湿原 のんびり散歩

一面に広がる絶景!手つかずのダイナミックな自然が魅力の「湿原」でのんびり散歩

登山では、「十分に装備を整え、入念な計画を立てて目標の山に臨む」「山頂を目指してひたすら歩き、計画通りに戻る」ために、登る山に応じた心構えと準備が必要となります。でも、急に思い立って山へ出かけたり、時間や速度を気にせず歩き回ったりできる、もっと気軽な選択肢もほしいところ。そうした要望に答えてくれるのが湿原散策です。見どころ満載でありながら、歩きやすく、アプローチもよい湿原で、思う存分自然を満喫しましょう!

目次

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山小屋や行政・関連機関が発信する最新情報を入手したうえで登山計画を立て、安全登山をしましょう。
アイキャッチ画像出典:PIXTA

山に登らなくても楽しめる大自然

湿原

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山のアクティビティとして、真っ先に候補に挙がるのは登山ですが、なにも登るばかりが山ではありません。日本の山地には、川や湖、高原、湿原など、豊かな自然が広がっています。
登山には「自然に挑む」という側面もあり、それなりの準備が必要となりますが、今回のテーマである湿原ハイキングは、「ゆっくりと自然を楽しむ」ことが一番の目的。山登りからしばらく離れている人や、小さいお子さんと一緒の方でもチャレンジできます。

そもそも湿原って?

山と湿原

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湿原とは、低温で多湿な土地で、枯れた植物の分解が進まず、泥炭地となったところに湿生植物が生育することで形成される草原。
泥炭化が進み、ところどころに盛り上がった部分が見られる高層湿原、地下水位の浅い、湖沼や河川の岸辺に発達する低層湿原など、いくつかの種類があり、種類ごとに特徴的な植生が見られます。

自分のペースでのんびりと自然を味わえる湿原の魅力

黄色く染まった湿原

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散策路も比較的整備されており、登山に比べて体力に自信のない人でも、のんびりと散策できることが一番の魅力。また、場所によっては電車の中から景色を楽しめたり、車を降りてすぐに展望台があったり、時間に合わせて途中で引き返したり、と体力や状況に合わせて様々な楽しみ方ができます。希少な動植物との出会いを楽しむゆとりがあるのもいいですよね。

多くの湿原には近くにビジターセンターなどがあるので、歩き始める前に、観察できる草花や動物、その湿原の成り立ちなどについて予習しておくと、散策の楽しみが大きく広がります。現地に到着したらぜひ立ち寄ってみましょう。

湿原散策のベストシーズンは?

雪の湿原 鶴

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自然そのものを体感することを目的とする湿原ハイキングは、行きたくなったときがベストシーズン。いつ訪れても、四季折々の景色を楽しむことができます。
とはいえ、冬から春先にかけては雪に覆われている湿原も多いため、滑りにくい靴や防寒具など、それなりの用意が必要になります。草花や動物をゆっくりと観察するには、春から秋がおすすめです。

今回は、国内の湿原の中でも、とくにハイカーからの人気が高い5つの湿原をご紹介します。日本を代表する規模の湿原ばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。

日本最大の面積を誇る「釧路湿原」

夏の釧路湿原

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釧路湿原は、北海道の釧路市、標茶町、鶴居村、釧路町の4市町村に広がる日本最大の湿原。その面積は、国内にある湿原全体の実に約3割。ラムサール条約にも登録され、日本だけではなく世界にも認めてられている、日本を代表する湿原です。
湿原の中を大きく蛇行しながら流れる釧路川と、点在する大小の湖沼が、雄大な景観を形成しています。

釧路湿原 マップ

出典:環境省ホームページ(画像をクリックすると大きな画像になります)

一度や二度では回り切れない規模の湿原ですが、10を超える観察・体験施設と5つの展望施設を備え、イベントも頻繁に開催されているので、訪れるたびに新しい発見があります。

釧路湿原のmapは環境省HPをチェック

釧路湿原の見どころ

釧路湿原 植生

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釧路湿原とその周辺には、植物約700種、昆虫類約1100種、魚類38種、両生類・爬虫類9種、鳥類約200種、哺乳類39種と数多くの動植物が生息しています。日本最大の淡水魚であるイトウやキタサンショウウオといった希少種や、国の特別天然記念物であるタンチョウをはじめ、シマフクロウ、ベニマシコなどの多くの鳥類の繁殖地・休息地としても有名です。
また、釧路湿原の名物のひとつが、一面に広がるヤチボウズ。古い株の上に新しい株が根を張り、球状となったスゲ類が群生し、不思議な景観を作り出しています。

駐車場情報

釧路湿原には、展望台やJRの駅ごとに駐車場が整備されています。コースに合わせて駐車場を選択しましょう。
■細岡駐車場
住所|北海道釧路郡釧路町トリトウシ原野南
駐車台数|約60台
料金|無料
トイレ|あり

散策前に寄りたい『温根内(おんねない)ビジターセンター』

釧路湿原の西側に位置し、湿原と森の接点に位置する温根内ビジターセンター

所在地| 〒085-1145 阿寒郡鶴居村温根内
TEL| 0154-65-2323
開館期間| 通年
開館時間| 4月~10月:9時00分~17時00分、11月~3月:9時00分~16時00分
休館日| 火曜日(7/17~9/2は無休)、年末年始(12/29~1/3)
入館料|無料

車から降りたらすぐ絶景が!「八島ヶ原湿原」

夏 八島ヶ原湿原

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霧ヶ峰高原の北西部、長野県諏訪郡下諏訪町にある八島ヶ原湿原は、観光道路であるビーナスライン沿いというアクセスのよさから、高い人気を誇る湿原です。縄文時代の早期には、この土地はまだトウヒの森(※)の中でしたが、その後約1万2千年の時をかけて泥炭層が堆積し、現在の姿になったといわれています。

湿原の周囲を巡るルートは、ゆっくり歩いて1時間30分程度。アップダウン少なめで歩きやすいため、気軽に立ち寄ることができます。ドライブやツーリングの目的地としてもおすすめです。

※トウヒの森:笹ヶ峰高原の妙高山麓に約60ヘクタール広がるドイツトウヒの森。モミの木とともにクリスマスツリーにも使われる「オウシュウトウヒ」が植えられています。

八島ヶ原湿原の見どころ

八島ヶ原湿原 花畑

出典:PIXTA
駐車場そばのトンネルをくぐり、少し歩くと、蝶々深山や車山を背景に、青空を映した八島ヶ池の湖面と湿原の全景が眼前に広がります。
年間約360種類もの植物が開花し、7月中旬から下旬にかけてはニッコウキスゲの花を目当てに訪れるハイカーが多く、7月下旬~8月中旬には木道沿いに咲くシモツケソウの花が見頃となります。
ハイキングmapは八島ビジターセンターをチェック

駐車場情報

八島ビジターセンター「あざみ館」前の八島高原駐車場を利用します。ビジターセンターの開館期間は4月下旬~11月中旬ですが、駐車場は通年で利用できます。満車の場合は、臨時駐車場を利用しましょう。

■八島高原駐車場
住所|長野県諏訪郡下諏訪町八島湿原10618
駐車台数|100台
料金|無料
トイレ|あり

散策前に寄りたい『八島ビジターセンター』

住所|長野県諏訪郡下諏訪町八島湿原10618
電話|0266-52-7000
開館期間|4月下旬~11月中旬(期間中無休)
開館時間|9:30~16:30
料金|入館無料

ミズバショウだけじゃない! 見どころ満載の「尾瀬ヶ原湿原」

尾瀬ヶ原湿原

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群馬、福島、新潟の三県にまたがる尾瀬ヶ原湿原は、燧ケ岳や至仏山などに囲まれた山岳地帯に位置する高層湿原。高山の山容を眺めながら、日本百景のひとつに数えられる壮大な景観の中を歩くことができます。

ただし、行程が長く、天候が急激に変化する可能性もあるため、登山に準じた装備が必要です。途中にベンチなどもたくさん設置されているので、こまめに休憩を挟みながら、自分のペースで楽みましょう。

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