「こんな所にあるの!?」なこだわり店・静岡県富士宮『ATC Store』【気になる山ショップ#1 】

2018/12/07 更新

日本全国各地、山があれば登山ショップがあります。ブランドの直営店、チェーンの専門店、そして地元の山を知り尽くしたこだわり店とさまざま。そこで数ある山ショップのなかから、オリジナリティあふれる気になるお店を来訪。第1回は静岡県富士宮市の『ATC Store』です!

アイキャッチ画像撮影:PONCHO

駅から徒歩25分、お茶畑の脇にお店はありました!

登山用品店やアウトドアショップのほとんどは、大きな駅の周辺や地方なら国道などの幹線道路沿いにあります。人気の山域であれば、最寄り駅や登山口という場合もあるでしょう。いずれにせよ、人通りのある場所というのが常識です。

撮影:PONCHO
しかし今回紹介する『ATC Store』は、JR身延線・富士宮駅から徒歩25分、タクシー利用でも10分。静岡を感じるお茶畑と住宅地の合間に位置していました。「わかりにくい、通りに面していない、人通りがない」という場所。初めて来店する方は、迷って見つけられないということもあるそうです。

マニアックでおもしろいことをやってみよう!

撮影:PONCHO
しかし、なぜそんな辺鄙な場所にお店を開くことにしたのでしょう? 店主の芦川雅哉さんに問うと、
「最初は普通に街なかでと思っていました。でも相談した設計士さんから、『それじゃあおもしろくない。おもしろいところがあるから!』といわれて見に来たのがココ。お茶畑に面した倉庫というかなんにもない物置で、お店にすることも、続けることもまったくイメージできませんでした。でもお世話になっている方の意見でもあるので無碍にもできず・・・。

とはいえ、街なかでやると家賃も高い。上手くいく保証だってある訳ではない。それよりもこんな辺鄙な場所で、当時はまだあまり知られていなかったトレイルランというマニアックなアクティビティを中心にお店をやるのはおもしろいのかもなと思ったのが始まりです」
そうしてオープンしたのが、2010年だったそうです。

最初はお客さんが来ませんでした・・・

撮影:PONCHO
’97年~’09年まで静岡県内のアウトドアチェーン店を展開するSWENでスタッフ、バイヤー、販促として働いていた芦川さん。しかし固定のお客様を持っていたわけではなく、開店のお知らせもほんの数人に出しただけ。
「最初の3年くらいはツラかったですね。まったくお客さんが来ませんでした。というか来る訳がないんです、知られていないし、こんな場所ですから。でも2012年の富士山麓を一周するUTMFの開催でこの辺りでもトレイルランの認知度が上がって、さらにSNSの普及もあってお客さんが少しずつ増えていったんです」

山を走るのも歩くのも同じ道具で

撮影:PONCHO
フツーの登山用品店やアウトドアショップではなく、トレイルランや軽量アイテムを中心にしたのはなぜか?

「2008年頃、ウルトラライトで知られる土屋智哉さんが『ハイカーズデポ』を、そして長野では『信州トレイルマウンテン』と、いわゆる既存の登山専門店とは趣の異なるお店を、個人ではじめる人たちが出てきて、その影響を受けました。酔狂な人がいるなと思う一方で、自分もやってみたいと思ったんです。
そこで私もターゲットとアイテムを絞って、興味があったトレイルランニングを中心にアイテムを揃えました。加えてウルトラライトなアイテムの普及やOMMなどのレースで20~30ℓパックでもテント泊できるスタイルが浸透してきて、ハイキングもテーマにするようになっていった。ランもハイクも同じような道具で遊べることを、伝えられたらと考えたんです」

ストーリーを共有したい

撮影:PONCHO
トレイルランニングとハイキング、それらは異なるものと考える人もいます。しかし芦川さんは同じ『山遊び』と考えていて、その間には壁がない。そしてアウトドアと日常においても同様に、壁を取り払っています。
「ATC Storeで扱っているものは山遊びで使えるモノです。そしてその行き帰りにも使えるモノもセレクトしています。それらのアイテムは実は日常でも使える、使いたくなるモノでもあります。だからそのアイテムがつくられた背景、使えるシーン、使い方等々をきちんと説明して、ストーリーを共有できるお店であることを心掛けています」

撮影:PONCHO
ストーリーの共有の一環といえる取り組みが、毎月一度、日曜午前中に開催している『トレイルランニング・セッション』と毎週金曜日の夜に富士宮の街を走る『フライデーナイト・グループラン』。どちらも参加費無料で開催しています。

「SNSで知られるようになったお店ですが、最近は場所を提供する醍醐味も感じています。通販の利用だけで終わることなく、実際にお店を訪れたり山を走る機会をつくっています。それで、知らないお客さん同士が知り合いになって一緒に山に登りに行ったり、中には結婚する方たちも出てきました。お店がお客さん同士の共有の場所として役立つことは、オープン前は考えてもみなかったのですが、とてもうれしいし、ありがたいことです」

楽しいことがあるお店

撮影:PONCHO
お店が位置する場所は、確かに辺鄙な場所。でも富士宮は富士山麓であり、南アルプスからも遠くありません。
「まだまだ知られていないけれど、よいフィールド、山もたくさんあるんです。山の道具だけでなく、遊び、そしてフィールドを紹介していけたらなと思います。ATC Storeに来たら、なにか楽しいことがありそうだと感じてもらえるようなお店にしていけたら、いいですね」

来訪後記

お店にはテーブルが置かれた共有スペースもあり、芦川さんの家族やご近所さん、そしてお客さんが、山や道具の話はもちろん、世間話をしています。その雰囲気はのどかで、あったかくて、家族的です。山を通したよき仲間、道具、情報、そして楽しいことを見つけられる、オトナの秘密基地のような雰囲気の山ショップでした。見つけづらいお店の位置も、地図読みの練習と思えば、楽しめると思います!

撮影:PONCHO

【ATC Store】
撮影:PONCHO
住所:静岡県富士宮市小泉1649-20
TEL:0544-25-1728
営業時間:11:00~20:00
定休日:水・第3木曜日


ATC Storeのサイトはコチラ

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PONCHO
PONCHO

登山、トレイルラン、自転車、キャンプ、旅をテーマに雑誌、WEBで企画、執筆する編集・ライター。低山ハイクとヨガをMixしたツアー・イベント『ちょい山CLUB』を妻と共に主催する山の案内人。

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