“コッヘル”で山ごはんデビューしませんか?
山に登ると気になるのが、おいしそうな“山ごはん”を楽しむ姿。でも登山に慣れない内は、基本の登山用具を持ち歩くだけで精いっぱい…。
挑戦してみたくても、何から揃えればよいのか分からないという方も多いかもしれません。
そんな山ごはん初心者さんに今回ご紹介するのは「コッヘル」。クッカーと呼ばれることも多い、鍋やフライパンの小型の調理器具です。
基本的に登山やアウトドアでの使用が想定されているため、持ち運びしやすいものがたくさん!コッヘル選びのポイントを詳しく見ていきましょう。
あり過ぎて悩む…どうやって選べばいいの?
いろいろなメーカーから素材、形ともに多くの種類が販売されているコッヘル。たくさん選択肢がありすぎてどうやって選べばいいか迷ってしまいますよね。
まずは「素材」について知ろう!
コッヘルに多く使われる素材が、アルミ・チタン・ステンレスの3種類。それぞれが持つ強みと弱みを比べてみましょう。
■アルミ(アルミニウム)
軽く、加工がしやすいアルミは形状も豊富。
熱がコッヘル全体に行き渡り焦げにくいため、いろいろな調理がしやすく安価なものが多い万能素材ですが、やわらかい性質の金属なのでキズや変形には注意が必要。
■チタン(チタニウム)
強くて軽い、サビないという特長をもつチタン。金属自体の重さはアルミの方が軽量ですが、強度が高いチタンは非常に薄く加工できるため、結果的に軽いコッヘルができあがります。
薄く仕上げられるので湯沸かしは得意!加工が難しいこともあり、価格は他の素材に比べて高めです。
■ステンレス
頑丈でサビにくいステンレス。アルミ、チタンに比べて重いので登山というよりはキャンプ向きの素材です。キズがつきにくいため、手入れも楽にできます。焚き火での時間のかかる調理などハードな使用におすすめ!
熱伝導率とは?
コッヘルの商品説明に出てくる「熱伝導率が高い ・ 低い」という言葉。どういう意味なのでしょうか?
素材ごとに“熱の伝わり方“を数値化したものが熱伝導率。数値が高いほど熱が伝わりやすい素材になります。
水を熱した時に熱がどのように伝わっていくのか、違いをイラストにしてみましょう。
熱伝導率の高いアルミは、加熱し始めから熱が全体にまわりやすく、沸騰時にはコッヘル全体がかなりの高温になります。満遍なく熱することができるので調理がしやすい素材。
チタンとステンレスは、どちらも熱伝導率が低い金属。
チタンは熱している部分は高温になりますが、火や水が触れていない部分には熱が伝わりにくいため、沸騰時もコッヘルの縁や持ち手は高温になりにくく扱いやすいです。温まり方にムラがあるので調理時は焦げないように注意が必要。
ステンレスは温まるまでに時間がかかりますが、高い保温性で火からおろした後も熱が逃げにくいので、煮込みなどの時間がかかる調理に向いています。
・とにかく軽さ重視、湯沸かしメインなら→チタン
・キャンプでの使用がメイン、煮込み料理を作りたいなら→ステンレス
特殊コーティングで、素材の弱みを解決!
どの素材にも強みや弱みがあります。その弱みを解決するために使われるのが、特殊加工やコーティング。
コッヘルを選ぶ際には、素材の特性と合わせてチェックしてみましょう。
・ハードアノダイズド加工→硬度と耐久性を高め衝撃に強く、腐食しにくくした加工
・ノンスティック加工→くっつき、焦げ付きを防止。後片付けもさっと拭くだけでラクラク
・セラミックコーティング→セラミックの皮膜をコーティングすることで、熱やキズへの耐性を高める加工
・ATS加工→チタン製のコッヘルの底に、アルミをコーテイングすることで熱伝導率を高める加工
自分に合った形を選ぼう
コッヘルには円柱型やフライパン型、四角い鍋や深さのある鍋までいろいろな形状があります。フタがフライパンや浅い平型の鍋として使えるものも。
「何食べる?」からの形選び
山でどんなものを、どんな風に食べたいか。必要な容量も形選びの大きなポイントになります。
平型、深型、フライパン型に角型。それぞれどのような調理に向いているのかチェックしてみましょう。
フリーズドライ食品や飲み物であれば、どの形でも必要な湯量が入るコッヘルでOK。
チタン製のコッヘルは、縁部分が熱くなりすぎないので安心。湯沸かしに特化したケトルも、注ぎやすく便利です。
袋入りラーメンは麺がそのまま入る角型、炒める調理には底面積の広いフライパン型。そして、ご飯を炊くにはしっかりとフタができる形など、まず何を作りたいのか、で選ぶのもおすすめですよ!
持ち手にも特徴あり
持ち手にもそれぞれ特徴があるコッヘル。どのタイプも持ち運びする際、邪魔にならないよう工夫がされています。
持ち手を側面に沿って畳める折り畳みタイプ。アルミ素材のコッヘルは持ち手まで高温になりやすいので注意しましょう。
熱さ対策として、持ち手がシリコンコーティングされていたり、別売りカバーを付けられるものもあります。
吊るす高さにより火との距離を調節できるので、バーナーではなく焚火で使う時にも便利な吊り下げタイプ。
吊り・折り畳みの両方がついたモデルは、状況に合わせて持ち手を使い分けることができます。
取り外しタイプは、持ち手が熱くならないので安心!コッヘル周囲がすっきりとしたデザインが多く収納もしやすくなっています。レトルト食品を湯煎する際のトングとして使えるタイプもあります。
収納のしやすさも選ぶポイントに
少しでも荷物のかさばりを減らしたい登山中。収納のしやすさも選ぶ際の重要なポイントに!
マトリョーシカのように数種類のコッヘルを重ねられたり、O.D缶やアルコールストーブまで収納できたりと、さまざまな収納パターンがあります。
同じブランドで買い揃えて行くとスタッキング(重ねてコンパクトに収納すること)もしやすくなるため、今後の登山スタイルを考えながら選ぶのもおすすめです。
アルコールストーブや取っ手もまとめて収納
深型コッヘルとガス缶、バーナーを重ねて収納
ケトルまで一緒に入っちゃう!
ナルゲンボトルにぴったりフィット!
1ℓのナルゲン広口ボトルにぴったりとはまるコッヘル。スタッキングしたままカバーをかけることも可能。
かさばらない、たためるコッヘルも便利!
メイン素材にシリコンを使用したコッヘルは、畳んで持ち運びが可能!底面はアルミ素材で作られています。大人数の調理の際にもかさばらないので便利です。
▼スタッキングの情報はこちらの記事にも。
初心者におすすめ!コッヘル3選
気軽に山ごはんを始めたい方へ
アルミ素材に耐久性を高めるハードアノダイズ加工を施したコッヘル。作る物によって使い分けができる、調理しやすい大小のポットがセットになっています。お手頃価格で最初のコッヘルとしてもおすすめ!
荷物をとにかく軽くしたい方へ
95gという軽量さが魅力!フタをつけたまま湯切りができるチタン製のコッヘル。大きめのカップラーメンとコーヒーを楽しむのにちょうどよい大きさです。
いろいろな料理を作りたい方へ
インスタントラーメンを割らずに調理できる大きめの鍋、小ぶりの鍋、フライパンがセットになった角型コッヘル。炒め料理も作りやすいアルミ製です。バックパックの中でも無駄なスペースができにくい角型は、収納のしやすさも人気のポイント!
▼もっと色々なコッヘルを見たい人はコチラ!形状別に紹介します
Myコッヘルで山ごはんを楽しもう!

まずは山でお湯を沸かしてみるだけでも、山ごはんへの第一歩。ソロ登山も、仲間との登る時も、あたたかい食事を作ることができれば、山の楽しみは何倍にも広がります。是非自分に合ったコッヘルを登山用具に加えてみてください!