揺らめく火を見ながら湯を沸かす
アルコールストーブ、それは男のロマン。「風に弱い」「火力が安定しない」「小難しいのでは」と言われることもしばしばの渋いアイテムですが、静かに揺れる火の存在は、そんな不便さも楽しませてくれます。
そしてアルコールストーブを楽しむうえで必須なのが、カップとの空間を作る「五徳」と、風を防ぐ「風防」です。
今回紹介する「X-MESH STOVE」は、この2つの機能を一手に賄うことが可能なアイテム。
今まで五徳と風防を別々に用意していましたが、これで荷物を少なく、スピーディーに設営することができるようになりました。
アルコールストーブを楽しむアイテム「五徳」と「風防」
少ない荷物で長い距離を歩くULハイカー界隈で密かな人気を呼んでいるのが、ウルトラライトアウトドアストーブ「MUNIEQ X-MESH STOVE」。
五徳と風防の機能を兼ね備えつつ、光を通すマイクロメッシュボディの隙間から揺らめく炎。ロマン溢れるアイテムです。
全体がメッシュのため、風をある程度通すデメリットがありますが、それと引き換えに見える火の揺らぎ。昨今のギアが忘れた「ゆっくり」とした時間を楽しめます。
では実際に「X-MESH STOVE」を使い、使用感やデメリットをお伝えしていきます。
「X-MESH STOVE Large」のスペック
筆者が使用しているのは「X-MESH STOVE」の「Large」サイズ。Sサイズ展開もありますが、アルコールストーブを囲うには少し小さいためこのサイズを使用しています。
写真からもわかるように、一枚のステンレスシートで、厚さはわずか0.17mm、重さ17gのミニマムボディです。
X-MESH STOVE (large)
large | small | |
---|---|---|
重量 | 17g | 14g |
税込み価格 | ¥3,520 | ¥2,750 |
サイズ | D:82mm ×H:67mm | D:62mm×H:67mm |
素材 | ステンレス | ステンレス |
組み立てはシンプル
組み立ては簡単。筒状にシートを曲げ、フックに合わせて止めるだけ。シンプルだからこそ故障も少なく、軽くなる。ミニマムな山行にピッタリです。
どんなカップにもシンデレラフィット!唯一無二の収納性
X-MESH STOVEの特徴はこの「収納性」。
このように五徳や風防を収納するスペースを抑えることができるため、他のアイテムを収納する余裕が生まれます。
一枚のステンレスだからこそ可能なシンデレラフィット。まさに流れる水のようですね。
セットで使うなら「エバニュー」の「チタンマグポッド500」がおすすめ
X-MESH STOVEはその形状からほとんどのカップを支えることが可能です。筆者が利用しているエバニューのチタンマグポッド500は側面に段差があるのですが、みごとにフィット。このために作られたような溝ですよね…。
他にもスノーピークのトレック900でも使用してみましたが、置くだけであれば問題ありません。しかし、強い横風などが吹くと滑って飛ばされる可能性があるので、注意が必要。
懸念点は「強風」
マイクロメッシュの素材を使っているので致し方ないのですが、強風では風の影響を受けます。
少しの風であればマイクロメッシュの網目から空気が流れ、アルコールストーブの火力を後押ししてくれますが、風の強い蝶ヶ岳ヒュッテのテント場で利用したときは、アルコールストーブの火が右に左に揺れるのはそわそわしました。
風の強い場所ではアルコールストーブではなく、ガスストーブの使用をおすすめします。
湯の沸く速度を実際に検証
X-MESH STOVEの実力が如何ほどか、湯が沸騰する時間をとある里山で実際に検証してみました。
▼実験の環境
標高:911m
外気温:10度
風速:2.2(m/s)※穏やかな風
水の量:200ml
アルコールストーブ:【solostove】ソロアルコールバーナー
まずはX-MESH STOVEを使用した場合。この日は風を感じるレベルの風速でしたが、X-MESH STOVEの爪がカップをしっかり保持し安定性は十分。余分な風を受け流しつつ、アルコールバーナーに必要な風を取り込みながら安定した燃焼を続けてくれました。
記録は6分11秒。アルコールストーブとしてはまずまずの結果です。
そしてX-MESH STOVEを使用しない場合。直接アルコールストーブに置くため、カップとストーブの間に空気を取り入れる隙間が少なく、燃焼されづらい印象でした。横風をもらうとカップが揺れ、安定性も期待できず。
記録は9分12秒とX-MESH STOVEありの場合とは3分近い差が出てしまいました。アルコールストーブを使う場合は風を取り入れつつ、五徳による安定性が大切だということが分かる結果となりました。
お気入りのアイテムで、楽しい山行を!
今は各メーカーやガレージブランドから多種多様なアイテムが発売されていますが、それをひとつひとつ吟味し、自分好みのアイテムで山行に行くのも楽しいものです。みなさんもお気に入りのアイテムを持って、山を楽しんでみてはいかがでしょうか。
X-MESH STOVE の詳細はこちら