靴が十分温まったらソールの端の部分から工具でメリメリっと接着面をはがしていきます。手際よく数分ではがしてしまいましたが、力のかけ具合などコツが必要で、手早くできるまでは長い経験が必要なのだそう
剥がし終えたソールと新しく接着するソール。古いソールはペラペラで、厚みが全く違うことがわかります。ミッドソールに届いてしまう前に交換するようにしましょう。
次に、ミッドソールに残った接着剤を研磨してきれいに取り除きます。
研磨を終えたミッドソールはまるで新品のような美しさ。この後接着剤を付けてソールを接着します。
最後に、靴底の形状に合わせて余分な部分を皮切り包丁で切り回して概ね完成です。
あっという間の出来事のようですが、実際には接着剤を乾かす時間や、剥がれ防止用のネジどめ、さらに糸のほつれなど工程は多岐にわたり、1日に対応できる靴の数は、1人当たり3~6足ほどだそう。一つひとつ丁寧に仕上げているのがみていてひしひしと伝わってきました。
修理からカスタマイズまで対応!
石井スポーツではソール交換はもちろんのこと、D環やほつれの修理のほか自分の足型に合わせたカスタマイズまで受け付けています。外反母趾ですぐ痛くなってしまう・・・なんて悩みも相談したら購入時に対応してくれますよ。
登山靴の修理に関する気になる5つのギモン
日々様々な登山靴の修理に追われている中さんに、修理や登山靴に関する素朴な疑問を聞いてみました。
①修理が難しい登山靴はありますか?
編集部Y:こういうのは対応できない!など、修理が難しい場合はありますか?
中さん:ゴアテックス®が使われてる靴の場合だとメンブレン(防水透湿素材)が入っているので、穴があいてたり縫製などで穴をあける必要がある場合は難しいね。シーム剤を塗るとか方法はあるけれど、基本的にそういう場合は買い替えたほうがいいね。
②どのメーカーの靴でも修理してもらえるの?
編集部Y:修理ができないメーカーの靴などはあったりしますか?
中さん:基本的には何でも対応するよ。だって、できないなんて悔しいじゃん?うちは昔からオリジナルで靴も作っているのが強み。靴を一から作ってきたから、ほかのメーカーの靴でもある程度わかるんだよ。他では直せなかったような靴を持ち込まれることもあるよ。
③どういった内容の修理が多い?
編集部Y:これまでに持ってこられた靴の修理の中で多いものは何ですか?
中さん:やっぱり7,8割はソールの貼り替えかな。ほかにもいろんな修理があるけど、D環(靴ひもの環)など金具の故障なんかは多いね。あとは、例えば、ミッドソールに使われているウレタンの経年劣化。10年使われてない靴でもウレタン素材が劣化して剥がれてしまうことがあるんで、ぜひ自分の靴に興味を持っていつもチェックしておいてほしいね。
④修理期間はどのくらいですか?
編集部Y:修理の内容にもよりけりかもしれませんが、大体どのくらいで修理を完了してお戻しするんですか?
中さん:少しの調整はきくけど、全国から毎日修理の依頼が来ているのでだいたい40日くらいだね。
⑤一般的な靴修理店で修理してもらうのではだめ?
編集部Y:駅構内などでよくビジネスマンが靴の修理をしているのを見かけますが、そういったお店で登山靴を修理してもらうのはどう思いますか?