登山時の日差し対策、サングラスならなんでもいいわけじゃありません。
標高を上げ、森林限界を超えて歩いている時に、まぶしさを感じたり、周囲が見にくく感じた経験はありませんか?
その原因は強い光と紫外線にあります。その両方を防ぎ、快適で安全な視界をサポートしてくれる道具が、サングラスです。
でも、サングラスならなんでもいい訳ではないんです。
登山のときは、標高の高い山に降り注ぐ強い光と紫外線から眼を守り、視界をクリアに保ってくれる機能が装備されたサングラスが必要です。
山で必要なサングラスの機能は4つ
ではこの4つの機能がなぜ重要なのか、具体的に解説していきましょう!
①調光レンズ|紫外線量によってレンズカラーが変わり、視界を最適化

サングラスのレンズカラーは、色が濃いほうが光を弱め、まぶしさを軽減します。
しかし、日なたと日陰、岩場と森を出たり入ったりするトレイルを歩く場合、濃いレンズだと日陰や森の中では暗すぎて危険…逆にレンズの色が薄いと日なたや岩場でまぶしい…なんてことになりがちです。
そうした明暗差のある山に対応するのが「調光レンズ」です。
調光レンズは紫外線を浴びると色が濃くなり、弱まると色が薄くなるレンズなので、常に見やすい視界を確保できます。
だから「まぶしい」「暗い」といった状況に応じてサングラスを着脱する必要がなく、1日中掛けていても問題なし。煩わしさから解放されるのです!
②UVカットレンズ|標高が上がる程増える紫外線から、眼を守ってくれます!
紫外線を浴び続けると、肌なら日焼けをして黒くなるのはご存知の通り。同じように眼も紫外線を浴びれば日焼けをして、炎症を起こします。そしてその炎症は、疲労の原因にもなるそうです。
登山後に、もし強い疲れを感じているようなら、サングラスで紫外線を防ぐと元気が持続するかもしれません。
というのも山では標高が1,000m上がると紫外線が約10%、3,000mで約40%も強くなるそうです。状況によっては1,000mで50%も強まっているという報告もあります。
そのため山で使用するサングラスは、紫外線=UVカット機能を装備したレンズが必須です。
③偏光レンズ|視認性が上がれば、安全性も高まります!
サングラスをしていても、トレイルの路面のギラつきを感じることがありませんか?
また、ノッペリとした感じに見えて段差や凸凹が見えづらかったりしませんか?
そうした見えにくさを軽減、ギラつきを抑え、コントラストを上げ、視界をクリアにする機能を持っているのが「偏光レンズ」です。
視界がクリアになれば、周囲がよく見えるので、より安全に登山を楽しめます。
④調整機能|サングラスは”着用”するものだから顔のカタチに合うものを
サングラスは長時間着用するものだから、自分の頭や顔に合ってないと、頭に食い込んで痛みが出たり、歩いているうちにズレてきたり、煩わしさから外したくなってしまうでしょう。だから調整機能の良し悪しはサングラス選びで重要です。
装着感を左右するツルは、形状や柔らかさがモデルによって違います。鼻の部分のパッドも動かせたりソフトな材質のものの方がズレにくいので、チェックが必要です。
またフレームのないリムレスタイプ、下側だけフレームのないハーフリムの方が、視野が広く保てて安全性が増します。
フレームは、耳に掛けるツルのカタチが顔に沿って丸くカーブを描いている方が、顔とサングラスとの隙間が小さくなり、余計な光や風の侵入を防いでくれるでしょう。
欧米ブランドなら、幅広な日本人の顔や頭に合わせて設計されたモデルを選び、フィット感をショップで試着して確かめることをオススメします。
自分の顔にフィットしたサングラスが見つかれば、登山の安全&快適さが格段にアップ! サングラス選びは似合うか似合わないかではなく、顔に合うか合わないかの見定めも大切です。
山サングラスにはコレが推し!今シーズン選びたい5モデルをレビュー
いわゆるスポーツサングラス、そしてライフスタイル系、クラシックな登山用と、今年オススメの山サングラスを5モデル選んでみました。
すべてUVカットレンズを装備し、フィット感もよいものです。また調光レンズか偏光レンズのどちらかを装備しているので、山での視界をクリアに保てます。
まずは誰もが知っているこのブランドから!
<オークリー>クラシックなデザインに最新の機能を搭載し、登山にもフィット
オークリー/クリフデン PRIZM TUNGSTEN POLARIZED ¥36,100
同社最高峰の偏光レンズを搭載。ブラウン系のカラーは自然な色合いの明るめの視界ながら、まぶしさを感じず、トレイルのコントラストもはっきりと確認できます。
サイドとレンズの間のブリッジには風と光の侵入を防ぐ取り外し可能なシールドを標準装備。またサングラスを外した際に首に掛けておけるリーシュも備え、紛失を防止。フィット感のよさは、スポーツサングラスブランドならではの極上さ。
クラシックな見た目ながら、しっかりと機能するクォリティーの高さは、山&道具好きにはたまりません。
<オズニス>偏光レンズ専用メーカーがつくる歪みのない視界
オズニス/フラット10 ¥28,000
冒険家の三浦雄一郎さんも愛用する、幕末から続く日本の眼鏡レンズ発祥の地、大阪田島町で生まれた世界で唯一の偏光レンズ専門メーカー『TALEX』。同社が手掛ける純正サングラスブランドOZNIS(オズニス)の超軽量モデル。
リムレスなので視野は広く、専門メーカーが誇る偏光レンズを通した視界は、印影がはっきりとして、視力が少し上がったかのような気がします。また眼にやさしいようで、長時間着用していても、疲れた感じがほとんどありません。
掛け心地は軽く、柔らかいバネのように頭部にフィットするツル、ノーズパッドが効果的。見た目もスポーティー過ぎず、幅広い年代から支持されているのも納得です。
<スミス>フィット感のよさを知るなら、このサングラスに限る
スミス/Reactor MK II Carbon Southbeach 調光レンズモデル ¥21,450
調光レンズを搭載し、山でオールラウンドに機能するスポーツモデル。激しい動きでもブレない装着性の高さは、今回紹介しているサングラスの中でも随一。米国ブランドながら、日本人にフィットするように最適化して設計されているのが、その理由です。本当に、よくできています。
頭、顔のカタチに沿った丸みを帯びたフレームデザインを採用。顔との隙間が小さいので、シールド等を装備していなくても風や光の侵入を防御。これはスミス社がゴーグルメーカーから始まっていること、さらに自転車用サングラスも多く手掛けてきた蓄積によるものが大きいのでしょう。
ノーズパッドは繊細な調節ができ、汗に濡れてもズレることがありません。また今年度モデルから上部に空気を循環させる孔を設けたレンズと2枚組になり、コスパもアップ。レンズカラーは、やや濃いめの傾向です。
<スワンズ>たった19gという、掛けていることを忘れる軽さ
スワンズ/E-NOX EIGHT8 調光レンズモデル ¥18,700
日本の光学メーカーが手掛ける<スワンズ>。紫外線の強さに応じて調光するレンズを採用。可視光線透過率は84%から17%で濃さが変化します。
使用した際には、レンズカラーはやや薄め、視界は明るめでしたが、不思議とまぶしさはしっかり抑えられていました。
商品名の『EIGHT 8』は、8の字型のワイヤー状のツルが由来です。レンズは1枚、フレームのないリムレスモデル、そして8の字ワイヤーでフィット性を保たせながら軽量化したことで、本体重量はわずか19g!
ノーズパッドは微調節可能、ツルの内側に滑りにくいラバーを採用していて、走ってもブレません。「掛けていることを忘れてしまう!」と表現したくなる程の高いフィット性を装備しています。
<ティフォージ>偏光レンズ搭載、レトロな雰囲気のコスパモデル
ティフォージ /スワンク サテンクリスタルティール スモークポラライズド(偏光レンズモデル) ¥7,590
スポーティーなデザインよりも、カジュアルで街の風景にも馴染むサングラスを求めるハイカーが増えています。
そこでスポーティー過ぎない、しかしきちんと山でも使えるサングラスがコレです。こう見えて、ランニングでも使えるフィット性を装備しています。
軽量なグリルアミドTR-90フレームに、傷がつきにくく軽いポリカーボネートレンズを採用。しかも1万円以下という価格で偏光レンズを採用しています。
少しプラスチッキーな印象がありますが、ノーズパッドは汗に濡れるほどグリップ力を増し、ツルの塗装には微量のラバーを配合。ランニングでもブレない理由は、こうした細部のこだわりにあり、本国アメリカでも高い評価を得ているのも頷けます。
登山に“機能的”なサングラスは、必需品です!
普段からサングラスを掛ける習慣の少ない日本人。またファッションアイテムと思っている人が多いからか、紫外線が反射する雪山や雪渓歩き以外では、案外装備されないことが多いように思えます。
でも疲労防止、安全確保の点からも、グリーンシーズンの登山の際にサングラスを装備することは必須です。記事を参考に、自分に合った山サングラスを選んで、装備してください!
それでは、よい山旅を!