期待大!暑い夏山を涼しく登るアイテム登場

近年、工事現場をはじめ暑さの厳しいところで作業をする人たちが着用しているのをよく見る“ファン付き”ウェア。筆者はそれを見るたびに「夏山で使うと快適じゃないかなぁ」と漠然と思っていました。
それが2024年の夏、登山向けモデルが発売されたと知って、「おおっ、ついに出たか!」と思わず声が。しかも、発売したメーカーは、あの“モンベル”ということで、期待大です。
服の中に風が吹く。モンベルの「ファンブローベスト」
モンベルの「ファンブローベスト」とはどんな製品なのか、細かくチェックしてみましょう。
専用のファンとバッテリーを搭載可能なベスト
ファンブローベストは単体では機能せず、別売りの専用バッテリーとファン(2個セット)の購入が必要。これら3つを揃えてはじめて、いわゆる”ファン付きのベスト”として機能します。

ベストの素材は、はっ水加工が施された40デニール・ナイロン・タフタ。左右に穴が開いた構造になっており、そこに専用ファンを取り付けます。
腹部に当たる場所の内側にバッテリー収納ポケットがあり、ケーブルで各ファンに電源を供給。なお、バッテリーはベストに付属している専用のウエストポーチで腰につけることもできます。

バッテリーの上部にあるスイッチを長押しするとファンが回り、服の中に風が吹き始めます。風量は、同じスイッチを軽く押して調整します。
上半身に無駄なく風が吹き抜ける構造
従来の作業用として販売されているファン付きベストの場合、バックパックを背負うと、ショルダーハーネスが風の流れを遮断してしまい、風が通りにくくなります。

そのためファンブローベストは、もっとも効率的に風が流れるファンの位置を模索するため、2年間にわたるフィールドテストを行ない、非対称構造を開発。背中に向かって左側のファンをやや上に、右側のファンをやや下に配置したデザインになっています。
左側のファンは左から背中、左わき下・首へと抜け、右側のファンは右から体の前に回り、右わき下・首へと風が抜ける構造。また、裾と肩口はゴムで空気が流出しないようになっています。

つまり、バックパックを背負っても、上半身のほとんどに無駄なく風が吹き抜ける仕組み。ここが、ほかのファン付きベストとは違うところで、「登山向け」と言われる所以です。
背中が快適!ポイントは3Dバックパネル

前項でバックパックを背負っても風が背中を抜けることを紹介しましたが、それを実現するのが、この背中の3Dバックパネルと首元のメッシュ。

3Dバックパネルは、つぶれにくく通気性に優れており、バックパックと背中の間で通気路となって空気の流れをズムーズに保っています。

3Dバックパネルはベストから取り外して、バックパックに直接取り付けることも可能。上の画像のように、手持ちの中型バックパックにもデイパックにも取り付けることができました。
ファンブローベストを着るほどでもない気温で、背中だけは快適にしておきたい時に便利です。
ハイパワーファンとロングバッテリーの組合わせで、さまざまなシーンに対応

ファンブローシステム用のバッテリーとファンは、信頼性の高い京セラ製。
ファンの風量は、シーンに応じ4段階に切り替え可能。バッテリーは最大風量でも6時間駆動するので、低山の日帰り登山なら十分です。状況に応じて切り替えれば1泊登山でも問題なさそうですね。

引用:mont-bell公式サイト-ファンブロー システム用 バッテリー 19V仕様より
速乾性シャツとの組み合わせがおすすめ

吸水速乾タイプのTシャツと組み合わせると、Tシャツが汗をすばやく吸い上げて拡散・蒸発を促しつつ、ファンブローベストの風によって汗の蒸発と気化熱の発生を促進。気化熱の発生により熱を放出する(周囲の熱が奪われることで体温が下がる)ので、さらに快適になります。
登山では通常、速乾性のあるシャツを着用するため自然にこの組み合わせになると思いますが、意識しておきたいポイントです。
携帯用のバッグ付き

ベストに付属している携帯用のバッグにしまうとこんな感じ。コンパクトに持ち運ぶことができます。
とはいえ、ベスト・3Dバックパネル・ファン2つ・バッテリーを収納すると、バッグ含め実測857g。持つと重さでズッシリときます。使うかどうかわからない場合に携帯するのは、ちょっと躊躇しそうです。