陽射しの強い環境下で長時間行動する晴れた日の登山では、日焼け止めクリームの使用など紫外線対策は欠かせません。けれども紫外線でダメージを受けるのは肌だけではないのです。
裸眼のまま強い紫外線に長時間晒されると、目が充血・乾燥したり、異物感や光のチラつきが起こったり、果ては涙が止まらなくなったり目を開けることすらできなくなることも。雪面からの紫外線の反射も加わることで、雪山登山で起こりやすい「雪目(電気性眼炎)」はその代表的な症状です。
森林限界を超え陽射しをさえぎる高い樹木のない高山、そんな強い紫外線に晒される環境下で長時間行動するのが夏山登山です。サングラスの使用は、目を日焼けから守るために有用といえるでしょう。
総評
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アックス|ASP-495

撮影:竹田 誉之(アックス・ASP-495)
①フィット感 | ★★★★★ |
②視認性 | ★★★★☆ |
③視野の広さ | ★★★★☆ |
④耐久性 | ★★☆☆☆ |
⑤携行性 | ★★☆☆☆ |
抜群のフィット感と自然な視認性・広い視野で、登山においてしっかりと機能を果たしてくれるモデル。実測22gと今回検証したスポーツタイプサングラスの中では最軽量です。
レンズ越しの視野を広げるため両端が飛び出している点とソフトケースのみの付属という点で耐久性・携行性は低評価でしたが、通常に使用する分には問題なしといえるでしょう。
■検証レンズ:偏光スモーク×シルバーミラー
■可視光線透過率:12%
■紫外線透過率:1.0%以下
■レンズカーブ:8カーブ
エアフライ|AF-305 偏光レンズ組込みセット

撮影:竹田 誉之(エアフライ・AF-305 偏光レンズ組込みセット)
①フィット感 | ★★★★☆ |
②視認性 | ★★★★★ |
③視野の広さ | ★★★☆☆ |
④耐久性 | ★★★★☆ |
⑤携行性 | ★★★☆☆ |
ノーズパッドレス、ゴム製のサイドパッドを利用して頬骨上部で支える形状が独創的。サングラスで個性を演出したい人にもおすすめです。一方で、テンプルで顔を挟まれるような独特なかけ心地に慣れは必要で、ラウンドが強いためテンプル・モダンを広げて着脱する必要があります。
ただしモダンの曲がり具合が調整でき、フィット感をさらに上げることも可能。そしてレンズ越しの景色のきれいさは抜群。ノーズパッドが視界に入る心配もなく、違和感なく登山を楽しむことができるでしょう。
■検証レンズ:偏光グレー
■可視光線透過率:24%
■紫外線透過率:0.1%以下
■レンズカーブ:7カーブ
オークリー|Flak® 2.0 XL

撮影:竹田 誉之(オークリー・Flak® 2.0 XL)
①フィット感 | ★★★☆☆ |
②視認性 | ★★★☆☆ |
③視野の広さ | ★★★☆☆ |
④耐久性 | ★★★★★ |
⑤携行性 | ★★★★☆ |
厚みのあるフレーム・テンプルによってもたらされる剛性感・安定感が最大の魅力。テンプルを開閉時に「カチッ」と止まる操作感は、さすがのオークリー品質です。
暗めの視認性で評価を下げましたが、コントラストがはっきりとし、景色や登山道の認識のしやすさは頼りになります。
可視光線透過率11%は今回検証したスポーツタイプサングラスの中でもっとも低い数値。サングラスが欠かせない陽射しの強い高山や晴天の雪山では、むしろ心強いスペックといえるでしょう。
■検証レンズ:プリズムブラックポラライズド
■可視光線透過率:11%
■紫外線透過率:1.0%以下
■レンズカーブ:8カーブ
スワンズ|SPB-0151 MEBL SPRINGBOK 偏光レンズモデル

撮影:竹田 誉之(スワンズ・SPB-0151 MEBL SPRINGBOK 偏光レンズモデル)
①フィット感 | ★★★☆☆ |
②視認性 | ★★★☆☆ |
③視野の広さ | ★★★☆☆ |
④耐久性 | ★★★☆☆ |
⑤携行性 | ★★★★★ |
本体・ケースともにコンパクトさが魅力。ザックの中でも邪魔にならず、安心して収納可能です。ダークブルーのフレーム・テンプルも、さりげない個性を演出しておりファッショナブルなデザイン。
まっすぐなフレーム・テンプルは頭の小さい人にとっては気になりますが、あくまでも外見上の問題。モダンの先まで厚みのあるゴム素材のため、下を向いてもずり落ちることはなく、良好なフィット感はきちんと確保されています。
スワンズ
SPRINGBOK 偏光レンズ SPB-0151 MEBL
■検証レンズ:偏光スモーク
■可視光線透過率:27%
■紫外線透過率:0.1%以下
■レンズカーブ:8カーブ
ゾフ|Zoff SPORTS (偏光レンズ搭載) ZC191G05-14E1

撮影:竹田 誉之(ゾフ・Zoff SPORTS (偏光レンズ搭載) ZC191G05-14E1)
①フィット感 | ★★☆☆☆ |
②視認性 | ★★★☆☆ |
③視野の広さ | ★★★★★ |
④耐久性 | ★★★★☆ |
⑤携行性 | ★★☆☆☆ |
今回検証したスポーツタイプサングラスの中で、レンズ幅は最大。可視光線透過率も低く、視野の大半をまぶしさからカバーしてくれます。
大きめのサイズ感のため、顔の輪郭によってフィット感に差が生まれそうです。女性編集部員には大きく、動くと下がってきてしまう結果に。筆者は顔が大きいため、このモデルがもっとも似合っていると感じました。
重くしっかりした作りながら、きちんと閉まらないケースがとにかく残念。価格面を考慮すると、仕方のない部分かもしれませんね。
■検証レンズ:グレー/偏光ミラーレンズ
■可視光線透過率:13%
■紫外線透過率:0.1%以下
検証結果
検証①|形状とフィット感

撮影:竹田 誉之(各モデルの正面・横・上からの外観とノーズパッド)※画像クリックで拡大可
「アックス」と「エアフライ」は、モダン末端の内側へのラウンドが強い形状。「オークリー」と「スワンズ」はテンプルとモダンが一体化したまっすぐな形状。ゾフはモダンがわずかに下にラウンドしています。
レンズとノーズパッドで特徴的なのが、「エアフライ」。他の4モデルはブリッジで左右に分割されていますが、こちらは左右一体型。レンズの高さも他モデルを抜きん出ており、より広い範囲をカバーしてくれます。
そして何といっても特徴的なのがノーズパッド。他の4モデルはゴム製のノーズパッドですが、「エアフライ」はノーズパッドなし。テンプルの根元から飛び出したゴム製のサイドパッドを利用して、頬骨上部で支えるという世界初のモデルです。

撮影:竹田 誉之(各モデルの着用イメージ)※画像クリックで拡大可
「アックス」はモダン末端の内側への強いラウンドが貢献し、抜群のフィット感とホールド感。
「エアフライ」は製品情報にも記載の通り、頬骨で支えるかけ心地に慣れるまでに時間が必要。しかしノーズパッドレスのため、鼻腔が圧迫されず汗でずり落ちることもなさそうです。
「オークリー」と「スワンズ」はテンプル・モダンがまっすぐなため、モダンの先端が耳の後ろに飛び出した状態に。髪が短い人や髪を後ろで束ねた場合に、見た目に少し違和感がありますが、フィット感は良好。
また、「オークリー」と「アックス」はモダンの先端に向かって細くなっており、かつ髪に引っかからない素材のため着脱が非常にスムーズでストレスフリー。
「ゾフ」はノーズパッドが広いため鼻へのフィット感が低め。顔を上下に揺らすとズレてしまいました。
フィット感 |
アックス | ★★★★★ |
エアフライ | ★★★★☆ |
オークリー | ★★★☆☆ |
スワンズ | ★★★☆☆ |
ゾフ | ★★☆☆☆ |
検証②|視認性

撮影:竹田 誉之(各モデルの視認性)
視認性は「エアフライ」が断トツ。眩しさだけをきれいにカットし、自然な色合いでくっきりした景色を楽しむことが可能でした。
「アックス」も可視光線透過率は低めながら、レンズ色が薄く良好な視界を確保。エアフライに次ぐきれいな景色をレンズ越しでも視認できます。
「スワンズ」と「ゾフ」はレンズが少しイエローがかっており、特に青空のきれいさが若干損なわれる印象。
「オークリー」は可視光線透過率が低くレンズ色も濃いめ。木陰など暗い場所に目を移した時に、一気に視界が暗くなってしまいます。ただし、コントラストがはっきりとしたクリアな視界を楽しめるので、快晴の森林限界上に限れば快適かもしれません。
視認性 |
アックス | ★★★★☆ |
エアフライ | ★★★★★ |
オークリー | ★★★☆☆ |
スワンズ | ★★★☆☆ |
ゾフ | ★★★☆☆ |
検証③|視野の広さ

撮影:竹田 誉之(各モデルの視野の広さ)
視野の広さはレンズの横幅のもっとも大きな「ゾフ」がトップ。左右まで広範囲をレンズがカバーしてくれます。
「アックス」はレンズ端に切れ込みを入れてレンズの横幅を長くしているため、ゾフに次ぐ視界の広さを確保。
「オークリー」と「スワンズ」はそもそもレンズの横幅が小さく、左右を見た時に視界全体をレンズでカバーできない範囲が多め。また、オークリーはレンズ下部が四角い形状のため、足元を見た際にレンズ下のラインが視界に入るのがやや気になります。
「エアフライ」は特徴であるサイドパッドが視界に入って気になりますが、レンズの縦幅が大きいため、足元の見やすさは断トツでした。
視野の広さ |
アックス | ★★★★☆ |
エアフライ | ★★★☆☆ |
オークリー | ★★★☆☆ |
スワンズ | ★★★☆☆ |
ゾフ | ★★★★★ |
検証④|耐久性

撮影:竹田 誉之(各モデルのレンズの厚み・テンプルの厚みと幅)※画像クリックで拡大可
「オークリー」はフレームやテンプルに厚みがあり、テンプルの大部分がゴム製のカバーで覆われていため、耐久性においては安心感あり。
「エアフライ」は薄めながらゴム製の厚みがあるフレーム・テンプルが、「ゾフ」はテンプルは薄めながらレンズに厚みがあり耐久性が期待できます。
「スワンズ」と「アックス」はレンズの端とフレームの間に空間があり、外れたり割れてしまう懸念が。特に「アックス」はレンズ幅確保のため、切れ込みを入れてレンズの端を飛び出させているので、取り扱いには注意が必要です。
耐久性 |
アックス | ★★☆☆☆ |
エアフライ | ★★★★☆ |
オークリー | ★★★★★ |
スワンズ | ★★★☆☆ |
ゾフ | ★★★★☆ |
検証⑤|携行性

撮影:竹田 誉之(ケース実寸は奥行×幅×厚み*ソフトケースはなし/本体実寸は横×縦×折り畳み時奥行)※画像クリックで拡大可
スポーツサングラスは、カーブしたフレーム形状により、折りたたみ時にかさばるのが難点。収納サイズは「スワンズ」が最小。付属のハードケースも小ぶりで、ザックの雨蓋にも収納しやすそうです。
「オークリー」はハードケースとソフトケースの両方が付属していますが、ハードケースが大ぶり。「エアフライ」のハードケースも同様です。
「アックス」は前述の通り耐久性に不安があるにも関わらず、ソフトケースしか付属していない点、「ゾフ」はハードケース自体が重い上に収納時にふたが完全に閉まらない点で評価を下げています。
かけたときの軽やかさに関しては、フィット感もトップで最軽量の「アックス」が断トツ。「エアフライ」は本体重量こそ一番重いものの、2点で支えているためか着用感は軽い印象でした。
携行性 |
アックス | ★★☆☆☆ |
エアフライ | ★★★☆☆ |
オークリー | ★★★★☆ |
スワンズ | ★★★★★ |
ゾフ | ★★☆☆☆ |
【ライフスタイルタイプ】サングラス6モデルを比較検証!

撮影:竹田 誉之(今回検証するライフスタイルタイプサングラス6アイテム)
総評
メーカー | | | | | | |
---|
商品名 | _ __ _Frogskins™ _ ___ | __ヘッドランド ブルー__ |
- JINS&SUN
- __ACTIVE Quick Fit_ __
| Lowdown Slim 2 Black_ |
- LOCO Black Soft x
- Blue Mirror Polarized
- (偏光レンズ) [vidg00240]
| RB4264 CHROMANCE_ |
商品画像 |  |  |  |  |  |  |
①フィット感 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
②視認性 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★☆☆☆ |
③視野の広さ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
④耐久性 | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
⑤携行性 | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
商品情報 | 総評を見る | 総評を見る | 総評を見る | 総評を見る | 総評を見る | 総評を見る |
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オークリー|Frogskins™

撮影:竹田 誉之(オークリー・Frogskins™)
①フィット感 | ★★★★☆ |
②視認性 | ★★★☆☆ |
③視野の広さ | ★★★★☆ |
④耐久性 | ★★★★★ |
⑤携行性 | ★★★☆☆ |
厚みのあるフレーム・テンプルでしっかりした作り。スポーツタイプ同様、テンプル開閉時の「カチッ」と止まる操作感は高級モデルならではの快感です。
レンズ下部がラウンドした正面からのフォルム、フレームと一体化したノーズパッド、細めのブリッジなどデザインも秀逸。通常はゴツい印象になりがちなサングラスですが、このモデルはナチュラルでスマートなイメージを着用時でもキープできるでしょう。
■検証レンズ:プリズムサファイア ポラライズド 偏光レンズ
■可視光線透過率:11%
■紫外線透過率:1.0%以下
サンスキー|ヘッドランド ブルー

撮影:竹田 誉之(サンスキー・ヘッドランド ブルー)
①フィット感 | ★★★☆☆ |
②視認性 | ★★★☆☆ |
③視野の広さ | ★★★☆☆ |
④耐久性 | ★★☆☆☆ |
⑤携行性 | ★★★★☆ |
今回検証したライフスタイルタイプサングラスの中で最軽量。折り畳んだ時の厚みもコンパクトで、シャツの胸ポケットに収納しても気にならない印象です。
フレーム・テンプルの半透明グレーの素材と控えめなロゴマークは、個性的でありながらも顔の印象が変わりにくく、トータルコーディネートの中でも主張しすぎないでしょう。山の風景が描かれた付属のソフトケースもおしゃれですね。
■検証レンズ:ブルー
■可視光線透過率:10%
■紫外線透過率:0%
ジンズ|JINS&SUN ACTIVE Quick Fit

撮影:竹田 誉之(ジンズ・JINS&SUN ACTIVE Quick Fit)
①フィット感 | ★★★★★ |
②視認性 | ★★★☆☆ |
③視野の広さ | ★★★★☆ |
④耐久性 | ★★★★★ |
⑤携行性 | ★★★★☆ |
モダンの角度が3段階に調整可能で、あらゆる顔の大きさにフィット。独立したゴム製のノーズパッドも、フィット感の向上に貢献しています。
ブリッジが細めでロゴマークもテンプル内側に印字してあるため、主張しすぎないデザインが好印象。他のモデルと比較してフレーム・テンプルに厚みがあり、耐久性にも期待が持てます。マチのある封筒型のソフトケースが付属しているのもポイントです。
ジンズ
JINS&SUN ACTIVE Quick Fit
■検証レンズ:偏光ブルーミラー
■可視光線透過率:13%
■紫外線透過率:0.1%以下
スミス|Lowdown Slim 2 Black

撮影:竹田 誉之(スミス・Lowdown Slim 2 Black)
①フィット感 | ★★★★★ |
②視認性 | ★★★★☆ |
③視野の広さ | ★★★☆☆ |
④耐久性 | ★★★★☆ |
⑤携行性 | ★★★☆☆ |
フレーム一体型ながらゴム製のノーズパッドと太いフレームで、高いフィット感が印象的。テンプル開閉時の「カチッ」と止まる高級モデルならではの操作感も、備えています。
加えて魅力的なのが視認性。濃すぎないブルー系のレンズで、クリアで自然な風景を楽しむことができました。紫外線透過率も0%で、強い日射しの下での行動も安心です。
■検証レンズ:CP ポラライズド ブルーミラー
■可視光線透過率:14%
■紫外線透過率:0%
ダン シェイディーズ|LOCO Black Soft x Blue Mirror Polarized (偏光レンズ) [vidg00240]
![ダングシェイディーズ・LOCO Black Soft x Blue Mirror Polarized (偏光レンズ) [vidg00240]](https://yamahack.com/wp-content/uploads/2022/06/f7bbfe0c7a61fa98544a8365eda68f8b.jpg)
撮影:竹田 誉之(ダン シェイディーズ・LOCO Black Soft x Blue Mirror Polarized (偏光レンズ) [vidg00240])
①フィット感 | ★★★☆☆ |
②視認性 | ★★★★★ |
③視野の広さ | ★★★★☆ |
④耐久性 | ★★★★☆ |
⑤携行性 | ★★★★☆ |
グレー系のレンズで、クリアかつナチュラルな視認性が魅力。レンズ端下部まで四角いデザインで、斜め下からの反射光もカットしてくれます。
テンプルが太く剛性感が高いデザインも安心要素。ライフスタイルモデルの中では珍しく、ウレタン製の肉厚なソフトケースが付属しています。
■検証レンズ:ブルー ミラー ポラライズド(vidg00240)
■可視光線透過率:15%
■紫外線透過率:1.0%以下
レイバン|RB4264 CHROMANCE

撮影:竹田 誉之(レイバン・RB4264 CHROMANCE)
①フィット感 | ★★★★☆ |
②視認性 | ★★☆☆☆ |
③視野の広さ | ★★★★★ |
④耐久性 | ★★☆☆☆ |
⑤携行性 | ★★★★★ |
今回検証したライフスタイルタイプのサングラスの中で、レンズの高さは最大。レンズのフォルムも四角く、周囲からの反射光をしっかりカットしてくれます。また唯一ブリッジ部分が盛り上がっていないデザインで、ゴツい印象を和らげています。
耐久性では評価を下げたノーズパッドは、鼻の形状を問わず安定しやすく、高級感の演出にも効果的。テンプル開閉時のスムーズな操作感や、しっかりとした革製の付属ケースも、レイバンならではの品質です。
■検証レンズ:ブルークロマンスミラー ポラライズド(偏光)
■可視光線透過率:15%
■紫外線カット率:99%以上
検証結果
検証①|形状とフィット感

撮影:竹田 誉之(各モデルの正面・横・上からの外観とノーズパッド)※画像クリックで拡大可
「オークリー」と「サンスキー」のレンズは、下部両端がラウンドした逆台形に近い形状。「ダン シェイディーズ」と「レイバン」は、下部両端が四角い形状。「ジンズ」と「スミス」は、その中間といったデザイン。
ノーズパッドは「オークリー」と「サンスキー」、「ダン シェイディーズ」がフレーム一体型。「ジンズ」と「スミス」がゴム製。「レイバン」はクリングス(脚部)に取り付けた楕円形のパッドが可動する、一般的なめがねと同様のタイプです。

撮影:竹田 誉之(各モデルの着用イメージ)※画像クリックで拡大可
「スミス」は、ゴム製のノーズパッドと太くしっかりしたテンプルで高いフィット感。「ジンズ」はモダンの角度が三段階に調整可能で、フィット感の向上に貢献しています。
「オークリー」と「レイバン」が、これに次ぐフィット感。「サンスキー」と「ダン シェイディーズ」はノーズパッドが小さめで、特に鼻が小さい人や低い人はフィット感が低下しそうです。
見た目のスマートさは、レンズ下部両端がラウンドした「オークリー」と「サンスキー」が秀逸。特に「サンスキー」はグレーのフレームと小さめのロゴで、コーディネートの邪魔をしないデザインです。
フィット感 |
| ★★★★☆ |
| ★★★☆☆ |
| ★★★★★ |
| ★★★★★ |
| ★★★☆☆ |
| ★★★★☆ |
検証②|視認性

撮影:竹田 誉之(各モデルの視認性)
視界のきれいさはブルー系の「スミス」、グレー系の「ダン シェイディーズ」が高評価。レンズ越しでも自然な景色を楽しむことができます。
少しブラウンがかった「オークリー」と「サンスキー」、「ジンズ」がこれに次ぐ視認性。
「レイバン」はイエロー・オレンジが強いレンズ色で、好みが分かれそうです。
視認性 |
| ★★★☆☆ |
| ★★★☆☆ |
| ★★★☆☆ |
| ★★★★☆ |
| ★★★★★ |
| ★★☆☆☆ |
検証③|視野の広さ

撮影:竹田 誉之(各モデルの視野の広さ)
レンズサイズの大きいレイバンが視界の広さではトップ。広い視野をサングラス越しにカバーしてくれます。
「オークリー」と「ジンズ」、「ダン シェイディーズ」も視界の広さに大きな問題なし。
「サンスキー」と「スミス」はレンズが小ぶりなので、両端下部からの紫外線が少し気になりました。
視野の広さ |
| ★★★★☆ |
| ★★★☆☆ |
| ★★★★☆ |
| ★★★☆☆ |
| ★★★★☆ |
| ★★★★★ |
検証④|耐久性

撮影:竹田 誉之(各モデルのレンズの厚み*レンズ自体ではなくフレーム下部の厚みを計測・テンプルの厚みと幅)※画像クリックで拡大可
フレーム・テンプルに厚みのある「オークリー」と「ジンズ」が、もっともしっかりした作り。ただし「ジンズ」は、テンプルの開閉に他モデルより力が必要です。
「スミス」と「ダン シェイディーズ」もこれに次ぐフレーム・テンプルの厚みで耐久性に寄与。
「サンスキー」はフレーム自体が薄め。またレイバンはノーズパッドがクリングス(脚部)で吊り下げられているため、特に前面からの衝撃に不安があり、ポイントを下げました。ただし、レンズの厚み(フレーム込)はトップです。
耐久性 |
| ★★★★★ |
| ★★☆☆☆ |
| ★★★★★ |
| ★★★★☆ |
| ★★★★☆ |
| ★★☆☆☆ |
検証⑤|携行性

撮影:竹田 誉之(ケース実寸は奥行×幅×厚み*ソフトケースはなし/本体実寸は横×縦×折り畳み時奥行)※画像クリックで拡大可
布製ソフトケースの多いライフスタイルタイプですが、「レイバン」には革製のケースが付属しており携行性はトップ。「ジンズ」には厚みのあるソフトケースが、「ダン シェイディーズ」にはウレタン製のセミハードケースが付属しています。
「レイバン」のノーズパッドは、耐久性ではポイントを下げたものの、安定感の高さによる軽やかなかけ心地が快適。ノーズパッドの小ささがフィット感でポイントを下げた「サンスキー」も、全モデル中最軽量、鼻の形状によっては自然なかけ心地を楽しむことができるでしょう。
携行性 |
| ★★★☆☆ |
| ★★★★☆ |
| ★★★★☆ |
| ★★★☆☆ |
| ★★★★☆ |
| ★★★★★ |
より快適に使うためのアイテムもおすすめ

撮影:竹田 誉之(より快適にサングラスを使うために)
せっかく購入したお気に入りのサングラス。そのスペックを常に良好な状態に保つことが、快適に使用するポイントです。
マスクを装着した時の呼気や屋内・屋外の気温差で発生するレンズの曇りを防止する曇り止め、天候がガスっている時にレンズに付着しやすい水滴を弾く撥水剤などは、メガネ専用のものを使用しましょう。
ソフト99
メガネのくもり止め濃密ジェル(10g)
また落下防止だけでなく、少しの間だけ外したい時にサングラスを首にかけておけるストラップも便利ですよ。
登山用サングラスの選び方|5つのポイント
最後に、登山用サングラスの選び方のポイントをおさらいしておきましょう。
【1】UV(紫外線)カット率

撮影:竹田 誉之(もっとも重要なUVカット率)
眩しさ(可視光線)をカットすることと紫外線をカットすることは、実はまったくの別物。UV(紫外線)カット機能のあるレンズを使用しているサングラスを選ぶことが、もっとも重要です。
前述の通り紫外線の強い環境である登山においては、UVカット率99%以上(紫外線透過率1%未満)のレンズを使用しているモデルを選びましょう。
【2】レンズ越しの視界の明るさ(レンズの色の濃さ)

撮影:竹田 誉之(明るい視界も必要です)
続いてチェックしたいのが、可視光線透過率(レンズが光を通す割合)です。0%なら視界は真っ暗、100%なら裸眼同様の見え方となります。
可視光線透過率が低ければより光をカットし、レンズの色も濃くなります。可視光線透過率が高ければより光を通すためレンズの色は薄くなり、快晴で太陽に向かって歩く時などは眩しく感じる場合も。おおむね40~70%だと目が透けて見える程度のレンズの濃さで、目の動きや表情がわかります。
注意してほしいのが、この可視光線透過率によるレンズの色の濃さはUVカット率にはいっさい関係ないということ。可視光線透過率はあくまで眩しさを軽減する目安値。濃い色のレンズであっても、UVカット率は必ずチェックするようにしてください。

作成:橋爪 勇志
可視光線透過率による適したシーンの目安は以下の通り。
◆~15%前後:快晴の日、日中の明るい時間帯
◆20~40%程度:晴れ~薄曇り~曇りの日
◆50%前後:雨の日、早朝や夕方
◆70%程度〜:夜間
天候や時間帯などのシーンに合わせて使い分けるのがベストですが、複数のサングラスを登山に携行するのは難しいもの。自分がメインでサングラスを装着するシーンを考慮して、必要とする可視光線透過率を決めましょう。
陽射しが強い日や高山登山で使用するなら15%前後、曇天や薄暗い樹林帯でも使用するならより幅広く対応する30%前後のモデルが良いでしょう。
【3】レンズのカラー
サングラスのレンズには様々なカラーラインナップがあり、カラーによって効果と顔の印象が変わります。もちろんタウンユースであれば、好みや服とのコーディネートに合わせて選んでOK。
しかし登山で使用する場合は「自然な見え方で景色を楽しみたい」「眩しさを抑えたい」など、自分が重要視するポイントで選びたいもの。
それでは各カラーで見える景色がどう変化し、どのような効果が得られるのかを見ていきましょう。
ブラック系

撮影:竹田 誉之(ブラック系レンズ越しの視界)
強い光や照り返しを和らげてくれるブラック系のレンズ。ただし樹林帯など光量が少ない場所では、視界が暗くなり見えにくくなります。
グレー系

撮影:竹田 誉之(グレー系レンズ越しの視界)
光を全体的にカットするため色調の変化が少なく、自然な視界で違和感が小さなグレー系のレンズ。目が疲れにくいというメリットがあり、今回レビューするスポーツタイプの多くがこのレンズカラーです。
ブラウン系

撮影:竹田 誉之(ブラウン系レンズ越しの視界)
明暗のコントラストがはっきりするブラウン系のレンズ。浮石の多いガレ場・木の根が露出した斜面・階段など、足元に注意が必要な登山道での歩行に適しています。
グリーン系

撮影:竹田 誉之(グリーン系レンズ越しの視界)
木漏れ日のちらつきを防ぎ、緑をくっきりとさせるグリーン系のレンズ。樹林帯や苔むした渓流沿いの登山道で、きれいな景色を楽しむことができます。
ブルー系

撮影:竹田 誉之(ブルー系レンズ越しの視界)
眩しさを感じるイエローやオレンジ系の光のコントラストを下げる効果のあるブルー系のレンズ。眩しさを抑えてくれるため、陽射しの強いシーンに適しています。
イエロー・オレンジ系

撮影:竹田 誉之(イエロー系レンズ越しの視界)
視界を明るくする効果のあるイエロー・オレンジ系のレンズ。曇天・雨天時や薄暗い場所での使用に適していますが、色味に違和感を感じる人もいるかもしれません。
ピンク・パープル系

撮影:竹田 誉之(パープルピンク系レンズ越しの視界)
同じく視界を明るくする効果のあるピンク・パープル系のレンズ。こちらも曇天・雨天時や薄暗い場所での使用に適しており、イエロー・オレンジ系よりは景色が自然に見えます。
【4】レンズの種類・機能
サングラスのレンズには目的に応じて様々な機能があるモデルも。主な機能は「偏光」「調光」「ミラー」の3種類。自分が使用する際に必要な機能があれば、該当するモデルを選ぶと良いでしょう。
偏光レンズ
撮影:竹田 誉之(左:裸眼での視界/右:偏光レンズでの視界)
写真の通り偏光レンズ越しだと水面のギラつきが軽減され、水中に沈んだ枯葉がよく見えますね。
このように水面・氷雪面・白い花崗岩の岩場などからの照り返しをはじめ、乱反射したギラつきのある光をカットする偏光レンズ。くっきりした視界が確保でき、水面・氷雪面・路面が見やすくなる効果があります。
偏光度が高いほど反射光をカットしてくれるため、雪山登山でも重宝します。通常の色付きレンズでは眩しさは軽減できても反射光を遮る偏光機能はないため、注意しましょう。
調光レンズ

撮影:竹田 誉之(左:屋外で着用した調光レンズ/右:屋内で着用した調光レンズ)
紫外線量の変化に合わせてレンズの色の濃度が変化する調光レンズ。紫外線量が多い屋外ではレンズの色が濃くなり、紫外線量が少ない屋内ではレンズの色が薄く変化します。
山小屋にチェックインしたりロープウェイに乗車する際も明るい視界が確保され、屋外・屋内でかけっぱなしでいられるのが便利な機能です。
ミラーレンズ

撮影:竹田 誉之(ミラーレンズ)
レンズに当たる光を反射することで、より効果的に目を保護するミラーレンズ。今回レビューするライフスタイルタイプでは、このレンズを使用したモデルをチョイスしています。
見た目もスタイリッシュで、レンズに映り込んだ山の風景を主題にした写真をSNSで見かけることもありますね。ただし、特に顔面とレンズの距離が大きいスポーツタイプでは、太陽の方向を見ている時にレンズ内側に顔面が反射する「裏写り」が気になる場合もあります。
【5】フレームの形状・フィット感

撮影:竹田 誉之
サングラスのフレームは、大きく分けて顔の形状に合わせてラウンドしているスポーツタイプと、通常の眼鏡と同じ形状のライフスタイルタイプに分別されます。
いずれのタイプでも大切なのは、かけ心地とフィット感。長時間かけているとテンプル(つる)のモダン(耳にかける部分)が当たって耳の上部や後部に痛みを感じることもあります。
またフレーム自体はもちろん、ノーズパッド・レンズの形状や大きさが自分の顔に合っているかも重要。ノーズパッドが鼻にしっかりフィットして長時間の行動でもずり落ちないか、フレームやレンズの下部が頬骨に当たらないか、実際にかけてみてチェックしましょう。
スポーツタイプ(スポーツサングラス)

撮影:竹田 誉之(スポーツタイプ・写真はオークリー Flak® 2.0 XL)
フレームがラウンドしているので顔のラインにフィットし、行動中もズレにくいのがスポーツタイプのサングラス。
また紫外線は散乱・反射するため正面からだけでなく、上・下・両側面・背後からの紫外線にも注意する必要が。スポーツタイプは側面までカバーするものが多く、紫外線対策にも有用です。
ライフスタイルタイプ(ファッションサングラス)

撮影:竹田 誉之(ライフスタイルタイプ・写真はオークリー Frogskins™)
オーソドックスな形状で、ファッションアイテムとして普段使いもしやすいのがこのタイプ。本記事においては「ライフスタイルタイプ」と記載しています。
フレームがラウンドしていない分、折りたたんだ時もコンパクトに。シャツの胸ポケットなどに収納しやすいのも利点です。
お気に入りのサングラスで快適な登山を!

撮影:竹田 誉之(自分に合ったサングラスで快適な登山を!)
タウンユースにおいては、ファッションアイテムとしての要素が強いサングラス。けれども強い紫外線に長時間晒される登山では、スペックを吟味したモデルを着用することは目を守る上でも重要です。
今回検証した5項目のうち、どれを優先するかは人それぞれでしょう。選ぶ時のポイントも含めて参考にして頂き、自分にぴったりのサングラスで登山を楽しんでください。
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