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「てんきとくらす」は当たる?当たらない? 担当者を突撃したらもっと根本的な発見があった!(2ページ目)

「てんきとくらす」で登山に行くべきか判断してOK?

ライター
青柳
細かなデータをもとに山頂天気の予測をしているのにはびっくりしました。

これなら「てんきとくらす」だけを見て登山に行くか判断しても良さそうですけど、どうでしょう?

日本気象
伊藤さん
それに関しては明確に「てんきとくらす」だけで判断しないでいただきたいです。
ライター
青柳
ダメなんですか?
日本気象
伊藤さん
もちろん、「てんきとくらす」の精度が特別低いとは考えていません。登山指数はあくまで登山しやすいかどうかの目安。

そもそも天気予報自体、的中率100%ではありませんし、有料天気予報であっても絶対ではないんですよ。

登山指数+ルート上の天気、気象庁のデータ、さらに一緒に登山する人の体力、経験を見て判断していただくのがよいかと思います

ライター
青柳
たしかに……。でも、てんきとくらすの登山指数がA~Cでかなりわかりやすい一方、気象庁や他の予報サイトをみて判断するのが難しいんですよね。

そもそも麓の天気予報も多いですし。自分が気象予報士なわけでもないですし。

日本気象
伊藤さん
実はそんな人におすすめの情報があるんです。

ライター
青柳
!!!

登山前に必ず確認してほしい「天気概況」と「雨雲レーダー」

日本気象
伊藤さん
登山に行く前は天気図を見るのが一番良いのですが、まずは気象庁が出している都道府県ごとの「天気概況」をぜひ読んでいただきたいですね。
ライター
青柳
はじめて聞きましたが、どんなものなんですか?
天気概況文
出典:気象庁
日本気象
伊藤さん
こんな感じで、各都道府県別の天気についてどのような動きがあるのか文章で説明しているんです。

単純に登山指数「A」や、「晴れのち曇り」などの予報もわかりやすいんですが、こちらの天気概況を読むことでその後の天気の変化を知ることができるんですよ。

ライター
青柳
文章で説明されていれば、理解も早そうですね!
日本気象
伊藤さん
ちなみに、登山指数では発雷の予測は含まれてないですが、天気概況では雷を含む細かな天気の変化についてしっかり触れられています

県全域の情報なので、登山指数と組み合わせてリスク回避の観点からこちらも見ておくのがオススメですね。

ライター
青柳
北アルプスなんかは長野県、岐阜県、富山県を一通り見ておくと天気の移り変わりがイメージしやすそう!
日本気象
伊藤さん
それともう一つ!気象庁から「雨雲レーダー」の情報が公開されています。

雨雲がどうやって流れているのかがわかりますし、予測が非常に困難な急な天候の変化も見ることができます

出典:レーダー・ナウキャスト(気象庁)

ライター
青柳
登山に行くかどうかだけじゃなく、登山中の天候の急変でも判断の材料になりそうですね。
日本気象
伊藤さん
てんきとくらすでも雨雲レーダーの情報を公開しているので一緒に見ていただけるとうれしいです。

登山道情報まで知りたいなら?

ライター
青柳
ほかに見てほしい情報はありますか?
日本気象
伊藤さん
月300円弱で有料にはなってしまうのですが……弊社の運営している「お天気ナゲータ」に掲載している山ごとの10日間天気予報はぜひ見てほしいですね。

天気だけでなく、登山の楽しみである眺めの良さがわかる「見晴らし予報」や「山の星空指数」、てんきとくらすではわからない「発雷情報」まで公開しています。

提供:日本気象株式会社

ライター
青柳
お天気ナビゲータのほうには詳しい予報や発雷確率も載っているんですね。
日本気象
伊藤さん
はい!実は標高1,000m以上の山の天気は“気象業務法”という法律によって山の天気予報を一般に公開することが禁じられているんです。

ライター
青柳
え!そういえば、この山頂の天気は降水確率●%…みたいなのは見たことがないかも。

ということは……それが理由で「てんきとくらす」では予報ではなく「指数」を出しているんですか?

日本気象
伊藤さん
まさに!そうなんです!

ただ、有料会員などクローズドな場では予報をしてもOKなんです。

ライター
青柳
なんと!だからお天気ナビゲータでは詳しく掲載しているのか・・・。

「てんきとくらす」と「お天気ナビゲータ」の精度には差があるんですか?

日本気象
伊藤さん
ありません。どちらも同じ精度ではあるんですが、「お天気ナビゲータ」のほうがより細かく、多くの情報がわかるイメージですね。

「てんきとくらす」でカバーできていない、登山ルート上の天気や3時間ごとの週間天気予報なども掲載しています。

山に行くかどうかは、複数の情報から判断して!

ライター
青柳
伊藤さんからは登山者に「てんきとくらす」をどういう風に使ってほしいですか?
日本気象
伊藤さん
登山指数は常に改善を続けながら精度を高めています。
しかし先ほどもお伝えしたように登山指数で見られる情報は一部であり、あくまで目安。

登れるか登れないかの判断は登山者の体力や経験値、目的によって変わるものです。

ライター
青柳
今回のお話を聞いて、自分から気象庁などさまざまな情報を積極的に見に行く自覚が生まれたような気がします。

同時に、自分が登山指数に依存しすぎていたんだなと気づかされました

日本気象
伊藤さん
そうですね…だからこそ、複数の天気情報を確認してほしいと思っています。細かく情報を集めれば判断の精度が上がります。

たとえば「昼過ぎから天気が悪くなるから今日はコースを短縮しよう」といった判断もできますよね。

そういった判断の手助けができればいいなといつも思っています

大切なのは、依存する予報サイトを絞り込むことではない

「てんきとくらす、当たらないんじゃない??」という一部でささやかれていたウワサからスタートした今回の取材企画。

本末転倒かもしれませんが、話していくなかで気づいたのは「このサイトは当たる・当たらない」の二元論の話はあまり意味をなさないということ。

日進月歩で技術革新している今、どのような気象会社でもいい加減な予想はまずないですし、予報精度は十分高いレベルにあります。

大切なのは複数の気象サービスの精度の差を見ながら自分が依存する予報サイトを絞り込むのではなく、複数の気象情報を多角的に取得し、自分自身の情報(体力や経験)から適切に判断する癖をつけることではないでしょうか。

登山指数はとてもわかりやすい指標ですが、今回教えていただいた雨雲レーダーや気象概況、お天気ナビゲータも理解しやすいものばかり。次の山に行くときはぜひ使ってみてくださいね。

日本気象株式会社|てんきとくらす日本気象株式会社|登山ナビ

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