「富士山、登りたいよね・・・ゼロから」
日本人が一度は登りたい山として間違いなく1位になるであろう「富士山」。もはや登山が好きか嫌いかではなく、登ること自体に日本人としての使命感のようなものがありますよね。そんな富士登山の一般的なコースは山梨県と静岡県を合わせると全部で4つあるといわれています。
それぞれの登山口は標高約1500mから約2400mまでさまざま。できるだけ短時間で登るなら出発時間次第で日帰りも可能な静岡県側の「富士宮コース」が人気ですが、登山好きのみなさんなら一度は考えたことがあるのではないでしょうか?
「標高0mから富士山に登る」
・・・ということを。
海抜0mから始める狂気の富士登山ルートが、あった!
「実際に富士山を標高0mから登るにはどんなルートをたどればいいの……?」
ふと疑問に思った編集部が太平洋に面した静岡県側のコースを探したところ、なんと標高0mから富士山を目指す登山コースがあることが判明しました。
その名も「富士山登山ルート3776」。標高差3776m、3泊4日を想定した全長約42㎞のロングコースです。起点となるのは富士市にある「ふじのくに田子の浦みなと公園」と「富士塚」の2つ。ほぼ海抜0mの地点から始まる太平洋沿いのポイントです。
尋常じゃない達成感
このコースを歩くなら、必ずやりたいのが太平洋の海にタッチしてスタートすること。
起点となる2ポイントはどちらも海沿いなので、ぜひ駿河湾から望む富士山を目に焼き付け、海水にタッチしてからスタートするようにしましょう。ここから長い長い富士登山が始まります。
市街地を通るため、序盤の食事は市内の商店街でとるのがオススメ。
富士市はご当地グルメ「つけナポリタン」が名物。歩きながら名店を見つけるのもアリですね。
市街地を抜けたら長い長い林道が続きます。
登山コースとはいえ、実際に荒々しい富士山の道のりを歩くのは5合目以降。大半はアスファルトの道を歩くことになります。
海抜0からスタートして9合5勺の地点。ここまでくれば山頂まであとほんの少しです。
ほんの数日前は遠い海沿いにいたのに、自分の脚だけで雲より高い場所に来るという体験は、普段山登りをしていてもなかなか体験することはないのではないでしょうか?
しかし、ここまでくるとその高度から高山病になる人も出てくるころ。頭痛や吐き気を感じたら無理せず高度を下げるようにしましょう。
ついに山頂・剣ヶ峰に到着!!
たった一つの山を登るのに全行程3泊4日を費やすこのコース。5合目までバスで来て登る富士登山も十分素晴らしいことですが、海抜ゼロから歩いてきた人にとって、この達成感は尋常じゃないはず。
日本で最もキツいスタンプラリー!?
実はこのコース、富士市が2015年の富士山山開きの日に設定したもので、このコースを歩くだけで様々な視点からの富士山の眺望や富士山にまつわる史跡を堪能することができます。
道中の道案内も充実しているため、非常に長距離のルートでありながら誰でも気軽に挑戦できるようになっており、挑戦者数はこれまでに200名以上いるのだそう。
また、このコースの設定に合わせて作られた「ルート3776スタンプラリー」は、起点から山頂までの要所にスタンプを押す場所があり、全部埋めると富士市より記念のバッジと挑戦達成証※1がプレゼントされます。
その行程の長さから「日本で最も過酷なスタンプラリーなんじゃないか!?」と思ってしまいますが、実はこのスタンプ、コースを数回に分割して別日にスタンプしてももらえるとのこと。自分のペースに合わせて楽しめるのはうれしいですよね。
見て良し、登って良し!下山後も絶景富士を堪能
今回紹介したコースを歩けば麓から様々な視点で富士山を眺めることができますが、実は他にも美しい富士山を見られる絶景スポットがあるんです。
田子の浦港からの工場夜景と富士山
スタート地点である「ふじのくに田子の浦みなと公園」のすぐ近くからは富士市のきらめく工場夜景を見ることができます。海岸方面からは暗闇に富士山のシルエットが浮かび上がり、他では見られない唯一無二の工場夜景になっています。
富士市内にはほかにも工場夜景好きにはたまらないスポットがたくさんあるので、ついでに立ち寄ってみるのもオススメです。
龍巌淵の桜と富士山
田子の浦にそそぐ清流・潤井川を少し登ったところにある龍巌淵。この付近は毎年50本以上のソメイヨシノが咲き誇る桜の名所です。
晴れた日には背景に雪をまとった迫力のある富士山を望むことができ、街ゆく人々の足を止めます。
あなたも、挑戦してみる?
桁違いの達成感を味わえる「富士山登山ルート3776」。様々な視点で見る富士山とその歴史に思いをはせながら、この夏こそは挑戦してみませんか?