
ELEVATION Mens
ロングパンツ派は防寒に、ハーフパンツ派はケガ防止にハイソックスを!
スキーやスノーボード用のソックスには、ハイソックスが多くあります。登山用は、クルー丈が主流です。
でも今回ソックウェルの着圧ソックスのハイソックスを着用してみて、寒い季節にはタイツ代わりの防寒に、暖かい季節にはハーフパンツと組み合わせて素肌の露出を抑えて、ケガや虫刺され等を防止に役立ちそうだと感じました。
ソックウェルなら疲労回復もサポート、コーディネートを楽しむデザインの美しさも備えています。女性モデルも多く揃っているので、足がむくみがちな方は、デイリーから山まで、着用をおすすめします。
私もそろそろ疲労が抜けにくくなってきた年齢なので・・・・・・2022年はソックウェルをヘビーローテーションしてみようと思います!