登山のヘッドランプはどれがおすすめ? 選び方を道具のプロに聞いてきた(2ページ目)

金井さん
ルーメンとは「光源が放つ光の総量」の単位で、数値が高いほど「明るい光源」になります。

ただし「ルーメン数が高い」=「照らしたものが明るく見える」わけではないんです。

ライター
吉澤
と言いますと?
金井さん
たとえば50m先にある物体に向けて、同じ100ルーメンの光を広範囲に照射した場合と、集中させて照射した場合、照らされた対象物を見たときに、どっちが明るく見えると思いますか?
ライター
吉澤
たぶん「集中させて照射した場合」の方が明るく見えると思います。

ビームモードの違い

作成:筆者
金井さん
その通りで、つまり暗闇で対象物を「明るく見たい」ときには、ルーメン数の高さよりも、どれだけ光を集中させて照射できるかが重要になるんです。さらにこの機能は暗闇の中を歩くときに必要です。
ライター
吉澤
たとえばどんなときでしょう?
金井さん
暗闇で行動していて、あれは何? と思ったとき、道標なのか立木なのか、分岐なのか獣道なのか、光で対象物をはっきりと浮かび上がらせて見極めたいときがあります。そのときに光を集中させて照射できるモードがあった方が状況を判断しやすいです。

ビームモードを知りたいけど、見極めるのは困難

撮影:筆者(異なるレンズとライトでビームモードを変えている)
ライター
吉澤
光を広範囲に飛ばしたり、集中させて飛ばしたりするビームモードの重要性は分かりました。では、そのビームモードをチェックするには、どこを見ればいいのでしょう?
金井さん
スペックに記載されているものもあれば、ないものもあって、パッと見ただけでは見分けられないのが現状です。レンズの構造で実現させているものや、レンズをふたつ使っているものなど、各メーカー各モデルでも仕組みが違うんです。
ライター
吉澤
初心者が初見で見極めるのは難しそうですね。
金井さん
たとえば照射距離が参考になって、近いルーメン数のモデルを比べた場合、照射距離の長い方が光を集中させる特性が強いといえます。

ほかにも、同じメーカーの中でルーメン数が低い下位モデルは広範囲をぼやっと照らすものが多く、ルーメン数が高くなると光を集中させて照射できるものが多くなります

ライター
吉澤
こればかりは調べるのに難儀しそう…。分からなかったら店員さんに教えてもらおうと思います!

ほかの機能やメーカーごとの違いも教えて!

ヘッドランプ

撮影:筆者
ライター
吉澤
照射モードや駆動時間、防水機能なども気になります。
金井さん
照射モードは多少の差はありますが、おおむね大中小の光の強さがあって、点滅、赤色灯を備えています。

赤色灯は眩しさを抑えられるので、山小屋などで寝ている人を起こさないようにするときに役立ちます。確認してみるといいでしょう。

ヘッドランプ

撮影:筆者(赤色灯)
ライター
吉澤
駆動時間は気にした方がいいですか?
金井さん
パッケージに記載されている駆動時間は目安と思ってください。これはフル充電の状態で、なおかつ同じ照度で連続使用したときの数値です。でも実際には何度も明るさを変えながら行動するので、リアルに何時間使用できるかは分かりません。

とは言え、フル充電の状態でなおかつローモードを基本にバッテリーを無駄遣いしないように注意すれば、どのモデルも一晩中使い続けることができるので、さほど気にする必要はないでしょう。

ライター
吉澤
防水機能はどうでしょう?
金井さん
登山用品の専門店で売られているモデルであれば、大小の差はありますがすべての商品に防水機能が備わっています。安心してください。

メーカーによって操作性や調光モードが若干異なる

ライター
吉澤
メーカーごとの違いも知りたいです。
金井さん
<ペツル><ブラックダイヤモンド><レッドレンザー>について簡単に紹介します。
<ペツル>
ペツル ヘッドランプ

撮影:筆者/<ぺツル>アクティックコア:充電式のおすすめモデル

ボタンを1回クリックするごとに光の強さを変えるモデルが多く、シンプルな操作が特長です。ボタンのクリック感も強い印象があります。

 

<ブラックダイヤモンド>
ブラックダイヤモンド ヘッドランプ

撮影:筆者/<ブラックダイヤモンド>(左)スポット325、(右)コズモ250:売れ筋のミドルクラス

光の強さを無段階で調整できるモデルがあります。店内のヘッドランプ売り場の中では、いちばんコストパーフォーマンスが高いといえますね。

 

<レッドレンザー>
レッドレンザー ヘッドランプ

撮影:筆者/<レッドレンザー>(左)MH5、(右)MH6:いずれも充電式モデル

充電式のモデルが多いメーカーです。充電池のバッテリーが切れても単3電池1本で動くモデルがあり、レンズにズーム機能を備えるモデルもあります。

最初の一台は「充電式の一体型」で決まり!

出典:PIXTA
【まとめ】 初めてのヘッドランプ選び
★日帰り登山でもヘッドランプは必携

 

■バッテリータイプをチェック
電池式:初期投資は安いがランニングコストがかかる
充電式:電池不要でモバイルバッテリーを持っていれば山の中でもフル充電でき、常に100%の性能を引き出しやすい

 

■バッテリーパックの位置をチェック
一体型:登山向き
セパレートタイプ:ランニング向き

 

■ビームモード(光を集中して照射できる機能)をチェック
ルーメン数が高くなると光を集中させて照射できるものが多い。近いルーメン数のモデルを比べた場合、照射距離の長い方が光を集中させる特性が強い

 

教えてもらった要点をまとめると、まずは「充電式の一体型」から候補を絞り込むことができ、さらに「光を集中して照射できる機能も備えたモデル」が、最初の一台にはおすすめです。

 

最後に、今回の記事を書くにあたって筆者が普段使っているモデルのスペックを調べてみたので紹介します。

 

最大ルーメン数はたったの「160」(これには私もビックリ)。テントの中でよく使う照射モードのルーメン数は「5」か「30」で、歩く時に使う照射モードのルーメン数は「45」しかありませんでした。これでもまったく不満がないのは、やはり「光を集中して照射できるモデル」だから。

 

ルーメン数とは違うポイントに目を向けて、最初の一台を手に入れましょう!

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