新しい山の楽しみ方を発見!?“ハンモック登山”のススメ

2019/08/08 更新

ひそかにブームになりつつあるハンモック。興味を持って調べてみると、山の中で寝泊まりしている人を発見!しかし、いくらネットで調べても、そのノウハウが分からない・・・。そこで今回、ハンモック登山の第一人者である二宮さんにノウハウを詳しく教えて頂きました。テント泊登山とは異なる新たな魅力を一緒に学びましょう!


アイキャッチ画像撮影:吉澤英晃

どうやらハンモックを使った登山があるらしい

ハンモックの画像
撮影:PONCHO
突然ですが、皆さんはこちらの記事を読んだことがありますか?


撮影:PONCHO
ハンモックに揺られ、風のそよぎや雲の流れ、空間のゆったりさを感じる。なんだかとっても楽しそう。
山とハンモックの繋がりに興味が湧いたのでさらにネットで検索してみると、なんとハンモックをつかって“山泊登山”をしている人を発見しました!?
キャンプのイメージが強いかもしれませんが、実はアメリカのロングトレイル・ハイカーも愛用している立派な登山アイテムなんです。

でも、やり方が分からない・・・

ハンモックで一晩を過ごす
出典:PIXTA(ハンモックを使って山で一晩を明かせたら楽しそう)
ネット上で見つけたハンモック登山を紹介している記事の著者たちは、1泊2日以上の登山シーンで山の中にハンモックを設置してキャンプを楽しんでいました。ハンモックを利用して山の中で泊まることができたら面白そうですよね!

しかし、それから色々と調べてみたのですが「どんな装備が必要なのか?」「どんなことに注意したらいいのか?」など、詳しい情報を見つけることができませんでした・・・。

その道のプロに聞いてみた

二宮勇太郎さん 撮影:吉澤英晃
そこで今回、ハンモック登山のプロとして自身でもイベントの企画に関わりながらハンモック登山の普及に努めている「Hiker’s Depot」の二宮さんに詳しくノウハウを聞いてきました!

Hiker’s Depot 二宮勇太郎さん
2012年にアメリカの「パシフィック・クレスト・トレイル」を踏破した後に、下山先の街中で憧れのハンモックに出会ったことをきっかけに、ハンモック登山を始める。それから魅力にどっぷりはまり、企画立案に携わりながらイベントを通してハンモック登山の楽しみを多くの人に伝えている。

意外と手軽?必要な特殊装備は4つのみ!

ハンモック装備一覧
撮影:吉澤英晃
ハンモック登山で必要になる装備は、テント泊登山で使う道具とさほど変わりません。大きく異るのは、テントとマットの代わりに、「ハンモック」「タープ」を使うということ。さらにハンモックを設置するための「ツリーストラップ」「ハンモック専用シュラフ」が必要です。

見せてもらった道具はどれもこれもコンパクト。圧倒的な荷物の軽さがハンモック登山の魅力でもあります。それでは一つ一つ詳しく見ていきましょう!

①空に浮く快適ベッド「ハンモック」

ハンモック
撮影:吉澤英晃(カモック/ルーシングルUL:市場にあるハンモックの最軽量クラス。重量:159g)
まず必要になるのがハンモック。軽量でコンパクトなハンモックは数多く販売されていて、様々なサイズがあります。

二宮さん
登山で使う時に大切なのは、“いつでもバックパックの中に入れておきたいと思える収納サイズと重さのものを選ぶこと”です。
持ち運びが苦になったらハンモック登山は楽しめませんからね。寝心地や使用サイズなどは使い慣れてから考えましょう!

ハンモック
撮影:吉澤英晃(軽量なハンモックは光が透過するほど生地が薄い)
ハンモック
撮影:吉澤英晃(ルーシングルULは、両端に付いているこのパーツでツリーストラップに連結する)

②ハンモックを立ち木に設置する「ツリーストラップ」

ツリーストラップ
撮影:吉澤英晃(カモック/パイソンUL10:2本で1セットの軽量ツリーストラップ。重量:85g)
ハンモックを立ち木に設置するときに必要な道具がツリーストラップ。これも様々なタイプが販売されるので、どれを買ったらいいのか悩んでしまうアイテムです。

二宮さん
収納サイズと重さも大切ですが、設置方法が簡単なものを選ぶといいです。オススメはデイジーチェーンタイプ
直感的にハンモックの取り付け位置を変更できるモデルなので、簡単に寝心地を調整することができます!

ツリーストラップ
撮影:吉澤英晃(デイジーチェーンは重ねた二つのテープを等間隔で縫い合わせることで輪を作っている)
ツリーストラップ
撮影:吉澤英晃(多くのツリーストラップが木肌を保護するために幅が広くなっている)

③雨風から身を護る「タープ」

タープ
撮影:吉澤英晃(ゴッサマーギア/ツインタープ:単体でシェルターとしても使用可能。重量:242g)
山では急に雨が降り出すことも考えられます。そんな時に雨風から身を護ってくるアイテムがタープです。キャンプでも使いますが、ハンモック専用の商品があるのでしょうか?

二宮さん
ハンモックとの組み合わせに特化したタープもありますが、長方形の一般的なモデルで大丈夫です。雨の侵入をしっかりと防ぐためには、長辺もしくは対角線の長さが3mくらいの長さが欲しいですね。自在パーツと細引き、アクセサリーカラビナを使って簡単に設置できる仕掛けを作っておくと設営がスムーズになりますよ。各ポイントに括り付ける細引きの長さは3mもあれば充分です。

自在パーツ
撮影:吉澤英晃(ツインタープは本体に自在がつている)
アクセサリーカラビナ
撮影:吉澤英晃(アクセサリ−カラビナを細引きの末端につけておくと設置が楽になる)
■ペグは複数種類を用意
ハンモック ペグ
撮影:吉澤英晃
タープを地面に固定する時に必要なのがペグ。テント泊にも使う道具ですが、ここにも抑えておくべきポイントがあります。
二宮さん
ハンモックを設置する場所は腐葉土などが堆積した柔らかい地面であることが多いため、幅が広い大きめのペグをメインにして、石があって刺しづらい状況用にピンペグを複数本用意しておくといいでしょう。

④足元にも穴が空いている「ハンモック専用シュラフ」

ハンモック用の寝袋
撮影:吉澤英晃(ハイランドデザイン/チューブキルト:ハイカーズデポのオリジナル商品。重量:約618g)
最後に紹介するのはシュラフ。空中に浮いているからこそ、快適に眠るためにはこの寝袋が重要になります。

二宮さん
ハンモックで眠ると、背中が空気に触れるため、地面で眠るよりも寒さを感じてしまいます。冷えを防ぐためにハンモックの中にマットを入れることも考えられますが、これだとマットがズレて寝心地が悪くなってしまうんです。
そこで必要になるのが背中側もハンモックごと覆うことができる特殊な寝袋。市販品だと、背中側を覆う”アンダーキルト”と、体にかける”トップキルト”の二つに分かれているものが多いのですが、今回紹介する筒状の一体型シュラフは、足元にも穴がありハンモックを通すことができるのでおすすめです。

寝袋ろ 使用シーン
撮影:吉澤英晃(ハンモックごと覆えるように足元にも穴が空いている。背中も暖かい)
シュラフ 掛け布団
撮影:吉澤英晃(サイドファスナーを全開にすれば掛け布団としても使用可能)

ハンモックを設置する簡単4ステップ!

新緑の林
出典:PIXTA
ハンモックの最大のメリットは、坂道でも、石がゴロゴロしている不整地でも“木さえ生えていれば自由にどこにでも設置できる”という点。これこそがテント泊とは異なるハンモック登山の強みです。

①4〜5m間隔で生える立ち木を見つける

ハンモック 立ち木
撮影:吉澤英晃(片方の木から両手を広げて距離を測り始める)
まずはハンモックの設置ポイントを探しから。緑の葉を茂らせている生きた立ち木を選びましょう。幹の太さは直径で20〜40cmくらいあると安心です。
ハンモック 立ち木
撮影:吉澤英晃(片方の手に持った木を軸にして体を回転させる)
次に、木と木の間隔を測ります。必要な距離は約4〜5m。手を水平に広げた状態(右手から左手までの長さがほぼ身長と同じになる)で、落ちている木の枝やストックを活用しておおよその距離を計測しましょう。

②目線の高さにツリーストラップを設置する

ハンモック
撮影:吉澤英晃(ツリーストラップは目線の高さでOK。巻きつけたらきつく締める)
設置する場所が決まったら、ツリーストラップを木に巻き付けます。設置する高さの基本は、“目線の高さ”。最後に体重をかけて固定します。
もともとツリーストラップは木に食い込まないように幅が広い作りをしていますが、できるだけ木肌にタオルや手拭いなどを巻いて、その上にツリーストラップを設置しましょう。

③ツリーストラップにハンモックを連結する

ハンモック 連結
撮影:吉澤英晃
木に巻き付けたツリーストラップにハンモックを連結。この時の張り具合は、ハンモックに座った時に“地面からツリーストラップを木に巻き付けたポイントまでの角度が30°くらい”になるようにしましょう。
この角度を基本として、あとは寝心地の好みで張り具合を調整してあげます。

④ツリーストラップにタープを設置する

ハンモック タープ 設置
撮影:吉澤英晃(雨が降っていれば左右の生地をもっとハンモックに寄せて地面に固定)
タープ 設置
撮影:吉澤英晃(クセサリ−カラビナを使ってタープを木に巻き付けた例)
最後にタープを設置します。この取付位置も基本的に“ハンモックと同じ高さ”で大丈夫です。立ち木に設置したらハンモックを覆うように左右を地面に固定します。
雨が降っている時は吹き込みを防ぐために、タープの生地が地面に近くなるように工夫しましょう。雨の心配がない時は設置しないという選択肢もアリです。

あると便利!吊り下げ紐

あると便利なお助け紐
撮影:吉澤英晃(靴やメガネなどの小物をすべて吊るしておけば紛失する心配がない)
あると便利なのが吊り下げ用の紐。10mほどの細引きを準備してハンモックの上に設置すれば、そこに荷物を吊るすことが可能に。
たったこれだけのひと手間で、荷物を落とす心配が無くなり、道具を汚さなくて済むというメリットを得ることができるんです!!

あっという間に完成!

ハンモック 完成
撮影:吉澤英晃(横になる時は体を斜め横にずらしてあげるとフラットな状態になる)
教えていただくまでは難しそうだと思っていたハンモックの設置方法でしたが、実際にやってみるとその手順は意外と簡単。一度、近場の山や公園で練習すれば、後は山の中で実践するだけです!
慣れてくればハンモックから地面に下りずに生活することも可能になるので、是非試してみてください!

設置&生活する上での注意点

設置方法を学んだところで、次にお伝えしたいのが3つの注意点。

ハンモック登山の注意点
作成:吉澤英晃
基本的なことですが、テント泊指定地が決まっている山域、もしくは山中でのキャンプが禁止されている範囲内での使用は厳禁です。ルールに則ってハンモック登山を楽しみましょう。

■なるべく人目のつかない場所に設置する
ハンモックは、まだ多くの登山者にとって未知の存在です。登山道を歩くハイカーと不要な干渉を避けることで、お互いが山の中で楽しむことができます。マナーとして、できるだけ人目につかない場所に設置しましょう。登山道の近くでも、人目につかない場所は意外とたくさんあります。隠れんぼ感覚で適地探しを楽しみましょう。

■必要以上に登山道から離れない
ハンモック適地を求めて山の中をさまよい歩くことは、怪我や遭難のリスクを高めます。自身の安全もために登山道が見える位置、もしくは戻る方法をしっかり把握できる範囲の中で設置場所を探しましょう。

■自然に配慮する
山の中ではハンモックに限らず、なるべく自然に与える影響を最小限に留めることを意識しましょう。木への負担を減らすためには、やはり専用のツリーストラップを使用することが有効です。登山道から必要以上に離れないことも、自然へ与える負荷を抑えることにつながります。自然にも配慮しながらハンモック登山を楽しみましょう。

実践におすすめのエリア「高島トレイル」

高島トレイル
提供:PIXTA
実際にハンモック登山をするのに適した場所も伺ってみました。二宮さんおすすめは、岐阜県の琵琶湖の西側にある「中央分水嶺 高島トレイル」。
実はこのルート、総距離は約80kmもあり、続けて歩こうとすると5泊6日は必要になるロングトレイルなのですが、コース上にテント泊指定地がないのです。
麓に下るか、ルートを横切る林道の開けたスペースがテント場所になるのですが、ハンモックならもっと自由に宿泊場所を選ぶことが可能になりますよ!

中央分水嶺 高島トレイル

ハンモック登山が秘める可能性

登山道
提供:PIXTA
国土の約73%を占めている山地の中でも、テント泊指定地がしっかり整備されていて、トイレがあり、水場も用意されているという恵まれた場所は限られています。
マイナーな山域ほど、整備が行き届いていことが多いのですが、そこに魅力がないという訳ではありません!
どこにでも自由に寝泊まりすることができる“ハンモック登山だからこそ行ける山域”を探して、新しい山の魅力を見つけてみてはいかがでしょうか?

取材協力|Hiker’s depot

Hiker's Depot Hiker’s depotは「ライト、シンプル&ナチュラル」というコンセプトによってセレクトされた道具、ウェア、食材を提供するアウトドア用品と乾燥食材の専門店。
環境と健康に配慮した自由なハイキングスタイル「ウルトラライトハイキング」を提案しています。

住所|東京都三鷹市下連雀 4-15-33 日生三鷹マンション2F
電話番号|0422-70-3191
営業時間|12:00~20:00(※変更になる場合があるのでFacebookをご確認ください)
定休日|火曜日

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吉澤英晃
吉澤英晃

群馬県出身。大学時代に所属した探検部で登山を開始。以降、沢登り、クライミング、雪山、アイスクライミング、山スキーなど、オールジャンルで山を楽しむ。登山用品の営業職を経て、現在はフリーの編集・ライターとして活動中。

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