一面に広がる絶景!手つかずのダイナミックな自然が魅力の「湿原」でのんびり散歩

2020/07/23 更新

登山では、「十分に装備を整え、入念な計画を立てて目標の山に臨む」「山頂を目指してひたすら歩き、計画通りに戻る」ために、登る山に応じた心構えと準備が必要となります。でも、急に思い立って山へ出かけたり、時間や速度を気にせず歩き回ったりできる、もっと気軽な選択肢もほしいところ。そうした要望に答えてくれるのが湿原散策です。見どころ満載でありながら、歩きやすく、アプローチもよい湿原で、思う存分自然を満喫しましょう!

コロナウイルス感染拡大防止のため、山小屋の営業状況をはじめ、交通状況・施設情報に変更が生じている可能性があります。 休業や人数制限により「宿泊できない」場合もあるため、計画時の事前確認が重要となります。エリアごとに山小屋の公式サイト(SNS含む)のリンクをまとめましたので、登山計画の時に必ずご確認ください。山小屋のないエリアでの登山でも、最新の情報を調べてから山を楽しむようにしましょう。 【2020年】地図でわかりやすい!山小屋の営業情報


アイキャッチ画像出典:PIXTA

山に登らなくても楽しめる大自然

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山のアクティビティとして、真っ先に候補に挙がるのは登山ですが、なにも登るばかりが山ではありません。日本の山地には、川や湖、高原、湿原など、豊かな自然が広がっています。
登山には「自然に挑む」という側面もあり、それなりの準備が必要となりますが、今回のテーマである湿原ハイキングは、「ゆっくりと自然を楽しむ」ことが一番の目的。山登りからしばらく離れている人や、小さいお子さんと一緒の方でもチャレンジできます。

そもそも湿原って?

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湿原とは、低温で多湿な土地で、枯れた植物の分解が進まず、泥炭地となったところに湿生植物が生育することで形成される草原。
泥炭化が進み、ところどころに盛り上がった部分が見られる高層湿原、地下水位の浅い、湖沼や河川の岸辺に発達する低層湿原など、いくつかの種類があり、種類ごとに特徴的な植生が見られます。

自分のペースでのんびりと自然を味わえる湿原の魅力

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散策路も比較的整備されており、登山に比べて体力に自信のない人でも、のんびりと散策できることが一番の魅力。また、場所によっては電車の中から景色を楽しめたり、車を降りてすぐに展望台があったり、時間に合わせて途中で引き返したり、と体力や状況に合わせて様々な楽しみ方ができます。希少な動植物との出会いを楽しむゆとりがあるのもいいですよね。

多くの湿原には近くにビジターセンターなどがあるので、歩き始める前に、観察できる草花や動物、その湿原の成り立ちなどについて予習しておくと、散策の楽しみが大きく広がります。現地に到着したらぜひ立ち寄ってみましょう。

湿原散策のベストシーズンは?

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自然そのものを体感することを目的とする湿原ハイキングは、行きたくなったときがベストシーズン。いつ訪れても、四季折々の景色を楽しむことができます。
とはいえ、冬から春先にかけては雪に覆われている湿原も多いため、滑りにくい靴や防寒具など、それなりの用意が必要になります。草花や動物をゆっくりと観察するには、春から秋がおすすめです。

今回は、国内の湿原の中でも、とくにハイカーからの人気が高い5つの湿原をご紹介します。日本を代表する規模の湿原ばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。

日本最大の面積を誇る「釧路湿原」

夏の釧路湿原
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釧路湿原は、北海道の釧路市、標茶町、鶴居村、釧路町の4市町村に広がる日本最大の湿原。その面積は、国内にある湿原全体の実に約3割。ラムサール条約にも登録され、日本だけではなく世界にも認めてられている、日本を代表する湿原です。
湿原の中を大きく蛇行しながら流れる釧路川と、点在する大小の湖沼が、雄大な景観を形成しています。


出典:環境省ホームページ(画像をクリックすると大きな画像になります)
一度や二度では回り切れない規模の湿原ですが、10を超える観察・体験施設と5つの展望施設を備え、イベントも頻繁に開催されているので、訪れるたびに新しい発見があります。

釧路湿原のmapは環境省HPをチェック

釧路湿原の見どころ

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釧路湿原とその周辺には、植物約700種、昆虫類約1100種、魚類38種、両生類・爬虫類9種、鳥類約200種、哺乳類39種と数多くの動植物が生息しています。日本最大の淡水魚であるイトウやキタサンショウウオといった希少種や、国の特別天然記念物であるタンチョウをはじめ、シマフクロウ、ベニマシコなどの多くの鳥類の繁殖地・休息地としても有名です。
また、釧路湿原の名物のひとつが、一面に広がるヤチボウズ。古い株の上に新しい株が根を張り、球状となったスゲ類が群生し、不思議な景観を作り出しています。

駐車場情報

釧路湿原には、展望台やJRの駅ごとに駐車場が整備されています。コースに合わせて駐車場を選択しましょう。
■細岡駐車場
住所|北海道釧路郡釧路町トリトウシ原野南
駐車台数|約60台
料金|無料
トイレ|あり

散策前に寄りたい『温根内(おんねない)ビジターセンター』

釧路湿原の西側に位置し、湿原と森の接点に位置する温根内ビジターセンター

所在地| 〒085-1145 阿寒郡鶴居村温根内
TEL| 0154-65-2323
開館期間| 通年
開館時間| 4月~10月:9時00分~17時00分、11月~3月:9時00分~16時00分
休館日| 火曜日(7/17~9/2は無休)、年末年始(12/29~1/3)
入館料|無料



車から降りたらすぐ絶景が!「八島ヶ原湿原」

夏
出典:PIXTA
霧ヶ峰高原の北西部、長野県諏訪郡下諏訪町にある八島ヶ原湿原は、観光道路であるビーナスライン沿いというアクセスのよさから、高い人気を誇る湿原です。縄文時代の早期には、この土地はまだトウヒの森(※)の中でしたが、その後約1万2千年の時をかけて泥炭層が堆積し、現在の姿になったといわれています。

湿原の周囲を巡るルートは、ゆっくり歩いて1時間30分程度。アップダウン少なめで歩きやすいため、気軽に立ち寄ることができます。ドライブやツーリングの目的地としてもおすすめです。
※トウヒの森:笹ヶ峰高原の妙高山麓に約60ヘクタール広がるドイツトウヒの森。モミの木とともにクリスマスツリーにも使われる「オウシュウトウヒ」が植えられています。

八島ヶ原湿原の見どころ

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駐車場そばのトンネルをくぐり、少し歩くと、蝶々深山や車山を背景に、青空を映した八島ヶ池の湖面と湿原の全景が眼前に広がります。 年間約360種類もの植物が開花し、7月中旬から下旬にかけてはニッコウキスゲの花を目当てに訪れるハイカーが多く、7月下旬~8月中旬には木道沿いに咲くシモツケソウの花が見頃となります。
ハイキングmapは八島ビジターセンターをチェック

駐車場情報

八島ビジターセンター「あざみ館」前の八島高原駐車場を利用します。ビジターセンターの開館期間は4月下旬~11月中旬ですが、駐車場は通年で利用できます。満車の場合は、臨時駐車場を利用しましょう。

■八島高原駐車場
住所|長野県諏訪郡下諏訪町八島湿原10618
駐車台数|100台
料金|無料
トイレ|あり

散策前に寄りたい『八島ビジターセンター』

住所|長野県諏訪郡下諏訪町八島湿原10618
電話|0266-52-7000
開館期間|4月下旬~11月中旬(期間中無休)
開館時間|9:30~16:30
料金|入館無料

ミズバショウだけじゃない! 見どころ満載の「尾瀬ヶ原湿原」

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群馬、福島、新潟の三県にまたがる尾瀬ヶ原湿原は、燧ケ岳や至仏山などに囲まれた山岳地帯に位置する高層湿原。高山の山容を眺めながら、日本百景のひとつに数えられる壮大な景観の中を歩くことができます。ただし、行程が長く、天候が急激に変化する可能性もあるため、登山に準じた装備が必要です。途中にベンチなどもたくさん設置されているので、こまめに休憩を挟みながら、自分のペースで楽みましょう。

尾瀬ヶ原湿原の見どころ

出典:PIXTA
鳩街峠を出発し、尾瀬ヶ原を周遊するコースが人気です。5~8月には花、9~10月には紅葉が見頃を迎えます。歌曲「夏の思い出」に登場するミズバショウが開花するのは、5月末から6月上旬。7月中旬~下旬には、一面をヤマブキ色に染めるニッコウキスゲの花畑が見られます。いつ訪れてもハイカーの目を楽しませてくれる湿原です。

尾瀬ヶ原湿原のmapはこちらをチェック

駐車場情報

湿原入口近くの駐車場は、満車やマイカー規制で利用できない場合もあるため、第1・第2駐車場からバスを利用する方法がおすすめです。

■尾瀬第1駐車場
住所|群馬県利根郡片品村大字戸倉766
駐車台数|280台
料金|1000円/24時間
トイレ|あり

歩くにつれ、目まぐるしく景観が変わる「戦場ヶ原」

出典:PIXTA
栃木県日光市の日光国立公園内にある戦場ヶ原(せんじょうがはら)は、標高約1390mから1400mに位置し、400ヘクタールもの面積を誇る高層湿原です。戦場ヶ原という地名は、山の神々がこの地を舞台に争いを繰り広げたという伝説に由来しています。 湯滝付近を除けば、全体的に平坦なルートで、2時間ほどで巡ることができるようになっています。各所に展望台が設置され、いろいろな方向から戦場ヶ原を眺めることができます。

戦場ヶ原の見どころ

出典:PIXTA
戦場ヶ原の何よりの見どころは、点在する滝や湖、背後にそびえる男体山など、目まぐるしく変わるその景観です。湿原の大部分はヌマガヤ、ワタスゲなどが生育する中層湿原で、湿原中央部付近にのみ、ヒメミズゴケが群落を作る高層湿原が存在します。

花は6月から8月にかけて咲き、クロミノウグイスカグラ、ワタスゲ、レンゲツツジ、カラマツソウ、ノハナショウブ、ホザキシモツケなどの順に開花します。おすすめは6月。白く揺れるワタスゲが一面に広がる様子は、まさに圧巻です。

戦場ヶ原のmapは日光湯元ビジターセンターをチェック

駐車場情報

県営赤沼駐車場が最も便利ですが、冬期は閉鎖されます。冬や春先に訪れる場合は、三本松園地駐車場などを利用しましょう。

■県営赤沼駐車場
住所|栃木県日光市中宮祠
駐車台数|160台
料金|無料
トイレ|あり

散策前に寄りたい『日光湯元島ビジターセンター』

住所|栃木県日光市湯元
営業時間:9時~16時30分(土・祝前日~17時30分)季節により異なる
定休日:水曜日(定休日が祝日の場合は開館、12月~翌1月平日休)

散策路・道路状況についてチェック!

秘境に迷い込んだような感覚を味わえる「雨竜沼湿原」

出典:PIXTA
北海道雨竜郡雨竜町に位置する雨竜沼(うりゅうぬま)湿原は、暑寒別岳の登山コースの途中に、まるで秘境のようにひっそりとたたずむ山岳型湿原です。湿原までは1時間30分程度の登山となるため、しっかりと装備を整えて出かけましょう。登山道を利用できる期間は短く、例年6月下旬頃から10月上旬頃まで。積雪のある冬期は閉鎖されます。

雨竜沼湿原の見どころ

出典:PIXTA
登山道を抜けて湿原に到着すると、急に視界がひらけ、神秘的な雰囲気をまとった空間が目の前に現れます。山開きの時期には、暑寒別岳などの山々を背景に、ショウジョウバカマやチングルマの花畑が広がり、池塘(ちとう)と呼ばれる大小の沼にはミズバショウが花を咲かせます。また、湿原に続く登山道の途中には白竜の滝があり、こちらも見どころのひとつとなっています。
雨竜沼湿原周辺のmapは雨竜町HPをチェック

駐車場情報

雨竜沼ゲートパーク駐車場を利用します。管理棟で登山届の提出と協力金の支払いを済ませたのち、入山しましょう。

■雨竜沼ゲートパーク駐車場
住所|北海道雨竜郡雨竜町第3町内
駐車台数|150台
料金|無料
トイレ|あり

天候の変化に備え、しっかりとした準備を!

出典:PIXTA
登山に比べて気軽にできる湿原散策も、「自然の中で遊ぶ」という点では登山と変わりありません。散策中に気温や天候の急激な変化に見舞われることもありますので、レインウエアや防寒着の用意は忘れずに。とくに雨竜沼湿原などの山岳型湿原を訪れる際には、登山に準じた装備と心構えが必要となります。
目的の湿原がどのような場所にあり、どれくらいの準備をすれば安心して楽しむことができるのかを事前によく検討してから出かけるようにしましょう!

服装&道具をチェック

楽しみはあなたの足元にも広がっている

出典:PIXTA
今回ご紹介したのは、いずれも日本を代表する、人気の高い湿原です。施設や遊歩道が整っているうえ、雨竜沼湿原を除けばアクセスも良好なところばかりなので、日帰りハイキングもちろん、旅行ついでに訪れても、無理なく楽しむことができます。今年は、足元の草花にも目をやりながら歩く「大人の遠足」に出かけてみてはいかがでしょうか。

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TaK
TaK

編集・ライター業の傍ら、クライミングジムに勤務するアラフォークライマー。長年にわたり、体脂肪率5%以下をキープし続けているが、おそらくは遺伝によるもの。燃費が悪く、すぐにお腹が空きます。

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