速乾性はわかるけど、やっぱりコットンの着心地が好き
汗をかいても乾きやすいポリエステル素材のドライTシャツは、登山用インナーの定番!速乾性に優れているため、登山において最適な素材です。
でもドライTシャツって独特な着心地がして、「ちょっと気になるなー…」なんて思ったことはありませんか?
着心地の良い素材と言えばコレ!
それに対し「コットン(綿)」といえば、柔らかく暖かみのある風合いをイメージしますよね。しかし汗や雨で濡れてしまうと乾きが遅く、体が冷えてしまうため、基本的に登山での使用はNG。
とは言っても、あの優しい肌触りは捨てがたい。「なんとか登山で使えないものか?」と考えていたところ、なにやら気になるアイテムを発見しました。
柔らかい肌触りにうっとり!コットン加工素材ASA(アーサ)とは?
フランスの登山ブランド<MILLET(ミレー)>から2020年春夏シーズンに登場した「M ロゴ ASA Tシャツ(以下、ASA Tシャツ)」。コットン加工素材「ASA®︎(アーサ)」を用いた、コットン50%・ポリエステル50%のハイブリッドTシャツです。
ASAの説明
赤ちゃんの服にもよく使われている、無撚繊維(むねんせんい)という生地を柔らかくする製法を使用。図のようにその繊維を平行に何本もまとめて別の繊維で束ねることで、空気を含んだ隙間が生まれます。これにより通常のコットンと比べて、水分を素早く吸い取る吸水性や衣類内で蒸れにくい通気性に優れているのが特徴。
とは言っても「山で使えるの?」というのが正直なところ。そこで実際に山で着用してみました!
【結論】まるで普段着。超柔らかな着心地で不快感ゼロ
9月下旬の標高約1,600mの低山やキャンプ場などで着用。結果として、登山では使用シーンを選ぶ必要があるものの、普段着感覚で着られるストレスフリーなアウトドアウェアだということがわかりました。
特に印象的だったのは以下の2つ。
細かくそれぞれのポイントを見ていきましょう。
コットンらしい柔らかな着心地がたまらない!
さすがコットン!ルームウェアのようにストレスフリーでアウトドアを楽しめました。普段と変わらないサイズをチョイスしましたが、程よくゆったりしているのでクライミングのような腕を曲げ伸ばしする動きでも、肩が突っ張るような不快感はありません。
触り心地は手ぬぐいのようなザラつきがあるものの、着用感はとてもマイルド。コットンとポリエステルの混紡素材ですが、よりコットンに近い自然な風合いを感じます。
長時間着ていてもストレスがないのがうれしいポイントです。
汗で張り付くことなくサラッと快適!
汗で濡れてもサラッとした着心地が持続しました。汗をかいた状態を検証するため、往復3時間の登山であえてフリーズを着用。
山頂に着いた頃にはTシャツはビッショリでしたが、肌に張り付くような不快感はありませんでした。
襟と脇には消臭デオドラントテープが使用されているので、汗のニオイが気になりにくいのも◎
またASA素材は濡れた水分を外へと拡散する機能もあるため、通気性にも優れています。着用中も空気が抜けるような涼しさを感じ、真夏のクールTシャツとしても活躍できそうです。
ただちょっと気になることも…
普段着のように快適でサラリと着れる「ASA Tシャツ」。ただ、ちょっと気になるポイントもありました。
それは速乾性はそこまで高くないということ。「ASA Tシャツ(綿50%、ポリ50%)」「ドライTシャツ(ポリエステル100%)」「コットンTシャツ(綿100%)」を同時に干し、どれくらいの早さで乾くのかを実験してみました。
結果は…
ドライTシャツ:約20分
ASA Tシャツ:約50分
コットンTシャツ:約1時間10分
※)気温・湿度などによって乾燥時間は異なります。目安程度にお考えください。
圧倒的な差でドライTシャツの勝利。決して「ASA Tシャツ」が乾きにくいわけではありませんが、登山において速乾性は体の冷えを防ぎ、低体温症などのリスクを軽減する大切な機能。3,000m級の山や縦走など、シビアな山岳環境での使用は控えた方が良さそうです。
コットンの着心地はやっぱり最高!シーンを見極めて使っていこう
今回改めてコットンの着心地の良さを実感しました。最初は「山でコットンは使えないでしょ…」と思っていましたが、適切なシーンや用途を見極めれば、さまざまなアウトドアシーンで大活躍する一着になりそうです!
“山でコットンを着る”という今までになかった発想。それを限りなく実現してくれるのが「ASA Tシャツ」です。一枚持っていれば登山以外にもいろんなシーンで役立つこと間違いなし。柔らかくナチュラルな着心地を、ぜひ体感してみてください!
さらに機能を高めたい場合はやっぱりコレ!
「ASA Tシャツ」のみで着用すると、汗冷えやザックを背負った時のひんやり感を感じることがあります。そういった不快感・リスクを軽減するためにオススメするのがミレーの大人気ドライインナー「ドライナミックメッシュ」。
汗をかき続ける登山ではベースレイヤーとセットで使うことを推奨します!