駅から徒歩25分、お茶畑の脇にお店はありました!
登山用品店やアウトドアショップのほとんどは、大きな駅の周辺や地方なら国道などの幹線道路沿いにあります。人気の山域であれば、最寄り駅や登山口という場合もあるでしょう。いずれにせよ、人通りのある場所というのが常識です。
マニアックでおもしろいことをやってみよう!

「最初は普通に街なかでと思っていました。でも相談した設計士さんから、『それじゃあおもしろくない。おもしろいところがあるから!』といわれて見に来たのがココ。お茶畑に面した倉庫というかなんにもない物置で、お店にすることも、続けることもまったくイメージできませんでした。でもお世話になっている方の意見でもあるので無碍にもできず・・・。
とはいえ、街なかでやると家賃も高い。上手くいく保証だってある訳ではない。それよりもこんな辺鄙な場所で、当時はまだあまり知られていなかったトレイルランというマニアックなアクティビティを中心にお店をやるのはおもしろいのかもなと思ったのが始まりです」
そうしてオープンしたのが、2010年だったそうです。
最初はお客さんが来ませんでした・・・

「最初の3年くらいはツラかったですね。まったくお客さんが来ませんでした。というか来る訳がないんです、知られていないし、こんな場所ですから。でも2012年の富士山麓を一周するUTMFの開催でこの辺りでもトレイルランの認知度が上がって、さらにSNSの普及もあってお客さんが少しずつ増えていったんです」
山を走るのも歩くのも同じ道具で

「2008年頃、ウルトラライトで知られる土屋智哉さんが『ハイカーズデポ』を、そして長野では『信州トレイルマウンテン』と、いわゆる既存の登山専門店とは趣の異なるお店を、個人ではじめる人たちが出てきて、その影響を受けました。酔狂な人がいるなと思う一方で、自分もやってみたいと思ったんです。
そこで私もターゲットとアイテムを絞って、興味があったトレイルランニングを中心にアイテムを揃えました。加えてウルトラライトなアイテムの普及やOMMなどのレースで20~30ℓパックでもテント泊できるスタイルが浸透してきて、ハイキングもテーマにするようになっていった。ランもハイクも同じような道具で遊べることを、伝えられたらと考えたんです」
ストーリーを共有したい

「ATC Storeで扱っているものは山遊びで使えるモノです。そしてその行き帰りにも使えるモノもセレクトしています。それらのアイテムは実は日常でも使える、使いたくなるモノでもあります。だからそのアイテムがつくられた背景、使えるシーン、使い方等々をきちんと説明して、ストーリーを共有できるお店であることを心掛けています」

「SNSで知られるようになったお店ですが、最近は場所を提供する醍醐味も感じています。通販の利用だけで終わることなく、実際にお店を訪れたり山を走る機会をつくっています。それで、知らないお客さん同士が知り合いになって一緒に山に登りに行ったり、中には結婚する方たちも出てきました。お店がお客さん同士の共有の場所として役立つことは、オープン前は考えてもみなかったのですが、とてもうれしいし、ありがたいことです」
楽しいことがあるお店

「まだまだ知られていないけれど、よいフィールド、山もたくさんあるんです。山の道具だけでなく、遊び、そしてフィールドを紹介していけたらなと思います。ATC Storeに来たら、なにか楽しいことがありそうだと感じてもらえるようなお店にしていけたら、いいですね」
来訪後記
お店にはテーブルが置かれた共有スペースもあり、芦川さんの家族やご近所さん、そしてお客さんが、山や道具の話はもちろん、世間話をしています。その雰囲気はのどかで、あったかくて、家族的です。山を通したよき仲間、道具、情報、そして楽しいことを見つけられる、オトナの秘密基地のような雰囲気の山ショップでした。見つけづらいお店の位置も、地図読みの練習と思えば、楽しめると思います!
【ATC Store】

TEL:0544-25-1728
営業時間:11:00~20:00
定休日:水・第3木曜日
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