筆者は2010年から『R1フーディ』という、バラクラバのよう顔を覆うフードを装備したジャケットを愛用しています。
よく伸縮して動きを邪魔せず、適度な厚さ(薄さ)で暑くなりすぎず、寒さを感じたら袖先に備えられた親指を通すサムホールを活用してハーフフィンガーのグローブのように保温性をアップ。さらに冷えそうならフードを着用。前立てはハーフジップなのでバックパックのウエストベルトを締めてもゴワつかず、暑いなと感じたら深く設定された前立てを開ければ換気ができます。
『R1フーディ』は、『R1』の快適さをより幅広いシーン、シーズンで活用できるモデルなのです。実際、行動着としても保温着としても1年中装備しています。そして10年経っても現役。耐久性もお墨付きです。
絶えず繰り返され続けてきたアップデート
その『R1フーディ』は、2001年に『R1フーデッド・プルオーバー』として登場したモデルです。2003年に一旦は廃番となりますが、2006年により高い伸縮性を備えて再登場しました。
その後も数年おきに細かなアップデートが繰り返されてきました。当初あっためくり上がり防止の股のストラップは伸縮性が高まりフィット性がよくなったからか、間もなく排除されました。他にもバラクラバ状になるフードが、そこまでは不要だと感じたのかただのフードになったり、しかし要望が多かったのか復活。斜めに配されていた前立てはジッパーが顎に当たるのを防いでいたはずが、当て布をすれば解決することになったのかセンターになったり、タテに切られていた袖口のサムホールは、親指が出しやすいヨコ位置になったり・・・試行錯誤をくり返しながら、現在へと続いています。
今回、2007年、2013年、2016年モデルをパタゴニア日本支社からお借りしましたが、それぞれ本当に細かな変更が見て取れ、パタゴニアの開発陣とテスター、さらにユーザーが抱く『R1フーディ』そして『R1』シリーズへの力の入れよう、こだわりを強く感じました。
最新R1フーディもサイコーです!
2019年の『R1フーディ』は、商品名が『R1プルオーバー・フーディ』に変わりました。そしてポーラテック・パワー・グリッドと同社のアンダーウエアに使われるキャプリーン素材をハイブリッド採用しています。
身頃や袖は耐久性にすぐれたパワーグリッド、フードや脇身頃・裾部分は薄手のキャプリーン素材を用いることでフィット性を装備。シンプルな構造はそのまま、より軽量コンパクトになり、通気がよく着心地を向上させたモデルです。筆者が愛用する2010年モデルより確実に動きやすく、まさにオールシーズン活躍してくれるミッドイレイヤーになっています。
一生モノ、長く使えるといわれるアウトドアの道具にあって、20年続いているモデルは多くありません。それがシリアスなシーンでも使い続けられているテクニカル・ウェアとなれば、ほとんどありません。それが続く理由は、愛用者の多さはもちろん、フィールドで機能する基本コンセプトの確かさにあるのでしょう。その確かさを体感すべく、『R1』を是非試してみてください!
それでは皆さん、よい山旅を!