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スマートウール アームウォーマー レッグウォーマー

寒暖対応の軽量ウェア『スマートウール/アーム&ニーウォーマー』|定番道具のモノ語り#17

質実剛健、丈夫さが必要な機能である山道具。だからこそ発売から10年以上も変わらない道具や、10年以上問題なく使い続けられる定番の山道具があります。そんな山道具の中から、ライター・ポンチョが愛用してきたモノを紹介。

今回は第17回、寒さ温かさに柔軟に対応できる軽量ウェア『スマートウール/アーム&ニーウォーマー』を愛用する理由です。

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目次

アイキャッチ画像撮影:ポンチョ

メリノウールを浸透させたスマートウール

スマートウール ロゴ

撮影:YAMA HACK編集部

チクチクしないメリノウール製ソックスを日本のアウトドアシーンに浸透させたのは、1994年、米国コロラド州創業の「スマートウール」でした。メリノウール製、メリノウール化繊混紡製のスマートウールのソックスが日本で発売されたのは2000年代はじめです。それまで化繊が主流だったアウトドア、そしてハイキングソックスとはまるで異なる履き心地、機能に、心底驚きました。

そのソックスはウールが持つ調湿性、防臭性を装備。さらにクッション=厚みの異なるソックスを展開。縫い目のないシームレスなソックスのフィット感により、長時間歩行での足のトラブルが、ほぼ発生することがなくなりました。

スマートウールも含めて、メリノウールソックスが2010年代に掛けて愛用者を増やしたのは、それまでトラブルが多かったアウトドア、ハイキングソックスにおいて、長く快適性を維持をする高機能を装備していたからです。

スマートウールのメリノウールソックス

提供:Smartwool

そしてスマートウールはそのデザイン性でも、個性を発揮します。それまで無地が主流だったアウトドアソックスに、カラフルなデザインを採用。それは大胆なものではなく、リブの色が切り替わっていたり、ラインが入っている程度なのですが、それでもグレーやブラウン等の無難な色ばかりだったのに対して、着用するアウトドアウェアに合わせて、コーディネートしたくなるソックスでした。

着圧カバーではなく、調温・調湿性のあるウォーマーの登場

メリノウールのソックスに続いて発売されたのが、メリノウールと化繊混紡のアームウォーマーとニーウォーマーです。

当時、すでにトレイルランニングにも取り組んでいた私は、疲労を軽減するという着圧機能を謳ったアームカバー、カーフ(ふくらはぎ)カバーを使っていました。しかし、ブランドロゴが大きく入っていたり、スポーティな印象のツルッっとした素材感であったりと、登山時に着用することに少し違和感がありました。

そこに登場したのが、スマートウールらしいシンプルながらもデザイン性を纏ったアーム&ニーウォーマーです。

スマートウール アームウォーマー
撮影:ポンチョ(スマートウール/アームウォーマー)
スマートウール レッグウォーマー
撮影:ポンチョ(スマートウール/ニーウォーマー)

当時は着圧モデルに保温タイプがなく、気温が低いときに着用すると、カバーされているのにも関わらずその素材の特性から少しヒンヤリするんです。

だから「疲労軽減よりも、防寒のために使えるアーム&ニーウォーマーがあればいいのになぁ」と望んでいたところに、メリノウール・化繊混紡の、調湿、調温性のあるモノが発売。すぐに購入し、その性能を確かめるために山へと向かいました。

温度調節のしやすさは、他のウエアにはないメリット

スマートウール アームウォーマー
撮影:ポンチョ

暑がりな私は、前述の通り山でも短パン派。そしてトップスも半袖シャツが多めです。それでも登っているときは体温が上昇するので、寒さはほとんど気になりません。

でも高山ハイクや縦走時には、稜線の冷風に吹かれれば寒さを感じます。そこで薄手のウィンドシェルや化繊中綿ウエアを着ますが、歩き進めて風を遮る森のなかに入ると、また暑くなります。真夏以外の温暖な季節では、このように暑さと寒さの変化に対応するシーンは、私だけでなく、多いでしょう。

そこで役立つのが、アーム&ニーウォーマーなんです。

スマートウール アームウォーマー
撮影:ポンチョ

寒さを想定して長袖シャツを着てきたら、陽射しが強くて暑くなった……という場合、長袖シャツを半袖シャツに着替えるのは面倒ですし、そもそも女性は野外での着替えは無理でしょう。
袖をまくってなんとか凌ぐこともできますが、半袖シャツ+アームウォーマーの組み合わせなら、ラクに調節ができます。
アームウォーマーを手首にまとめたり、さらに外してしまって半袖シャツ1枚になったりすればOK!脇下に空気を入れられるので快適です。またウィンドシェルの着脱よりも、面倒が少なくすみます。

さらに、アームウォーマーは暑さに対応するだけではありません。

想定外に寒かった……そこでウィンドシェルを着たけれども、まだちょっと寒い……そんなときには長袖シャツの袖の下、または袖の上からアームウォーマーを追加すれば、保温性がグッとアップします。暑くなってきたら、アームウォーマーを外せばよいだけです。

ロングパンツにニーウォーマーもありなんです!

スマートウール ニーウォーマー
撮影:ポンチョ

私が短パン派なので、ニーウォーマーは短パン用の保温着として活用するモノと思ったかもしれません。

でも、ロングパンツの下に着用して防寒するのもアリです。またアンダータイツの上にロングパンツをはいて防寒対策をしてきたのに、まだ寒い……というときには、タイツの上にニーウォーマーを追加してもよいのです。

とくに、冷えでヒザが痛い……という人には、簡単に着脱できるニーウォーマーの保温性は重宝します。

スマートウール ニーウォーマー
撮影:ポンチョ

私が愛用しているニーウォーマーは、すでに15年近く使用しているので、フィット感が低下。動くとズレ落ちてくることがあります。そこで、アンダーパンツをハーフ丈の長めのものにして、その裾部分にニーウォーマーを重ねて摩擦力をアップさせ、ズレ落ちを防ぐ工夫をしています。

しかし、スマートウールに限らず、最新のニーウォーマーはズレにくい仕様になっているので、問題ないと思います。その分、フィット感が少し強めですが、動きが制限されるようなことはなく、薄手のアンダータイツ同様の着心地です。

夜通し走るレースで機能性の高さを実感

スマートウール
撮影:ポンチョ

スマートウールのアーム&ニーウォーマーを手に入れてから一番役立ったのは、毎年10月上旬に奥多摩で開催される「日本山岳耐久レース(通称ハセツネ)」です。
制限時間24時間以内に、奥多摩の山中の距離71.5キロを駆け抜けるもの。スタート時間は13時。晴れていれば、日没までは大汗をかくほどの気温ですが、夜中には気温が5℃くらいまで下がります。

半袖Tシャツでスタート。夜を迎え、コース最高地点の三頭山へ向かう頃には、ウィンドシェルなしでは寒くていられません。風が吹いてくると、さらに寒さが厳しくなります。そんなときにアームウォーマーが活躍。日没頃から手首に巻いておいて、寒くなったら腕を覆い、暑くなったら再び下げて。最適な体温を維持して、ゴールを目指しました。

私は7回完走していますが、アームウォーマーを装備していなければ、完走できなかったり、ヒドいめに遭っていたりしたでしょう。汗や雨で濡れると化繊製ほど乾きは速くはありませんが、反面、冷えが少ないこともメリノウールのよさなのだと、レースを通して体感。本当に助けられました。

寒さを感じた妻に貸したことも

スマートウール アームウォーマー
撮影:ポンチョ

登山時には、防寒着としてほとんどの山行で携帯もしています。軽く嵩張らないいのに温かいという、ウィンドシェル同様のメリットから、手放せません。

妻とふたりでの登山には、手持ちのウエアだけでは寒い……という妻に貸したこともありました。このウエアはサイズがS/MとM/Lの2種類ですが、伸縮性が高いので、ちょっとサイズが違ってもフィットするのがメリットです。だから同行者が寒がっているとき、シェアできるので、自分のためだけでなくエマージェンシーウエアとして携帯しておくのもおすすめです。

実際、アームウォーマーで手首を、ニーウォーマーを下に少しズラしてふくらはをカバーすると、太い血管が温められて、寒さが緩和します。

残念ながら……廃番

アームウォーマー、ニーウォーマー、またはふくらはぎを覆うカーフスリーブは、最近ではトレイルランナーやロードランナーが着用するイメージが強いようで、登山者、ハイカーで使っている人を見掛けません。一時期は、道具やウエアにこだわりを持った人の多くが愛用していたのですが……たぶん、スマートウールがデザイン性に長けたモデルをやめて、単色仕様だけの取り扱いになってしまったからのような……。

スマートウール アームウォーマー ニーウォーマー
撮影:ポンチョ

上の写真のように、登山時のコーディネートのポイントにもなって、私がかなり好きなのです。多くのハイカーにも、その機能性の高さを知ってほしいのですが……残念ながら、現在発売されている単色仕様の、よりフィット感の高いイントラニットアクティブアーム&ニースリーブも、今期で販売終了だそう……。

次の狙い目は……

提供:OLENO

そこで、次はコレもいいなぁと目を付けていたのが、日本の靴下の名産地、奈良県の「OLENO(オレノ)」というブランドの「アームスリーブ UL 親指ホール付き(両手用)」。上の写真が、それです。

親指ホールがない手首までのモデルもあります。しかし親指ホールがある方が保温性が高く、暑ければ外して手首までで使え、さらに幅広い温度で使えるのです。またGPSウォッチやスマートウォッチを親指ホールからモニターを出して見ることができ、心拍計を機能させたまま装着できるのも利点です。

提供:YAMAtune

北海道の東川町に店舗を構える山と暮らしのソックスブランド「YAMAtune(ヤマチューン)」も、メリノウール化繊混紡の「メリノメランジ アームスリーブ」を用意しています。

スマートウール同様のアームウォーマーで、肌触りと素材感、発色のよさから、実際に使ってみたいと思わせます。

オールシーズンの定番ウエアにしてほしいアームウォーマー

スマートウール アームウォーマーとニーウォーマー
撮影:ポンチョ

真夏以外の山は案外寒いものです。でも、登ると体温は上昇。冬の低山でも大汗をかいてしまうことがあります。だからできるだけウエアは着脱が容易で、幅広い温度域に対応できるものを選びたいところ。その方が、適切な体温を維持でき、体調を崩しにくいです。

ニーウォーマーはタイツの代わりといった使い方が主となりますが、アームウォーマーは、長袖シャツの代わりではなく、まさに幅広い温度域、シーンに対応できるウエアです。ぜひ、半袖シャツ、さらに長袖シャツと組み合わせて、使ってみてください。きっと、持っていてよかった!と思うときが、何度となく訪れるでしょう!

それでは皆さん、よい山旅を!

    OLENO アームスリーブ UL 親指ホール付き(両手用)

    サイズ・重さSサイズ:フラットサイズ 47cm、約23.5g/ペア
    Mサイズ: フラットサイズ 52cm、約26.5g/ペア
    組成ポリエステル78%、ナイロン17%、ポリウレタン5%(環境にやさしいサスティナブルマテリアル使用)
    紫外線遮蔽率94%


      YAMAtune メリノメランジ アームスリーブ

      サイズフリーサイズ(実寸):丈50cm、幅9.5cm
      組成メリノウール54%、ポリエステル29%、ナイロン16%、ポリウレタン1%