ドリップコーヒーを山で美味しく淹れるための、こだわりの注ぎ口<楽歩京都>森乃雫

2021/01/15 更新

山で飲むコーヒーは美味しいですよね。特にドリップコーヒーの味わいは格別です。でも、細い湯を注ぐドリップポットを山に持って行くのは、ちょっと難しいもの。そこでオススメしたいのが、マグカップの縁に装着して雫のような湯を注げる『森乃雫』。3Dプリンターで成型されたチタン製、デザインも秀逸なこの道具の使い勝手をレビューします。


アイキャッチ画像:PONCHO

湯を雫のように注ぐことができる道具

撮影:PONCHO
山で食べるカップラーメンがなぜか格別に美味しく感じるように、コーヒーも山で飲むと至極の美味しさを感じます。凛とした空気のおかげか、途中で汲んだ清水で淹れたコーヒーだからか、それとも山をしばらく歩いたことで感覚が澄んだためか。

でも人は貪欲な性質があり、美味しい山コーヒーを、もっと美味しく味わいたいと思うもの。私もそんな性質が強くあるようで、山コーヒーが美味しくなる、上手にドリップできる道具をいろいろと手に入れ、試してきました。

2019年秋に発売された『楽歩京都/森乃雫』

撮影:PONCHO
2020年、新たに手に入れたのが『楽歩京都/森乃雫』です。楽歩京都と書いて「らっぽきょうと」と呼びます。『森乃雫』は、マグカップやクッカーの縁に装着し、慎重に傾けるだけで、ドリップの際に注ぐ湯が、細く、さらには雫のように垂らせる道具です。

これまで、山で細い湯を注いでコーヒーをドリップすることは不可能だと思っていましたが、この『森乃雫』を使ってみれば、驚くほど簡単に細い湯を注げるのです。

しかも淹れたコーヒーはスッキリとして、香りもよく、深みを感じられるものでした。

撮影:PONCHO
開発したのは楽歩京都・代表の山口 旭さん。定年退職を機に、体力維持のために登山を開始。間もなく山コーヒーにハマり、ドリップコーヒーを美味しく淹れるためのポットや道具を探し、試したところ、山に持っていけるようなものがなかったそうです。

そこで、マグカップやクッカーに装着する注ぎ口を自作。2年の試行錯誤の上で完成。2019年秋に発売したのが、この『森乃雫』だそうです。

表面張力、毛管力、サイフォン効果がポイント

撮影:PONCHO
当初は、割っていない割り箸の間に爪楊枝を差し込み、水路をつくって細い湯を注いでいたといいます。

商品化した『森乃雫』の基本的な仕組みも、その割り箸と同様。表面張力と毛管力、そしてサイフォン効果で湯を吸い上げ、底のない水路を湯が通ることでマグカップやクッカーに伝って湯が滴り落ちることを防いでいます。

細い湯を注げ、美味しいコーヒーを抽出できる理由は“内部構造”にあり

撮影:PONCHO
内部をよく見てみると、真っ直ぐに伸びた上部分と下方向に落ちる部分の3本の爪に分かれています。上部分を湯が伝うと1分間に120~150ml、下部分に水膜が張る状態だと1分間に60~90mlの湯を注げます。

この湯量の調節によって、コーヒー豆の種類や焙煎具合、豆の細挽き、中挽き、粗挽きに合わせて、好みの抽出時間を操ることがきるのです。

撮影:PONCHO
また注ぎ口の手前にも爪が備わっていて、一定の湯量を注げるガードになっています。少しくらい傾けすぎてしまっても、慎重に湯を注げば、一気に湯が流れ落ちてしまうこともありません。

撮影:PONCHO
『森乃雫』が備えている表面張力、毛管力、サイフォン効果によって、注いだ湯はカーブせず、直下に糸のように、湯量を少なくすれば雫のように垂れます。

しかも山で使っていたマグカップやクッカーをそのまま流用して、上質なドリップが可能。ただ細い湯を注げるだけでなく、一定の量の細い湯を、自在に、誰でもラクに注げるのです。美味しいコーヒーを抽出できるポイントは、ココにあります。

山コーヒーに試行錯誤してきたハイカーなら、この道具のスゴさに間違いなく感動するでしょう。

金属3Dプリンターで成型

撮影:PONCHO
さて、楽歩京都・代表の山口さんに聞くと、この『森乃雫』は実用性、機能性だけでなく、デザイン性にもこだわったといいます。

重量8.5g、サイズW46×H27×D16mmの小さな注ぎ口は、チタン製。人が見て美しいと感じる黄金比、黄金螺旋をデザインに引用。イキモノのような躍動感のある造形は、なんと金属3Dプリンターによる成型で生み出されたものです。

その分、8,000円~16,000円とちょっと高価ではありますが、チタン製のこの細かな造形を見れば納得の価格です。

撮影:PONCHO
また『森乃雫』を収納、持ち運びする際に使用できるポーチも別売で「onmo sotoasobi design」から用意されています。焚火に使う火口入れのようポーチの名前は『小籠包ーち』。そう、包んだ形が小籠包のようで、『森乃雫』の雰囲気と相性がぴったりです。

いろいろなマグカップやクッカーで試してみました!

撮影:PONCHO ※実際には、森乃雫をクッカーに装着して、火にかけてはいけません。写真はイメージです。
『森乃雫』は、本体に備わった磁石でマグカップやクッカーの縁に装着、固定します。よってチタン製、アルミ製、ステンレス製のカップ、クッカーに装着して使用できます。

ブランドのホームページにある「装着可能マグ及びポット」のページを見ると、多くのマグ、クッカーで使用できるのですが、直径90mm以上だと、装着した両脇から湯が溢れやすいとも書かれていました。

そこで、手持ちのカップやクッカー、ポットを使って試してみました。


「エバニュー/チタンティーポット」500は直径105mmですが・・・

撮影:PONCHO
まずは、『森乃雫』を装着せず、「エバニュー/チタンティーポット500」から、湯を静かに注いでみました。注ぎ口が備わっているので、ある程度、細い湯を注げます。

でも1分以上の間注いでいると、なかなか一定の細さを維持することが難しいです。これは他のマグカップやクッカーでも試してみましたが、すべて同様の結果でした。

撮影:PONCHO
でも『森乃雫』を装着すると、細い湯を維持できます。直径が105mmあるので、装着した両脇から溢れるかなぁと慎重に注いだこと、また口を備えていることもあり、溢れたり、伝い漏れすることもありませんでした。

「エバニュー/チタンマグポット500」も直径は97mmですが・・・

撮影:PONCHO
次は、エバニューのチタンアルコールストーブセットにも使われている「チタンマグポット500」。直径97mmありますが、注ぎ口を備えているので、「チタンティーポット500」同様に、上手くいきそうです。

撮影:PONCHO
湯を細く注げ、なにも問題ありません。

ただ、この「チタンマグポット500」は、ハンドルにシリコンチューブが巻かれておらず、またハンドルが小型なので、タテ方向の注ぎ口から1分以上湯を注ぎ続けていると、指が痛くなりました。クロス等を使ってハンドルを持って注ぐ必要がありそうです。

「エバニュー/チタンマグカップ400FH」は、推奨されているカップ形状

撮影:PONCHO
すでに廃番となってしまいましたが、チタン製軽量マグカップの定番「チタンマグカップ400FH」。直径79mmで、縁の出っ張りもなく、『森乃雫』との相性は間違いありません!

撮影:PONCHO
カップ自体の重量67gという軽さ、ハンドルにシリコンチューブも巻かれ、指も痛くならずに湯量を自在に操れました。

でも、これまで試した上2つのポットと、少し違う点があるのですが、わかりますか?

撮影:PONCHO
違いは、ハンドルに対して90度の位置に『森乃雫』を装着した点です。ハンドルからタテ方向に注ぐよりも、このようにヨコ方向に装着して注ぐ方が、湯を注ぎやすいのです。

また右利きの場合、装着する角度を、カップの縁の上を12時とした場合、10~11時方向に、少し傾けて装着する方が、注ぎやすいです。

湯が溢れやすいというシェラカップは、どうだろう?

撮影:PONCHO
逆台形で装着角度が悪いため、装着部両サイドから溢れ易いというシェラカップ。慎重に扱えばドリップは可能ということですが、「エバニュー/チタンシェラカップFD」で試してみました。

撮影:PONCHO
これもヨコ方向に装着。逆台形なので『森乃雫』がやや下方向に傾きますが、しっかりと固定され、ゆっくりと注げばなにも問題ありません。

むしろシェラカップのハンドルが長いので、小さなハンドルのカップよりも持ちやすく、安定して湯を注げます。

シェラカップは難しいのかなぁと想像していた分、この安定感はかなり気に入りました。シェラカップはスタッキングもしやすいので、シェラカップ2枚でポットとカップにして使ったり、クッカーと組み合わせで山コーヒーセットをつくるのに重宝しそうです。

角形クッカーは、果たして大丈夫だろうか?

撮影:PONCHO
ここまで丸形のカップやクッカーを試してきましたが、角形のクッカーも気になるところです。

そこで「ユニフレーム/山クッカー 角型 3」の、大きい方のクッカーで試してみました。一辺の長さが108mm、対角線の長さは170mm近くあり、縁部分には段差もあります。

撮影:PONCHO
注ぎ口代わりになる角部分に『森乃雫』を装着。角から湯を注ぐ方法は、湯量の調節がしやすく、またクッカーのハンドルが長く持ちやすいことから、相性のよさを感じました。

撮影:PONCHO
縁の段差が11mm以上あると、磁石での固定が難しいようですが、「山クッカー」は段差が10mmで、ジャストフィット! ちなみに山クッカーの小クッカーでも試してみましたが、こちらも相性抜群。

調理もして、食後に山コーヒーを楽しむなら、「山クッカー角型3」と『森乃雫』の組み合わせはかなり有効です!

人気のメスティンタイプも、試してみました!

撮影:PONCHO
近年、流行のメスティン。本家「トランギア」で試したかったのですが、手持ちが今は販売されていないエバニューのものしかなく、それでも同様の形状ではあるので、試してみました。

撮影:PONCHO
エバニューのメスティンは、縁の段差がトランギアと違って外側に張り出していますが、問題なく装着、固定できます。角に装着すれば、湯が溢れることもありません。

ただし、メスティンは長方形ゆえに傾ける角度が大きくなり、またハンドルから『森乃雫』までの長さが遠くなる分、細かな湯量の調節には慣れが必要でした。これはメスティン全般にいえることなので、使用の際にはより慎重さが求められそうです。

最後はケトルの口に装着してみました!

撮影:PONCHO
使用したのは「トラックログ/ケトル0.6ℓ」です。山コーヒー好きは、このケトルの口に別売の注ぎ口を装着したり、ペンチで絞って注ぎ口を細くしたりしています。

また楽歩京都でも、ケトルの口に装着する注ぎ口を開発中とホームページに出ていましたが、果たして『森乃雫』を装着するとどうなるのか、気になるので試してみました。

撮影:PONCHO
結果、ケトルの口への装着、固定の際、磁石がケトルの口と本体の段差にあたり、しっかりと固定されにくいことがわかりました。しかしケトルの口から出る湯が『森乃雫』の内部に入るように装着すれば、固定は不安定なものの、細い湯を注げます。ハンドルも上部にあるので、本体ヨコにハンドルのあるカップやクッカーよりも注ぎやすいです。

ちなみに「トランギア/ケトル0.9ℓ」でも試してみましたが、磁石での固定がより不安定で、装着箇所によっては湯が『森乃雫』本体の下側を伝って注がれてしまいました。しかし、これもケトルからの湯が『森乃雫』内部に注がれる位置で不安定ながらも固定すれば、細い湯で注げました。

どちらも『森乃雫』の原理をわかって使用してみれば、ケトルの口に装着しても使えないことはないというのが、私の感想です。

美味しいコーヒーを頂くために

撮影:PONCHO
今回、さまざまなカップやクッカーで『森乃雫』の使い勝手を試してみましたが、実際に12月の景信山に登り、『森乃雫』で山コーヒーを淹れてみました。

そこでわかったのは、低山とはいえ気温5度ほどしかない冬の山でドリップしてコーヒーを淹れると、コーヒーは抽出中に冷めてしまう…ということです。その対策としてサーモスの保温ボトルにコーヒーを落としたのですが、それでも細い湯で2分ほどかけて淹れたコーヒーはぬるくなってしまいました。

撮影:PONCHO
でも、ぬるくなってしまったコーヒーは、再びクッカーやポットに戻して、ストーブで少し温めれば問題ありません。

そもそも山で飲むコーヒーは格別に美味しいのですから、火にかけて風味が少し損なわれたところで、格別さは変わりません。それに山コーヒーは、飲む美味しさを味わうことに加えて、コーヒーを淹れる楽しさを味わうことで、その時間が格別になるとも思うのです。

『森乃雫』は、そんな時間にぴったりの道具です!

楽歩京都Instagram|@rappokyoto

それでは皆さん、よい山旅、美味しい山コーヒーを!


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ポンチョ

低山好き、道具好き、写真好きライター。登山、ランニング、自転車、キャンプ、旅をテーマに雑誌、WEBで企画、執筆。低山ハイクとヨガをMixしたツアー・イベント『ちょい山CLUB』を妻と共に主催する山の案内人。

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