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いつかは挑戦したい憧れの場所! 北アルプスの古道「伊藤新道」のルート紹介【前編】(3ページ目)

本当に行けるの!? 最大の難所【第3吊り橋跡】

第3吊り橋跡 マップ

いくつかある伊藤新道の難所の中で、筆者の心にいちばん深く残っているのは、第3吊り橋跡です。
いや、筆者に限らず、その昔にここを通った登山者も同様だったに違いありません。なにしろ吊り橋跡の近くの岩には、赤いペンキで「引き返す勇気を 雨天時」という文字が書かれているのですから。
こんな場所、伊藤新道ではここだけです。

第3吊り橋跡の大きな岩盤
map⑳:第3吊り橋跡の大きな岩盤。その板のような部分に薄らいだ赤い字が見えるでしょうか。
引き返す勇気を 雨天の時
map㉑:「引き返す勇気を 雨天の時」というメッセージ。たしかにここは増水していると簡単に流されそうな場所です。

この場所を初見で通過するのは、難しいでしょう。水量が少なめのときであれば、ガイドさんなどが対岸にロープを渡し、それに沿って渡渉するほうが確実かもしれません。

しかし、このときのガイドの田村さん、そして筆者ともに、伊藤新道の経験者。一目では”行けそうにない”ように見える右岸ですが、この水流でもなんとか通れるのではないかと考えました。
それでも失敗すれば流される心配はあり、ちょっとドキドキしながら水の中に入っていきました。

大岩の裏へまわりこむようにして前進
map㉒:文字が書かれた大岩の裏へまわりこむようにして前進。足元がまったく見えず、恐ろしい!
水の中の下半身
map㉓:水流が緩んだところで、自分の下半身を撮影。ここまでくると、冷たさも感じません。
身長177㎝の筆者 水位
map㉔:身長177㎝の筆者でも、ここまで水に浸かってしまうのが第3吊り橋跡。タイミングによって水位は上下し、このときは1m以上でしょうか。
第3吊り橋跡
map㉕:渡り終えてから見た第3吊り橋跡。水泡が沸き立つ対岸に沿って10m以上も歩いたことになります。
休憩
map㉖:最大の難所を終えてしばし休憩。

本格的に沢登りをする人からすれば、大したことがない場所なのかもしれません。
しかし、ここは以前、体を濡らさずに歩ける道がついていた場所なのです。近日中に伊藤新道を本格的に復活させたいと考えている三俣山荘は、エキスパートだけではなく、一般的な登山者にもいずれは歩いてほしいと願っています。
それを考えると、この第3吊り橋跡はもっとラクに通過できる方法を見つけられるとよさそうでした。

沢が広がり、明るい雰囲気に。
【第4吊り橋跡】までくれば、少しは安心。

第4吊り橋跡 マップ

第3吊り橋の先は、これまでに比べれば、だいぶラクになります。伊藤新道がつけられた湯俣川の渓谷は下流ほど狭い場所が多く、上流のほうが広々としており、圧迫感が薄れるのがうれしいところです。
相対的に危険個所も少なく、ここからはいくらかリラックスして進んでいけるでしょう。

電線のように細いワイヤーが残る第4吊り橋跡
map㉗:電線のように細いワイヤーが残る第4吊り橋跡。ワリモ沢との合流点に近い場所です。
湯俣川
map㉘:川岸から外れ、小高い場所に少しだけ登っていくと、これまで歩いてきた湯俣川が眼下に。
渡渉
map㉙:いまだ渡渉は続くものの、水量は少なく、もう流される危険はほとんどありません。

この後、第5吊り橋跡で湯俣川を右岸から左岸へ。これが最後の渡渉となり、「谷」のパートは終了します。そして、そこから先は湯俣川を離れ、「森」のパートに。”ほとんどの人が見たことがない槍ヶ岳の姿”など、これまでとはまったく違う景色が広がっています。

詳しくは、「後編」をご覧ください!

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