※記事内のクレジット表記のない写真はすべて鈴木千花撮影
“登る”だけじゃない。いま注目される新しい楽しみ方

富士登山といえば、5合目から山頂を目指す登山を思い浮かべる人が多いかもしれません。古くから信仰の対象として人々に親しまれ、街と山が深くつながってきた富士山。
実は富士山を楽しむ方法は、山頂を目指すことだけではありません。
富士講の信者たちが歩いた信仰の道「富士みち」と、御師文化が息づく街並み。この富士山の麓、富士吉田エリアには、ふもとから続く登山道や、信仰の歴史、富士山とともに暮らしてきた街の文化が広がっています。
それらを丸ごと味わえば、「富士山って、こんなにおもしろかったんだ」という発見がきっと待っています。自然と歴史と文化をめぐる、1泊2日のゆったりトレッキング旅のはじまりです。
「富士みち」とは
富士山を信仰する人の集まり「富士講」の人々が富士山を目指して歩いた参詣道のこと。かつては関東各地からこの道を通って富士吉田へ集まり、北口本宮冨士浅間神社を起点に吉田口登山道を歩いて富士山を目指しました。信仰や暮らし、文化とともに発展してきた、麓の街と富士山をつないできた存在です。
Day1|ふもとから五合目へ。ゆっくり歩く“もうひとつの登山”

旅の始まりは、富士山の聖域への入口がある富士山駅から。公共交通機関やバスを使いながら、自分たちのペースでゆるやかに歩いていきます。

まずは富士山駅で情報収集。天候やバスの時刻を確認しながら、無理のないプランを整えながら、「どこで休憩する?」「ここ寄りたい!」なんて相談するのも、また楽しいもの。
金鳥居から始まる、かつての登山

富士山駅から歩いて3分ほどのところに立つのが、金鳥居(かなどりい)。富士山信仰の世界への入口とされ、かつての登拝者たちが富士山へ向かう際の入り口だった場所。この鳥居を越えた先から「聖なる場所」が始まると考えられていました。
街なかにありながら、鳥居をくぐった瞬間に「ここから先は富士山の世界」という静かな空気を感じます。
中ノ茶屋で整える

まずはバスで中ノ茶屋へ。山麓から歩く場合は、北口本宮富士浅間神社から約1時間ほどですが、“自分たちにちょうどいいところから楽しむ”のも、この旅のいいところ。

300年以上の歴史をもつ中ノ茶屋は、昔から多くの登山客を見守ってきた場所です。
木の温もりを感じる空間で、ハーブティーやコーヒーとスイーツでひと休み。
ハーブティーには近隣で採れたクロモジなどを使っていて、爽やかな香りにほっと癒やされます。
さらに、ここでサロモンのシューズをレンタル。登山靴を持っていなくても、ここで借りればそのままトレッキングへ出発できます。森の道をしっかり歩きやすいシューズに履き替えると、「これから歩くぞ」という気分も自然と高まります。
装備をいまいちどチェックしたら、いよいよ木々の中の登山道へ。

中ノ茶屋のすぐ近くには、小さな川が流れています。実はここ、“三途の川”に見立てられている場所。この世とあの世の境目とされていて、ここを渡ることで、生まれ変わりの旅が始まるのです。知ってから渡ると、なんだか背筋が伸びる感じがしました。




