ゼロシューズ メサトレイル

裸足感覚が怪我の予防に!?「ゼロシューズ メサトレイル」【編集部の山道具】

登山を楽しむための「山道具」。といっても、ひとによって選び方は千差万別。SNSでは「#私の山道具」とハッシュタグをつけていろんな山道具が投稿されていますが、今回の企画ではYAMA HACK編集部員がそれぞれの「私の山道具」を紹介します。

目次

アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部

ひとそれぞれの山道具。編集部の愛用ギアを紹介します!

登山を楽しむために大切な「体力」「知識」「計画」、そして「登山ギア」。ただひと言で「登山ギア」といっても、ひとによって選び方は千差万別。

普段はみなさんが「#私の山道具」とハッシュタグをつけて、SNSに投稿されたアイテムを「ふむふむ」と見ている編集部ですが、今回の企画ではYAMA HACK編集部員がそれぞれの「私の山道具」を紹介します。

いつもは最新のギアやウェアの情報をいち早くお届けしている編集部。意外なもの、「なるほど!」なもの、「それ私も持ってる!」なもの、どんなものが出てくることやら。

編集部のメンバーが山のお供にしているギアたちを熱く語ります!

「登山靴」は足を守る安全性が第一!だけど……

登山靴

出典:PIXTA

こんにちは、編集部の青木です。
今回取り上げるのは、山の必須アイテムである「登山靴」。

ソールが硬く、足首もしっかり固定され、安全性が高い靴選びは登山の基本です。
スニーカーの方がソールも柔らかく歩きやすそうに感じる方もいるかもしれませんが、長時間歩く場合には、足の屈曲によって逆に疲労が蓄積され、足裏への負担も増えてしまいます。
特に、荷物が重くなるテント泊の時には登山靴のありがたみを強く実感!

しかし、どんなにしっかりした登山靴を履いていても、体の痛みや怪我に悩む人が多いのはどうしてなんでしょう?

靴が全ての悩みを解決してくれるわけではない

登山靴を履いて歩くハイカー

出典:PIXTA

登山靴にはたくさんのサポート機能(クッション性、足裏の保護、くるぶしの固定等)が備わっています。行動時間が長く、不安定な足場の多い登山では、できる限りリスクを避けることが重要だからです。

しかし、シューズの機能に頼りすぎると、人間本来の力を使わなくなってしまうという側面もあります。

大切なのは自分の体の使い方を見直すこと

裸足で立っている人

出典:PIXTA

いくら高機能なシューズを履いていたとしても、正しい歩き方や姿勢の維持ができていなければ、膝や腰が痛くなる原因に。

正しい歩き方を身につけるには、人間の自然な状態(裸足の状態)を維持することが大切です。そのためには「サポート力の高いシューズ」だけでなく、「裸足感覚で歩くことができるシューズ(ベアフットシューズ)」を併用してみるのがおすすめ。

「ベアフットシューズ」はそのまま訳すと「裸足の靴」で、過度なサポートがなく、足本来の動きを妨げないのが特徴です。自分自身の足の力を引き出すことができ、結果的に怪我をしにくくなると言われています。

私自身もトレイルランニングを続ける中で怪我に悩み、解決の糸口としてベアフットシューズにたどり着いた一人。
そんな私が今回紹介するのは、このベアフットの考え方をコンセプトにしたトレイル向けシューズです。

足本来の力を呼び起こす!ゼロシューズ「メサトレイル」

ゼロシューズはサンダルをルーツに持つブランド。「足を保護する」ことを目的とした一般的なトレイルシューズとは、真逆の考え方を持つと言っても良いでしょう。
「メサトレイル」はトレイルランニング向けのシューズですが、ハイキングも含めて幅広く活用できます。

「裸足で立っている状態=自然な姿勢」に近づく

ゼロシューズ メサトレイルの外観

撮影:YAMA HACK編集部

「メサトレイル」は、つま先とかかとに高低差がないゼロドロップ構造を採用。

一般的なシューズは、かかと側を高く設定することで歩行をサポートしています。
しかし、人が裸足で歩く際、つま先とかかとの高さに差はなく、フラットな状態が自然な姿。裸足で歩いている状態に近いので、人間本来の正しい姿勢に近づきます。

必要最低限のプロテクションで、もっと自由に

ゼロシューズ メサトレイルのアウトソール

撮影:YAMA HACK編集部

ソールの厚みは8.5mm。なんと1cmにも満たない衝撃の薄さですが、路面の状況を足裏にダイレクトに感じられるメリットがあり、バランス感覚が高めることができます。

ゼロシューズ メサトレイルを丸めた状態

撮影:YAMA HACK編集部

手で簡単に丸めてしまえるほど柔らかいので、動きを妨げることなく足に追従。より自由に、自然に足を動かすことができます。

トレイル向けとは思えないほど軽い

ゼロシューズ メサトレイルの重量

撮影:YAMA HACK編集部

重量は実測で217gでした(26.5cm片足)。
一般的な登山靴(無雪期用)の重さは400〜600g、トレランシューズでも300g前後であることを考えると、非常に軽量ですよね。

履いていて「靴を持ち上げる」感覚が少なく、素足に近いイメージで歩くことができます。

実際に使ってよかった4つのポイントとは?

「メサトレイル」を手に入れてから1年半ほど山で使ってみて、気づいた点を紹介していきます。

正しい体の使い方が自然とわかる

ゼロシューズ メサトレイルで歩いている人

撮影:YAMA HACK編集部

メサトレイルを使ってみて、今まで自分がどれほど雑な着地をしていたのかと痛感。

普通のシューズはかかと部分に厚みがあって気づかないのですが、メサトレイルでかかとから着地すると、衝撃がそのまま体に響きます。これを避けるため、「自然と」足裏全体で着地し、体を使って衝撃を緩和する動きを意識するようになりました。

この「自然と」というのがポイント。「正しい歩き方」と言われてもどうしたら良いのかわからないですよね。難しいことを考えず、履いているだけで体の動きが変化していくのがメサトレイルの良いところです。

路面状況への意識が高まる

ゼロシューズ メサトレイル 突き上げの多い路面

撮影:YAMA HACK編集部

クッションが厚くないので、今までは意識しなくてもよかった路面の細かな突き上げを感じるように。木の根や石の上に踏み込めば、多少の痛みとして足裏に返ってきます(着地失敗で「痛っ!」を何度経験したことか……笑)。
その結果、路面の状況を事前に確認し、適切な足の置き場を考えるようになりました。

どんなにクッション性が高いシューズを履いていたとしても、必ず衝撃は受けているもの。厚底では気づかなかった路面の変化を理解することで、足に負担が少なく、無駄のない動きが身に付きます。

意外とクッション性を感じる

ゼロシューズ メサトレイル ハイカー

撮影:YAMA HACK編集部

ここまで読んだ方は「すぐに足裏が痛くなりそう」「ペラペラなソールで大丈夫?」と思うかもしれませんね。しかし、8.5mmという薄さからイメージするような硬さはなく、適度なクッション性があるので安心してください。

ソールの内側の層に使われているTrail Foamは、衝撃を吸収するミッドソールの役割を担っていて、足へのダメージを軽減してくれます。

メサトレイルは、今までこのようなベアフットシューズを履いたことのない人でも導入しやすいバランスの良いシューズと言えるでしょう。

グリップ性能も十分

ゼロシューズ メサトレイルのグリップ性能

撮影:YAMA HACK編集部

アウトソールのラグ(凸凹)は決して高くないのですが、思っていた以上にしっかりとグリップします。乾いた路面においては、不安を感じる場面はほとんどありませんでした。

ただ、濡れた岩や人工物の上ではやや滑ることがあります。雨上がり等、路面が濡れている状況で使用する場合は、足の着地点や体重のかけ方をいつも以上に意識してみてください。重心を真っ直ぐに踏み込めば、スリップのリスクを減らすことができます。

初めて履くときに注意することは?

ゼロシューズ メサトレイル ハイカー

撮影:YAMA HACK編集部

ここまで多くのメリットを紹介してきましたが、初めて履く方には注意してもらいたいことがあります。
それは、初めから長時間使うのではなく、少しずつ慣らしていくこと

登山靴に限らず、私たちはサポート力(クッション性)の高いシューズを日頃から履き続けています。無意識にその機能性に頼った体の使い方をしているので、いきなり順応するのは難しいんです。

最初のうちは、いつもの日帰り登山でも足の疲労感を強く感じるはず。しかし、履き続けていけば、体は必ず慣れていくので、焦らずじっくり付き合ってみましょう。私も最初は往復5kmくらいの里山コースから試してみました。

山に行く前に、普段履きとして使って感覚を確かめていくのもおすすめです。

「メサトレイル」が自分の歩き方を見直すきっかけに

ゼロシューズ メサトレイル ハイカー

撮影:YAMA HACK編集部

ゼロシューズの「メサトレイル」は、ベアフットシューズらしい足裏感覚を持ちながらも、最低限のクッション性能を備えたバランスの良い一足。メインの登山靴を切り替えるというよりも、自分の歩き方を見つめ直すアイテムとして、シーンを選びながら併用していくのが良いでしょう。正しい姿勢や歩き方が身につけば、これまでよりも登山をもっと快適に、長く続けていくことができると思いますよ。

今回紹介したアイテム(現行モデル)

ゼロシューズ メサトレイル2(メンズ)

重量232.5g(27.0cm/片足)
カラーフォレスト(FGN)、ブラック(BLK)、スチールグレーオレンジ(SGO)
サイズM7.0(25.0cm)〜M11.0(29.0cm)0.5cm刻み
ソール厚スタックハイト11.5mm(ソールベース2mm、ソールラグ3.5mm、インソール3.5mm、ストロール2.5mm)

ゼロシューズ|メサトレイル2(メンズ)

ゼロシューズ メサトレイル2(レディース)

重量181.4g(27.0cm/片足)
カラーブラック(BLK)
サイズW5.5(22.5cm)〜W8.0(25.0cm)0.5cm刻み
ソール厚スタックハイト11.5mm(ソールベース2mm、ソールラグ3.5mm、インソール3.5mm、ストロール2.5mm)

ゼロシューズ|メサトレイル2(レディース)

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