アイキャッチ画像撮影:鷲尾 太輔
“どんな登山道”でも自由にコース設定可能!

これまでYAMAPで登山計画を作成する際には、あらかじめ赤線で設定されたコース(登山道)上のポイントをタップしてつなげながら、登山計画を作成していました。
このため、例えば最寄り駅から登山口まで赤線のコースがないルートを歩く場合は、登山口で活動開始のボタンを押すまでの区間はYAMAPなしで歩く必要があったのです。
けれども『フリーハンド登山計画』では、地図上のいかなる場所(※)にも手動でコースを引くことが可能。
前述のように駅から登山口までの市街地や、下山後に立ち寄る温泉や食事処などが赤線のコース(登山道)上に含まれていなくても、登山計画に盛り込むことができるようになったのです。
※登山道(赤線)の情報を含まない市街地のみの地図ではフリーハンドを含め登山計画の作成はできません
フリーハンド登山計画の使い方を見てみよう!
撮影:鷲尾 太輔(スタート地点を設定)
『フリーハンド登山計画』では、登山口やバス停などのランドマークでない場所でも、任意にスタート地点を指先で長押しするだけで設定することができます。
2枚目の写真のようにその場所がスタート地点になります。

画面上部の「手動入力を開始」ボタンを押します。
登山道として掲載されている赤線をつなぎながら下山口まで進み、そこから赤線がない市街地へルートを延ばしたい場合も同様の操作を行います。

あとは指先でルートをなぞるだけ。なるべく画面を拡大した方が、より正確にルートを引くことができます。
ルートが画面の端まで達してしまった場合、いったん画面から指を離すと、その先の区間へと地図画面が動いてくれるので続きをなぞるのにも便利です。

二本指で画面に触れて指先の間隔を離したり狭めたりすることで、地図自体の縮尺を変えることができます。いったんルート全体を俯瞰したい時などに便利です。
撮影:鷲尾 太輔(フリーハンド登山計画の操作)
ここまでの過程を動画で紹介します。とにかくいったん触れてしまえば、直感的に操作できることでしょう。
フリーハンド登山計画が活躍する場面って?

YAMAPで赤線のコース(登山道)になっていなくても、別の登山地図サイトでは記載されている比較的メジャーなコースも。
例えば奥秩父・瑞牆山中に弘法大師が梵字を彫ったという伝説が残る奇岩・カンマンボロンを経由するコースが、代表例といえるでしょう。

YAMAPが2024年にリリースした新機能「みんなの軌跡」は、YAMAPユーザー全体の軌跡データを黄色く可視化したもの。
こちらでカンマンボロン経由のルートを確認することができるので『フリーハンド登山計画』ではこの軌跡をなぞるだけで登山計画が作成できます。
その他にも「フリーハンド登山計画」が活躍する機会は様々にありそうです。
街から山へ…すべての道のりを登山計画にできる

最寄り駅に降り立ち、山麓の街を散策・観光してから山に登り、下山後も散策・食事・入浴を楽しむ…というスタイルも山旅の醍醐味のひとつ。
『フリーハンド登山計画』ではこの山旅を、出かける前から登山計画にすることができるのです。
代表例として、埼玉県飯能市を舞台とした山ガールたちを描いたコミック・アニメ『ヤマノススメ』の聖地めぐりと、主人公たちが事あるごとに登る天覧山登山を合わせて計画してみましょう。

まずは主人公たちが通う高校のモデルとなっている聖望学園中学校・高等学校へ(※校内は関係者以外立入禁止です)。
最寄りの飯能駅・東飯能駅いずれからもYAMAPでは赤線コースが延びていません。こうした区間は『フリーハンド登山計画』で手動でなぞることで登山計画に組み込みましょう。

主人公が登山部に体験入部することになり、日課であるトレーニングとして天覧山へのランニングに同行した際、部員たちと赤い鳥居越しに駆け抜けたのが「水種稲荷神社」です。
こうしたマニアックなスポットも、自由にルートでつなぐことが可能。
ランニングしながら天覧山へ向かった国道299号線沿いもYAMAPでは赤線コースがありませんが、『フリーハンド登山計画』でまさに、登山部のトレーニングコースを忠実に再現できるのです。

赤線で登山道が記された天覧山から下山したら、飯能市内の聖地めぐりを再開しましょう。
作中で主人公たちがたびたび集まってお喋りする場所が、鐘楼に白い象の張り子があることで有名な般若山長寿院観音寺です。YAMAPの赤線コースは入口を通過するのみですが、参詣する場合は境内までルートを延ばしてもよいでしょう。

主人公のアルバイト先である洋菓子店のモデルとなったお店・夢彩菓 すずきも、YAMAPの赤線コースが通る東京都道・埼玉県道28号 青梅飯能線のひとつ南にある飯能銀座商店街沿いのお店。
こうした細かい路地をわざわざ選んでルート化できるのも『フリーハンド登山計画』の魅力です。
特殊な登山スタイルの計画にも

登山にも様々なスタイルがあり、
・登山道がない場所を歩くバリエーションルート登山
・ロッククライミング・ボルダリングやそのゲレンデ(岩場)へのアプローチ
・沢登り
など、そもそも登山道ではない場所を歩くことを前提とする場合も。
こうした登山スタイルであっても登山計画化できるのが、『フリーハンド登山計画』の強みです。
YAMAPには留守宅で待つ家族などに現在地を共有する『みまもり機能』がありますが、こうした登山計画を事前に共有しておけば、「一般登山道を外れてとんでもないところを歩いている!」と心配をかけることもありません。

ロッククライミング・ボルダリングでは、登山道から外れてゲレンデ(岩場)へ向かうアプローチルートも、『フリーハンド登山計画』でなるべく正確に書き込むようにしましょう。
登攀中でなくアプローチでトラブルに遭遇する可能性も考慮しての登山計画作成が重要です。

沢登りの場合はスマートフォンの水没・故障を防止するために、フィールドでは耐水性があるGPS機器を使用する場合もあるでしょう。
その場合でも、登山計画書だけは『フリーハンド登山計画』で作成・提出しておくことがおすすめです。
バリエーションルート登山・ロッククライミング・ボルダリング・沢登りなどの登山スタイルは、YAMAPなど登山アプリに頼りきりにならない読図能力や地形観察力、踏み跡がない岩稜や薮でのルートファインディング能力、さらに登攀や渡渉の技術を身に付けておりアイテムも使いこなすことができる熟達者向けとなります。
初心者が安易にチャレンジすることは絶対にやめてください。
フリーハンド登山計画によって安全性や危急時対応にもメリットが

丹念にルートを指でなぞって登山計画を作成するのは、その距離やルートの曲がり具合などによっては面倒に感じるかもしれません。
実際のところ登山計画を作成しなくても、そのエリアの地図をダウンロードしておき「活動を開始」ボタンさえ押せば、その登山の軌跡自体は記録されて活動日記の作成も可能です。
しかし『フリーハンド登山計画』で登山計画を作成・提出しておくことには、以下のようなメリットがあるのです。
道迷いを防止できる

YAMAPプレミアム限定の機能ですが、登山計画したルートから外れてしまった際に通知してくれる「ルート外れ警告」があります。これをONにしておくことで、道を間違えてしまった際に素早く気づくことができ、道迷いを防止できるのです。
山の中はもちろんですが、先ほどの聖地巡礼のように街の中でも路地をひとつ間違えるだけで全然違う場所に……ということは充分に起こり得ます。
登山前に街の中でタイムロスしないためにも、ぜひ活用したい機能です。
遭難事故発生時の捜索・救助活動がスムーズになる

YAMAPでは2025年4月現在、上記緑色の28府県と協定を締結しており、『フリーハンド登山計画』を含め作成した登山計画書をYAMAPへ提出すると、自動的に協定締結済みの自治体へ提出される仕組みになっています(協定を締結していない自治体へもプリントアウトして提出可)。
先ほどのバリエーションルート登山・ロッククライミング・ボルダリング・沢登りなどは熟達者向けと注意喚起しましたが、それでもリスクの高い登山スタイルです。
遭難事故発生時に正確なルートが記載された登山計画書によって「いつ・どの場所を」行動している予定かを把握しやすく、迅速かつ効率的な捜索・救助活動が可能になるのです。
重要な登山計画ルート|記入はなるべく正確に

前述のようなメリットを最大化するためには、とにかく正確なルートをなぞることが重要。
筆者が試してみたところ『フリーハンド登山計画』はタッチペンでルートを記入することも可能でした。指先でなぞると上手くいかない……という人には、この方法もおすすめです。
山麓の街での観光・グルメなどのお楽しみと山を途切れなくつなぐことで、自分だけの山旅を作ることができる『フリーハンド登山計画』。リリースの際にはぜひ試してみてください。