登山者の未来を守るデジタル化プロジェクト

デジタル庁は、日本の自然公園が抱える課題を解決するため、株式会社ADDIXと協力して「観光資源DX 自然公園エコシステム」の実証実験を開始。
PEAKS・ランドネなどを運営しアウトドア分野に深い知見を持つADDIXが、デジタル技術を用いて登山者の安全確保や自然保護に貢献する新しい仕組みを構築する試みです。
このプロジェクトは、2025年10月から北アルプスと八ヶ岳の一部エリアで開始されました。
近年の登山ブームにより深刻化している、山岳地域での問題例
- 遭難事故の増加: 登山経験が浅い人が増え、遭難や事故が多発
- 山小屋の経営難: 物価高騰や後継者不足で、山小屋の維持が困難
- 情報共有の課題: 登山者の情報が正確に把握できず、事故発生時の初動対応の遅れ

これらの課題に対し、デジタル技術を活用して、より安全で持続可能な登山環境をつくることが、このプロジェクトの目的。
そしてこの実証実験の中心となるのが「やまのあかしプロジェクト」です。
「やまのあかしプロジェクト」とは?
登山者は、マイナンバーカードを使って専用サイトに登録し、以下の活動に参加します。
- 入山準備: 登山に必要な知識やマナーをチェック。フィールドや山小屋への負担を減らす
- 自然保護への協力: 山を守るための募金活動に参加
これらの活動を完了すると、「入山準備完了証」や「募金完了証」といったデジタル証明書、通称「やまのあかし」が発行されます。
これを協力山小屋で見せると、プロジェクト参加の記念品としてノベルティを受け取ることができます。

マイナンバーカードの本人確認機能を利用することで、広大な山岳エリアでも登山者の情報を正確に把握できるかどうかの検証も行われます。将来的には、この仕組みを遭難対策や、登山者が特定のエリアに集中しすぎる「オーバーツーリズム」の解決にもつなげていく計画とのこと。
「入山準備完了証」や「募金完了証」の登録・発行方法、協力山小屋・ノベルティ詳細については、やまのあかしプロジェクトの公式ページを確認ください。
デジタル庁より
マイナンバーカードは対面、非対面で公的に本人確認ができる身分証です。
カードのICチップを使う事で、インターネット上でも安全に本人だと証明できるため、デジタル社会に欠かせないツールとなっています。デジタル庁では、マイナンバーカードの普及と利活用の促進に取り組んでいます。
これまでエンタメのチケットの不正転売の防止等、様々な分野でマイナンバーカードの利活用の可能性について、実証実験を実施してきました。
この度、山小屋、自治体のご協力を得て、登山者を対象とした山岳地域におけるマイナンバーカードの活用可能性の実証実験に取り組みます。
今後もマイナンバーカードが社会のさまざまな場面で役立つよう、活用可能性を検証し、デジタル化による社会課題の解決を目指します。
引用:やまのあかしプロジェクト
山岳地域の持続可能な利用と安全性向上への一歩に

この実証実験は、2025年10月から2026年2月までの期間、北アルプスと八ヶ岳の計23か所で実施されます。
今後、山岳地域が抱える課題解決に貢献するとともに、得られた知見を他の自然公園や観光資源への応用も視野に入れているとのこと。
登山者の協力を得ながら日本の豊かな自然を未来に残していく、新しい第一歩になるかもしれませんね。