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なぜACUT?まずはセンスのいいハイカーに聞いてみた

オーダーシャツを仕立ててくれる北海道発のシャツブランド「ACUT」。
アウトドアウェアブランドではないにも関わらず、今、多くのハイカーをトリコにしているそうです。
自分で選べる特別感あるシャツ

撮影:平野 美紀子
その人気のヒミツを取材をする前に、実際にどんな人が着ているのかをSNSでチェックしたところ、感度の高い山スタグラマーが続々ヒット!ということで、なぜACUTのシャツがいいのか?本人たちにズバリ聞いてみました。
まずは愛用者のリアルな声を、こだわりのコーディネート写真とともにご覧ください。
92_asobiさん

提供:@92_asobi
何といっても唯一無二のシルエット。 ゆったりシルエットは、動きやすさと風の抜ける感じが気に入っています。
また縫製もとても丁寧で、ステッチやアームの絶妙なタックと袖口がツボです。 そして何よりオーダーという特別感。
作り手とお話して購入できる洋服って、普段着や山で着るものとしてはとても少なく感じます。ACUTが作るシャツは、袖を通して幸せになるそんなシャツですね。
新田あいさん

たくさんの生地の中からお気に入りの一枚を見つけ仕立てていただくという特別感。
デザインや着心地も好きなところですが、アウトドアブランドとは違う上質な仕上がりに惚れています。オーダーしたパンツと合わせて山を歩くのが楽しみです。
RYOさん

オーダーシャツだから生地、襟、ボタン、丈感など自分の好きなように作れて、人とカブらないのが一番の魅力!
生地もメリノウールを選べば匂いも蒸れもないし、保温性・調湿性も優れているので山にピッタリです。何より可愛いのが最高!
shioriさん

ACUTのシャツを羽織るだけで一気におしゃれ度がアップ!形やデザインの美しさはもちろん、メリノウール100%の機能性も兼ね備えているので、登山やアウトドアでも着用できます。私は、3着持っています(笑)。
カラーやサイズもオーダーできるので、自分だけのシャツを作ってみてはいかがでしょうか?
アウトドアブランドとは一線を画すデザイン性はもちろん、購入時に自分の好みのオーダーができるという体験も魅力のようです。
オーナーは、銀座のテーラーでキャリアを積んだスーツ職人
今回、ACUTの魅力を探るべく訪れたのは北海道・札幌にあるビルの一室。
ここにアトリエを構えてブランドを運営するのが、オーナーの藤沢さんとプロデューサーの恵梨奈さんご夫妻です。
藤沢さんはもともと、東京・銀座のテーラー(注文洋服店)で10年もの間ビスポークスーツ(※1)の仕立て職人を務めたキャリアの持ち主。故郷である札幌にUターンしてからオーダースーツブランドを運営していましたが、カジュアルな洋服も作りたいという思いを叶える形で、2020年にオーダーシャツブランド「ACUT」を立ち上げました。
※1)フルオーダーメイドスーツのこと
ACUTオーナー/テーラー 藤沢洋希さん

ビスポークスーツ職人として、洋服の基本的な構造や上質なウール素材と20年以上向き合ってきた経験を活かし独立。札幌で自身のショップを立ち上げ、ユニセックスラインの「ACUT」とメンズラインの「Polarman」を運営する。インスタグラムアカウント@polarman_mountain
ACUTプロデューサー 藤沢恵梨奈さん

シルエットデザインなどを含むディレクション業務を担当。登山歴は4年で、初めて登った山は札幌の藻岩山。それ以来、すっかり山の魅力にハマる。個人のインスタグラムアカウント@ppp.hikeにて、山の記録とともにさまざまなACUT製品を着用した写真を投稿中。
長く愛されるものを、必要な分だけ作る

恵梨奈さん
オーダーシャツ”という形にこだわったのは、服を大量生産して売れ残ったら処分して……ということをやりたくなくて。一つ一つのオーダーに対して丹精を込めてお仕立てして、お客様に長く大切に着てもらえるものをお届けしたいですね
藤沢さん
そのためにも、ACUTでは長く愛されるシンプルなデザインを大事にしています
仕立ては国内のドレスシャツ工場で。 丈夫&着心地はストレスフリー!

藤沢さんがスーツ職人というだけあって、ACUTの品質はフォーマルなシーンで着用されるドレスシャツそのもの。
提携している国内のドレスシャツ工場に専用の製造ラインを設け、一着一着丁寧に仕立てられています。
カジュアルシャツには見られない丁寧な縫製や袖付け

では通常のカジュアルシャツとの違いは、細やかな縫製や縫い目の処理がしっかり施されていて丈夫な点です。
またカジュアルシャツは生産効率を重視し、裾から袖まで一気に縫い合わせる方法がほとんど。一方、ACUTのシャツは袖と身頃を分けて作り、後から袖を縫い付けています。
そうすることで腕の曲がりに対して自然にフィットし、腕を前に振る動作もストレスなく行えるのです。
藤沢さん
スーツの仕事をやっている以上、縫製や仕立てがいいシャツというのは当たり前。そこにドレスシャツとは違う魅力をどうやって表現していくかを考えながら作っています
体のラインが綺麗に見える絶妙シルエット

流行にとらわれることなく、長く愛用できるシャツをコンセプトに据えるACUTの一番の魅力は、そのデザインとシルエット。
とはいえ、奇をてらったデザインを入れたり、まったく新しい形を作ることはしません。
1940年代の英国で着用されていたベーシックなドレスシャツをもとに、モダンにアップデートしていくというアプローチでシャツをデザインしています。
藤沢さん
サイドの切り込み部分のカーブを少し柔らかくしたり、裾丈に前後差を設けるなど、ちょっとしたアレンジを加えました。流行に左右されず、だけど今っぽい雰囲気も楽しんでもらえると思います
恵梨奈さん
前からだけでなく横から見た時のラインも綺麗なので「ACUTのシャツを一枚羽織るだけでお洒落になる」「ショーツとの相性がいい」などお客様からも嬉しいお声をたくさん頂いています
山も登れる“普段着”。だからアウトドア機能は追求しない

提供:@ppp.hike
コロナを機に登山を趣味にするようになった二人。
それまではコットンやリネン素材のシャツを作っていましたが、「ウールで作れば、そのまま山にも行けていいね」と、ウォッシャブルメリノウールのシャツを製作。SNSに投稿すると少しずつオーダーが入るようになり、今ではハイカーのお客様が全体の90%を占めるようになりました。
そうして山好きの間で新参のアウトドシャツブランドとして認知され始めるようになっても、ACUTのシャツ作りの信念に変わりはありません。
藤沢さん
アウトドアウェアにあるような動きやすい機能は、あえて取り入れていません。
たとえばカッティングに腕を上げやすいような切替えを入れたり、変に機能的になっていくと、私たちの中ではもう”シャツの様な別のもの”になってしまいます。あくまで日常で着たいカジュアルシャツ、そこからブレないようにしています
恵梨奈さん
ただ結果的にですが、ゆとりがあるので運動量が多くても動きやすいですし、後ろ裾が長い分、ザックを背負っている際にズリ上がりにくいというメリットもあります
多少の不便も楽しんで、好きなものを着てほしい

山と街兼用と謳うブランドも最近は少なくないですが、そもそもACUTは日常で着たいと思ってもらえるシャツを作りたいというところからスタートしたブランド。
わざわざ山のためにシャツを買うというよりは、“お気に入りの普段着で山にも登れる”という感覚を大切にしています。
藤沢さん
快適なだけがいいわけではないと思っていて。何でも整えすぎたり、スペックに走りすぎると、選ぶものが限定されてしまい「こうじゃなきゃいけない」ってなる。好きなものを選んで着たいし、多少不便だとしても好きなら選んでいいと思うんです
恵梨奈さん
そう考えると、次から次へ最新スペックのものが登場したとしても、常に追い続ける必要ってなくなりますよね。それよりも、自分がこだわってオーダーしたものの方がきっと愛着も湧くし、長く大切に着てもらえると信じています