アイキャッチ画像撮影:上田優紀
あなたにとって「憧れの山」はありますか?
登山初心者なら、多くの人は富士山と答えるでしょうし、ハマっていたら、槍ヶ岳や険しい岩稜地帯が続く剱岳という人がいるかもしれません。はたまた、山よりも、その山にどうアプローチするか?を考える人がいるかもしれません。
ではその山を目指す理由はなんでしょうか?その山が険しいから?美しいから・・・?
はじまりは、2018年7月10日に編集部に届いた1通のメール。
はじめまして。突然のご連絡失礼致します。写真家の上田優紀と申します。
本日は一点、ご相談がありご連絡をさせて頂きました。
丁寧な書きだしで届いたその内容は、上田さんが昨年ヒマラヤで撮影をしていた時に目に留まったある山に魅せられていること、そしてそこを目指すので紀行文を書かせてほしい、というものでした。
“世界で最も美しい山”と評されることもあるその山の魅力、そして憧れのまま終わらせず9月から登頂を目指す上田さんの想いや写真を今後「紀行文」という形で連載していきます。
はじめまして、写真家の上田優紀です。みなさんは「ネイチャーフォトグラファー」という仕事をご存知でしょうか?
大自然や生き物たちの営みを撮影する写真家のことで、彼らの撮影エリアはなんと地球上の全てにまでおよびます。僕もそんなネイチャーフォトグラファーのひとり。1年のうち3〜4ヶ月は捨てたくなるほど重いバックパックを背負い、厳しい自然の中で撮影を行なっています。


しかし、そんな場所にこそ息をすることも忘れてしまうような美しい地球の原風景が広がっています。過酷な環境を、しかも好き好んで旅するちょっとクレイジーなネイチャーフォトグラファー上田優紀の世界を覗いてみませんか?
きっかけは世界一周の旅
今でこそ写真家として活動をしていますが、僕は写真の学校も出ていないし、生まれて初めてカメラを買ったのはかなり遅くて24歳の時。そのきっかけは1年半かけて45カ国を放浪した世界一周の旅でした。


そして、そんな心が動くような未知の世界を多くの人にも伝えていきたいと考えてネイチャーフォトグラファーという道を進むことにしました。
好奇心のおもむくまま
僕は半年に1回のペースで海外に渡り1〜2ヶ月間、撮影を行なっています。そのスタイルは撮影機材も食料もテントも全部ひとりで背負って旅をしながら写真を撮るというもの。荷物は40キロ近くにもなるし、それを背負って標高5,000mの峠を越える場合もあります。自分で選んでそこに行くわけですが、その基準はどれだけ自分の好奇心が反応するか。いつもそれだけです。

ただ、おそらくウユニ塩湖で1ヶ月も過ごした人は世界中どこを探してもほぼいないはず。じゃあ経験しないと撮れない写真もあるだろうし、人間はもちろん生物がほとんど生存できない場所で生活するとどうなるんだろう、と考えると好奇心があふれてきました。

そういう場所は決まって人がほとんど暮らさないような過酷な環境なのですが、そんな世界をとらえた写真だからこそ見た人の心もさらにワクワクすると信じています。
次の旅はアマダブラム!
”アマダブラム”この名前を聞いて「あぁあそこね」、となった人はかなりの山好きなはず。
アマダブラムは標高6,856m、切り立った山壁が特徴的でヒマラヤで最も美しいとも言われる山です。次の旅は10月に1ヶ月かけてこの山の登頂を目指し、その美しい山容や厳しい環境を撮影してきます。

天に向かって鋭く伸びる特徴的な山容や切り立った壁、美しい稜線。あの山をもっと近くで見てみたい、実際に岩壁に触れて、登ってみたい、そして、写真を撮りたい。そんな未知の世界への好奇心がふつふつと沸いてきたのです。

今回のような高所登山は選ばれた人だけが行くことができ、自分にはその世界への挑戦は許されないと思っていたのです。ただ、ある時に七大陸最高峰登頂を当時世界最年少で達成した写真家・石川直樹さんと話すことがあり、何気なく言われた一言で心が大きく揺れ動きました。
「登りたくなるでしょ?行ってきなよ。」
これまでエベレストの他にいくつもの8,000m峰を登頂されている石川さんは、本当にさりげなく、さも当たり前かのように「上田くんならできるよ、そして、今までよりもっと厳しい、写真の技術なんて使えなくなるような環境で上田くんが撮った写真を見てみたい」と言うのです。
あまりに簡単に話すので少し戸惑いましたが、その言葉でこれまでのラインがぐっと広がりました。
やってもいないのに出来ないと決めつけないで、その枠から一歩踏み出そうと行動すること、そして未知の世界に入っていくために常に挑戦し続けることが必要だと気付いたのです。
しかも僕はそんな世界を多くの人に伝えたくて活動しているネイチャーフォトグラファー。
もう行くしかない、と強く思いました。


アマダブラムでも標高7,000mの希薄な空気や僕の息づかいまで聞こえくるような、きっと何か新しいことに挑戦したくなる写真を撮影してきますので、どうぞご期待ください。
もしネイチャーフォトグラファー上田優紀の写真がもっと見たくなった方はぜひHPかinstagramをチェックしてみてください!
HP: http://yukiueda0225.wixsite.com/photographyportfol
instagram: photographer_yukiueda
▼アマダブラムへの道のりはコチラ
【個展開催のお知らせ】

キヤノンギャラリー銀座: 12月13日〜19日(15日はギャラリートークも予定)
キヤノンギャラリー名古屋: 1月17日〜23日
キヤノンギャラリー大阪: 2月14日〜20日
上田さんが感じるままに撮影したアマ・ダブラムの写真をぜひ身近に感じてみてください!