登山のヘッドランプはどれがおすすめ? 選び方を道具のプロに聞いてきた
登山の必須アイテム「ヘッドランプ」。山に行くときは絶対に必要? どれを選べばいいの? どのくらいの明るさがいい? ルーメンって何? 知識がなければ分からないことだらけです。そんな、種類が多すぎて悩ましいヘッドランプの選び方を、登山用品店のプロスタッフに聞いてきました。これで最初に買いたい一台が分かるはず!
2023/03/02 更新
編集者
YAMA HACK編集部
YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。
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制作者
山岳ライター
吉澤英晃
群馬県出身。大学時代に所属した探検部で登山を開始。以降、沢登り、クライミング、雪山、アイスクライミング、山スキーなど、オールジャンルで山を楽しむ。登山用品の営業職を経て、現在はフリーの編集・ライターとして活動中。
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アイキャッチ画像:筆者撮影
いったいどれがいい? 種類が多すぎるヘッドランプ
撮影:筆者
登山の装備リストに必ず含まれるヘッドランプ。売り場に行くと種類の多さに圧倒されます。登山を始めたばかりで道具の知識がなければ「どれを選べばいいのか分からない…」と露頭に迷ってしまうはず。
登山用品専門店のプロに話を聞いてみよう!

撮影:筆者(石井スポーツ登山本店店長、金井賢介さん)
「どれがいいか教えてほしい」。そんな声に応えるために、登山用品専門店「石井スポーツ登山本店」の店長、金井さんにヘッドランプの選び方を聞いてきました!
ヘッドランプは日帰りでも必要です!

出典:PIXTA
ヘッドランプは登山の必須装備とよく言われます。でも、明るいうちに下山する日帰りの山行なら出番がないと思うんです…。
予期せず下山が遅くなって日が暮れてしまったときにヘッドランプは欠かせません。これは誰にでもあり得ることで、ヘッドランプを持つ理由はこれがいちばん大きいです。
ヘッドランプさえ持っていれば下山できたというケースがあるので、とにかく持つことが重要。故障などのトラブルに備えて2台用意できればベストです。

出典:PIXTA
暗くなってから行動するのは危ないと聞いたことがあります。
ケースバイケースですね。夜になると気温がぐっと下がるので、もしも温かいウエアを着込まずに動かないでいると、低体温症に陥る可能性があります。たとえば登山道が明瞭で数分歩けば林道に出るような状況なら、暗くなってもヘッドランプを使って下山した方がいいですよね。
でも、万が一のために高価なヘッドランプを買うのはもったいない気がします。スマートフォンのライト機能ではダメですか?
ヘッドランプは頭に装着できるので、手を自由に使うことができます。そして落として故障するといった心配が少ないです。さらに、意識しなくても視線の先に光が当たります。
それはスマートフォンではカバーできない特長ですね。それと、冷静に考えるとスマートフォンは連絡手段としてバッテリーを節約しておきたいです。ヘッドランプが必須装備と言われる理由が分かりました。
種類はたったの2つ。おすすめは充電式

撮影:筆者
それでは選び方を教えてもらいたいのですが、目がくらむほど種類が多いですね。
モデルがたくさんあるので種類が多いように見えますが、大きな枠で捉えると、実は2種類しかありません。
注目すべきはバッテリーのタイプで、「電池式」と「充電式」に二分できます。そして、これからは「充電式」がおすすめです。
充電式は電池を買う必要がありません。ほかにも、さまざまなメリットがあります。
・表示されている最大ルーメン数は新品電池で30~120秒間の計測値。山の中でもフル充電の状態にできる充電式は、いつでも最大光量を引き出せる
・充電式で使われているリチウムイオン電池などはアルカリ乾電池よりも低温に強いので、冬の時期や秋の日没後など気温が低い状況でも電池性能を十分に発揮する
・多くのモデルは乾電池も使えるようになっているので、乾電池を予備で持てばより安心

撮影:筆者(充電式はUSBケーブルで給電できるモデルが多い)
電池式には、初期投資が安い、という強みがあります。ただし一度でも使用すれば微々たる量でもバッテリーは減るので、100%の性能を得ることができません。
真面目に100%の性能を引き出すために電池を交換するランニングコストを考えると、やはり充電式が有利です。
それと、多くのモデルは単4の乾電池を3本使います。ほとんどの乾電池は4本単位で売られているので、電池を交換すると半端な新品の乾電池1本と使いかけの乾電池が残ってしまい、管理がとても大変です(笑)
形にも違いはあるけど、登山なら一体型

撮影:筆者
よく見るとバッテリーパックが後頭部にあるモデルもありますね。
バッテリーパックが後頭部にある「セパレートタイプ」はランニングを意識して、頭に装着したときのバランスを重視しているモデルや、高い光量を得るためにバッテリーが大きくなってしまうモデルに多いです。
明るいランプは欲しいですが、いまのところ山道を走る予定はありません。

撮影:筆者(セパレートタイプのヘッドランプ)
それでしたら、登山にはレンズとバッテリーパックが一緒になった「一体型」が一般的。わざわざセパレートタイプを買う必要はないですね。
「ルーメン数が高い」=「明るい」は半分間違い

撮影:筆者
ヘッドランプといえば、やっぱりパッケージでいちばん目立つルーメン数が気になります。