実力を調査!猛暑の低山で使ってみた

7月下旬、予想最高気温35度の猛暑日に、ファンブローベストをお供に低山へ。
いつもは、下界と変わらないほど気温が高い低山での登山は控えるのですが、ファンブローベストがあれば暑さが和らぐかも?ということで、愛用のバックパックを背負って登ってみました。
登山口ですでに暑い、さっそくスイッチオン!

登山口に到着した8:54時点で、すでに気温は30.4度。登山の用意をしていると汗が出てきたので、ファンブローベストをさっそくスイッチオン。

ベストの中に一気に風が送り込まれ、汗が引いていきます。まるで風船のように膨らんで、見ためがプックリしました。
ファンの位置を合わせるのがポイント

バックパックを背負う時にファンの位置を、右側はショルダーハーネスとヒップベルトの間、左側はショルダーハーネスの上に合わせるのですが、これがちょっと手間取りました。
とくに左側がショルダーハーネスと干渉してしまい、上に引っ張り上げ気味な感じでやっと収まりした。

後日、小型のデイパックで試してみましたが、やはり同じような感じでした。バックパックを背負うたびにファンの位置の調整をする必要があり、ちょっと面倒でしたが、慣れれば手間取らないのかもしれません。
汗が流れない!思ったより涼しい!

風量設定は【2(風量47L/秒)】で登山開始。無風状態のうっそうとした森の中、どこにいても風に吹かれている感じがします。
とくに背中を抜けて首筋から吹き上がる風が体温の上昇を抑えているのか、通常ならダラダラ汗が流れそうなきつい登りでも、ほとんど汗を掻きません。汗拭きタオルを用意していたのですが、まったく不要。思ったより冷却効果を感じます。
冷えすぎに注意

歩き始めて1時間経過。沢沿いを歩くと、気温が低くなり体が冷えてきたので、風量を【1(風量32L/秒)】に設定。ベストの中をかすかに流れる風が良い心地。試しにファンを切ってみたのですが、すぐに暑くなりファンを回しました。この時点で、ファンなしでは登山できない体になってしまいました……。
少し気温が低い場所では、お腹が冷えそうになりました。気温状況や体感温度に応じ、こまめに風量を調整するのがベターです。
ファン・バッテリーの揺れは感じず、でも設定風量によっては音が聞こえる

ベストを手で持つとズッシリと重く「これ着るの?」という感じでしたが、実際に着てみると、それほど重さを感じません。
また、バッテリーやファンは、ザックのハーネス類でウェアが固定されるため、揺れをほとんど感じません。使う前は揺れによる歩きにくさを一番心配していたのですが、まったく問題はありませんでした。

風量設定【2】からファンの音がよく聞こえ、同行者によると5メートル程度離れても「ブーン」と聞こえていたそうです。登山道ですれ違う人は「なに?」と思うようで、注目されました。
ファンが腕に干渉、ちょっと気になる……

気になったのはファンが腕に当たること。トレッキングポールを使用していた時は、それほど当たらなかったのですが、不使用時はおろした腕にぶつかることもあり、ちょっと気になりました。
いろいろと調整してみたのですが、当たらないようにすることはできませんでした。
背中のベタつき一切なし

登山を開始してから約3時間、普段ならザックと背中の間に汗がベットリというころですが、一切なし。背中にずっと風が吹き抜けているおかげでしょう。
登山終了、冷却効果は想像以上

無事に登山終了。総行程5時間のうち、風量設定【2】を7割、【1】を3割で使用。最初から最後まで使いましたが、バッテリー残量は60~80%とまだまだ使えます。なお、風量設定【3】や【最大】は使う必要がありませんでした。
結果としては、冷却効果は想像以上。1年で最も暑い時期、しかも今年は異常な暑さの低山で、汗をうっすら掻く程度で、ほとんど流れなかったことにはちょっと驚きです。同行者は汗ダラダラだったらしく、筆者だけ涼しい顔で登っていて恨めしかったそうです(笑)。
レビュー まとめ
- 冷却効果は想像以上、冷えすぎに注意
- 重さの負担なし、揺れも心配なし
- 日帰りであれば使いっぱなしOK
- ザックのハーネス類とファンの位置の調整が必要
- ファンが腕に当たる懸念あり
- ファンの音はそれなりの大きさ
こうなればもっといいかも
今回使ってみて、「こうなればうれしい!」と感じた点を挙げてみます。
風量の切り替えをもっと楽に

風量の切り替えはチェストストラップを外し、ファスナーをお腹まで下げる必要があります。例えば、腰ポケットからアクセスできる等だとラクでいいなと思いました。
ファンやバッテリーが小さいタイプもほしい

ファンの大きさが少し小さくなれば、腕への干渉の軽減や、位置の収まりがよくなるかもしれません。
日帰りしか使わないのであれば、これほどバッテリー容量は必要ないので、軽量コンパクトなタイプもラインナップしていたら、登る山に合わせて選べるのでいいですね。
ベスト単体で使えるようになれば

ファンを外すと2か所大きな穴が開くので、ベスト単体では使えません。もちろん気にしなければ着られますが……穴を塞げる仕様になっていると、肌寒い時のベストにも使えるのでありがたいですね。
ちょっと高い……
ベスト9,900円・ファン7,000円・バッテリー15,400円で総額は32,300円。作業着として毎日長時間使うのであればよいのですが、登山で使うためだけに、この金額を出すかどうかは判断に迷うところ。もう少し手ごろな価格になれば……と思いました。とくにバッテリーは、少しスペックを落とせば安くなりそうですね。
ほかのアウトドアアクティビティで活用したり、日常の暑さ対策に着用したり、フル稼働させれば値段以上の恩恵を受けられるかも!?
お手入れは簡単!
ファンブローベストは夏に使うことから汗汚れが付くので、着用したら都度洗いたいところ。お手入れ方法を紹介します。
ベストは洗濯機OK

ベストは洗濯機の使用OK。ただし、バッテリー・ファン・ケーブル・3Dバックパネルはすべて外すこと。なお、3Dバックパネルは手洗い可能です。
ファンは水洗い可能

ファンは使い続けると、土ぼこりなどが溜まってしまいます。汚れが目立つ場合は、電源ケーブルの差込口にラバーキャップを取り付け、水洗いすることもできます。洗った際は十分乾かして使用しましょう。
「ファンブローベスト」で涼しい夏山登山を!

今回、実際に登山してレビューをしましたが、「ブーン」というファン音で、すれ違う皆さんに驚かれました(笑)。まだまだ、ファン付きのベストで登山することは珍しいようですが、今後、今年のような猛暑が続けば必須アイテムになるかもしれません。
ファンブローベストでの登山は間違いなく涼しくなります。「使うとの使わないのでは天と地の差と言っても過言じゃない」というのが率直な感想です。暑くて夏の低山登山を敬遠しているのなら、ファンブローベストで涼しい山歩きを楽しんでみてはいかがでしょう。
ファンブローベスト(ユニセックス)

提供:mont-bell
- 素材
- 40デニール・ナイロン・タフタ[はっ水加工]
- 平均重量
- 203g
※本体重量は3Dバックパネルを含む重量です。 - カラー
- ブルーグリーン(BGN)、ダークグレー(DGY)、ライトグリーン(LGN)、ライトグレー(LGY)、オレンジ(OG)
- サイズ
- XS、S、M、L、XL、XXL
- 収納サイズ
- 22×18×13cm
- 価格
- 9,900円(税込)
ファンブロー システム用 ファン(2個セット)

提供:mont-bell
- 素材
- ファン:ポリカーボネート
- 重量
- 217g
- カラー
- ブラック(BK)
- サイズ
- ∅108×40.3mm
- 価格
- 7,000円(税込)
ファンブロー システム用 バッテリー 19V 仕様

提供:mont-bell
- 素材
- ケース:ポリカーボネート
- 重量
- 343g
- カラー
- ダークグレー(DGY)
- サイズ
- 115×77×25mm
- 出力
- ・風量90L/秒(19V、連続稼働時間〈19V/1時間+13V/約5時間〉)
19Vは1時間の使用で自動的に13Vに切り替わり平均63L/秒で稼働
・風量66L/秒(13V、連続稼働時間〈13V/1.5時間+約6時間〉)
13Vは1.5時間の使用で自動的に風量調節し平均60L/秒で稼働
・風量47L/秒(9V、連続稼働時間約13時間)
・風量32L/秒(6V、連続稼働時間約30時間) - 価格
- 15,400円(税込)