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グルメな人向き! 「トレイルポット S1200P」は調理特化型クッカー

お湯を沸かす、食材を炒める、茹でるなど、山中の調理シーンに欠かすことのできないクッカー。読者のみなさんは選ぶときに何を重視していますか?
重さ、素材、形など、おそらく答えは人それぞれ。お湯を沸かすだけでいい人もいれば、しっかり料理を作りたい人もいると思われ、理想的なクッカーの形は人の数だけあるといえます。
国内メーカー<パーゴワークス>の「トレイルポット S1200P」は、お弁当箱のような形がほかと異なるアルミクッカー。重量が440gもあるので軽さを重視する人には少々ミスマッチですが、逆に料理をしっかり作りたい人にこそおすすめしたい、使い勝手に優れる商品です!
ナベ&フライパンでさまざまな調理に対応

トレイルポット S1200Pは、深さのあるナベにフタが付き、さらにナベ底にぴったりはまるフライパンが付属します。
▼仕様
サイズ:130×185×80mm
重量:440g
主素材:アルミニウム(本体)、ステンレス(持ち手)
容量:満水で1.2L
フライパンがセットされている仕様からも、重さより調理器具としての使いやすさを重視したクッカーであることが分かりますよね。
また、この内容で重量440gは、ほかのアルミクッカーと比べても割りと平均的。「メインのクッカーにフライパンを付けたらこれくらいの重さになるよね」といった感じの重量です。
付属のケースで荷物をひとまとめにできる

一緒に付いてくる収納ケースは、下半分がクッション性のあるメッシュ生地で作られています。こちら、単なるケースと思いきや、実は上半分は余裕のあるサイズ感で作られているところもちょっとしたポイント。
たとえば、写真のように生米とレトルトカレーなど少量の食材であれば、クッカーと一緒に収めることができるのです。散らばりがちな荷物をひとまとめにできる気の利く作りがグッドですね。
「トレイルポット S1200P=調理向き」といえる4つのポイント
フライパンが付属するほかにも、トレイルポット S1200Pは調理に適した特徴をいくつか備えています。ここでは、実際に使ってみて「いいね!」と感じたポイントを4つピックアップ。それぞれ詳しく見ていきましょう!
その1|フライパンの凹凸で食材が焦げ付きにくい

フライパンは波打つように凹凸があり、食材の焦げ付きを防ぐ形状で作られています。
さらに、この凹凸には一枚肉などを焼くとキレイな焼き目が付く副次的効果も。でき上がった料理の見た目に違いが生まれて、それだけでも食欲がアップします!
その2|しっかり深いから煮物や蒸し物も楽しめる

地味にいいなと思ったのが、フライパンとナベにしっかり深さがある点です。
特にフライパンは3cmも深さがあるので、炒め物をするときに食材が飛び出しにくく、ちょっとした煮物や蒸し物も調理可能。使いやすいフライパンがひとつあるだけで料理のバリエーションが広がります。
その3|細かな目盛りで水を節約できる

本体の側面には200ml刻みで1000mlまで目盛りがあります。山の中で水は貴重品。即席麺やカップラーメン、コーヒー用のお湯を沸かすときなど、使う水の量をその都度細かく計量すれば、それが結果として節水につながります。
また、右隅に見える「1、2、3、4」の目盛りは炊飯時に使うもの。お米の量に対して水の量も簡単に把握できる仕様です。
その4|フッ素樹脂加工で食後の後片づけがラク

楽しい食事のあと、待っているのが後片づけです。汚れを落とすのってけっこう面倒ですよね。
その点、トレイルポット S1200Pは表面がフッ素樹脂でコーティングされているので、汚れ落としはキッチンペーパーなどでサッと拭くだけでOK。油汚れも付着しづらいので、不快なヌルヌルもひと拭きで気にならないほどキレイに落とせます。
炊飯、焼き物、蒸し物など、実際に料理を作ってみた!
それではどんな食事を楽しめるのか、実際に作ってみた料理を少しだけ紹介します!
炊飯|生米からのレトルトカレー
ナベで生米からご飯を炊いてみました。用意したのが新米だったので、ホッとする温かさとみずみずしい甘みが口中に広がり、それだけでも口福……。
事前にトレイルポット S1200Pでお湯を沸かし、温めておいたレトルトカレーを上にかけて美味しくいただくことができました。
▼トレイルポット S1200Pで美味しくお米を炊くポイント
1)ナベの炊飯用の目盛りは「4」までありますが、炊けるのは最大で2合まで。ひと目盛りが1合分になっていて、お米を1合入れたら水は目盛り「2」まで、米を2合入れたら水は目盛り「4」まで注ぐのが目安です(写真1枚目)
2)火にかけて水が沸騰すると、ナベとフタの隙間から蒸気が逃げてしまいます。これを防いで内圧を高めるために、フタの上に重しを乗せておくのが炊飯のコツ。水筒や石などその場にあるものを活用しましょう(写真2枚目)
3)炊飯で肝心なのは火力調整です。最初は中火に調整して、沸騰したら弱火(トロ火もOK)に変更。ナベとフタの隙間から湯気が出なくなったら炊きあがりの合図。食べてみて芯があるようだったら、水を注いで再び火にかけてリカバリーも可能です。
焼き物|豚肉の味噌漬け焼きやタンドリーチキンなど

トレイルポット S1200Pにとって焼き物はいちばんの得意分野。食材ってどうして焼くだけで美味しさが増すのでしょう。
ウインナーは夏でも傷みにくい代表的な肉系の食材。豚肉や牛肉など、生肉は味噌ダレや塩麹に漬けておくと傷みにくくなるので、山に持っていくときの保存方法としてもおすすめです。
フライパンに深さがあるので、予想したとおり水気の多い料理も調理しやすかったです。試してみたのはビーフンとタンドリーチキン。どちらも山で簡単に作れるので(タンドリーチキンは下準備が大変ですが……)ぜひチャレンジしてみてください!
蒸し物|シュウマイを温めることもできました

フライパンに深さがあるので蒸し物も可能だろうと、見切り発車してシュウマイを購入。並べたフライパンに薄く水を張り、フタをかぶせて沸騰させること数分。フタを開けると中まで蒸し上がった美味しそうなシュウマイができあがり、想像どおりの結果に満足できました!
▼沸騰後にフタを開けるときのヒント
ナベでもフライパンでも、お湯を沸かすときはフタの開け方に要注意。プライベートの山行で1枚目の写真のように開けたところ、高温の蒸気が指にかかって「アッツ!!」となりました。
そこで、個人的に思いついたやり方が写真の2枚目。フタの奥を先に持ち上げて蒸気を逃すと、湯気が指や顔にもかからず安全に調理を進めることができました。もしくは最初からツマミの位置を意識して、前もって奥から持ち上げられるようにしておくのもありですね。
ジャストフィットするコップはコレ!
実際に使ってみて、調理のしやすさに満足できたトレイルポット S1200P。しかし、使いはじめてすぐにコップがないことに気づきました……。
コップは、コーヒーやスープを飲みたいときに欠かせないアイテムですよね。そこで、慎重に寸法をチェックして、インターネット上で見つけたちょうどいいサイズのコップを早速購入。

写真の手前にあるのが<エバニュー>の「Ti 400FD Cup」という商品で、これがトレイルポット S1200Pにシンデレラフィットします。実際、トレイルポット S1200Pに収納してみた様子がこちら↓

トレイルポット S1200Pは収納性の高さも特徴で、ガスカートリッジ、バーナーヘッド、カトラリーなど、調理や食事シーンで使うアイテムを丸っとナベに収納可能。
写真のように「Ti 400FD Cup」に105サイズのガスカートリッジを入れられるほか、コップを外してフライパンをフタ代わりに使うと、ひと回り大きい250サイズのガスカートリッジを中に入れて持ち運ぶこともできちゃいます。

メーカーの公式HPを見ると、「Ti 400FD Cup」だけでなく、トレイルポット S1200Pにジャストフィットするコップはいろいろありそう。あれこれ試しながら自分だけの組み合わせを探したくなりますね。
また、トレイルポット S1200Pのような角型クッカーは、バックパックにパッキングしたときにデッドスペースが生まれづらいというメリットも。トレイルポット S1200Pはあらゆる側面でパッキング上手なクッカーでもあるのです。
ソロでもグループでも「トレイルポット S1200P」で食事を楽しもう!

ナベとフライパンがセットになったトレイルポット S1200Pは、それだけで調理意欲をそそられる、料理好きにはたまらないクッカーといえるでしょう。
焦げ付きを防ぐ形状や汚れが落ちやすいコーティング など、使い勝手はもはや説明が要らないほど◎。収納力も高く、バックパックの中でデッドスペースが生まれづらいというメリットもグッドですよね。
ナベは1リットル近くまでお湯を沸かせるので、トレイルポット S1200Pはソロだけでなくグループ登山にもピッタリ。山で料理を振る舞ったり、互いに作った料理をシェアしたり、トレイルポット S1200Pがあるだけで山の楽しみが広がります。
はぁ、記事を書いていたらお腹が空いてきました……。今度の山行ではどんな料理を作ろう。次回の献立を考えるおもしろさもトレイルポット S1200Pがあってこそですね!
パーゴワークス トレイルポット S1200P
サイズ | 130✕185✕80cm |
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容量 | 満水容量1.2L |
重量 | 440g |
主素材 | アルミニウム、ステンレス |
エバニュー Ti 400FD Cup
サイズ | 外径102✕内径95✕深さ58cm |
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容量 | 400ml(目盛付き) |
重量 | 50g |
主素材 | チタン |