登山のヘッドランプはどれがおすすめ? 選び方を道具のプロに聞いてきた

2021/01/14 更新

登山の必須アイテム「ヘッドランプ」。山に行くときは絶対に必要? どれを選べばいいの? どのくらいの明るさがいい? ルーメンって何? 知識がなければ分からないことだらけです。そんな、種類が多すぎて悩ましいヘッドランプの選び方を、登山用品店のプロスタッフに聞いてきました。これで最初に買いたい一台が分かるはず!


アイキャッチ画像:筆者撮影

いったいどれがいい? 種類が多すぎるヘッドランプ

ヘッドランプ
撮影:筆者
登山の装備リストに必ず含まれるヘッドランプ。売り場に行くと種類の多さに圧倒されます。登山を始めたばかりで道具の知識がなければ「どれを選べばいいのか分からない…」と露頭に迷ってしまうはず。

登山用品専門店のプロに話を聞いてみよう!

石井スポーツ登山本店
撮影:筆者(石井スポーツ登山本店店長、金井賢介さん)
「どれがいいか教えてほしい」。そんな声に応えるために、登山用品専門店「石井スポーツ登山本店」の店長、金井さんにヘッドランプの選び方を聞いてきました!

ヘッドランプは日帰りでも必要です!

出典:PIXTA
ライター
吉澤
ヘッドランプは登山の必須装備とよく言われます。でも、明るいうちに下山する日帰りの山行なら出番がないと思うんです…。


金井さん
予期せず下山が遅くなって日が暮れてしまったときにヘッドランプは欠かせません。これは誰にでもあり得ることで、ヘッドランプを持つ理由はこれがいちばん大きいです。

ヘッドランプさえ持っていれば下山できたというケースがあるので、とにかく持つことが重要。故障などのトラブルに備えて2台用意できればベストです。


出典:PIXTA
ライター
吉澤
暗くなってから行動するのは危ないと聞いたことがあります。


金井さん
ケースバイケースですね。夜になると気温がぐっと下がるので、もしも温かいウエアを着込まずに動かないでいると、低体温症に陥る可能性があります。たとえば登山道が明瞭で数分歩けば林道に出るような状況なら、暗くなってもヘッドランプを使って下山した方がいいですよね。


ライター
吉澤
でも、万が一のために高価なヘッドランプを買うのはもったいない気がします。スマートフォンのライト機能ではダメですか?


金井さん
ヘッドランプは頭に装着できるので、手を自由に使うことができます。そして落として故障するといった心配が少ないです。さらに、意識しなくても視線の先に光が当たります。


ライター
吉澤
それはスマートフォンではカバーできない特長ですね。それと、冷静に考えるとスマートフォンは連絡手段としてバッテリーを節約しておきたいです。ヘッドランプが必須装備と言われる理由が分かりました。

種類はたったの2つ。おすすめは充電式

ヘッドランプ
撮影:筆者
ライター
吉澤
それでは選び方を教えてもらいたいのですが、目がくらむほど種類が多いですね。


金井さん
モデルがたくさんあるので種類が多いように見えますが、大きな枠で捉えると、実は2種類しかありません。


ライター
吉澤
え! たったの2種類ですか?


金井さん
注目すべきはバッテリーのタイプで、「電池式」と「充電式」に二分できます。そして、これからは「充電式」がおすすめです。


ライター
吉澤
それはなぜでしょう?


金井さん
充電式は電池を買う必要がありません。ほかにも、さまざまなメリットがあります。

・表示されている最大ルーメン数は新品電池で30~120秒間の計測値。山の中でもフル充電の状態にできる充電式は、いつでも最大光量を引き出せる

・充電式で使われているリチウムイオン電池などはアルカリ乾電池よりも低温に強いので、冬の時期や秋の日没後など気温が低い状況でも電池性能を十分に発揮する

・多くのモデルは乾電池も使えるようになっているので、乾電池を予備で持てばより安心


充電式
撮影:筆者(充電式はUSBケーブルで給電できるモデルが多い)
ライター
吉澤
電池式を選ぶメリットはないですか?


金井さん
電池式には、初期投資が安い、という強みがあります。ただし一度でも使用すれば微々たる量でもバッテリーは減るので、100%の性能を得ることができません。

真面目に100%の性能を引き出すために電池を交換するランニングコストを考えると、やはり充電式が有利です。

それと、多くのモデルは単4の乾電池を3本使います。ほとんどの乾電池は4本単位で売られているので、電池を交換すると半端な新品の乾電池1本と使いかけの乾電池が残ってしまい、管理がとても大変です(笑)


形にも違いはあるけど、登山なら一体型

一体型
撮影:筆者
ライター
吉澤
よく見るとバッテリーパックが後頭部にあるモデルもありますね。


金井さん
バッテリーパックが後頭部にある「セパレートタイプ」はランニングを意識して、頭に装着したときのバランスを重視しているモデルや、高い光量を得るためにバッテリーが大きくなってしまうモデルに多いです。


ライター
吉澤
明るいランプは欲しいですが、いまのところ山道を走る予定はありません。


セパレートタイプ
撮影:筆者(セパレートタイプのヘッドランプ)
金井さん
それでしたら、登山にはレンズとバッテリーパックが一緒になった「一体型」が一般的。わざわざセパレートタイプを買う必要はないですね。

「ルーメン数が高い」=「明るい」は半分間違い

ルーメン数
撮影:筆者
ライター
吉澤
ヘッドランプといえば、やっぱりパッケージでいちばん目立つルーメン数が気になります。




金井さん
ルーメンとは「光源が放つ光の総量」の単位で、数値が高いほど「明るい光源」になります。

ただし「ルーメン数が高い」=「照らしたものが明るく見える」わけではないんです。


ライター
吉澤
と言いますと?


金井さん
たとえば50m先にある物体に向けて、同じ100ルーメンの光を広範囲に照射した場合と、集中させて照射した場合、照らされた対象物を見たときに、どっちが明るく見えると思いますか?


ライター
吉澤
たぶん「集中させて照射した場合」の方が明るく見えると思います。


ビームモードの違い
作成:筆者
金井さん
その通りで、つまり暗闇で対象物を「明るく見たい」ときには、ルーメン数の高さよりも、どれだけ光を集中させて照射できるかが重要になるんです。さらにこの機能は暗闇の中を歩くときに必要です。


ライター
吉澤
たとえばどんなときでしょう?


金井さん
暗闇で行動していて、あれは何? と思ったとき、道標なのか立木なのか、分岐なのか獣道なのか、光で対象物をはっきりと浮かび上がらせて見極めたいときがあります。そのときに光を集中させて照射できるモードがあった方が状況を判断しやすいです。

ビームモードを知りたいけど、見極めるのは困難

撮影:筆者(異なるレンズとライトでビームモードを変えている)
ライター
吉澤
光を広範囲に飛ばしたり、集中させて飛ばしたりするビームモードの重要性は分かりました。では、そのビームモードをチェックするには、どこを見ればいいのでしょう?


金井さん
スペックに記載されているものもあれば、ないものもあって、パッと見ただけでは見分けられないのが現状です。レンズの構造で実現させているものや、レンズをふたつ使っているものなど、各メーカー各モデルでも仕組みが違うんです。


ライター
吉澤
初心者が初見で見極めるのは難しそうですね。


金井さん
たとえば照射距離が参考になって、近いルーメン数のモデルを比べた場合、照射距離の長い方が光を集中させる特性が強いといえます。

ほかにも、同じメーカーの中でルーメン数が低い下位モデルは広範囲をぼやっと照らすものが多く、ルーメン数が高くなると光を集中させて照射できるものが多くなります


ライター
吉澤
こればかりは調べるのに難儀しそう…。分からなかったら店員さんに教えてもらおうと思います!

ほかの機能やメーカーごとの違いも教えて!

ヘッドランプ
撮影:筆者
ライター
吉澤
照射モードや駆動時間、防水機能なども気になります。


金井さん
照射モードは多少の差はありますが、おおむね大中小の光の強さがあって、点滅、赤色灯を備えています。

赤色灯は眩しさを抑えられるので、山小屋などで寝ている人を起こさないようにするときに役立ちます。確認してみるといいでしょう。


ヘッドランプ
撮影:筆者(赤色灯)
ライター
吉澤
駆動時間は気にした方がいいですか?


金井さん
パッケージに記載されている駆動時間は目安と思ってください。これはフル充電の状態で、なおかつ同じ照度で連続使用したときの数値です。でも実際には何度も明るさを変えながら行動するので、リアルに何時間使用できるかは分かりません。

とは言え、フル充電の状態でなおかつローモードを基本にバッテリーを無駄遣いしないように注意すれば、どのモデルも一晩中使い続けることができるので、さほど気にする必要はないでしょう。


ライター
吉澤
防水機能はどうでしょう?


金井さん
登山用品の専門店で売られているモデルであれば、大小の差はありますがすべての商品に防水機能が備わっています。安心してください。

メーカーによって操作性や調光モードが若干異なる

ライター
吉澤
メーカーごとの違いも知りたいです。


金井さん
<ペツル><ブラックダイヤモンド><レッドレンザー>について簡単に紹介します。

<ペツル>
ペツル ヘッドランプ

撮影:筆者/<ぺツル>アクティックコア:充電式のおすすめモデル
ボタンを1回クリックするごとに光の強さを変えるモデルが多く、シンプルな操作が特長です。ボタンのクリック感も強い印象があります。

 
<ブラックダイヤモンド>
ブラックダイヤモンド ヘッドランプ

撮影:筆者/<ブラックダイヤモンド>(左)スポット325、(右)コズモ250:売れ筋のミドルクラス
光の強さを無段階で調整できるモデルがあります。店内のヘッドランプ売り場の中では、いちばんコストパーフォーマンスが高いといえますね。

 
<レッドレンザー>
レッドレンザー ヘッドランプ

撮影:筆者/<レッドレンザー>(左)MH5、(右)MH6:いずれも充電式モデル
充電式のモデルが多いメーカーです。充電池のバッテリーが切れても単3電池1本で動くモデルがあり、レンズにズーム機能を備えるモデルもあります。

最初の一台は「充電式の一体型」で決まり!

出典:PIXTA
【まとめ】 初めてのヘッドランプ選び
★日帰り登山でもヘッドランプは必携
 
■バッテリータイプをチェック
電池式:初期投資は安いがランニングコストがかかる
充電式:電池不要でモバイルバッテリーを持っていれば山の中でもフル充電でき、常に100%の性能を引き出しやすい
 
■バッテリーパックの位置をチェック
一体型:登山向き
セパレートタイプ:ランニング向き
 
■ビームモード(光を集中して照射できる機能)をチェック
ルーメン数が高くなると光を集中させて照射できるものが多い。近いルーメン数のモデルを比べた場合、照射距離の長い方が光を集中させる特性が強い
 
教えてもらった要点をまとめると、まずは「充電式の一体型」から候補を絞り込むことができ、さらに「光を集中して照射できる機能も備えたモデル」が、最初の一台にはおすすめです。
 
最後に、今回の記事を書くにあたって筆者が普段使っているモデルのスペックを調べてみたので紹介します。
 
最大ルーメン数はたったの「160」(これには私もビックリ)。テントの中でよく使う照射モードのルーメン数は「5」か「30」で、歩く時に使う照射モードのルーメン数は「45」しかありませんでした。これでもまったく不満がないのは、やはり「光を集中して照射できるモデル」だから。
 
ルーメン数とは違うポイントに目を向けて、最初の一台を手に入れましょう!
 

\ この記事の感想を教えてください /
GOOD! BAD

関連する記事

関連する山行記録 byヤマレコ

一体型
この記事が気に入ったら
「いいね!」をしよう
吉澤英晃

群馬県出身。大学時代に所属した探検部で登山を開始。以降、沢登り、クライミング、雪山、アイスクライミング、山スキーなど、オールジャンルで山を楽しむ。登山用品の営業職を経て、現在はフリーの編集・ライターとして活動中。

登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」

アウトドアのすべてを、ひとつのアプリで。

150以上のアウトドアメディアの記事や動画、3万枚以上のみんなの写真も見られる!
アウトドアの「知りたい!」「行きたい!」がきっと見つかる!
お気に入りの記事や写真を集めて、スキマ時間に素早くチェック!