高品質ダウンメーカー<ナンガ>から冬季登山向けウェアが登場!
いまやアウトドアの域を越えて、カジュアルシーンでも注目を集めている日本のダウンメーカー<NANGA(ナンガ)>。国内で洗浄されたこだわりの高品質ダウンを使い、手がける製品のクオリティも折り紙付き。修理体制も万全で、大切なアイテムを長年使い続けられる安心感の高さも、ナンガの製品が生まれ持つ特徴のひとつです。
そんなナンガから2022年秋冬シーズン、初冬から残雪期まで幅広い冬季登山で活躍する、まったく新しいダウンウェアが発表されました。
山岳ガイドをアンバサダーに迎えて誕生した渾身作!
「ミニマリスムダウン」と名付けられた新シリーズは、フードが付かない「ジップブルゾン」、フーディタイプの「ジップパーカ」、そして「パンツ」の3アイテムをラインナップ。
開発にあたっては、国内外で活躍する山岳ガイド倉岡裕之氏に協力を依頼。他のダウンウェアには類を見ないほど、エッジが効いたアイテムに仕上がっています。
まずは共通する「換気機能」「超撥水ダウン」「極薄生地」をチェック!
「ミニマリスムダウン」シリーズの3アイテムには、共通する特徴が3つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
①行動を快適にするベンチレーション
一般的にダウンウェアは、休憩中に体温の低下を防ぐアイテムという位置付けのモデルが多いもの。そのなかで「ミニマリスムダウン」は、行動中に使うことまで考えられている点が、他のダウンウェアとかなり異なるポイントです。
想定した使用用途を落とし込んだ機能が、ジャケットとパンツにそれぞれデザインしたベンチレーション。ウェア内の空気の循環を促し、体温を行動に適した状態に保つ仕様は、市場に並ぶダウンウェアのなかでも特質といえます。
ジャケットの脇下に配置したべンチレーションは、3つのジッパーで開閉する珍しい仕様。開閉幅を調えることで、細かな体温調節が可能です。
パンツのベンチレーションは両脚の大腿部にデザイン。長いファスナーを下ろすと、ウェア内部の熱を逃すメッシュパネルが現れます。
超撥水加工済みの900FPダックダウンで水に強い!
ベンチレーション機能の紹介を読みながら、どうして市場には休憩中の使用を想定したダウンウェアが多いのか、気になった方がいるかもしれません。そこには、湿気で保温性が低下してしまうダウンの弱点が関係しています。
ダウン製品の最大の特徴は、重量比における保温性の高さです。そして、その保温性は空気の層を生み出すロフト(羽毛のかさ)によって確立されています。しかし、ダウンが水気に触れるとロフトが減少。結果、肝心の保温性も著しく低下してしまいます。
そこで「ミニマリスムダウン」は、ダウン自体に撥水加工を施した“超撥水ダウン”を採用。行動中に生じる湿気に対して優れた耐性をもち、高い保温性を保ち続けます。
7D×7Dの極薄ミニリップストップナイロンでとっても軽い!
さらに、「ミニマリスムダウン」は、行動中の着心地にもこだわり、表生地と裏生地に超軽量の7×7デニールミニリップストップナイロンを使って仕立てられました。
「デニール」とは、糸の質量を表す単位のことで、9,000mあたり1g=1デニール。つまり、7デーニルというのは、9,000mもの長さがあっても質量はたったの7gしかない糸ということ。
そんな極細糸で作られた生地はしなやかさも兼ね備え、着心地は驚くほど柔らか。羽毛のロフト感と相まって、まるで空気の層を纏っているかのような心地良さすらありました。
超撥水性は本物? 水没テストで確かめてみた
高い保温性を備えつつ行動中の使い勝手にもフォーカスした、いままでにない「ミニマリスムダウン」。ただ、ベンチレーションと着心地は具体的に確かめられたものの、ダウンの超撥水性については少々疑念が残ります。
湿気が多い状況で、本当にロフトはキープされるのでしょうか?
そこで今回は、クリアケースに水を溜めて袖を水没させるテストを実施。実際に水で濡らして撥水性の高さを確かめてみようというわけです。
当初、すぐに水分を吸い込んで、ヘタってしまう様子を想像していました。
「残念なテスト結果をどのように記事化すればいいのだろう……。」
そんな心配を抱きながら思い切って袖を水没させると、水を吸い込まないどころか、沈めても沈めても自然と水面に浮かんでくるではないですか。それはまるで、空気で膨らむ風船のよう。これでは写真を撮るのも一苦労です。
予想外の結果に手間取りながら、力ずくで何度も水没させてみたものの、メーカーの説明どおり超撥水ダウンは水を含まず、水没前と後を比べてみても、膨らみに変化を確認することはできませんでした。
「ミニマリスムダウン」は湿気った状況でもロフトを保ち、高い保温性を発揮します。この特徴は伊達ではないと言えそうです。
3モデルのディテールを公開!
「ミニマリスムダウン」の根幹ともいえる3つの特徴を確かめたところで、シリーズに含まれる3アイテムのディテールを見ていきましょう。道具としての使い勝手を意識し尽くした、細かな機能に注目です。
ミニマリスムダウン ジップブルゾン
特徴1/収納力に優れる4つのポケット
ハンドポケットとチェストポケットを、それぞれふたつずつ搭載。チェストポケットは横に開く仕様で、中に入れた小物を落とすトラブルを軽減します。抜群の収納力で、使用頻度が高い小物を機能的に整理可能です。
特徴2/ジッパープルでグローブをしたまま操作しやすい
フロントファスナー、各ポケット、脇下のベンチレーション、そのすべてのジッパーに取り付けられているナイロンコードは、冬季登山グローブをしたままでも操作しやすいように配慮した賜物。ユーザーに対する気遣いが見て取れます。
特徴3/ポケットの内側は保温力の高い起毛トリコット
ポケットの内側にはすべて起毛するトリコット素材が配置されていました。例えば山小屋でグローブを外して素手になったとき、指先が冷えることもあるでしょう。そんなとき、ポケットに手を入れて暖めることができます。
特徴4/袖口は手首にフィットするストレッチカフ
袖口はベルクロテープでまとめる仕様ではなく、ゴムバンドを縫い付けたストレッチカフと呼ばれるデザインを採用。手首に優しくフィットしつつ、ハードシェルを重ねたときに袖口がごわつくストレスがありません。
特徴5/首元の冷たさを防ぐチンガード
フロントファスナーを閉めたとき、ジッパーの金属部分が首元に触れて冷たさを感じないように、肌面にチンカードを配置。ジッパーを遮る生地は裾まで続き、冷気の侵入を軽減するウインドフラップとしても機能します。
ナンガ ミニマリスムダウン ジップブルゾン
素材 | [表・裏生地]7×7dn ミニリップストップナイロン [ダウン]UDD DX:スペイン産ダックダウン 90-10%(770FP)超撥水加 |
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羽毛量 | 約50g |
サイズ | S〜XL |
カラー | BLK×BLK、BLK×L.GRY、L.GRY×TQS |
ミニマリスムダウン ジップパーカ
特徴/ゆったりサイズのフードで暖かさアップ
フードはフロントファスナーを下げなくても被れるほど、ゆったりしたサイズ感。ちなみにへルメットの上から試してみると、少しだけ首回りは突っ張るものの、想像していたよりストレスを感じずに被ることができました。
ナンガ ミニマリスムダウン ジップパーカ
素材 | [表・裏生地]7×7dn ミニリップストップナイロン [ダウン]UDD DX:スペイン産ダックダウン 90-10%(770FP)超撥水加工 |
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羽毛量 | 約50g |
サイズ | S〜XL |
カラー | BLK×BLK、BLK×L.GRY、L.GRY×TQS |
ミニマリスムダウン パンツ
特徴1/サイドファスナーで靴を履いたまま着脱可能
ベンチレーションファスナーとは別に、ウエストから裾までとどくサイドファスナーを両脚に搭載。上下にあるジッパーを操作することでパンツがガバッと開き、完全に切り離すことが可能です。靴やアイゼンを身に付けたままでも容易に着脱できます。
特徴2/腰回りはゴムバンドでフィット
ゴムバンドを組み合わせたウエストは伸縮性に優れ、腰に優しくフィットします。ただ、痩せ型の筆者にとってはぶかぶかしてしまい、ちょっと残念な結果に。できることなら、両側のベルクロテープでウエストサイズを調整できる機能が欲しかったなぁ……と。
ナンガ ミニマリスムダウン パンツ
素材 | [表・裏生地]7×7dn ミニリップストップナイロン [ダウン]UDD DX:スペイン産ダックダウン 90-10%(770FP)超撥水加工 |
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羽毛量 | 約70g |
サイズ | S〜XL |
カラー | BLK×BLK、BLK×L.GRY、L.GRY×TQS |
ミッドレイヤーの風雲児? コスパの高さも要チェック!
ナンガの「ミニマリスムダウン」シリーズは、ベンチレーションを搭載し、超撥水性ダウンを使った、冬季の行動中にも使えるダウンウェア。極薄生地で作られているため、着心地が軽やかで、コンパクトに収納できる点も特徴です。
冬季登山のミドルレイヤーは、フリースやアクティブインサレーションが一般的ですが、「ミニマリスムダウン」シリーズはそこに、新しい風を吹き込むアイテムになりそう。無雪期は保温着として使い回せることまで考えると、意外とコストパフォーマンスが高いウェアとも言えそうです!