富士山にも、過酷な環境に対応する多くの高山植物たちが
「富士山で高山植物を探す」って少し意外じゃないですか?実は麓の豊かな森を抜けたあとも、植物の姿が完全に途絶えるわけではありません。
オンタデ、イワツメクサ、コケモモといった高山植物が、厳しい風や寒さにさらされながら、火山の斜面に根を張っています。

特に富士山に登ったら探してみて欲しいのが、この「フジハタザオ」。
富士山の固有種(固有変種)で、富士山特有の火山灰や強風、乾燥といった激しい環境に適応して進化した植物です。
登山ガイド 榎戸さん
実はよく見ると、色々な高山植物が咲いているんです。
「ただ高みを目指す」のではなく、楽しみながらゆっくり歩くのがおすすめです!

7合目付近では、溶岩が固まった岩場の周辺に緑がまとまっている場所も見られました。荒々しい火山の斜面にも植物が息づいている。その姿に、富士山の自然のたくましさを感じます。
やっぱり圧巻、雲上の世界

そしてやっぱり山頂付近では圧巻の景色も堪能したいもの。天に向かってそびえる独立峰の富士山は、まわりに高いものがありません。標高を上げていくと雲の上に出て、雲海を見渡せることもあります。
たとえご来光が見られなくても、雲海の上へ抜け、周囲に遮るもののない斜面を登る体験は特別。古くから信仰の対象となってきたことにも、どこか納得してしまう光景ですね。

ただし、やっぱり富士山は日本一の高さを誇る山。標高が高いと空気も薄くなるため、焦らずに一定のペースで歩きましょう。
登山ガイド 榎戸さん
標高2,800m付近から、空気の薄さを感じる方もいます。大切なのは、息をしっかり吐き切ること。
目の前のローソクを吹き消すようなイメージで、細く長く吐いてみましょう。水分も、休憩中や行動の合間にこまめに摂ってくださいね。
富士山をしっかり感じる、2泊3日の旅

時間に余裕があれば、足を止めて周囲を見る機会も増えます。自然のなかに長く身を置くことで五感が研ぎ澄まされ、森から火山へとつながるグラデーションを、ゆっくり味わえるのです。
高所に体を慣らす時間も取りやすいため、今回は2泊3日の行程で0合目から山頂を目指しました。
最高点の標高: 3705 m
最低点の標高: 854 m
累積標高(上り): 2954 m
累積標高(下り): -1501 m
- 1日目:北口本宮冨士浅間神社から登り始め、5合目の佐藤小屋で宿泊
- 2日目:登山センターで入山料を支払い、8合目の太子館まで登って宿泊
- 3日目:山頂に立ち、富士スバルライン5合目まで下山
0合目から山頂までの長い道のりの間には、足を止めたくなる場所や、疲れた体にうれしい楽しみもあります。歩いた人だけが出会える、道中の名所を楽しみながら登れるのも、このコースの魅力。
- 北口本宮冨士浅間神社
樹齢300年以上の杉と桧の木々と、苔が覆った石灯籠が静寂と荘厳な雰囲気の北口本宮富士浅間神社。
登山鳥居をくぐる前に、安全登山を願って参拝を。 - 中ノ茶屋
北口本宮冨士浅間神社と馬返し(1合目下)の中間にある茶屋。創業はなんと江戸時代中期の1706年。
冷たい飲み物や甘味で、ひと息つける休憩処。 - 馬返しの猿の石像
富士山の標高1450mに位置する富士登山の中継地点。富士山の使いとされる猿が、登山者を迎えてくれます。
こちらも江戸時代に創業された休憩処「大文司屋」で休憩するのもいいですね。 - 御座石&小屋跡
四合五勺(標高約2,150m)に鎮座する神聖な大岩「御座石(ございし)」と、御座石浅間神社(井上小屋跡)。
かつての富士登山のにぎわいを伝える史跡です。 - 七合目トモエ館のクリームパン
ほどよい甘さとやわらかな食感が、疲れた体に染みわたります。 - 元祖室近くに祀られた食行身禄
富士講中興の祖「食行身禄」を祀る、信仰の歴史が息づく場所。
刻々と変化する登山道に対応する装備もしっかりと

0合目から山頂までの道には、土、石畳、火山礫、岩場と、さまざまな路面が現れます。長い距離を軽快に歩けることに加え、傾斜が増す火山エリアでは安定感もほしい。そんな幅広い条件に一足で対応できるシューズを準備することが大切です。
今回の旅のお供は、サロモンの「X ULTRA 5」。全地形に対応するグリップ力と、足元を支える安定性を備えたミドルカットモデルです。
この「X ULTRA 5」は、山麓の歩きやすい道では軽快に進め、火山砂礫や岩場では足元をしっかり支えてくれました。防水性も備え、天候や路面が変わりやすい富士登山を通して頼りになる一足です。
YAMA HACK編集長 大迫
3日間でさまざまな登山道を歩きましたが、どの登山道にも対応できるバランスの良い一足だと思います。
濡れた岩場では少し滑りやすいので、注意深く歩いてくださいね。

また、今回は標高差が約2,900m。麓と山頂では約18℃もの差があります。
さらに0~5合目までは木々に覆われた樹林帯、5合目以降は風の影響を受けやすい登山道。汗に対応できるレイヤリングと、山頂付近の寒さに備える防寒着も欠かせません。
「富士山を登った」ではなく、「富士山を歩いた」と思えた

5合目から登れば、日本最高峰に立った思い出が残ります。でも0合目から歩けば、森も、歴史も、火山も、空も、一本の道として記憶に残る。
山頂という一点ではなく、富士山そのものを歩いたと思える登山でした。
YAMA HACK編集長 大迫
「富士山は少し物足りない山」だと思っている人ほど、
ぜひ一度、0合目から吉田登山道を歩いてみてほしいです!
富士山を5合目からしか知らないのは、やはり少しもったいない。次に登るときは、0合目から山頂までを一本につないでみませんか。
編集協力:サロモン












