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ユニクロ ダウン

【徹底調査】ユニクロのウルトラライトダウンって登山で使えるの?

巷で大人気のユニクロのウルトラライトダウン。そのお手頃価格から、登山での使用を考えている人もいるのでは?でも価格の安さだけに惹かれてで購入すると、使ってみた時に「思っていたのと違う」「寒い!」なんて思わぬ結果になることも。今回はウルトラライトダウンが登山でも使えるかどうかを、モンベルのスペリオダウンジャケットと比較したり、実際に秋の2000m級の山でフィールドテストも行って調査しました。

アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部
※2018年公開の記事です。レビューしている「ウルトラライトダウン」は2018年モデルのため、現行モデルとはスペックや仕様が異なる場合がございます

ユニクロのダウンは登山用にしても良いの?

ユニクロ ウルトラライトダウン

撮影:YAMA HACK編集部(2018年モデル)

秋や冬になって来ると、山で休憩する時にけっこう冷えますよね。寒さに負けず快適に過ごすために、ダウンがあると安心です。
でも、機能がいいのはわかるけど、正直出費を抑えたいという人もいるのでは?

そんな人に人気なのが、ユニクロが販売する『ウルトラライトダウンシリーズ』。
ダウンジャケットが1枚5,990円(2018年当時の価格、2022年現在は6,990円)で購入できるので、「登山に着ていけるかな~?」と思っている人も多いんです。

でも、ちょっと待ってください!

ちょっとまった

出典:PIXTA

しかし、ウルトラライトダウンジャケット(以下、ウルトラライトダウン)はあくまでも街での着用を想定して作られた商品。

いざ使ってみたら「めちゃくちゃ寒くて耐えられなかった」なんてことも、環境によっては起こりえます。
しっかりと、登山用との違いを理解した上で、使って問題ないかを判断してください。

ウルトラライトダウンはこんな商品!

ユニクロ ウルトラライトダウン

撮影:YAMA HACK編集部

それでは、まず簡単にユニクロのウルトラライトダウンについてみていきましょう。
公式ページを見てみると、

・驚くほど薄くて軽い着心地を実現。
・上質ダウンで抜群に保温性が高く暖かい。
・着丈を少しだけ短くしたので裾がすっきりし、襟もきれいに立ち上がる構造に変更。
・表地と袖のパイピングはマットな質感、ファスナーも目立ちにくく、落ち着いたデザインにアップデート。
・耐久撥水素材で雨をはじく。
・コンパクトなサイズで持ち歩きやすい付属のポーチ付き。

引用:ユニクロ(2018年時点)

と記載されており、まとめると

・軽い
・コンパクト
・暖かい
・少量の雨ならOK
・見た目もスッキリ

という特徴を持った商品のようです。
これだけ見ると登山でも使えそうな気もしますが、もう少し詳しくみていきたいと思います。

ウルトラライトダウン比較

撮影:YAMA HACK編集部(左:ウルトラライトダウン[2018年モデル]、右:スペリオダウンジャケット)

今回は、アウトドアメーカーのダウン代表として、「モンベル スペリオダウンジャケット(以下、スペリオダウン)」との比較を交えながら、登山に必要な「①暖かさ」「②軽さ」「③コンパクトさ」「④撥水性の機能」に「⑤見た目」を加えて、調査してみました。

調査①:暖かさ

暖かさの部分は、ウェアの作りを中心にみていきます。

まずは実際に着てみた感想から

ウルトラライトダウン 着用テスト

撮影:YAMA HACK編集部(2018年モデルを着用)

10月末に、標高2000m以上の山で約30分間じっとして、寒さを感じるかをテストしました。当時の気温は約5℃前後。ダウンの中は、ベースレイヤーと速乾Tシャツのみです。

30分間じっとしていましたが、時折風が吹くと露出している部分が寒く感じるものの、特別冷えた感じはしませんでした。登山用のダウンを着ている時の、暖かい空気に包まれている感じとは違い、冷たい空気を遮っているだけというのが着用をした感想です。

ダウンの品質

ライトダウンジャケット ダウンボール

出典:PIXTA

ダウンの暖かさの指標として、「フィルパワー」というものがあり、この数値が高いほど「空気をたくさん含み、保温性が高いダウン」と言われています。

■ウルトラライトダウン
640フィルパワー超(公式サイトには記載なしのため、メーカー確認[2018年当時。2022年現在は750フィルパワー])

■スペリオダウン
800フィルパワー

一般的に600~700フィルパワーのダウンが「良質」。700以上のものが「高品質」とされているため、どちらの商品も良質なダウンが使われています。

背中の短さが気になる。

ウルトラライトダウン

撮影:YAMA HACK編集部(2018年モデルを着用)

着用時に感じたのは、登山用のものに比べ裾が短いという点です。しゃがんだ時に、腰回りの冷えと関わるので、実際に前屈した状態で比較してみました。

ウルトラライトダウン 裾

撮影:YAMA HACK編集部(左:ウルトラライトダウン[2018年モデル]、右:スペリオダウンジャケット)

ウルトラライトダウンの方はベルトループあたりまで、裾が上がっています。少しの差ですが気温が下がってきた場合に、腰回りの冷えにつながる可能性も。登山用で購入する場合は、注意しておきましょう。

袖にも若干の違いが

ウルトラライトダウン袖

撮影:YAMA HACK編集部(左:ウルトラライトダウン[2018年モデル]、右:スペリオダウンジャケット)

隙間が少ない方が、暖かい空気が逃げにくくなるため、保温性は高くなります。未着用の状態で見てみるとどちらも、袖の部分がキュッとしまっていて、フィットしやすい作りになっています。

ウルトラライトダウン 袖

撮影:YAMA HACK編集部(左:ウルトラライトダウン[2018年モデル]、右:スペリオダウンジャケット)

しかし実際に着てみると、若干ですがスペリオダウンの方が袖部分の隙間が少なくなっています。

さらにジッパーの裏側を見てみると

撮影:YAMA HACK編集部(左:ウルトラライトダウン[2018年モデル]、右:スペリオダウンジャケット)

裏側からジッパーを見た様子です。スペリオダウンには、裏に1枚布地があり、シビアな環境になった場合に、隙間風を防ぐなどの役割にもなります。

【まとめ】
どちらも良質なダウンを使用。でも、細かい作りに違いがあるので、使用環境によっては注意が必要。

調査②:軽さ

多くの荷物を運ぶ登山においては、できるだけ荷物は軽いにこしたことはありません。
スペリオダウンと比較しながら、重さを調査しました。

その差はだいたい500円玉2枚分

ウルトラライトダウン 比較

撮影:YAMA HACK編集部(左:ウルトラライトダウン[2018年モデル]、右:スペリオダウンジャケット)

本体のみの重さの違いは15gで、だいたい500円玉2枚分と同じです。

実際に着用すると重さの違いを感じます。ですが、休憩中に着用するのであれば、重くて疲れるということはない重さです。

ウルトラライトダウン パッキングの重さ

撮影:YAMA HACK編集部(左:ウルトラライトダウン[2018年モデル]、右:スペリオダウンジャケット)

収納時の重さで比較しても、その差は約18g。グラム単位で重さを削りたい登山者であれば別ですが、低山を楽しむのであれば荷物に入れても不都合なく使える範囲です。

【まとめ】
持っていく時の重さの差は約18g。重さに強いこだわりがなければ、気にしなくて大丈夫。

調査③:コンパクトさ

ザックの中に荷物を全て入れる登山では、なるべくコンパクトなものが収納性が良く好まれます。

大きさは2回り分くらいの違いが

撮影:YAMA HACK編集部(左:スペリオダウンジャケット、右:ウルトラライトダウン[2018年モデル])

大きさのイメージを持ちやすいよう、iPhone7+(高さ13.8cm)とスペリオダウンと比較してみました。
収納後の大きさは2回りくらいウルトラライトダウンが大きいです。

ユニクロダウン

撮影:YAMA HACK編集部(2018年モデル)

手で持ってみるとこれくらいです。「手のひらサイズ」とまではいきませんが、十分コンパクト。

ちょっとした工夫でコンパクト化も可能

重さ ウルトラライトダウン

撮影:YAMA HACK編集部(ダウンが出ているのは中が見えるようにです。実際は完全に収納可能です。)

もし、ウルトラライトダウンをよりコンパクトにしたい場合は、より小さい収納袋があればそれに入れるのもOK。

スペリオダウンの袋に入れることもできたので、大きさが気になる場合は、別の袋に入れるなどしてよりコンパクトにすることができます。

【まとめ】
収納サイズには違いがでるも、工夫次第でコンパクトにできる!

調査④:撥水性(はっすいせい)

基本的に休憩中などに着用するダウン。中のダウンが濡れてしまうと、保温力が失われるため、雨を弾く機能がついているのはうれしいですね。

ウルトラライトダウン 撥水

撮影:YAMA HACK編集部(2018年モデル)

実際に雨の中で使用してみても、ご覧の通り小雨程度であれば弾いてくれます。なので、突然雨が降ってきても、上からレインウェアを着るあいだは、ダウンの濡れを防げるでしょう。

ただし、防水機能ではないので、雨に濡れ続けると染みてきます。

【まとめ】
小雨程度なら○。でも、油断せずに雨が降ってきたらレインウェアを着よう。

調査⑤:見た目や着心地

あまり窮屈だと下にウェアを着にくかったりしますが、そういった部分はどうなのでしょうか?後はやっぱり見た目も気になりますよね。

ウルトラライトダウン 着用画像

撮影:YAMA HACK編集部(左:ウルトラライトダウン[2018年モデル]、右:スペリオダウンジャケット)着用モデル身長:170cm

ウルトラライトダウン 横から

撮影:YAMA HACK編集部(左:ウルトラライトダウン[2018年モデル]、右:スペリオダウンジャケット)着用モデル身長:170cm

同じMサイズで比較。

■ウルトラライトダウン
街着としてスッキリとしたシルエットにするため、裾も短めになっています。特に窮屈感はないので、登山の休憩中に着ても不自由なく行動できます。ただし、細めのシルエットなので、中にたくさん着込みたい場合は、普段より大きめのサイズを選んでおくとよいでしょう。

■スペリオダウン
ダウンの下にもウェアを着込みやすいややゆったりめのシルエット。たくさん着込めそうなのは、こちらです。

また、スペリオダウンの方が空気を含んでしっかりと膨らんでいるように見えます。これは寒い所で使った時の暖かさに、違いが生まれそうですね。

異なるキルティングパターン

ウルトラライトダウン ステッチ

撮影:YAMA HACK編集部(左:ウルトラライトダウン[2018年モデル]、右:スペリオダウンジャケット)

2つのダウンを並べてみると、縫い目に違いがあるのがわかります。

■ウルトラライトダウン
部屋が大きく膨らみやすい縫い方を採用。ダウンは膨らんで温かい空気の層を作り保温するため、大きく膨らむというのは暖かさを確保できる。

■スペリオダウン
・縦横に縫い目があるので中綿が入っている部屋が小さく、ダウンが片寄りにくい
・縫い目を少なくすることで、軽量化とコールドスポット(冷えやすい部分)を減らしている

ジッパーにも違いが

ウルトラライトダウン ジッパー

撮影:YAMA HACK編集部(左:ウルトラライトダウン[2018年モデル]、右:スペリオダウンジャケット)

スペリオダウンは山で手袋をしていても、つまみやすいように先端がつまみやすいような形状に。さらに、ジッパーが肌に当たらないようにするなど、細かい工夫がされています。

サイドポケット部分のジッパーも同様の作りですが、ウルトラライトダウンはジッパーが正面から見えないようになっているので、見た目がスマート。

【まとめ】
見た目がスッキリているのはウルトラライトダウン。たくさん着込む必要がなければ、問題なし。

結論:試す価値アリの優秀なコストパフォーマンス!

ウルトラライトダウン

撮影:YAMA HACK編集部(2018年モデルを着用)

実際に着てみるとその機能性の高さに驚きです。雨や雪が降っていない状況であれば、2000mくらいの山で休憩中に着用しても問題ないように思いました。

もちろん、スペリオダウンのほうが高スペックでしたが、ウルトラライトダウンの価格は約半分。それを踏まえると、コストパフォーマンスに優れた魅力的な商品だと思います。

もし、ウルトラライトダウンを山で着用する場合は、他のウェアとの組み合わせや『自分が行く山で使っても大丈夫か?』という部分を考えて、選んでみてください。

ユニクロ|ウルトラライトダウン

スタッフバッグを使えば、ダウンをさらにコンパクトに!

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