もちろん写真を撮ることが目的ですが、単純にきれいな風景だから行く、というのではなく自らの好奇心にしたがって自分の足で旅したい土地、見てみたい景色、感じたい空気があることが僕にとっては最も重要なポイントです。
そういう場所は決まって人がほとんど暮らさないような過酷な環境なのですが、そんな世界をとらえた写真だからこそ見た人の心もさらにワクワクすると信じています。
次の旅はアマダブラム!
”アマダブラム”
この名前を聞いて「あぁあそこね」、となった人はかなりの山好きなはず。
アマダブラムは標高6,856m、切り立った山壁が特徴的でヒマラヤで最も美しいとも言われる山です。次の旅は10月に1ヶ月かけてこの山の登頂を目指し、その美しい山容や厳しい環境を撮影してきます。
なぜほとんど知られていないアマダブラムなのか、一番の理由はとても単純で、ものすごくかっこいい山だから。昨年、初めて見たアマダブラムはすぐ近くにあるエベレストやローツェといった8,000m峰にも負けないほど強い存在感を放っていました。
天に向かって鋭く伸びる特徴的な山容や切り立った壁、美しい稜線。あの山をもっと近くで見てみたい、実際に岩壁に触れて、登ってみたい、そして、写真を撮りたい。そんな未知の世界への好奇心がふつふつと沸いてきたのです。
もうひとつ理由はこの登山が自分にとって新しい挑戦だということです。これまで北極圏から南極まで本当に色々な場所を旅してきましたが、それらの旅は安全を考えて一人で完結できるラインを守ってきた旅でした。
今回のような高所登山は選ばれた人だけが行くことができ、自分にはその世界への挑戦は許されないと思っていたのです。ただ、ある時に七大陸最高峰登頂を当時世界最年少で達成した写真家・石川直樹さんと話すことがあり、何気なく言われた一言で心が大きく揺れ動きました。
「登りたくなるでしょ?行ってきなよ。」
これまでエベレストの他にいくつもの8,000m峰を登頂されている石川さんは、本当にさりげなく、さも当たり前かのように「上田くんならできるよ、そして、今までよりもっと厳しい、写真の技術なんて使えなくなるような環境で上田くんが撮った写真を見てみたい」と言うのです。
あまりに簡単に話すので少し戸惑いましたが、その言葉でこれまでのラインがぐっと広がりました。
やってもいないのに出来ないと決めつけないで、その枠から一歩踏み出そうと行動すること、そして未知の世界に入っていくために常に挑戦し続けることが必要だと気付いたのです。
しかも僕はそんな世界を多くの人に伝えたくて活動しているネイチャーフォトグラファー。
もう行くしかない、と強く思いました。
アマダブラムへの挑戦は僕の新しい旅のはじまりです。今まで経験したことのない垂直の旅はこれまで以上に辛く厳しい旅になるでしょう。けれど、この挑戦で出会う経験は写真家としてだけでなく、ひとりの人間としても成長させてくれるものになると思います。
人は未知の世界に強い憧れを抱きます。そして、その憧れが好奇心を生み、想像力を育み、人生をより豊かにしていくのだと思います。これからもそんな心踊る未知の世界を多くの人たちに伝えてくために旅を続けていきます。
アマダブラムでも標高7,000mの希薄な空気や僕の息づかいまで聞こえくるような、きっと何か新しいことに挑戦したくなる写真を撮影してきますので、どうぞご期待ください。
もしネイチャーフォトグラファー上田優紀の写真がもっと見たくなった方はぜひHPかinstagramをチェックしてみてください!
HP: http://yukiueda0225.wixsite.com/photographyportfol
instagram: photographer_yukiueda
▼アマダブラムへの道のりはコチラ
【個展開催のお知らせ】
この紀行文を書いているネイチャーフォトグラファー・上田優紀さんの個展が開催されます。
キヤノンギャラリー銀座: 12月13日〜19日(15日はギャラリートークも予定)
キヤノンギャラリー名古屋: 1月17日〜23日
キヤノンギャラリー大阪: 2月14日〜20日
上田さんが感じるままに撮影したアマ・ダブラムの写真をぜひ身近に感じてみてください!