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【最強の山城】戦国ロマンと絶景パノラマ!奈良「高取城跡」を巡る歴史トレッキング

歴史と自然が息づく奈良県南部・東部 奥大和エリア。世界遺産や雄大な山々、伝統文化に彩られた魅力的な地域です。

ただ、「奥大和を歩いてみたい」と思っても、数あるルートの中でどこを選べばいいのか悩んでしまう人も多いもの。山も深く、歴史も豊かな土地だからこそ、最初の一歩を見つけるのは意外と難しいのです。

今回は、そんな奥大和エリアの魅力を肌で感じるべく、メディアツアーに参加してきました。奥大和の魅力を凝縮した2つのルートを歩き、歴史と自然の豊かさを肌で感じてきました。

まずは、歴史ロマンあふれる「高取城跡トレッキング」を中心にご紹介します!

目次

※記事内のクレジット表記のない写真はすべて編集部撮影

世界遺産と伝統文化が息づくフィールド「奥大和エリア」

国見櫓から大和平野を望む。葛城・金剛山系も見渡せる眺望スポット。

奈良の「奥大和(おくやまと)エリア」ってご存じですか?
奈良県の南部・東部に広がるこの地域は、19の市町村からなる自然と文化の宝庫。

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」をはじめ、吉野町や十津川村、宇陀市、川上村など、自然と信仰、歴史が今も息づく地域です。

提供:ジャパンエコトラック

有名どころとしては、桜の名所・吉野山、重要伝統的建造物群保存地区の宇陀松山地区、日本一面積が広い村の十津川村。
さらに修験道の修行の道・大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)やユネスコエコパークに登録されている大台ヶ原など、いずれも“日本の原風景”を感じさせる場所ばかり。

大峯奥駈道コース上、近畿地方最高峰・八経ヶ岳の登山ルートからの眺め

山々や清流、神社仏閣や古い町並みが織りなす風景は、まさに自然と文化の共存。 季節ごとに表情を変える山里を歩けば、古き良き日本の姿と人々の暮らしがそっと見えてきます。

関東からは少し遠い場所にありますが、近年は登山やサイクリング、カヌーなどを通してその魅力を体感できる、心ときめくフィールドとして注目を集めています。

実際に歩いてみた!日本三大山城・高取城跡トレッキング

そんな奥大和エリアの魅力を肌で感じるべく、メディアツアーに参加してきました。見どころは数え切れないほどありますが、今回はこちらの2か所をご紹介!

マップ提供:ジャパンエコトラック
  1. 奈良県高取町:「高取城跡」を目指す山城トレッキング
  2. 奈良県天川村:日本百名山の一つ「八経ヶ岳」登山

まず最初に紹介するのは、日本三大山城のひとつ「高取城跡」を目指す山城トレッキング

高取城・太鼓櫓跡(左側)と新櫓跡(右側)

苔むした石垣や曲輪の跡をたどりながら、戦国時代の面影を残す山城をめぐる歴史ロマンあふれるルート。
高取城は、山頂と麓の高低差(比高)が日本一高く、優れた防御力と広大な規模を誇ることからお城ファンにも人気なんだそう。

※高取城とは
高取城は日本三大山城の一つで、高取城跡は国の史跡に指定されている。
高取山(584m)の山頂に築かれた眺望や威厳を楽しむのではなく、戦うための城、守りに特化した山城で、戦闘で一度も敗れたことのない、日本最強の山城としても有名。
現存する建物はないものの、石塁や石垣は存在し山城の歴史を感じられる名所です。

散策を始める前に、ルートマップをダウンロード

提供:ジャパンエコトラック

「ジャパンエコトラック」って知ってますか?
このジャパンエコトラックとは、「トレッキング・サイクリング・パドルスポーツといった人力による移動手段で、日本各地の豊かで多様な自然を体感し、地域の歴史や文化、人々との交流を楽しむ“新しい旅のスタイル“」のことで、今回旅する奥大和エリアは、令和6年度から登録

このジャパンエコトラックに登録されているエリアの場合、出発前に「ジャパンエコトラック」の公式アプリから、ルートマップのダウンロードが可能。
GPS対応の地図やチェックポイント情報を使って、安全かつ快適に歩くことができます。

ジャパンエコトラックのルートマップは、トイレの場所や観光地情報も掲載されています

今回はこのルートマップを使って、「高取城跡を目指す山城トレッキング」に出かけてみたいと思います。

高取城跡トレッキングルート

出典:ジャパンエコトラック(高取城跡トレッキングルート)

コース概要

❶壺阪山駅 → ❷夢創舘(高取町観光案内所) → ❸高取城跡 → ❹壷阪寺 → ❶壺阪山駅

体力レベル:★★☆☆☆

コースタイムが3時間以上6時間未満

参考:ヤマプラ

技術的難易度:★☆☆☆☆

歩きやすい靴と動きやすい服装が必要

凡例:グレーディング表

壺阪山駅で集合!城下町歩きからスタート

まずは近鉄壺阪山駅に集合。ガイドさんからルートの説明を聞いたら、いざ出発!

駅を出発したら、まずは高取城跡へと続く土佐街道を歩きます。土佐街道は高取町のメインストリート。江戸時代にはなんと、500軒もの商家があったのだとか。

飛鳥時代、大和朝廷の都造りのため駆り出された“土佐の人々”が、帰郷できずに住み着いたことが名前の由来となっています。

高取といえば、くすりの町としても有名。飛鳥時代には推古天皇が聖徳太子や伴を率いて、薬狩りを行ったと伝えられています。

石畳が敷き詰められた土佐街道のあちこちに薬草や花のタイルが埋め込まれており、薬効を見ながら歩くのも楽しい!

白壁と格子窓が並ぶ通りは、古の面影を色濃く残す風情たっぷりの道。途中で地元の方が「いってらっしゃい」と声をかけてくださり、温かい町の雰囲気に心が和みます。

いよいよ山道。石段を登りながら天空の城跡へ

駅から1時間ほど歩くと、高取城跡の登山道入り口に到着。高取城は山頂と麓の高低差390mと日本一の比高ゆえに、“難攻不落”とも言われた名城

いくつものカーブを繰り返しながら山を登る「七曲り」や、勾配のきつい「一升坂」といった道が続きます。
この一升坂、言い伝えでは高取城の石垣整備の際、“石を運ぶときつい坂のため手当が米一升ついた”という話が残っています。

かつてこの城を攻める武将たちは息を切らしながら慎重に進み、守る側は上から矢を放ち石を転がして迎え撃ったといいます。そんな戦の緊迫した空気を感じながら歩けば、まるで戦国時代の一場面に迷い込んだよう。

飛鳥時代に作られたとされていますが詳細は不明。

明日香村からの合流地点で「猿石」に出会いました。もとは飛鳥の地にあったとされる石像で、高取城建築の際、石垣に転用するために運ばれてきたのだとか。

愛嬌ある表情がなんとも可愛らしく、登山の合間に思わず笑みがこぼれます。

山頂に向かう前に立ち寄ったのは、登山道脇の「国見櫓跡(くにみやぐらあと)」。かつて城を守る武士たちが敵を見張った場所ですが、今は大和平野や葛城山・金剛山系の大パノラマを楽しめる絶景スポットに。

いよいよ山頂。圧倒的な存在感の高取城跡

本丸天守台石垣

山頂エリアにたどり着くと目に入るのは、どっしりと構える本丸天守台石垣。築城当時の面影を今に残す堂々たる姿は、圧倒的な存在感を放ちます。

キュートな木彫りのくまがお出迎え。本丸まであと少し!
石垣の隅は強度の高い「算木積み」。長短の石材を交互に積み上げ、ガチッと組み合わさった直線的な姿が美しい。

石を積み上げた職人の技と、戦国時代の城の堅牢さを想像しながら本丸天守台の上へ向けて歩みを進めます。

苔むした二の丸大手門の石垣を眺め、かつての武将たちの息遣いを感じる。

登りきった時には、達成感とともに「重たい甲冑を身につけて、こんな城を攻めるのは至難の業だっただろう」と、かつての武将たちへの敬意が湧いてきました。

「ヤマトの柿の葉寿司」7種類。意外にも人気を集めていたのは「しいたけ」でした。甘辛の味付けがたまらない!

天守台の上でひと息つき、ランチタイム。山ごはんは、奈良の郷土料理・柿の葉寿司です。
気持ちのいい風が通る山頂での時間を満喫したら、ゴールの壺阪山駅に向かって下山開始。

迫力ある羅漢岩

高取城跡から40分ほど下った先に現れたのは「五百羅漢岩」。岩肌一面に刻まれた無数の石仏は、数百年前の信仰と職人の技が息づく壮観な光景。
ひとつひとつ異なる表情をもつ羅漢像たちは、幽玄な空気を漂わせ、まるで岩そのものが見守っているかのよう。

壷阪寺は西国三十三所第六番札所の寺院。眼病封じにご利益のあるお寺としても知られています。

一旦舗装路に出ると、遠くに朱色の伽藍が目を惹く「壷阪寺」が見えてきました。国の重要文化財に指定されている礼堂や三重塔、天竺渡来の大観音石像など見どころがたくさん。
今回は立ち寄りませんでしたが、いつか足を運んでみたい場所です。

壷阪寺から再び静かな杉林の道が続き、山の余韻に浸りながら歩けばやがて道は土佐街道に合流。昔ながらの町並みが続く情緒ある道筋をたどりながら駅へと戻ります。

夢創舘(高取町観光案内所)には「薬のまち」ならではのバンドエイドやのど飴のお土産がずらり。レトロなパッケージに思わずあれもこれも欲しくなっちゃう!

最後に「夢創舘(高取町観光案内所)」へ立ち寄り、地元の特産品やお土産をチェック。
ここでしか手に入らない雑貨やお菓子を選ぶひとときも、城下町トレッキングの魅力のひとつです。

名所や歴史的建造物にお土産も

城下町の面影を残しながらも静かな雰囲気につつまれた町並みには、江戸時代から続く建物が立ち並んでいます。今も現役で使われているものが多く、まるでタイムスリップしたかのよう。歴史に触れられるスポットもお見逃しなく!

▼観光案内所「夢創舘」

大正時代に呉服屋として栄えた旧山崎邸を改修した建物の観光案内所「夢創舘」。ギャラリーや資料展示のほか、地場産品のお土産コーナーも充実しています。

レトロなパッケージののど飴や瓢箪型のミネラルウォーターなど、見ているだけでもワクワクするアイテムが並び、休憩やお土産購入に立ち寄るのにもぴったりです。なお、開館時間は9:30~16:30(年末年始休館)。

▼くすり資料館

観光案内所「夢創舘」の蔵はくすり資料館になっています。薬の歴史や懐かしのパッケージなど見どころ満載。無料で見学できるほか、トイレもあるので小休止するのにも最適。

▼県重要文化財植村家長屋門」

漆喰で塗り固められた「なまこ壁」が美しい旧高取藩の筆頭家老屋敷
県重要文化財に指定されている、近代武家屋敷表門の遺構を残している貴重な建物です。なお、現在も居宅として利用中。

▼今回訪れた名所や、今回は立ち寄れなかったけど気になった飲食店をマップにまとめてみました

期間限定「奥大和デジタルスタンプラリー」開催中!

スタート前にスタンプラリーへのエントリーをお忘れなく!

ジャパンエコトラックでは、奥大和の各ルートを歩いてスマホでスタンプを集めることで、旅の記録を残しながら楽しむことができるデジタルスタンプラリーを開催中。

今回歩いた「高取城跡」はジャパンエコトラック新規登録コースで、デジタルスタンプラリー対象ルートです。

開催期間:2025年8月29日(金)~2026年2月1日(日)
概要:「ジャパンエコトラック奥大和」に登録されているサイクリング・トレッキングルートを含む対象ルートを1回完走し、デジタルスタンプを集めてアンケートに答えるごとに、奥大和地域の特産品やアウトドア用品が当たるプレゼント抽選に応募できます。

<参加方法>

  1. 「ジャパンエコトラック」アプリをダウンロードしてログイン
  2. アプリ内の特設ページからエントリー
  3. 対象ルートを完走
  4. アンケートに回答して応募

歴史と自然が息づく「奥大和」を歩いてみよう

今回の城下町散策に山城トレッキングは歴史や自然を感じる見どころ満載で、1日で奥大和の魅力をぎゅっと体感できる贅沢なコースでした。

本格的な登山ではありませんが、山城トレッキングとしては歩きごたえも十分!
歴史ロマンあふれる高取城跡を歩いたことで、次は奥大和の他のトレッキングルートも歩いてみたい、そんな気持ちがさらに高まりました。

ぜひ一度、奥大和の歴史と自然を体感しに出かけてみてください!

取材協力:モンベル