7時間の予定だった手術は、なんと14時間にも及ぶ長丁場のものに。
全摘出後の再建の中で、血管がなかなか繋がらず時間がかかったようです。
そのせいもあって手術中に一度、意識が戻りました。痛みはなかったのですが、音が聞こえたり、夢を見たり。とても怖かったです。
術後は「歩行リハビリ」からスタート

全身麻酔の際の挿管の影響で、手術が終わった後しばらく声が出ず、立ち上がることも出来なかったangelinaさん。胸、腹部、腕に管が入ったままで、手術側の腕は麻痺してほとんど動きませんでした。その後、歩行器を使って歩く練習がスタート。
乳がんで歩行リハビリをするとは思ってもいなかった。だから、自分がまた元のように歩けるのかさえ不安に感じました。
歩く練習と物を握る練習を続け、退院時には歩行器なしで歩けるようになりました。しかし常にテーピングと傷圧迫用腹帯をつけ、腹部の傷が開かないように前かがみでジワジワ歩くような状態だったそうです。
辛い抗がん剤治療

退院後しばらくは、手術側の腕を首からバンドで吊った状態での生活。傷が開かないように、テーピングと腹帯は数ヶ月間していなければなりませんでした。動くたびに痛みがひどく、ベットの寝起きや着替えには介助が必要だったそう。
抗がん剤が合わない

退院後、通院での抗がん剤治療がスタート。始めてから2週間目に脱毛が始まりました。
病院から脱毛やウィッグの準備については丁寧に説明を受けていたので、事前にショートヘアにしたりウィッグを購入して準備をしていました。
でも、いざ抜け始めるとその脱毛スピードは思った以上に早く、数日でほとんど抜けてひな鳥のような頭になってしまいました。

抗がん剤が体に合わなかったangelinaさん。毎回治療後に倒れ、家でもめまいは続きます。それに加えて、腕の麻痺、体のむくみ、倦怠感、吐き気、手術箇所の痛み、しびれ、皮膚の乾燥、免疫力の低下などの症状に苦しめられることに。
めまいがひどく、階段から落ちたり、車に引かれそうになったり、さらには駅のホームからも転落してしまいました。
不安でたまらなくなり、抗がん剤予定回数を全て終える前に途中で辞めることにしました。
masatさんはangelinaさんの辛い治療をずっとそばで支えていました。
いつも元気に明るくしていましたが、急なめまいや高熱で倒れることもありました。抗がん剤やその後の服用薬による急な体調変化など、なかなか感じとれない事も多く苦労していると感じていました。
現在は、ホルモン投薬に切り替え、治療を続けています。薬の影響で、手足のしびれやツリ、ホットフラッシュ(急に顔が熱くなったり、汗が止まらなくなる症状)、食後低血圧、更年期障害といった症状と闘っています。数年かけて服用を続けることになっているので、副作用にもうまく付き合っていかなければなりません。
週に2回のリハビリへも通い、徐々に腕も動くようになりましたが、まだ麻痺が残っているためリハビリも継続しています。
「また、山に登りたい」

入院中、雁坂小屋のご夫婦や小屋で知り合った山仲間がお見舞いに来てくれたり、お花を贈ってくれました。ヤマレコの方々からもメッセージをいただき、山で繋がった方たちの笑顔や気持ちがとても励みになりました。
その感謝の気持ちも込めて、「また元気に山へ登れるようになりたい」とangelinaさんは強く思います。担当の先生からも「術後、歩けるようになるまでが早いね」と言われました。これも登山を続けていたおかげかもしれません。
