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アクティブな人にぴったりの通気性抜群な新素材が登場!

それは、新しい防水透湿素材「フューチャーライト(FUTURELIGHT)」を使用したウェア。今までの素材とは全く違うというその特徴と着心地に興味津々…早速、THE NORTH FACE・プレスルームの株式会社ゴールドウイン・鰐渕さんにお話を聴きに行くことに。
最大の特徴は「通気性」

雪山登山でも、急斜面の登りや快晴無風の状態など、暑さを感じる場面がありますよね。フューチャーライトは身体の蒸れがシェルの外に発散されるので、衣服内環境を一定に保つことができるのです。
フューチャーライトのメンブレン(表生地と裏生地の中間にある防水透湿素材)に使用されている、ポリウレタン繊維の隙間がその秘密。
開発のきっかけは「暑さ」と「寒さ」によるストレス
フューチャーライトの開発は、THE NORTH FACEのアスリートであるアンドレス・マーリンのひらめきがきっかけ。・冷たい雨や強風による寒さから身体を守り
・余分な湿度を逃し常に身体をドライに保ってくれる
という機能を両立させたウェアの必要性を、雨・強風による寒さと照りつける太陽による暑さが繰り返される極限状態でマーリンは感じたのです。
従来のメンブレンは、外気との気温差がないとシェル内側の蒸れが発散されない仕組み。フューチャーライトのメンブレンのまだらな隙間で向上した通気性は、身体の蒸れを発散させます。
これにより、マーリンが必要と感じた機能が実現されたのです。
しなやかさと通気性の良さは雪山登山の行動しやすさに直結!

暑さを感じる場面、従来のハードシェルではフリースなどのミドルレイヤーやシェル自体を脱いで体温調整をしていましたよね。しかしそんな場合でも、フューチャーライトは通気性が良いためウェアの着脱回数を少なくできます。それにより、スピーディーな行動にもつながるでしょう。
雪山登山で体感した”フューチャーライト”の不思議な着心地


検証のために登山したのは室堂の南側にそびえる浄土山。筆者はまず、自身も従来の雪山登山で使用している「ゴアテックス®」のハードシェルを着用して登山して一度下山。その後、「フューチャーライト」のハードシェルに着替えて再び同ルートを登山し、両者の違いを体感しました。
ゴアテックス®ならではの防水・撥水性!しかし、気になる部分も…

しかし、この日は快晴で風も強くなかったため30分程登った段階で暑さを感じ、フリースを脱ぎました。山頂での休憩時には寒さを感じたため、再びフリースを着用してそのまま下山。ゴアテックス®では、ウェアを着脱しての体温調整が必要だったのです。
ただし、トレースのない斜面で膝上までのラッセルをした筆者ですが、下山後に脱いだパンツは完全に乾いた状態。雪まみれの激しい行動にも耐える防水・撥水性を実感できました。
フューチャーライトの”常に暑すぎず寒すぎない”快適さ

1度目の登山では影になっていた斜面にも陽が当たり、気温も上昇。ここで筆者は、従来のレイヤリングでは経験しなかった「暑すぎない・寒すぎない」快適な状態が常に持続するという不思議な感覚を体験しました。
それは…
・暖かいベースレイヤーで身体は保温されている感覚
・ミドルレイヤー(アクティブインサレーション)が身体の発する熱を放出している感覚
・通気性の高いフューチャーライトの内側と外気の気温差が少ないため、暑さを感じにくくなっている感覚
が重なり合ったからです。当然、ウェアの着脱をすることなく、登山を終了することができました。
気温・体感温度の高い場面におすすめのフューチャーライト

ただし悪天候の強風下では、ミドルレイヤーに防風性と保温力の高いものをチョイスしないと寒さを感じるかも知れません。
「フューチャーライト」は…
・好天で日照があり風の弱い状態
・すなわち、気温や体感温度の高い状態
のような場所によって環境変化が激しく、気温差が生じるシチュエーション
がおすすめと言えます。
ゴアテックス®のハードシェルは気温・体感温度の低い場面に有効

・厳冬期の標高が高い雪山で悪天候で風の強い状態
・すなわち、気温や体感温度の低い状態
のような場所に関係なく、常に厳しい寒さにさらされるシチュエーション
では「ゴアテックス®」のハードシェルもおすすめです。
フューチャーライト着用時におすすめのレイヤリング

ベースレイヤーは保温力の高いものをチョイス

通気性の高いフューチャーライトには「HOT」がおすすめ。通気性の低いゴアテックス®のハードシェルなら「WARM」で十分ですが、フューチャーライトだと雪山のコンディションによっては寒さを感じる場合も。身体に密着するベースレイヤーは保温性の高いものをチョイスしてください。
これを着ればトレッキングパンツは夏山用の薄手のモデルでも十分。暑がりの人は、トレッキングパンツなしでベースレイヤーの上にハードシェルを履いても良いでしょう。
ミドルレイヤーは通気性にも優れたアクティブインサレーションをチョイス

THE NORTH FACEの「Ventrix」はポリエステルの中綿とストレッチナイロン生地でストレッチ性もあり、快適ですよ。
「フューチャーライト」の細部をクローズアップ!
「フューチャーライト」にはすぐれた機能の工夫が盛りだくさん!実際に店頭で試着している感覚になってもらえるよう、写真と共に各パーツをご紹介します。《ジャケット》







《パンツ》





環境負荷にも配慮

撥水加工でも従来一般的だったフッ素加工は行っていません。フッ素は分解されにくく環境への残留が懸念されており、特に欧米では規制が強化中。「フューチャーライト」では代わりにプラズマ処理による撥水機能を施しました。
レイヤリング全体を考え直すウェアが”フューチャーライト”

通気性の良いフューチャーライトとの相性を考慮すると、ベースレイヤーは保温性の高いものがおすすめです。
また、ミドルレイヤーはアクティブインサレーションが相性抜群。これがあればフリースは不要になるので、装備の軽量・コンパクト化にもなりますよ。
・暑がりな人やウェアの着脱が面倒な人のハードシェル
・気象条件の穏やかなフィールドから雪山登山を始める人の初めてのハードシェル
として、フューチャーライトをチョイスしてみると良いのではないでしょうか。
FUTURELIGHT|THE NORTH FACE ホームページ
THE NORTH FACE担当者からのメッセージ

FUTURELIGHTはTHE NORTH FACEが提案する今までの素材とは違った新しい素材です。
その素材の特性をこの記事を通してよく知ってもらい、お店で見て、触って、着て、是非フィールドで体感してください。
ライタープロフィール:鷲尾 太輔
(公社)日本山岳ガイド協会認定登山ガイド高尾山の麓・東京都西部出身ながら、花粉症で春の高尾山は苦手。得意分野は読図とコンパスワーク。ツアー登山の企画・引率経験もあり、登山初心者の方に山の楽しさを伝える「山と人を結ぶ架け橋」を目指しています。