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【最新UL素材Ultra 200xを採用】 OGAWAND「OWN」を背負って気付いた、“胸荷重”という先進性!(2ページ目)

独特なショルダーハーネス接合部でカスタムフィットを実現

OGAWAND OWN
撮影:ポンチョ

そんなOWN独自ともいえる3点荷重を可能にしているのが、ショルダーハーネスのフィット感をカスタムできる機能です。スペックの項でお知らせした通り、OWNのショルダーハーネスにはサイズ展開があり、肩まわりにしっかりフィットすることで、ショルダースタビライザーの引き寄せ、肩荷重の軽減を、より効果的に行なえます。

それだけでなくOWNは、さらに精度を上げる工夫を装備。ハーネスの付け根を2本の細いストラップで接合。長さ=背面長の微調整や角度の調節ができるようになっているんです。

多くのULパックのショルダーハーネスは、本体固定タイプです。またフレームの入ったトラディショナルパックは背面長を調節できたり、ショルダーハーネスのサイズ展開はありますが、ハーネスの角度までを調節できるものはありません。だから、バックパックもシューズと同じように、サイズが合っていても、身体に合う、合わないが生じます。

特に欧米ブランドのバックパックの多くは、欧米人の体格をベースにしたショルダーハーネス形状になっています。だから日本人が背負うと、サイズが合っていてもカタチ=角度が合わないことがあります。そのフィット感の小さな違いは、長い移動、時間のなかで、大きな違和感になっていくんです。

OGAWAND OWN
撮影:ポンチョ

OWNのショルダーハーネス接合部のストラップ調整をいろいろ試していて気が付いたのは、長さや角度次第で肩荷重が強くなったり、ハーネスの外側、または内側に圧が掛かったりすることでした。

しかし、ショルダーハーネスの調節がでうまくできると、背負い心地が格段に快適になります。わずかな角度や長さの違いで違和感が出るのですから、それらを調節できない多くのバックパックのショルダーハーネスは、ある程度のフィット感で諦める=納得せざるを得ないものといえます。

だからカスタムできるOWNのショルダーハーネスは、特別であり、唯一無二です。

ADCでスタビライザーの高さ調節も可能

OGAWAND OWN
撮影:ポンチョ

ショルダーハーネスのフィット感のよさに軽さをもたらすのが、ショルダースタビライザーの本体側の取り付け部の高さ可変機能です。これも、本体に配されたADCを使います。

OGAWAND OWN
撮影:ポンチョ

フレームのないOWNにテント泊装備の重い荷物を収納する際には、パック本体内部に沿って丸めたクローズドセルのスリーピングマットをフレーム代わりにします。さらに荷物の量に応じてそのマットの高さを調整する必要もあります。

それからADCでショルダースタビライザーの取り付け部の高さも調整。スタビライザーが肩から斜め45度上背面側に引けるのがベストです。しかし、下画像のように多少低めでもショルダーハーネスへの荷重は、確実に軽減されます。

撮影:ポンチョ

OWNは背負う人の身体もフレームとして用います。バックパック本体とショルダーハーネスとで、つまり胸と背中に荷重を掛けて身体を前後からはさみ込むことで、肩に掛かる荷重を分散します。

胸と背中がはさまれているので、圧迫感が強いのでは?と思うかもしれません。

肩にも強い荷重が掛かっていれば上半身が窮屈に感じられますが、肩への荷重が軽いので、不思議なくらいに自由度が高いんです。背負い心地の軽さは、こうして生まれます。

「動きやすさ」は、ウエストベルトを必要としないから

OGAWAND OWN
撮影:ポンチョ

もう気付いていると思いますが、OWNは、ウエストベルトを標準装備していません。それはOWNがULパックの流れから誕生したバックパックで、軽量化を図ったからとというのも、理由のひとつでしょう。

しかし、OWNの3点荷重を体感すると、よりよい背負い心地を実現させた結果、ウエストベルトを必要としなくなったと思えます。それくらいにウエストベルトがなくても安定感があるんです。

OGAWAND OWN
撮影:ポンチョ

3点荷重によってウエストがフリーになったことで、OWNは動きやすさを装備しました。

ウエストベルトで腰骨の可動域を制限されないため、足上げは自在。荷物の重さに耐えられる筋力があれば走ることも可能です。

登りでの足上げは、重さ13キロのテント泊装備を背負っていてもスムーズです。ウエストベルトをしっかりと締める腰荷重のパックだと、動きがぎこちなくなるのとは大違いです。

OGAWAND OWN
撮影:ポンチョ

ただし急斜面では、しっかりとショルダーハーネスを引いて、きっちりと背中にパックを引き寄せる必要があります。とはいえ、それはウエストベルトを締めるバックパックも同様です。

反面、フレームの入っていないOWNはソフトな背面が身体の動きを強く制限しないので、一体感を強めても動きやすさを感じられるというのも特長です。

胸が開くので、呼吸がしやすいというメリットも

OGAWAND OWN
撮影:ポンチョ

公式HPのOWNの紹介では、「快適に姿勢よく背負うことができます」という説明があります。確かに、OWNは胸が開き、上画像のように姿勢よく歩けるんです。胸が開くことで呼吸もしやすく、疲労が普段よりも軽く感じられました。

多くのバックパックでは、重い荷物を背負うと頭が前に出たり、後ろに引かれないように両肩が前に出たり、さらには上半身に力が入ってしまいがちです。もしテント泊山行で肩や背中が痛み、呼吸が浅くなって疲れやすいという自覚症状があったら、OWNは試してみるべきパックだと、言えます。

姿勢、大事です。

ウエストベルトがあった方がいい場合もあります

OGAWAND OWN
撮影:ポンチョ

3点荷重のOWNは、ウエストベルトがなくても快適に背負え、動けます。でも、その言葉を覆すようですが、オプションで用意されているウエストベルトを装着した方が、よい場合もあります。

スペック表の推奨荷重の欄でも書きましたが、OWNが快適に背負える総重量は、13キロまで。そして、10キロ以上はオプションパーツ併用が推奨されています。

ちなみに、私が今回背負った荷物の総重量は13キロ。日頃から重さ12~13キロのテント泊装備でハイクし、日常的にも距離20キロのランニングをしていることもあり、私は体幹が鍛えられているようで、ウエストベルトがなくても不安定さはありませんでした。

OGAWAND OWN収納物
撮影:ポンチョ ※今回OWNに収納したテント泊と撮影装備。総重量は約12キロありました。

しかし、OWNが3点荷重でストレスが少なく、動きやすいバックパックだとしても、13キロの重さはやはり13キロであって、決して軽くなることはありません。

だからほとんどトレーニングもしていなくて、たまにしかテント泊山行に行かず、体力に自信がないという人は、ウエストベルトを装着することをオススメします。

OGAWAND High Waist Belt
提供:OGAWAND

オプションのADC-Support Beltは、シンプルな幅広ナイロンテープでちょっと頼りないウエストベルトですが、それでも3点荷重に腰荷重が加わって4点荷重にでき、重い荷物の場合は動きのバランスをよくしてくれます。前述した、バランスを失いやすい急斜面でだけ使用するのも、アリです。

さらにバックパック本体の軽さは維持しながらも、より安心感を強くしたいという場合には、上画像のHigh Waist Beltを装着するのもよい選択です。

このベルトは腰骨ではなく、ウエストのくびれ部を薄いパッドで包んでサポート。OWNの動きやすさを変えることなく、肩に掛かる荷重をよりソフトにして、バランスよく歩けるようにしてくれるオプションです。

ADC-Support BeltもHigh Waist Beltも、OWNが装備するADCによって拡張できるもの。背負う人が求めるモノに、しっかりと寄り添うつくり手のやさしさ、想像力に、感心します。

胸荷重を意識していた、先進性

OGAWAND OWN
撮影:ポンチョ

ところで、背面荷重のバックパックというのは、いわゆるアルパインパックに多くあり、珍しいものではありません。3点荷重のバックパックも、トレイルランニング用の小型パックであれば、似たようなものはあります。

そんな中でOWNは、50Lの中型容量のフレームレスパックながらショルダースタビライザーで胸荷重を得て、さらに背中から肩にぴったりとフィットするショルダーハーネスによってパックの密着度を高めて、身体を前後からはさみ込む3点荷重のシステムを構築しました。

結果、肩に掛かる荷重は軽くなり、ウエストがフリーとなり動きやすさも実現しました。

OGAWAND OWN
撮影:ポンチョ

世の中にあるすべてのバックパックを背負ったことがある訳ではありませんが、この胸荷重を意識してつくられたバックパックは数えるほどです。

パーゴワークスが2014年に発売したラッシュ30、2025年新作のゼン、2022年発売のミステリーランチのブリッジャーシリーズ、2024年発売のサマヤのアルパイン ペース、そしてOGAWANDのOWNから進化、大型化させた2020年発売のゴラオンが、それです。
いずれのブランドも、当たり前ではないアイデアに満ちたバックパックのスペシャリストです。そんな彼らが、それぞれの方法でたどり着いた胸荷重は、今後のバックパックの方向性を示していると思います。

OWNは、またはOGAWANDは、この胸荷重のよさに2013年から気が付いていたのです。ようやく時代が追い付いてきました。その先進性は、今回Ultra200xを本体生地に採用したことで、さらに完成度をアップさせています。そんなOWNがどんなものなのか、是非、背負って体験してみてください!

それでは皆さん、よい山旅を!

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