アイキャッチ撮影:筆者(以下、すべて同じ)
ミステリーランチから軽さを打ち出した注目のバックパック

アメリカの人気バックパックブランド<ミステリーランチ>から、従来のブランドイメージと一線を画す、新しいコンセプトのバックパック「レイディックス」シリーズが2024年に登場しました。
ミステリーランチといえば、本体の重量が多少重くなっても、背負い心地や耐久性を重視したモノづくりが印象的なブランド。特にサイズの大きい中〜大型ザックに関しては、質実剛健という言葉がよく似合うほど、しっかりした作りが目立ちます。
ですが、今回レイディックスの開発で意識されたのは「より軽く」。プロダクトコンセプトは、軽さだけでなく「より速く、そしてより強く」と続きますが、軽さに主眼を置いて作られているところは、ミステリーランチが手掛けるバックパックとしては異色の存在といえるでしょう。
メイン素材で軽量化!

レイディックスシリーズの軽さの秘密は、メイン素材にあります。使われているのは、テクニカルウルトラPEバードアイ(超高分子量ポリエチレンと210Dナイロンを混織した生地)と100Dロービックナイロンリップストップ。いずれも軽さと丈夫さが特長の素材です。
トップリッドとダメージを受けやすいボトム部分に、より強度の高いテクニカウルトラPEバードアイを採用し、そのほかのパネルには100Dロービックナイロンリップストップを二重にして使用。素材の配置や使い方から、軽さを追求しつつ丈夫さをキープしようとする創り手の意図が垣間見えます。
使いやすい機能を多数搭載
的確な素材使いで、軽さと丈夫さのバランスに優れるレイディックスは、使い勝手を左右するギミックを豊富に備えます。ここからはレイディックス31を例に、主な機能を見ていきましょう。
オフセンタージッパーで荷物を取り出しやすい

メイン荷室は、フロントの表面から位置をずらしたオフセンタージッパーで、上から下まで大きく開くことが可能。下部にパッキングした荷物にアクセスしやすく、上から荷物をひとつずつ取り出す手間が省けます。
大きめのサイドポケットでボトルやポールを余裕で運搬

両サイドにあるポケットは、500mlのボトルを入れてもまだ余裕があるほど大容量。斜めにデザインされた開口部で荷物を入れやすく、テントのポールやトレッキングポールなどを差し込み、サイドストラップで固定して持ち運ぶこともできます。
フロントポケットはジャケットの収納などに便利

メイン荷室の表面には、筒状の大型ポケットを配置。下部に水を排出するドレインホールがあけられているので、使用済みのレインジャケットやレインパンツなど、濡れているアイテムの収納に役立ちます。
ヒップポケットはスマートフォンや行動食の収納にぴったり

ヒップベルトにもポケットを標準装備。滑らかなジッパーは片手で簡単に開けることができ、スマートフォンや行動食のほか、日焼け止めや手袋など、すぐに取り出したいアイテムを効率よく管理できます。
でも待って! 本体重量1.4kgって重たくない!?

冒頭、レイディックスは軽さを意識したバックパックだと紹介しました。ただ、公表されている重量を見ると、レイディックス31の本体重量は1.4kgもあり(実際に量ってみると1.45kgありました)、近ごろのULパックと比較すると「これで軽いってどういうこと?」と思ってしまいます。
しかし、ミステリーランチにとってこの重量は想定の範囲内。レイディックスはグラム数を削ることだけに囚われず、従来通り背負い心地を大切にすることで、背負ったときに軽さを感じられるように意識して開発された背景があるからです。
レイディックスは、単に本体重量が軽いだけでなく、背負い心地の良さをもって軽いと感じることができる、ミステリーランチらしい軽量パックなのです。