パタゴニアのお洒落フリースは登山で着てもOK? 小雪舞う山でテスト!

2021/02/26 更新

パタゴニアの人気フリースの『レトロ・パイル・ジャケット』と『クラシック・レトロX・ベスト』。カジュアルフリースにラインナップされていて、街着でお洒落に着こなしている人を多く見ます。でも、パタゴニアといえばアウトドア・アパレルのトップブランド。そのフリースなら、山で着ても問題ないはず!?を検証するため、小雪舞う山でテストしてきました。

アイキャッチ画像:PONCHO

フリース・ウエアには、高山仕様と街向けあり。その違いは?

撮影:PONCHO
登山の行動着、保温着として欠かせないアイテムのフリース・ウエア。でもよく調べてみると、アウトドア企業のフリースウエアは、「テクニカルフリース」と「カジュアルフリース」の2つに分かれています。

テクニカルフリースは、保温性に加えて通気性、速乾性、伸縮性、軽量性、耐久性、コンパクト性等、寒い季節の山での行動に求められる機能を網羅して装備。ハイエンドモデルなら、本格的なアルパイン・クライミングにも対応しています。

冬の低山なら、カジュアルフリースだって問題ない・・・・・・はず

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一方のカジュアルフリースは、昔ながらのフリースウエアといった趣。保温性、速乾性を備え、着心地のよさも充分。伸縮性や軽量性、コンパクト性は重視されていませんが、街から里山や低山をフィールドとした、ソフトなアウトドア・アクティビティ向きに作られています。

しかし、そもそもフリースウエアは、1970年代に以前に多くのクライマーが愛用していたウール素材のウエアに代わるものとして、ハードな山岳環境下でも機能するように開発されたものです。

撮影:PONCHO
だから、カジュアルフリースとはいえ、アウトドアブランドのフリースウエアであれば、フィット感もよく、冬の高山などハードなシーンでなければ、アウトドアの使用に対応したものといえるでしょう。

「でも、本当?」「街で着ているフリース・ジャケットで、山に登れるの?」という声もよく聞くことから、気温0度、小雪の舞う筑波山でテストをしてきました。

使用したのは、パタゴニアの『メンズ・レトロ・パイル・ジャケット』と『メンズ・クラシック・レトロX・ベスト』です。

そもそもフリースって、どんなウエア?

撮影:PONCHO
さて、テスト結果の前に、もう少しフリースウエアについて深掘り。どんなウエアなのかを解説しましょう。

フリースウエアの開発を最初に手掛けたのは、アウトドア企業の<パタゴニア>です。創業者のイヴォン・シュイナードは、山岳地帯でなにをどう着るべきかという問題について考えていました。

1977年、北大西洋の漁師が着ていたパイルセーターにヒントを得た、水を含まず、濡れても保温性があるポリエステルを素材とした『パイルジャケット』がはじまりです。

しかし、当時のパイル素材は毛玉ができやすいという問題点がありました。

撮影:PONCHO
その問題を解決したのが、1979年に開発された『バンティング』、そして1985年に登場した『シンチラ・フリース』です。

『シンチラ』は毛玉のできにくい両面起毛の素材で、それまで保温着の定番だったウールやパイル素材以上に肌ざわりがよく、まさに万能保温ウェアといえます。

間もなく、パタゴニアに限らず、多くのアウトドアメーカー、そしてファッションメーカーがフリース・ウエアを発売。世界中の人の定番保温ウエアとなりました。

石油由来の素材からリサイクル素材へ

撮影:PONCHO
1993年には、パタゴニアは廃棄されたペットボトルをリサイクルした『シンチラ』を開発・販売。紙や電気の使用量を減らしたり、リサイクル素材からウェアを作ったりするだけでなく、環境の理念を掲げ外の世界に出ていき、環境問題の解決に努力しています。

近年のパタゴニアのフリース製品を見ると、多くが“リサイクル・ポリエステル”をベースにつくられ、それはハイスペックなテクニカルフリースにも使用されています。

ちなみに今回テストで使用したパタゴニア『メンズ・レトロ・パイル・ジャケット』は、リサイクル・ポリエステル100%、『メンズ・クラシック・レトロX・ベスト』は、同50%を使用しています。

さて、次は冬の低山でのテスト結果について!

『レトロ・パイル・ジャケット』には
カジュアルさを越えた機能性あり

撮影:PONCHO
メンズ・レトロ・パイル・ジャケット ¥19,800(税込み)

先に解説した、パタゴニアのフリースウエアの原点が『パイルジャケット』。その現代版が、この『レトロ・パイル・ジャケット』です。しっかりめの厚さと両面起毛された素材は、袖を通すと、その保温性の高さにすぐに気がつきます。

パイル状でも動きやすい

撮影:PONCHO
商品名の通り、モコモコとしたパイル状のフリースなので、着心地はゴワゴワしているのかと思いきや、とてもソフト。このソフトな着心地は、そのまま動きやすさにつながっています。低山ハイキングレベルの運動であれば、充分な着心地です。

撮影:PONCHO
フィット感は、パタゴニアではレギュラーフィットに分類されています。中肉中背の筆者にとっては、適度なフィット感でした。生地に少しだけ伸縮性があり、また腕まわりは動かしやすいラグランスリーブを採用。上半身を大きく動かしても、変なツッパリは感じません。

撮影:PONCHO
カラダにフィットしていないフリースジャケットだと、バックパックを背負った時にゴワつく背中側も、程よくフィット。いわゆる本当のカジュアルフリースだと、ココにゴワつきやヨレが出て、長時間のハイク時にストレスを感じたりしますが、これは問題なし!

カジュアルフリース故の仕様もあり

撮影:PONCHO
ハンドポケットは身頃下部の左右に2つ。位置は、バックパックのウエストベルトと干渉します。この辺が、カジュアルフリースに分類される理由でしょう。しかし下1/3が重なる程度なので、ポケットがまったく使えないという状態ではありません。

撮影:PONCHO
フロントジッパーの内側に、風の侵入を防ぐフラップはなし。また顎下へのジッパーの当たり抑えるガレージと呼ぶフラップもなし。例えば氷点下で着用する場合には、ネックウォーマーを装着して、冷たさから保護する必要がありそうです。

昨年モデルで問題となった毛抜けも改善されている模様

撮影:PONCHO
今回は、3~4時間着用してハイクをしました。このパイルジャケット、日本に入荷した2019年製の製品では一部にフリース繊維が抜けやすいものがあったようですが、今年モデルでは毛抜けのひどさは感じませんでした。

ショルダーベルトにほんの少し抜けた毛が付いていましたが、それくらいは最初の着用の際には、あるだろうと思えるレベルです。

アウターシェルとの相性もよし!

撮影:PONCHO
カラダのラインにフィットしたデザインなので、アウターシェルを上からレイヤリングしてもゴワつかず、動きを邪魔する感じはありません。アウターシェル自体が細身だと、パイルジャケットに厚みがあるので窮屈さが出るかもしれませんが、それはアウターシェルの問題。

途中、少し風が吹いている場所でアウターシェルを重ねると、温かさはさらに増し、気温0度でも冷えを感じることはありませんでした。

普段使いもできて、山でも有効。コレは欲しい!

撮影:PONCHO
テスト前は、パイル状の起毛素材で動きにくいのでは?と思っていましたが、実際に着用して山を登ってみると、マイナス面はほとんど感じられず、スムーズに動けました。デザインもテクニカルフリースのようにスポーティではないので、街着でも浮くことはなく、活躍の場が多いフリースジャケットでしょう。

撮影:PONCHO
テスト当日は、小雪も混じる天候。厚手のウール素材のインナーシャツにこの『レトロ・パイル・ジャケット』をレイヤリングしただけで、寒さを感じることもなし。秋、冬、そして早春の低山にちょうどよい保温着です。

価格は約2万円と、フリース・ジャケットとしては高価ですが、街でも低山でも使え、着心地もよし! このジャケット、欲しくなりました。

メンズ・レトロ・パイル・ジャケットの詳細はコチラウィメンズ・レトロ・パイル・ジャケットの詳細はコチラ

動きやすさと保温力があり
防風性も装備した『クラシック・レトロX・ベスト』

撮影:PONCHO
メンズ・クラシック・レトロX・ベスト ¥21,780(税込み)

この『クラシック・レトロX』のジャケットを着て街を行き交う人を、近頃多く見かけます。20年程前にも流行しましたが、再びファッションアイテムとして人気を得ているのでしょう。今回は、そのクラシック・レトロXのベストをテストしてみました。

撮影:PONCHO
日本ではベストの人気がないようで、山でも着ている人をあまり見かけません。でもカラダの中心は保温し、腕が動かしやすいベストは、ジャケットよりもアウトドアのアクティビティ向きのウエアです。

レトロXは裏地に特長あり

撮影:PONCHO
特にこの『レトロX・ベスト』は、風を防ぐメンブレン、吸湿発散性のある裏地を装備。フリースは風を通して寒い、という弱点をカバー。アンダーウエアが吸い上げた汗も拡散、汗冷えを抑えてくれます。なので、背中にたまりがちな汗の冷たさは、感じませんでした。

生地はコシがあるともいえるし、少し硬いとも感じる

撮影:PONCHO
ただ、テストしたベストは新品ということもあり、またフリース地に裏地が張られているので、生地はやや硬め。腕まわりのパイピングもしっかりとした硬さがあり、少し当たる感じがありました。また私の腕まわりが細いこともありますが、少し浮いてしまいます。

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だから背中側の裾を引っ張り、ヨレを取ってからバックパックのウエストベルトを締める必要がありました。

撮影:PONCHO
ちなみに筆者は20年ちょっと前に発売されたレトロX・ベストの初期モデルを現在でも愛用していますが、長年着てヘタっていることもあり、こちらは硬さもなく、動きによく馴染みます。

なので、この新品の『レトロX・ベスト』も、着る程に馴染むと思われます。

細部のつくりはアウトドアに対応しつつ、カジュアル的でもある

撮影:PONCHO
本体の防風機能を落とさないために、『レトロX・ベスト』のフロントジッパーの内側には、風の侵入を防ぐフラップが装備されています。襟も高く立ち上がり、保温性も充分です。

またフラップは顎下までがあるので、ジッパーが当たって冷たさを感じることもありません。しっかりアウトドア仕様です。

撮影:PONCHO
レトロXのアイコンともいえるカラフルなポケットは、ベーシックなフリースカラーに彩りを添えます。ジッパーは縦型で、小物の出し入れもラクに行えます。ただ、下の写真でもわかる通り、バックパックのチェストストラップと干渉するので、バックパックを背負っている際は、ちょっと面倒・・・・・・。

上で紹介した筆者が所有する初期のレトロX・ベストは、チェストストラップと干渉しない位置に胸ポケットが配置されているので、戻してもらえたらなぁと思います。

撮影:PONCHO
身頃下部、左右にあるハンドポケットは、バックパックのウエストベルトと少し干渉しますが、気になるほどではありません。上の写真の通り、ポケットへのアクセスも可能です。

意外と嵩張るのが難点

撮影:PONCHO
新品だからということもあるのかもしれませんが、この『レトロX・ベスト』、収納サイズはかなり大きめです。上の写真左はレトロX・ベストの初期モデル、真ん中が今年の『レトロX・ベスト』、右が『レトロ・パイル・ジャケット』を丸めたサイズ感を比較したものです。

裏地があるので嵩張るのかもしれませんが、ジャケットより大きいとなると、保温着として携帯するのではなく、行動着として着続けるのが、今年の『レトロX・ベスト』のよい使い方に思えます。

ベストなのでレイヤリングはしやすい

撮影:PONCHO
行動着として着続ける方がよい理由は、袖がないので、レイヤリングがしやすいということもあります。アウターシェルを上に着込んでも、動きを邪魔しません。でもカラダの中心は温められ、寒さは感じにくいです。

撮影:PONCHO
また、防風フリースとしての特長を活かすなら、アンダーシャツの上にアウターとして『レトロX・ベスト』をレイヤリングするのがよいでしょう。

寒さ温かさの体感は人によって違いますし、アンダーシャツの厚みによっても変わりますが、私の感覚だと気温0度~15度くらいまでの範囲で、動きやすさと保温力を装備できるウエアだと思います。

撮影:PONCHO
実際、気温0度で風が強く吹いていた山頂付近では、アンダーシャツ+レトロX・ベストでは寒く感じましたが、山頂より下の森の中で風が抑えられた場所では、止まると少し寒いけれど、動くと汗をかかないちょうどよい体感温度でした。

また保温という意味では間違ったレイヤリングですが、薄手のウインドシェルの上にレトロX・ベストを重ねると、アンダーシャツの上に重ねるよりも腕が風の冷たさを感じないので、保温と運きやすさの両方を確保できました。

そうした点でも、この『レトロX・ベスト』は、着る人がレイヤリングを工夫しながら、最適を見つけるのが楽しいウエアといえます。最適が見つかると、活用度がぐっとアップしてきます。

メンズ・クラシック・レトロX・ベストの詳細はコチラウィメンズ・クラシック・レトロX・ベストの詳細はコチラ

低山ハイカーに“ちょうどよい”選択

撮影:PONCHO
テストを終えて感じたのは、激しい動き、厳しい環境にも対応するテクニカルフリースと比較すれば、カジュアルフリースは運動性に劣るのは事実。とはいえ、低山ハイクであれば、テクニカルフリース程の高機能を必要するシーンは多くないのもまた事実。

登山メディアや登山専門店では、とかく高機能なウエアを薦められますが、クラシック、レトロ、またカジュアルとされる今回取り上げたようなフリースウエアでも、多くのハイカーが登る低山では問題なく機能してくれます。

それに、こうしたウエアの方が、低山ハイクの風景に、よく馴染むように思います。

では皆さん、よい山旅を!

パタゴニア全直営店|事前ご予約についてのご案内

2021年2月18日現在、パタゴニア直営店ではご来店事前予約システムを導入しています。下記のURLよりストアを選択、各店舗ページの『予約フォーム』よりご予約ください。

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PONCHO

登山、トレイルラン、自転車、キャンプ、旅をテーマに雑誌、WEBで企画、執筆する編集・ライター。低山ハイクとヨガをMixしたツアー・イベント『ちょい山CLUB』を妻と共に主催する山の案内人。

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