今年こそ雪山デビュー!雪山を歩ける登山靴が欲しい
色んな山に登ってきたけど、今年こそ雪山に挑戦してみたい! この時期、そんな事を思っている方も多いのでは? いざ雪山に挑戦するとなると、手持ちの装備の他に、色々と揃える必要が出てきます。
その中でも一番重要で、一番悩んでしまうのが靴。今使ってる靴でも大丈夫? 新しく買った方が良いの? 靴の重要性はもちろん良く解っていても、いざとなると色々と迷ってしまいませんか?
厳冬期用?4シーズン用?どちらが自分に合うか判断するポイント4つ
一口に冬用登山靴といっても、最も雪深い季節の高山でも使用できるような「厳冬期用」から、そこまで高性能ではないが、ある程度の雪山には対応している「4シーズン(3シーズン+積雪期)用」などがあり、そのスペックはメーカーによって様々。「どれぐらいの積雪ならこの靴」というような定義があるわけではないのが現実です。
今回は、ワンタッチアイゼン対応でしっかりと保温材が入っている靴を厳冬期用、セミワンタッチアイゼン対応の靴を4シーズン用と仮に定義し、それぞれの特徴を一覧にまとめてみましたので、解説していきます。
厳冬期用 | 4シーズン(3シーズン+積雪期)用 | |
---|---|---|
暖かさ | ○ | △ |
軽さ | △ | ○ |
アイゼンのタイプ | ワンタッチアイゼン対応 | セミワンタッチアイゼン対応 |
価格 | 約5~8万円 | 約3~5万円 |
「暖かさ」は、厳冬期用に軍配があがる!
初心者向けの雪山として良く紹介される北横岳(八ヶ岳)や丸山(西穂)でも、天候によりマイナス20℃を下回る事も。厳冬期の北アルプスなどを目指す方はもちろんですが、寒さに弱い方にも、しっかりと保温材の入った厳冬期用の靴がおススメです。また雪深い季節、長時間雪をかき分けて(ラッセルして)進むことが想定される場合も厳冬期用の方が良いでしょう。
厳冬期でも森林限界以下、例えば関東なら高水三山(奥多摩)、関西では金剛山などであれば、中敷きや靴下を工夫する事によって、4シーズン用で対応出来る場合もあります。
「軽さ」「足さばき」で考えるなら、4シーズン用がおすすめ
厳冬期用の靴の難点はその重さです。一般的に800グラム以上のものが多く、なかには1000グラム近いものも。アイゼンをつけると更に重さが増し、夏山登山に比べ、足にかかる負担はかなり大きくなります。雪の上を、重い荷物を担いで、いきなり厳冬期用の靴で歩くのは結構大変です。
一方、4シーズン用の登山靴の一般的な重さは600グラム程度。慣れるまで、まずは4シーズン用からスタートするのも良いかもしれません。
「アイゼンとの相性」も考慮する必要がある
靴と同様に大切なのがアイゼンです。どんなに良い靴、良いアイゼンであっても、お互いの相性が悪いとそれぞれの良さが発揮できないばかりか、たいへん危険です。しっかり合う物を選びましょう。
厳冬期用にはコバ(アイゼンの金具を噛ませる溝)が前後に2か所設けてあり、ワンタッチアイゼンを装着できます。ワンタッチアイゼンは前後にレバーがついていて、コバを溝にはめて装着します。
4シーズン用の登山靴はコバが後ろに1か所のみで、セミワンタッチ式のアイゼンを使用できます。ワンタッチ式よりはやや手間がかかりますが、外れにくいというメリットも。
寒い中、分厚い手袋をつけたまま装着することもあるため、購入する前に一度店頭で試し、扱いやすさもチェックした上で決めましょう。
▼アイゼンの種類と違いについて知りたい方はこちらの記事もチェック!
気になる「価格」は…4シーズン用のほうがちょっとだけ安い
雪山をはじめるにあたって、色々な物を揃えなくてはいけません。そうなると、費用も問題に。厳冬期用のブーツの価格は5万円以上が一般的で、4シーズン用に比べて高めです。
「いずれ厳冬期の標高3000m級の山へ」と思っている方にはおススメできませんが、そこまでは考えていない方であれば、4シーズン用を選んで費用を抑えることも。ただ、その場合はいずれ厳冬期用に買い替える必要が生じる可能性もあります。どんな山へ行きたいか、今シーズンだけではなく、この先のことも踏まえて検討しましょう。
雪山1年生におすすめ!厳冬期用&4シーズン用登山靴7選
それでは実際どのような靴がおすすめなのか紹介していきます。
暖かくて高性能!ワンタッチアイゼン対応の厳冬期用登山靴
厳冬期用の靴にはしっかり保温材が入っており、雪の中で長時間過ごした場合など、凍傷になるリスクを軽減してくれます。足先の冷えを感じやすい方は、厳冬期用の方が良いでしょう。
すぐにではなくとも、数年以内には厳冬期の3000m級へ挑戦したいと考えている方、長い距離のラッセルが必要とされる山へ行く可能性のある方、ロープウェイを利用して3000m付近まで上がる丸山(西穂)や木曽駒ケ岳などへ行く可能性のある方には、こちらがオススメ。
スポルティバ ネパール エボ GTX
足幅広めでゆったりさせつつ、足首まわりはきっちりホールド。かかとが浮きにくい構造を採用しています。足の自由度を高める3Dフレックスシステムにより、高い安定性とコントロール性を実現した、雪山で人気の一足です。
スポルティバ ネパール エボ GORE−TEX
素材:[アッパー]ペルワンガー防水レザー3mm、[ライニング]ゴアテックス・インシュレーテッド、[ソール]ビブラム
サイズ:38~48(24cm~30.5cm)
対応アイゼン:ワンタッチアイゼン、セミワンタッチアイゼン、ベルトタイプ
スカルパ モンブランプロ GTX
アッパーとストレッチゲイターを一体化させたモデルです。足首まわりの柔軟なデザインにより、軽さ、フィット感、運動性に優れています。日本仕様は日本人の足にあわせたワイドな足幅を採用しています。
スカルパ モンブランプロ GTX
素材:[アッパー]スエード/S-TEC(ショーラー®)、[ライニング]ゴアテックス・インシュレーテッドコンフォート、[ソール]ビブラム・トータルトラクション
サイズ:#39~#48(24.9cm~30.3cm)
対応アイゼン:ワンタッチアイゼン、セミワンタッチアイゼン、ベルトタイプ
ローバー アルパイン エクスパートGT
厳冬期の雪山にぴったりな機能を兼ね備えたレザーブーツ。ローバーの冬用登山靴の中では最軽量モデル。ライニングにはPrimaloft®400が採用され、ゴアテックスとの組み合わせにより抜群の保温性を誇ります。
ローバー アルパイン エクスパートGT
素材:[アッパー]ペルワンガー・スウェードレザー、[ライニング]ゴアテックスパフォーマンスコンフォート
+プリマロフト®400g/m2、[ソール]ビブラムAlp Trac Ice
サイズ:UK6~11(24.5㎝~29.5㎝)
カラー:ライム×ブラック
対応アイゼン:ワンタッチアイゼン、セミワンタッチアイゼン、ベルトタイプ
モンベル アルパインクルーザー 3000
保温材入りで3000m級の冬期登山にも対応できる、モンベルの最上位の登山靴です。内側には世界最高レベルの防水透湿性を持つ「GORE-TEXデュラサーモ」、アッパーには耐久性と断熱性に優れたスエードレザーを使用し、片足1000グラム以下と軽量化を実現した一足です。
重量:910g(25.5cm・片足)
素材:[アッパー]2.8~3.0mm厚のスエードレザー、[ライニング]GORE-TEXデュラサーモ
サイズ:22.0~29.0
カラー:サンセットオレンジ(SSOG)
対応アイゼン:ワンタッチアイゼン、セミワンタッチアイゼン、ベルトタイプ
使えるシーズンが多い!セミワンタッチアイゼン対応の4シーズン用登山靴
一方、厳冬期でも北アルプスなどではなく、例えば関東なら高水三山(奥多摩)、関西では金剛山などの森林限界以下の山や、初冬や残雪期の北八ヶ岳などを想定されている方なら、4シーズン用という選択肢もあります。
4シーズン用は一年を通して使用できるため、厳冬期用に買い替えた後でも活用でき、無駄になる事も少ないでしょう。
スポルティバ トランゴ アルプ エボ GTX
スポルティバの「トランゴ」シリーズの中でも最上位クラスに位置する登山靴。縫い目を無くし堅牢性と防水性を向上させつつ、レザーならではの軽さと快適さが特徴です。
スポルティバ トランゴアルプエボGTX
素材:[アッパー]ペルワンガー防水レザー2.2mm+サブスキン・インジェクション、[ライニング]ゴアテックス・パフォーマンスコンフォート、[ソール]ビブラム・キューブ
サイズ:38~48(24cm~30.5cm)
対応アイゼン:セミワンタッチアイゼン、ベルトタイプ
スカルパ トリオレ プロ GTX
クライミングに適した足型を採用し、爪先に力を入れやすく、安定した岩稜歩きが可能なモデル。足首部分の柔軟性あるデザインと軽量なソールにより、快適な歩行性を実現しています。
スカルパ トリオレ プロ GTX
素材:[アッパー]撥水スエード/ナイロン、[ライニング]ゴアテックス®、[ソール]ビブラム・ペンタックスプレシジョンXT
サイズ:#39~#47(24.9cm~29.7cm)
対応アイゼン:セミワンタッチアイゼン、ベルトタイプ
ローバー チェベダーレプロ GT
つま先を高めにするソール構造で、不安定な足場でも安定して歩行が可能な1足。足幅にはゆとりがありますが、ホールド性はしっかりしていて、高いグリップ力を誇るソールで安心して歩くことができます。
ローバー チェベダーレ プロGT
素材:[アッパー]スウェードレザー、[ソール]ビブラムDolent Guida Pro
サイズ:UK6~11(24.5㎝~29.5㎝)(ハーフサイズ有)
対応アイゼン:セミワンタッチアイゼン、ベルトタイプ
目指す雪山は? ”私の冬用登山靴”を見つけて、いざ雪山へ!
自分の目指す雪山を思い描きながら、靴をはじめ、必要な装備をしっかり準備しましょう。スペック不足は、寒い思いをするだけではなく、事故にもつながります。
寒さに対する感覚は人それぞれ異なります。厳冬期用の靴だから絶対大丈夫という事もありません。インソールやソックスを工夫するなど、安全に十分配慮して、雪山デビューを楽しんでください。