【メーカー担当者にズバリ直撃vol. 5】 “自社ブランド以外”で愛用している山道具をベタ褒めしてください! <patagonia>編
いつも山道具に触れている“審美眼”を持ったアウトドアメーカーの担当者たち。自身が山に行くときのウエアやギアは、どんな風に選んでいるのでしょうか。自社製品はもちろんですが、ライバルメーカーの製品を使う場面もあるのでは!? そこで今回は、<パタゴニア>のプロセールス担当者を直撃! 実は愛用している「他社製品」をぶっちゃけてもらいました!
2022/09/05 更新
制作者
YAMA HACK編集部 荻原
YAMA HACK運営&記事編集担当。もともと旅行が好きだった延長で山へ登るように。山の魅力やワクワクするような山道具など、アウトドアにまつわるあらゆる情報をお届けしていきます。
YAMA HACK編集部 荻原のプロフィール
アイキャッチ画像提供:パタゴニア
「実は、コレ愛用してます」な自社ブランド以外の山道具を教えてください!
ブランドを背負って自社製品の広報活動に日々励んでいる各メーカーの担当者たち。しかし、プライベートな山行では、ライバルでもある他のアウトドアメーカーの製品を使うこともあるのではないでしょうか?

提供:パタゴニア
メーカー担当者が自社ブランドの製品をおすすめするのは当然のこと。ならば、『実は愛用している他社の製品をベタ褒めしてもらおうではないか』というのが当企画なのです。
早速、実際に使っている“自社以外”の山道具を紹介してもらうべく、担当者を直撃しました!
▼前回の記事はこちら
第五弾は、<patagonia>のプロセールス担当・鈴木 啓紀さんがぶっちゃけ!

撮影:YAMA HACK編集部
ズバリ、愛用している他社製品は?

撮影:YAMA HACK編集部(ペツルの「ノミック」)
私が愛用しているのは、<PETZL(ペツル)>のアイスクライミングアックス「ノミック」です。
そうですね。ここ20年くらいは、冬はアイスクライミングやミックスクライミング、夏はマルチピッチとかトラディショナルなクライミングで、数年に1回海外遠征もしています。
【ベタ褒めポイント①】多くのクライマーに支持され続けている信頼性

撮影:YAMA HACK編集部
ノミックが発売されたのは2005年くらいだと思うんですけど、モデルチェンジをしながら、今も多くのガイドやクライマーに愛用されているアックスなんです。
道具の世界には新しいものが出ては消えてというのがあって、特にアックスって変化の激しい道具でもあり、各社様が色んなモデルを投入されています。
そういった中で15年もの間、基本的な構造は変わらずに、多くのクライマーに支持され続けているこの信頼性は大きな魅力ですね。

撮影:YAMA HACK編集部(現行のノミックは、写真のものよりもハンマーが小さく軽量)
ノミックは、テクニカルなゲレンデでのアイスクライミングとミックスクライミングに特化したようなコンセプトでありながら、幅広く山でのクライミングにも使いやすいんです。
基本的なデザインが素晴らしいんだろうな。あらゆるシチュエーションで頼りになります。
オールラウンドに使えるんですね。どのくらい愛用されているんですか?
8年くらい使っていますね。実は、1本なくしてしまったことがあって、片方は2代目です(笑)。
アックスはどれもそうですが、耐久性に優れていて、そう簡単には壊れません。刃の部分は擦り減ってくるので定期的に変えていますが、シャフトの部分はずっとこれを使っています。
長年使っていると、特別な道具になりますよね。色んな所に一緒に行きましたし、ただの道具ではなく、自分の身を守ってくれる相棒のような感情もあります。
【ベタ褒めポイント②】バランスの良さと完成度の高さ

撮影:YAMA HACK編集部
アルパインクライミングって、あまり多くのものを持って行けないんですよね。
クライミングギアや生活用品を含めて、必要最低限の持ち物でなんとかするとなったときに、「どれだけシンプルで使いやすいか」が鍵になると思っています。

撮影:YAMA HACK編集部(現行のノミックは、写真のものよりも石突が大きくなり、より山での使用感が向上している)
なので、細部がどうのというよりは、全体の完成度の高さ、タフなコンディションでも機能を発揮してくれることが大切になってきます。
その点ノミックは
バランスが良くて、道具として完成されている印象です。
シンプルで使いやすく耐久性がある。自分の理想にかなった道具のひとつだと思います。
【ベタ褒めポイント③】引っかけたときの安定感

撮影:YAMA HACK編集部
右手で持っていたアックスを左手に持ち替えるということよくするんですけど、岩に引っかけたり氷に刺して持ち替えるときって、持つ角度がちょっと変わるので、アックスによっては不安定になることがあって怖いんです。
でもノミックは、持ち替えてもすごく安定感がある。緩傾斜の氷がひたすら続くような状況でも、安定して氷に振り込めます。
長年やられていても、怖いと感じる瞬間があるんですね。アルパインクライミングって気軽に始められるものではないなというイメージです…
リスクが高いので、あまり人に積極的におすすめできる趣味ではないなというところはあります。
ただ、ハードルが高いなりの理由があるんじゃないかなと思っていて。そこが魅力のひとつでもあります。

撮影:YAMA HACK編集部
山での生活技術、クライミング技術、判断の力、体力とか、いろんな要素を自分の中に積み重ねて磨いていって、自分の中に高めたそれらの総合力を、大きな対象物にぶつけて、登って生きて帰ってくる。そのプロセス自体が、すごく魅力的でやるに値すると思うんです。
仮に達成できなくても、それを目指して積み上げてきたことは、ある種の人生の大きな豊かさなんだろうなと、この歳になってしみじみ感じています。
ノミックは、そのプロセスをサポートするギアの一つということですね。
ノミックの基本性能の高さ、オールラウンドで使えるデザインの良さ、自分が積み重ねてきたものが合わさって、かけがえのない道具になっています。

提供:鈴木さん(アラスカ ハンター北壁)
多くの山をともにし、自分のクライミング史が刻まれたアックスは、道具を超えたかけがえのない存在です。
PETZL|ノミック
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