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雪山テント泊が劇的に変わる!? コスパ最強「-30℃対応マット」をガチレビュー

日本のアウトドアブランド「arata」から、雪山登山者を唸らせる、なにやらすごいマットが登場しました。

軽量コンパクトでありながらも、極寒のアルプスに対応する驚きのスペック。日本人体型にフィットする設計で、使い心地も抜群です。そんな機能を持ちながらも、他ブランドの半値近い低価格が実現されているんです!

でも、シビアな雪山だからこそ「安くて大丈夫なの?」という心配も。実際に厳冬期のフィールドで使用し、その実力を徹底検証してきました。

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目次

出典表記のない画像はすべて筆者撮影

雪山の快眠は「マット」で決まる!?

雪山でテント泊をする人

美しくも厳しい雪山の世界。特にテントで過ごす一夜は、夏山とは一味違った特別な感動を与えてくれるでしょう。

こうした極寒の夜を快適に過ごすためには、万全の装備が欠かせません。優れた保温性のシュラフや防寒着を用意することはもちろんですが、忘れてはいけないのが「マット」です。

地面の冷気を遮断するための必須アイテム

エアマットが冷気を遮断している図

夏山では地面の凸凹を緩和するためのクッションとして活躍するマットですが、雪山では断熱材として重要な役割を担っています。

雪は融ける際に周囲の熱を吸収する性質があり、雪面付近の温度を低下させます。特に、テント泊のように人が横たわる状況では、身体と雪面が直に接触するため、体温は急激に奪われていってしまいます。

そのため、必須になってくるのが断熱性を備えたマット。マットには断熱性の高さを示す『R値』が設定されており、雪山では「R6」以上が推奨とされています。

R値が高いほど断熱性も高くなります

R1〜
夏山
R2〜
3シーズン
R4〜
オールシーズン
R6〜
厳冬期

R値6.7。 “厳冬期対応”マットが2万円以下!?

arataのエアマットの全体像

こうした厳冬期対応マットに一石を投じるのが、2024年冬に登場したエアマット「ASP-R7(レギュラー)」。R値は「6.7」、日本の厳冬期アルプスの山頂付近での使用も想定した、-30℃の環境にも対応する設計になっています。

そして驚愕なのが本製品の価格。なんと税込18,590円で、同等のスペックをもつ他ブランドと比べて半額近く。これはあまりにも破格すぎます……!

手がけるのは、話題の新ブランド

arataのエアマットが収納されている様子

本製品を市場に送り込んだのが、2024年春に登場した新ブランドの「arata」。基本に忠実な製品でありながらも、独創的なアイデアを盛り込んだ新発想のプロダクトが大きな話題を呼んでいます。

そんな同ブランドだからこそ、本製品でもどんな驚きが待っているのか楽しみなところ。その反面、価格が価格だけに「安すぎて大丈夫?」という心配も。

気になるアレコレを解決すべく、厳冬期のフィールドでガチ使用してきました!

極寒を忘れさせる、魔法のマットでした

雪山に設営されたテントとエアマット

1月初旬、雲取山荘テント場(標高約1,900m)でテント泊を行なってきました。

当日の最低気温:-12℃
使用したシュラフの対応温度:-10℃
服装:ダウン上下+化繊中綿のフットシューズ

どんな寒い夜になるか……とヒヤヒヤしていましたが、結果は快眠。30代になってから以前よりも寒さに弱くなり、最近は雪山テント泊を好んですることはありませんでしたが、このマットがあれば「もっと楽しめそう!」と感じたのが率直な感想です。

実のところ、私はこれまで雪山テント泊でも、R値3.5のインフレーターマットに銀マットをプラスして使用してきました。

もちろん断熱性の弱さは痛感していましたが、他にも欲しいギアが山ほどある中で、なかなか手が出せなかったことが理由です。

ライター橋爪

雪山テント泊をする方は、すでに夏山のマットを持っている方がほとんどのはず。

そうなると、厳冬期のマットに4万円近くかけるのは躊躇してしまいますよね……。

雪の上にあるエアマット

そんな中で一筋の光を見出してくれたのが、今回のASP-R7。まさに「R値が変わると、雪山テント泊が変わる」を体感したアイテムです。

またシンプルでありながらも、その中に「arata」らしいこだわりが感じられるのもポイント。日本人体型での使いやすさも考えられていて、軽量コンパクトなので、雪山だけでなくオールシーズンで活躍できそうです!

ただし、エアマット特有のメリット・デメリットもあるので、その点はしっかりと理解しておく必要があります。ポイントを詳しくみていきましょう。

冷気をピタッと遮断!

テントとエアマット

まず断熱性は相当なもの。マット上で横になっても、まるで雪の上にいることを忘れさせるような感覚で、底冷えはまったくありませんでした。

これは私がこれまで使っていたマットとは明らかな違い。R値が高くなることで、これほどまでに体感温度が変化することに驚かされました

ライター橋爪

寒さで目が覚めることはなく、朝までぐっすりでした!

しっかりした厚みでフワッとした寝心地

エアマットの厚み

断熱性を高めるため、10cmほどのしっかりした厚みになっています。エアマットは文字通り内部が空気なので、触ると弾みのあるソフトな質感です。

例えばマットの上に座るなど、荷重が一点に集中する動作の場合、その部分だけ沈んで底にあたるようなことがありましたが、横になれば荷重は分散され、やや浮遊感のあるフワッとした寝心地がありました。

ライター橋爪

クローズドセルマットのような硬い寝心地に慣れている方は、最初は違和感があるかもしれません。

ただ、この厚みなら、夏山の凸凹した地形もしっかり緩和してくれそうですね!

絶妙な横幅で軽量化を実現

雪山テント泊で横になる人

モデル:身長169cm 足を思い切り伸ばして贅沢に使えました

サイズは縦183cmの横56cm。このサイズ感にも「arata」のこだわりが隠されています。

横幅は同縦幅の一般的なエアマットと比べて8cmほど短い設計に。開発段階で「大柄の男性でも腕がマットから落ちにくい」絶妙な幅を模索した結果、この長さに至ったそうです。

快適に過ごすための必要スペースを十分に確保しつつも軽量化が実現されています。

ライター橋爪

身長180cmほどの方でも問題なく収まるサイズ感かと思います!

逆に小柄の方ですと、縦幅がやや長く感じるかもしれません。

多層構造で断熱性をアップ

エアマットの生地

生地はトップ・ボトムともに20デニールのリップストップナイロンを採用。半透明なので一見すると「薄いのでは?」と感じますが、必要十分な生地の厚みを備えています。ナイロンはサラリとした質感ですが、就寝中に不快感を感じることはありませんでした。

半透明の生地からは内部の様子も伺えます。マット内にはTPUフィルムと熱線反射PETフィルムの多層構造を採用。溶着ピッチやパターン、部材の厚さを微調整し、最適なバランスが考慮されています。

コンパクトなので雪山でもパッキングしやすい

収納されたarataのマットを抱えている人

重量は約584gで、厳冬期対応のエアマットとしては、重すぎず軽すぎずといったところ。

収納時は1Lペットボトルほどの大きさにまとまります。クローズドセルマットやインフレーターマットと比べてコンパクトで、荷物が多くなる厳冬期登山でも、バックパックのスペースを抑えることができました。

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