正直「山ごはん」って面倒くさい……?
みなさんは山でのゴハン、どうしてますか?
なるべく荷物は軽量にしたいし、手間をかけるのも面倒くさいし……と、カップ麺やレトルトばかり、なんて人も多いのでは。
簡単便利なインスタント系はサっと食事をとるには最高ですし、山専クッカーも軽量で携行性に優れているので、「お湯を沸かせられればOK」という多くの登山者がお世話になっていることと思います。
でも「豪華な山ごはん」にはちょっと憧れる……
一方で、およそ山では食べられないようなクオリティの高い「豪華山メシ」をSNSで披露する登山者も多く見かけるようになってきましたよね。 でも、そんな人たちってやっぱり元々料理好きなんでしょうか?
もちろん根っからの料理好き!という人も多いことでしょう。
が、なかには「こだわりの調理ギアを使いたいがために、豪華な山ごはんを作っている」なんて人もいるはず!(私自身がまさにそれ)
そこで今回は「道具に個性とロマンがあふれすぎて、山ごはんを作りたくなる」調理ギアを紹介します。
山ごはんのテンションを上げる、調理ギアのみなさん
一見すると、用途がわかりづらい調理ギアのみなさん。今回の主役です。
山専クッカーとガスバーナー、マグカップという山でおなじみの調理ギアは何でもそつなくこなす優等生で、山向けに特化しているだけあって素晴らしいギアです。使い手次第で大半の料理は作れるのです。
でも、人間でもひと癖あったり、やたら個性的なキャラの人に妙~に興味が出てしまうことってあったりしませんか?
道具だって優等生ではないけれど、「俺、この料理だけは誰にも負けないっす!!」と、やたら主張があるものに興味が湧いて使ってみたくなる、ということもあるかもしれません。そして「豪華な山ごはん」への憧れを満たしてくれるかもしれない……。
そんなちょっと異色だけどロマンのある今回のギアたち、どんなものなのか一緒に見てみましょう。
揺らめく炎でスロー料理。これぞロマンの結晶!
こちらはコンパクトな焚き火台、SOTOの「ミニ焚き火台 テトラ」。
ポケットサイズに折り畳むことができ、持ち運びが簡単。 山でも下界でも活躍します。松ぼっくりや小枝で焚き火を楽しむことができますが、固形燃料でも手軽に使用できます。固形燃料は100均で入手できるので、お財布にもやさしい。
ガスバーナーでは効率重視の調理になりがちですが、揺らめく炎でゆったりとした調理時間が楽しめます。
SOTO|ミニ焚き火台テトラ
価格:1,100円(税込)
サイズ:(使用時)幅88×奥行88×高さ79mm(収納時)幅88×奥行80×厚さ4mm
重量:122g
材質:ステンレス
網目の存在意義は「焦げ目」を生み出すために
こちらは軽量な焼き網。ユニフレームの「ミニロースター」。特殊耐熱網メッシュで、焦がさずふっくら焼き上げることができるのです。
パンを焼くも良し、ソーセージを焼くも良し、とにかくロースト香が食欲を刺激します。のんびり焼き上がるのを待ちながら、コーヒーやお酒を楽しむなんてのもオツですね!
ユニフレーム|ミニロースター
価格:1,900円(税込)
サイズ:(収納時)約φ150×15mm
材質:(下網)特殊耐熱鋼FCHW2、(上網)鉄・クロームメッキ
重量:約135g
鉄なのに軽量。UL派にも愛されるミニマル鍋
ULギアを中心としたアウトドアショップ<ムーンライトギア>のオリジナル鉄鉢「タビ鉄 500」。
容量500ml、サイズφ16.5cm、深さ4cmと1人分を調理するのにピッタリなサイズ。 重量もわずか145gと軽量なのもうれしいポイント。鉄器は使えば使うほど育ち、育てば育つほど肉や野菜がおいしく炒められるのが魅力です。ボウル状になっていますので、特に肉や野菜をあおったりチャーハンなどの炒め物に適しています。
UNHALF DRAWING|タビ鉄500
価格:5,280円(税込)
容量:500ml(ほぼ満水)
サイズ:直径165mm 深さ40mm
重量:145g
素材:鉄(厚さ0.8mm)
肉をも受け止める鉄パワーは「グリルの達人」
アイアンワークス・コルの「TORE PAN(小)」は、φ17cmの取っ手が取れる手鍛造の鉄フライパン。 タビ鉄同様、使えば使うほど育ちます。焦げ付きやすい目玉焼きなどもツルリと剥がれちゃいますよ。 こちらは本体のみで約290gです。
浅型のフラットなフライパンのため炒め物には不向き。 ステーキやグリル野菜、目玉焼きなどじっくりと調理する焼き物に向いています。
タビ鉄と似ていますが、得意とする料理はまったく別物。 個人的にはダブル持ち推奨です!
アイアンワークス・コル|TORE PAN(小)
価格:9,900円
サイズ:直径17cm
素材:鉄
重量:290g
グラスをくるくるでワインに酔う夜
テント泊の山旅なら、ゆっくりお酒も楽しみたいですよね。 山用マグカップでもモチロン楽しめますが、少しリッチな気分を味わおうと思ったら、やはりワイングラス。 LOGOSの「割れないワイングラス with ポータブルケース」なら、安心して楽しめます。
樹脂製でボウル部とステム部が分割でき、専用ケースにすっぽり収まり携行性も◎。しかも、登山者にはさらにうれしいギミックが……。これは後ほど紹介しますね!
LOGOS|割れないワイングラス with ポータブルケース
価格:2,189円(税込)
総重量:(約)160g
容量:(約)340ml
サイズ:(約)8×8×19cm、収納サイズ:(約)9×8.5×12.5cm
耐熱温度:(約)70℃、耐冷温度:(約)-30℃
素材:[ボウル部]PCTG、[軸]PC、[ケース]ポリプロピレン
細かいこと抜きに、今日からバリスタ級の技
そして、食後の1杯をカフェ級のコーヒーで締めることができる、エアロプレスの「エアロプレスゴー」。エスプレッソからドリップまで、あらゆるテイストのコーヒーが淹れることができるスグレモノです!
黒いマグカップの中にすべてがすっぽりと収まるので非常にコンパクト。持ち歩きにももってこいです。
エアロプレス|エアロプレスゴー
価格:5,940円(税込)
サイズ:W100×D110×H75mm
材質:ポリプロピレン・シリコン・紙
※ペーパーフィルター350枚同梱
どうでしょうか。
いずれもちょっとクセがあるものばかりですが、「あったらちょっとワクワクするかも……」なんて思いませんでしたか?
さぁ、ロマンあふれる道具で山ごはんを作ろう!
役者紹介が終わったところで、彼らの山ごはんを盛り上げる活躍ぶりを紹介しましょう!
まずは焚き火を眺めながら、気持ちを高める
最初に登場するのは「ミニ焚き火台 テトラ」です。固形燃料が使えますので、湯沸かしや簡単な料理もばっちりです。
個人的にガスバーナーの「ゴォォォォォ」という音が少し耳障りに感じるため、静かな時間を邪魔しないこの焚き火台は、小さくとも大きな満足感を与えてくれるのです。
火力や消火タイミングなど一切調整できませんが、のんびりと燃料任せなのも時には良いものです。
テント場が焚き火許可地であれば、松ぼっくりや小枝を使ってミニマルな焚き火を楽しむことができます。 火の揺らめきを眺めるのはとても心地良い癒し。小枝を折って投入し火を育て……なんて、ブッシュクラフト的な時間を過ごせます。
ちなみに収納時はフォト小箱の中に収まっちゃうほどコンパクトです。
今日の主役は香ばしい焼色のジャーマンポテト
ポテトと玉ねぎをザクザク切って、ベーコンとともに「タビ鉄」で炒めれば、簡単にジャーマンポテトの完成。鉄で調理することでメイラード反応が起き(いわゆる焼き色がつく)、食材がより一層おいしくなります。
ちなみにこのタビ鉄、僧侶の鉄鉢がコンセプトとなっているらしく、ステンレスのカトラリー(今回はスプーン)で食事をすると、双方が触れ合ったとき、「ティーーーン」とか「キィーーーン」などと美しい音がするのです!
なんとロマンティックで愛すべきギアなのでしょうか。
ステムがあれば、回さずにはいられない……

ホクホクのジャーマンポテトとくれば、合わせるのはもちろんワイン。無粋なマグカップではなく、「割れないワイングラス」で味わえばさらにおいしい。くるくるスワーリングしてワインの香りを楽しむ……なんてことをついやってしまいたくなります。
暮れてきたら、灯りでムーディーに
なんと、ワイングラスの携行ケースにヘッドランプを入れれば、ランタンに早変わり! とてもムーディーな明かりを演出できます。もはやテント場ではなく、星空の下のワインバー。これだけでずいぶんと豊かな気分になるってもんです。
それにしても、1つで2つの機能を兼ねているって、登山者にはグッとくるギミックですよね。
焦げ目なくして、焼き立てパンのロマンなし!
パンの焼ける香ばしい匂いはたまらないものがありますよね!特に朝はなおさらです。
「ミニロースター」があれば、山でも簡単にふっくらとパンを焼き上げることができます。 そして、焼き色が見た目のおいしさも格段にアップ。
ほかにも、夜のバータイムにはチーズを焼いたり、スルメやうずらの薫製タマゴなどを炙ったりと、温かいおつまみだって作れます。
朝から豪華にワンプレートグリル!
しっかりとシーズニングされた「TORE PAN」で焼いた目玉焼きは、フライパン表面をツルツルと滑るほどです!つまり使用後の片づけが超楽ちん。キッチンペーパーでサッと拭くだけです。さすがに山専クッカーではこうはいきませんよね。
お皿代わりにワンプレートとして使えば、一気に見た目おいしさが倍増です。
「ここは山小屋ホテルですか?」な朝食ができてしまった……
イングリッシュ・ブレックファスト的な朝食のでき上がり!
目玉焼きにソーセージ、ベイクドトマトという温かい朝食は山では贅沢。山小屋ホテルにいるようなリッチな気分になれます。
今日1日歩くためのエネルギーチャージはやはり朝食からですよね。
締めは手のひらサイズのバリスタでコーヒーを
最後を飾るのは、「エアロプレスゴー」。 ぱっと見、色々付属品があってかなり手間がかかりそうな印象。でもハンドドリップと違って、誰でも簡単においしいコーヒーを淹れられます!
おいしいコーヒーを淹れるには、豆や湯量の計量はもちろん、ドリップにもテクニックが必要です。
が、繰り返しますが、これは「誰でも簡単においしいコーヒーが淹れられる!」のです。知識もテクニックもいりません。
まずは付属のスプーンに山盛り一杯の挽いたコーヒー豆を準備します。
その後、フィルターをセットしたチャンバーをマグカップの上に乗せ、コーヒー粉を入れフラットにならしたら、通常より低めの80℃程度のお湯を所定の目盛りまで注いで、付属のマドラーで10秒ほどステア。ゆっくりとプレスしていき空気の圧縮でコーヒーを抽出します。
あっという間に完成! たったこれだけでお店のようなコーヒーを味わえます。
今回の抽出はエスプレッソですが、お湯を適量加えればアメリカンコーヒーになります。 そして、牛乳を加えればカフェラテとアレンジ次第でお好みのコーヒーが飲めます。
何と表現すべきか、ハンドドリップで淹れるコーヒーとは同じ豆でもまた異なるおいしさ。空気で圧縮し抽出するのですが、何ともまろやかで深みのある味わいに……。これはクセになります!
調べてみるとエアロプレスゴーでのコーヒーの淹れ方(レシピ)はたくさんあるようですので、自分好みの淹れ方を見つけるのも面白そうですね。
「ロマンのある調理ギア」で山ごはんを手軽に格上げ!
ひとつあれば多くのことができる山専ギアはとても便利で軽量なため、まずは基本として押さえておきたい。
ですが、「用途が限られているし、わざわざ使うことある?」というギアでも、付き合ってみたら、「なにこれ、めちゃくちゃ良い仕事するじゃないか!」という隠れた銘品だったりします。
万能な優等生でもいいけど、何かに特化したものはほかに代えがたい魅力を放っている……。
そうです、そこには「ロマン」があるのです。
「クセのあるものを所有する喜び」に加え、「気分も盛り上がって、さらにおいしい」となると、ついつい山に連れて行ってしまいたくなる、それが今回紹介した調理ギアです。
「ほかでは得られないロマン」を味わってしまうと、愛すべき「なくてはならないギア」にきっと変わりますよ!
それでは皆さま、どうぞ良い山時間を!
今回紹介した調理ギアのみなさんはこちら
SOTO|ミニ焚き火台 テトラ
サイズ: 使用時/幅88 × 奥行88 × 高さ79 mm 、収納時/幅88 × 奥行80 × 厚さ 4mm
重量: 122 g
ユニフレーム|ミニロースター
【材質】下網:特殊耐熱鋼、上網:鉄・クロームメッキ
【重量】約110g
ロゴス|割れないワイングラス with ポータブルケース
総重量:(約)160g
容量:(約)340ml
サイズ:(約)8×8×19cm
収納サイズ:(約)9×8.5×12.5cm
耐熱温度:(約)70℃
耐冷温度:(約)-30℃
▼タビ鉄500、TORE PANはこちら
ムーンライトギア|タビ鉄500Creema|TORE PAN 17cm