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【レビュー】パーゴワークス / ゼンドームシェルター

「稜線でこんな快適ってアリ?」パーゴワークス新作・ZENN DOME SHELTERの実力には思わず唸った!

日本の山の最適解を求めてつくられた、パーゴワークスの新作シェルター「ZENN DOME SHELTER」。軽量な自立式シングルウォール構造で、設営も簡単。最大の特長は、奥行き80cmもの広い前室。その使い勝手を実際の登山で試すべく、稜線のテント場に設営してきました。

便利なことは使う前からわかっているのですが、どこまで“山にフィット”するモノなのか?その実力を徹底レビューします!

目次

アイキャッチ画像:ポンチョ

日本の山の最適解を求めたシェルター。稜線テント場で使ってみた!

パーゴワークス ZENNドームシェルター
撮影:ポンチョ

2025年の夏山シーズンを迎えて、デザインと機能を高次元融合させたアウトドアギアを多く開発している日本のアウトドアブランド「パーゴワークス」から、「ZENN DOME SHELTER(ゼン ドーム シェルター)」が発売されました。

開発のコンセプトは「日本の山の最適解」。フライのない防水仕様の本体のみで設営する、軽くて強い1人用自立式シングルウォールシェルターです。
しかし、通常は軽量化のためにシングルウォールテントでは省略されることの多い前室を装備軽さと使い勝手のよさを兼備したことが、最大の特長であり、個性です。

そんなZENN ドーム シェルターのスペックについては、すでに紹介しているので、詳細はこちらを読んでみてください。

設営したのは、日本海を望む頼母木小屋のテント場

撮影:ポンチョ

さて、前回の記事では富士山麓の森に囲まれたフィールドでのテストでしたが、本記事では、山形と新潟の県境にある北飯豊の頼母木山(たもぎやま)直下の頼母木小屋のテント場を訪れ、実際の登山で使って、テストを行ってきました。

登山を行った7月中旬は、標高400mの登山口付近の気温が30℃を超える猛暑。しかも北飯豊の稜線に出るまでのアプローチは、かなりの急峻地形。暑さに備えて4リットルの水と撮影機材も含めた重さ17キロ近くを背負って登る過程は、とてもハードでした。

頼母木小屋のテント場は、定数10張り。当日は平日、しかもイマイチな天気予報が出ていたために登山者は少なく、小屋泊4名、テント泊は私1張りだけ。美しい飯豊山塊の稜線、そして新潟市街地、日本海、さらには佐渡島を望める極上の展望地にあるテント場を、運よく貸し切り状態で過ごしました。

ZENN ドーム シェルターのペグ等を含む実測総重量は1,095g

撮影:ポンチョ

ZENN ドーム シェルターの重量は、メーカー公表値だとテント本体とポールのみで895gです。ですが、収納袋に入れた実測値は930gでした。それに、付属されていないペグ10本を用意し、付属するガイライン5本をジップロックに入れた重さは165g。よって、登山使用時の総重量は、実測1,095gありました。

ペグは引き抜きやすいループ付きで強度と軽さのバランスが定評のDAC/Jステーク 16cmで、1本の実測重量は11gです。

ダブルウォール山岳テントの定番、ライペン「トレックライズ1」の 使用時の総重量が1,680g程度になることを考えると、ZENN ドーム シェルターは約600g程軽くなり、かなりの軽量化ができます。ペグをもっと軽いものに変更すれば、あと20~30gの軽量化も可能です。

自立型シェルターの総重量が1,000g以下になると「かなり軽いな」と感じられますが、1,095gでも「結構軽いな」と思えました。

風のなかの設営がラクだった、吊り下げ式シングルウォール

次は設営です。テント場には、日本海側から吹き上げる風が、断続的に吹き抜けていました。風速はちょっと強めの5~6mくらいです。時に、それより強い風が吹くことがあったので、定石通り、まず本体の四隅を風上側からペグダウンして、シェルターが風に飛ばされることを防ぐことから、設営をはじめました。

後はラクチンです。センターハブで接続されたポールを伸ばし、本体四隅の金具にセットして、本体中央から吊り下げていけばよいのです。テント場は土や砂礫だったのでペグがよく効き、風が強まる状況でもなかったので、ガイラインはセットしませんでした。

撮影:ポンチョ

ただし、室内空間を広げる、出入口とは反対側の壁に備わっているガイラインは、他のテント泊者が来ても邪魔にならないように、短めに伸ばしてペグダウンしました。

ちなみに、このガイラインの効果は高く、室内空間にゆとりを生むだけでなく、風によるバタつきを抑えて静かな空間をつくり、張りを与えて美しさを提供してくれます。吊り下げ式ながら、しっかりととした張りがあり、風に強いこともわかります。当日、時折吹いた7~8mの風は、当然なんの問題もありませんでした。

ここまで撮影をしながらでも、10分も掛かっていません。やはりフライがなく、セットしたポールに本体を吊り下げるだけのシングルウォールは、素早く設営ができ面倒でないだけでなく、安全です。

シングルウォールは、どちらかというと山慣れした人のシェルターというイメージがありますが、しかしZENN ドーム シェルターを設営してみると、設営に慣れていないテント泊ビギナーの方が、恩恵が大きいように感じられました。

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